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レポート

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2023/12/09 13:12

▼第17試合 K-1 WORLD GPミドル級タイトルマッチ 3分3R延長1R
×ハッサン・トイ(トルコ/Team Toy/王者)
延長R 判定1-2 ※9-10、10-9×2
〇松倉信太郎(team VASILEUS/挑戦者)
※松倉が第2代王座に就く。トイは初防衛に失敗。本戦の判定は30-29、29-29、28-29。


 トイは2015年WFL武林風 -65kg級王座、2016年WFCA -68kgヨーロッパ王座を獲得。K-1でも活躍したイリアス・ブライドにも勝利している。184cmの長身から繰り出す強烈なフックと鋭いヒザ蹴りを武器とし、圧倒的な試合運びで勝つ姿から“The Dominator”(支配者)と呼ばれている。2019年12月のK-1名古屋大会では野杁正明に判定で敗れたものの、試合後の野杁に「シンプルにすごく強かった。また日本で見たい選手」と言わしめた。


 野杁戦以降は新型コロナウイルスの問題もあり、コンスタントに試合ができない状況が続いていたが、ミドル級に階級を上げて、2023年6月に行われた「K-1 WORLD GP初代ミドル級王座決定トーナメント」に出場すると、ダニロ・ザノリニ、リー・ホイ、松倉信太郎に勝利して優勝。初代王座に就いた。戦績は47勝(10KO)12敗。


 松倉はK-1甲子園2009 -70kg日本一トーナメントでの優勝を経てK-1、Krushを主戦場にキャリアを重ねた。2018年に戦場を『RISE』に移し、『RIZIN』にも参戦。2019年7月にイ・ソンヒョンとRISEミドル級王座を争うも、5R判定負けで王座戴冠を逃した。2020年9月の『スックワンキントーン』ではWPMF世界スーパーミドル級王座を獲得。12月にT-98を判定3-0で降し、2021年3月にトーナメントを制してKNOCK OUT-BLACKスーパーミドル級王座に就いた。10月にはK-1クルーザー級トーナメントに出場した武来安をKOしている。2022年4月にK-1に復帰するとジュリオ・セザール・モリに判定勝利。2023年6月に行われた「K-1 WORLD GP初代ミドル級王座決定トーナメント」では決勝へ進出するも、トイに42秒でKOされた。戦績は36勝(19KO)18敗。


 1R、トイは右ストレートを打つと蹴り上げるような右前蹴り。松倉は左ローを蹴るが、トイの強烈な左フック連打を浴びる。ジャブ、右ストレートに仰け反る松倉は右カーフを返すが、トイは左アッパーと左右フック、そして左ボディ。この左ボディが効いたと見たか、トイは左ミドル、左前蹴りとボディを攻める。カーフの右カーフには松倉が左フックを返す。松倉はトイの奥足内股を前蹴りで蹴る与座キックを繰り出す。


 2R、サウスポーとオーソドックスを切り替えてアッパーにつなぐ細かい連打を見せるトイに、松倉は右カーフと右ミドル。トイの左ストレートに松倉が左フックを返すとトイが下がり、松倉がパンチをまとめる。トイの左ストレートに左フックで対抗する松倉は笑顔を浮かべる。トイは左ボディストレートを連打、さらに左インロー。ハッサンの打ち終わりに松倉はワンツーを返す。松倉の左ボディにトイは身体を丸める。このチャンスに攻める松倉にトイは飛びヒザ蹴り。しかし、松倉がトイにロープを背負わせる。松倉が完全にボディを効かせた。


 3R、サウスポーになるトイは左ミドルと左インロー、松倉の右インローはローブローに。トイは右フックを多用し、ワンツーを打つ。またスピードを上げてきたトイに松倉は左ボディ。松倉は右ストレートもボディに打つ。サウスポーから強烈な左ミドルを蹴るトイ。さらに右フック。トイは頻繁にスイッチし、長い攻撃で松倉を近付けない。松倉は右をヒットさせるが、トイは左ハイキックを軽くヒットさせる。連打をまとめ、ノーガードになって余裕を見せたトイへ松倉の右ストレートがヒット。しかし、トイは追撃を許さない。


 本戦の判定は三者三様でドロー。延長戦へ突入する。松倉の左ボディにサウスポーになるトイ。前へ出る松倉が右ロー、トイも左ローを返す。ローの蹴り合いにトイはジャブを突く。松倉の強打をかわすトイ。松倉の右ロー2連発にトイは左ヒザから右顔面前蹴り。それにも下がらない松倉は打ち合いに行くが、トイが左ボディを打つ。松倉は前へ出て右ストレートと右ロー、トイはジャブを打つが手数が少ない。最後の打ち合いでトイが左ジャブを当てに行く。


 難しい判定となったが、前に出続けた松倉が判定2-1の僅差で悲願のタイトル奪取。親友でセコンドに就いた武尊も思わず涙ぐむ。松倉も嬉し泣きだ。プレゼンターの魔裟斗は「強くなったな」と松倉を称えた。松倉はマイクを持つと次のように語った。


「私事なんですが3週間前に小指を骨折して、靴も履けなくて歩けなくて本当に怖くてどうすればいいか分からなくて。そんな時に周りの人にマジで助けてもらって。本当に怖くて何も出来なかったんですけれど、いろいろな人が支えてくれたおかげで、今日リングに立って勝つことが出来ました。


 よくみんな挑戦した方がいいって言うんですけれど、僕はそういうのを押し付けるのは違うと思っているし、挑戦しなくても幸せな生き方ももあるけれど、格闘技を続けてきて思ったことなんですけれどひとつのことを真剣にやり続ければ自分が追い求めていた結果じゃなくても本当にきつい時に周りを見渡したら絶対に自分が求めていた以上の出会いとか、人とかそういうのがいっぱいあって。だから成功とは失敗は分からないけれど挑戦を始めた時点で成功なんじゃないかなと僕は思っていて。


 こうやって格闘技で生きていくのも大変なことが多いんですけれど、俺は生まれ変わってももう1回格闘家をやるし、奥さん、子供、大事な仲間、全部格闘技を通して出会っているので俺はこの格闘技が大好きです。こうやって格闘技が出来ているのも支えてもらっている皆さんのおかげなので何か苦しい時、何かあった時に周りを見渡してください。必ず素敵な人がそばにいると思うし、いなかったらDMかなんか送ってください。ちょっとアドバイスします(笑)。本当にたくさんの応援ありがとうございました」

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