撮影/安村発
Cygames presents RISE ELDORADO 2022 ~Tenshin Nasukawa Finalmatch~
2022年4月2日(土)東京・国立代々木競技場第一体育館
▼メインイベント 那須川天心 RISE Final Match バンタム級(-55kg)3分3R延長1R
○那須川天心(TARGET/Cygames/RISE WORLD SERIES 2019 -58kg級王者)
判定2-0 ※30-29×2、29-29
×風音(TEAM TEPPEN/RISE DEAD OR ALIVE 2021 -53kgトーナメント優勝)
2014年7月12日にRISEでプロデビューした那須川が、RISEでのラストマッチを迎えた。6月19日に東京ドームでの武尊との“世紀の決戦”を前に、45戦全勝(キックボクシングは40勝28KO無敗)の記録を守れるか。
今回、那須川と対戦する風音はプロキャリア前半は関西を中心に活躍し、2019年3月にTEAM TEPPENに移籍。同年9月には元新日本キックボクシング協会フライ級王者の麗也からTKO勝利、11月には元NJKFフライ級王者の松谷桐に判定勝利を収め5連勝をマークしていたが、2020年2月の大崎一貴戦で2度のダウンを奪われ連勝がストップ。20212月大会で1年ぶりの試合を迎え、元新日本キックボクシング協会バンタム級&フライ級王者HIROYUKIからダウンを奪って勝利した。
ここからの勢いは凄まじく、7月に開幕した「RISE DEAD OR ALIVE 2021 -53kgトーナメント」の1回戦で優勝候補の江幡睦を破る番狂わせを起こすと、9月の決勝トーナメントでは準決勝で政所仁、決勝では那須川のライバル・志朗をも延長戦で破り優勝。戦績は16勝(6KO)5敗の“番狂わせ男”だ。
那須川のセコンドには朝倉未来、風音のセコンドには天心の父・弘幸会長と親友の政所仁が就く。そしてK-1ワールドGPの4タイムス王者アーネスト・ホーストから花束が贈呈された。
1R、那須川がいきなり突っ込むがすぐに距離をとる。サウスポーの那須川はじりじりと前へ出て左ボディブロー、風音が右を連打して前へ行くと、体勢を入れ替えて左を打ち込む。風音がジャブから右ストレート、那須川は風音が右を出すとすかさず左を合わせてくる。那須川のワンツーに風音はバックハンドブローも那須川はかわしてボディからの連打、終盤には風音の右ローに合わせた左ストレートで風音がふらつく。
2R、風音が入ってくると那須川はワンキャッチからのヒザ蹴りを入れていく。風音が入ってくると下がりながら右フックをしっかり合わせる。風音の飛び込んでの右ストレートで那須川のアゴが上がるが、那須川もすぐ左ストレートを当て返す。プレッシャーをかけ、風音の飛び込みにも左を合わせる那須川。片手倒立のハイキックも見せる。再び風音が飛び込んでの右を当てると、那須川も左ストレート。
3R、那須川は左ローを蹴って左フック、その手を引っ掛けてのヒザ蹴り。風音は右ミドルから思いきり右を打つ。風音の右をかわして左を打ちこむ那須川だが、すぐに風音も右を打ち返す。前に出る風音に那須川は下がって誘う。那須川の左アッパーも風音は下がらない。声を上げながらパンチを出して前へ出る風音。那須川は顔面前蹴りを出すも転倒。さらに打って来る風音を左右ストレートで迎え撃つ那須川。
大きな見せ場はなかったが、判定は2-0で那須川の勝利。風音は頭を抱えて「くそっ!」と何度も怒鳴って悔しがった。
試合後のマイクで那須川は6月19日に東京ドームでの決戦が決まった武尊戦について「本来はここで引退のはずだったんですが、6月の最後の試合、今のままでは、こんな試合をやっているようでは勝てないと思います。しっかり仕上げて、自分のスタイルを貫いて最後まで気持ちを出して勝ちに行こうと思っています。皆さん、僕のことを応援してくれますよね? 俺はRISE代表として、格闘技、キックボクサー代表として6月戦おうと思います」と語った。
●那須川天心、試合後のマイク
「こういった形でRISEの最後の試合を開いてくれた皆さん、応援してくれた皆さん、ここまでサポートしてくれた皆さんありがとうございます。RISE最後の試合でスカッとKOで圧倒的に勝ちたかったんですけれど、敵に父親がいるし、今まで一緒に練習した風音なので、本当にリキんじゃったというか、最初の構えで分かったと思うんですけれど。顔もせっかくのイケメンが台無し。こんなに殴られたことは初めてですし、今まで殴り合いとか喧嘩とかしたことないですけれどそういう気分で臨みました。作戦とかも一切考えず、なんだろうな、上手くいかないな。新しいことをやろうとするとなかなか上手くいかないなって思いました。ムキになってしまうのは試合ではよくないなっていうのがあるんですけれど、最後の試合で皆さんに気持ちを届けたいと思ったので前に出て打ちに行くスタイルをしました。倒せなかったけれどいいものを見せられたと思います。
自分がキックボクシングを始めたのもそうですが、ここまで大きくなると自分でも思っていなくて。思っていないけれど変な自信だけはあったんですね。それでRISEを選んだのも伊藤会長がいたからで、伊藤会長だったからこそ僕はRISEに来ました。K-1とか他に大きな団体がたくさんあって、もちろん負けたくないって気持ちもあったし いろいろところからオファーが来たけれどRISEでよかったなとこの舞台で改めて思います。これから僕はいなくなりますけれど、ボクシングに行っても僕はRISEファイターのつもりで戦うので、僕の戦いに注目してください。今後のRISEもいい選手がたくさん出ると思うので僕がいなくなってもRISEをサポートしてください。僕からのお願いです。そしてここまで育ててくれた伊藤会長、たくさんの思い出ありがとうございました。めちゃくちゃ楽しかったです。僕は高校で青春というのがあまりなかったですけれど、今になってキックボクシングに出会ってこの舞台で青春ができたって、皆さんの前で出来たと実感しているので、この舞台に出会わせてくれて伊藤会長には感謝しかないです。
そして、本来はこの試合で引退のはずだったんですが、6月の最後の試合、それに向けてあと2カ月、今のままでは、正直こんな試合しているようでは勝てないと思っています。しっかり仕上げて、自分のスタイルで、相手がどうだからではなく自分のスタイルを貫いて最後まで気持ちを出して勝ちに行こうと思っているので僕に期待していてください。6月、僕のことを応援してくれますよね? 俺はRISE代表として、格闘技、キックボクサー代表として6月戦おうと思っています。皆さん注目してください。ありがとうございました。これからもよろしくお願いします」