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2021年3月6日(日本時間7日)米国ラスベガスの「UFC APEX」にて『UFC 259』が開催された。
前日のフェイスオフでは、注目のバンタム級王座戦に臨む王者ピョートル・ヤン(ロシア)と挑戦者アルジャメイン・スターリング(米国)が、顔を近づけて互いに挑発。
「おまえをぶちのめす」と仕掛けたヤンに、スターリングは「やってみろよ、俺がやってやるからな。ふざけてんじゃねえ、お前アタマがイカれてんのかよ?」と応答。「ああ、おれはクレイジーさ」と返すヤンに、スターリングも「そうか、お前はクレイジーなやつなんだな。いいか、お前のことをテイクダウンして沈めてやるからな」とフィニッシュを予告。すかさずヤンは「お前のテイクダウンなんか楽勝だ」と言い返すなど、早くも火花を散らしてみせた。。
UFC 259: Blachowicz vs. Adesanya
現地時間2021年3月6日(土)、日本時間7日(日)
米国ネバダ州ラスベガス/UFC APEX
【メインイベント】
▼UFC世界ライトヘビー級選手権試合 5分5R
○ヤン・ブラホビッチ(ロシア)205lbs/92.99kg
[判定3-0] ※49-46, 49-45×2
×イズラエル・アデサニヤ(ナイジェリア)201lbs/91.17kg
※ブラホビッチが初防衛に成功
3大王座戦のメインイベントで、現UFC世界ミドル級王者のイズラエル・アデサニヤ(ナイジェリア)が現ライトヘビー級王者のヤンブラホビッチに挑戦。オッズでは挑戦者が-265のフェイバリットで、王者が+225のアンダードッグの評価となっている。
1R、ともにオーソドックス構えから。身体の厚みはブラホビッチ、圧力をかけていく。スイッチするアデサニヤは左ミドルハイ。ブロックするブラホビッチは左から飛び込む。
避けるアデサニヤは右の前蹴りを関節狙い。右前手を触覚で伸ばすアデサニヤ。さらに左ハイも。ブロックして左ボディストレートを打つブラホビッチ。強い左ハイをガード上に当てる。アデサニヤの左をさばくブラホビッチ。オーソドックスに戻したアデサニヤだが、サウスポー構えにして左前蹴り。
ブラホビッチは左ジャブ。アデサニヤは左のブラジリアンキックは速いが軽い。アデサニヤは左ローを当てる。
Fifth and final upcoming!
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2R、右ローを狙うアデサニヤ。ブラホビッチは圧を強める。左ミドルを当てるアデサニヤは左ハイも。かわすブラホビッチはワンツーから右ハイが重い。
左ボディストレートはブラホビッチ。アデサニヤの左ハイをスウェイでかわす。オーソから右ハイも空振りのアデサニヤ。ブラホビッチはワンツーから詰めるがまだ深追いせず。組んで脇差しテイクダウンを狙うブラホビッチはがぶりも頭を抜くアデサニヤ。
近い距離から左の蹴りはアデサニヤ。ブラホビッチは右ストレートを返す。アデサニヤの右の蹴りがローブローとなる。再開。
左ジャブの刺し合い。ワンツーで前に出るブラホビッチに左の蹴りを返すアデサニヤ。左前蹴りはブラホビッチ。アデサニヤは左インローをダブルで当てる! ブラホビッチも左ローを返してブザー。
3R、左ミドルを当てるブラホビッチ。アデサニヤは右ローを返す。右から左を振りボディロックテイクダウンはブラホビッチ! スタンドバックへ。しかし、すぐに正対して立ち上がるアデサニヤが打撃で押し返す。左ストレートから金網に詰めるが、押し戻したブラホビッチは右で差して、両差しでボディロックも、アデサニヤは首相撲ヒザでブラホビッチが離れる。
左ジャブダブルのブラホビッチに、右を返すアデサニヤ。左ハイまで繋ぐがかわすブラホビッチ。アデサニヤは右ロー。左ジャブ!ブラホビッチもアデサニヤのパンチをストッピングして左を返す。両脇を差して押し込むブラホビッチだが、金網押し込むもクラッチを解いて離れる。ともに左フックを当てた3R。
#UFC259 Official Results: @JanBlachowicz (49-46, 49-45, 49-45) defeats Israel Adesanya by Unanimous Decision.
— UFC News (@UFCNews) March 7, 2021
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4R、シングルレッグに入るブラホビッチだが、離れ際に右を狙う。アデサニヤの左前蹴りの打ち終わりに左フックはブラホビッチ。アデサニヤは左で入りワンツーで前に出るが、そこにダブルレッグテイクダウンはブラホビッチ! 左で脇を差すブラホビッチ。
ハーフからエビを打つアデサニヤはハーフガード。金網から遠ざけるブラホビッチはコツコツとパウンド。そしてヒザを押してパスガード。横四方からパウンド。片足を戻したアデサニヤ。ブラホビッチは胸に頭をつけてパウンドを打つ。
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5R、右ローを打つアデサニヤ。ブラホビッチも左ジャブのダブル。ジャブから飛び込むブラホビッチ。そこに右ロー狙いはアデサニヤ。ブラホビッチのジャブに右をかぶせにいくアデサニヤ。さらに左ジャブは互いに。
右ハイ、バックスピンキックのアデサニヤ。前がかりになったところにブラホビッチはダブルレッグテイクダウン! 両手でネッククランクのブラホビッチは、インサイドから細かいパウンド。さらに片足を抜き、右のパウンド! 背中をつけたアデサニヤ。左で脇差して細かく右でパウンドするブラホビッチは最後にマウントを奪いパウンド! 笑顔でコーナーに戻った。
前半は手数で上回ったアデサニヤ。後半はテイクダウン&パウンドのブラホビッチだが……5Rの判定は3-0(49-46, 49-45×2)でブラホビッチが勝利。
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初防衛に成功したブラホビッチは「見たか、アンダードッグのチャンピオンだ!」とベルトを手に誇示した。
試合後は、「彼(アデサニヤ)はスピードがあったし、自分も力を出した。パンチ力は予想通りだった。自分の方が身体も大きいからテイクダウンできれば、グランドで差をつけられればと思っていた。もっと早いタイミングでテイクダウンできればよかったけど、疲れさせてからテイクダウンする作戦だった。左のパンチ、ジャブで距離を取り、彼のプレッシャーもあったけど、しっかり自分もプレッシャーをかけられたと思う」と、後半のテイクダウンがポイントだったと語った。
続けて、「彼に初黒星をつけたのは光栄です。真のチャンピオンは僕です。ずっと僕はライトヘビー級だった。グローバーとは次に戦いたいね。彼には挑戦する権利がある。ただ、少し休んで家族と過ごしたい。それが待てるならテイシエラと戦いたい」と次戦について話した。
また、同時二階級制覇はならなかったアデサニヤは、「勝つと思ったけど、昨夜は眠れなかった。自分の思い通りの試合にはならなかった。足が後半で疲労した。(ジャッジは)ここまで差がついているとは思っていなかった。今日は自分にとっていい日ではなかったということ。ミドル級に戻るかもしれない。ミドル級でこの硬い拳をぶち込みたい。みんな応援ありがとう。ナイジェリアのみんなありがとう」と敗戦を語った。
◆ヤン・ブラホビッチ「自分が真の王者だと証明した」
「まずは試合を見てみる必要がある。もちろん、タフな試合だったし、接戦だったけど、イジー(アデサニヤ)は自分よりも少し多くケリを打っていた。ボクシングは俺の方が良かったと思うし、レスリングは向こうよりもはるかに良かった。試合に勝ったし、それがすべてだけど、タフな試合だった。ありがとう、イジー。君みたいな人と戦えるのは自分にとって光栄だった。ただ、“And Still(防衛)”できたことは本当にうれしい。世界で一番の1人である彼を打ち負かした最初が自分で満足している。俺は真の王者だ。今日はかなりハードな仕事だったけど、ベストを尽くした。ほぼすべて出し切ったよ。ジムで彼の対策としてやってきたことはすべて試合で出せたと思っている。満足だ。試合に勝ったし、やってきたことがうまくできた。
もう少し早めにレスリングでいくべきだったし、もっとプレッシャーをかけていくべきだったとは思う。もっとボクシングスキルをぶつけていくべきだったけど、彼は素晴らしいファイターだ。簡単にはそうさせてくれない。でも、トレーニングしてきたことはほぼすべて出せた。呼吸が少しヘビーになる瞬間があった。スパーリングのセッションはすべて完璧だったから、何が起きたのか分からない。その後、呼吸がそれほど悪いわけじゃないって分かって、でも、30秒後にはもう少し集中しつつ、リラックスもできて、呼吸が普通に戻ったから、大丈夫だと思った。ヒヤリとするときはあったけど、なんとか乗り越えた。もしかしたら、彼のキックを受けた後だったかもしれないけど分からない。覚えていないんだ。でも、今回の試合ではあの一瞬だけだ。
それから5ラウンドを戦えたことも良かった。これもまた自分にとっては試練だったからね。今回の試合ではいいテンポだったと思う。何かが起きるときは必ず、カウンターが良い。イズラエルを相手に5ラウンドを戦えたことに満足しているし、良い試合に勝てたことも嬉しい。
国を代表しているからね。母国だけじゃなく、ポーランドの心のレジェンダリーパワーをね。世界にその力を示すことができて誇りに思う。人々が言うことに耳を傾けるのはやめた。俺にしてみれば、一番重要なのは家族の声だし、コーチが言うことであって、友達の言葉だ。人生で一度も会ったことのない人たちがなんと言おうと知ったこっちゃない。今回の試合を終えて彼らがなんと言うのかは聞いてみようかな。俺にとってはそれが重要なことかもしれない。試合前は気にしないけどね。
試合後は、自分がアンダードッグで、みんなが“あいつには今回の試合に勝つ力がない”と言っていたけど、俺が勝った今、なんて言うんだろうな? でも、まあ、運だったんだとか、そういうことを言うんだろうけど、そういうのは気にしない。ファイターにとっては試合に勝てれば毎回サイコーだ。チャンピオンになったときは……なんというか、ワオって感じだった。今は信じられないとかそういうこととは違って、でも、明日、起きたら、“OK、ベルトを守った。自分が真の王者だということを証明したんだからいいじゃないか。また人生でどでかいことが起きたな”と思うだろう。数日後には実感できるんじゃないかな」