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【UFC】3大王座戦! ブラホビッチがアデサニヤの二階級制覇を阻止、ヌネスがアンダーソンを粉砕、ヤンがまさかの反則失格でスターリングが戴冠=『UFC 259』

2021/03/07 08:03

【メインカード】

▼UFC世界バンタム級選手権試合 5分5R
×ピョートル・ヤン(ロシア)135lbs/61.24kg
[4R 4分29秒 反則による失格]

○アルジャメイン・スターリング(米国)134.5lbs/61.01kg
※スターリングが新王者に。

“NO MERCY”の異名を持つヤンは、2020年7月11日の「UFC 251」でヘンリー・セフードが返上した王座をジョゼ・アルドと争い、5R TKO勝ちでベルトを獲得。UFC7連勝中(MMA10連勝中)で今回が初防衛戦となる。

“FUNK MASTER”スターリングは、2020年6月6日の「UFC 250」で強豪コリー・サンドハーゲンに1R、わずか88秒リアネイキドチョークで一本勝ちして以来の試合で、UFC5連勝中。佐々木憂流迦や井上直樹の練習仲間としても知られている。

 両者は当初、2020年12月13日の「UFC 256」で対戦予定も、ヤンのビザの問題により中止となっていた。3月の試合に向け、ヤンは現在、米国入りしフロリダのアメリカントップチーム(ATT)で練習を重ねてきた。

 1R、ともにサウスポー構えから。いきなり中央に走ったスターリング。しかしヤンも中央を譲らず。スターリングの蹴りを捌くが、スターリングも右ヒザを突く! 圧力をかけるスターリング。しかしヤンも右ミドル! 詰めるスターリングは右ロー。その蹴り足をつかんでテイクダウンも深追いしないヤン。

 オーソドックス構えから右の跳びヒザはスターリング! 詰めるスターリングはダブルレッグテイクダウン! 中腰から鉄槌に立ち上がるヤンはバックテイクから離す。

 右ストレートでダウンを奪うヤン! すぐに立ち上がるスターリングはオーソドックス構えになったところにヤンが右カーフキック! 崩れるスターリングは左小手に巻き、カニ挟みテイクダウン! しかしヤンは立ち上がると左ミドル! さらにスタンドバックから頭からスラム! 立ち上がったスターリングはバックヒジもヤンはブロック。ブザー。果たしてスターリングのスタミナは持つか。

 2R、ともにオーソドックス構えから。ワンツーから左ミドルはスターリングだが、蹴りでバランスを崩して下に。そこにかかと落としはヤン! 間一髪かわすスターリングはシッティングガードで下から挑発する。

 ブレーク、スタンド再開。左ボディからシングルレッグに入るスターリングは捨て身気味に投げるが下に。すぐにダブルレッグ、シングルレッグに入るスターリングだが、片足立ちで凌ぐヤン。バックテイクするスターリングだが、すぐに正対するヤン。

 なおも左右で詰めるスターリングはシングルレッグからバックテイク狙いも片足立ちのヤン。足を離した瞬間に右ヒザを突くヤン。ついに離れるスターリングだが、ヒザを突いて前に。しかしいなしてバックを取るヤンは背後から足を払って崩すと、後ろからヒザを突く。

 3R、右を当てて前に出るスターリング。左ローを当てるが、その打ち終わりに右を返すヤン! シングルレッグに入るスターリング。切るヤン。左ジャブのスターリングに左ミドルを返すヤン。さらに右フックも。

 左ジャブ、右ヒザを突くヤン! 崩しに下になるスターリング。スタンド再開。右を当てるスターリングはシングルレッグも切り際に左ミドルを当てるヤン。なおもシングルレッグに入るスターリングだが、切られる。

 組むスターリングを大外刈で倒すヤン。グラウンドには付き合わない。スターリングの組みを潰すヤン。スターリングは奥足ローのダブル! 組んできたヤンをスクランブルから上を取ろうとするがヤンが上に。

 4R、下になるスターリングに、立ち際に右ヒザを突くヤン。さらにサウスポー構えからボディ、ストレート。しかし、スターリングもボディ打ちから押し返すが、サウスポー構えからヤンは左ストレート! なおも組んで行くスターリングだが、今度はヤンがバックヒジ狙い。打撃の軸がブレるスターリング。右前蹴りで前に出るが、ヤンの左は被弾する。さらに組みにヤンはヒザ蹴り。さばいて右フック、左ストレートも!

 半身気味に下がるスターリング。手を伸ばして組みにくるスターリングをヤンは両手でツーオンで捌き、左ストレート! さらにスターリングが片ヒザ着きになったところを頭を押さえヒザ蹴り! しかしこれは反則のヒザ蹴り。

 まともに浴びて起き上がれないスターリング。試合続行は出来ず。失格となったヤンが王座陥落。涙を流して悔しがるスターリングがベルトを獲得し、コーナーの肩を借りて退場した。

 試合後、「病院へ直行」のアナウンスのなか、インタビュールームに向かったスターリングは、「ここまでやってきたことすべてがこんな結果のためじゃなかった。接戦だった。こんな形で勝つことは想像していなかった。ほんとうにひどい。今は心が潰れそうだ。レフェリーが自分がダウンしたと教えてくれた。速いペースで押していてファンも喜んでくれていたと思うので、こんな結果に残念です。みんなありがとう、そしてごめんなさい。すぐに試合が出来るように戻ってくるよ」と声を振り絞った。

 また、SNSでは「レフェリーにダウンと言われて、いやヒザ蹴りは故意だと感じた。ヤンは悪いヤツだな。再戦しなきゃ」と再戦を示唆した。

 ほぼ試合を手中にしていたヤンは、なぜ反則のヒザ蹴りを打ったのか。

 ヤンは、試合後の会見で「相手の攻撃は全部分かっていたし、勝てた試合だった」と話し、反則のヒザ蹴りについては、「ルールは理解していた。だけど、あの時、(反則の蹴りという)そんなつもりはなかった。彼の手に目が行っていて、足がどういう状況かは分かっていなかった。セコンドの声は影響していない」と、頭を押さえてからのヒザ蹴りながら、状況判断を見誤ったことを告白。

 さらに、「ヤンがコーナーに『蹴って良いか』を尋ね、セコンドが『イエス』と返答して蹴った」という証言について、セコンドからは『とにかくパンチを出せ』『イエス!』の声だけがあったこと、「セコンドの声を聞き間違えたわけではない」とヤンは否定した(【追記】ヤンのコーナーマンのATTの柔術コーチのマルコス・パルンピーニャも自身のSNSで「ジャスト・パンチ」と言っていると検証画像をアップしている)。

 そして、SNSで「すごい間違いを犯してしまったから、その代償を支払った。彼が早く回復してくれることを祈っている。彼もこんな形でベルトを手にしたくはなかっただろう」と、スターリングの回復を祈った。

 なお、会見でダナ・ホワイト代表は、スターリングの回復次第としながらも「お互いにリマッチを望んでいるし、出来るだけ早く再戦を組みたい」と語った。

◆アルジャメイン・スターリング「もう一度できることを願っている」

「ここを目指してすべてに取り組んできたし、こういう試合をしたくてがんばってきたけど、試合はかなり接戦だったと思う。自分が2ラウンドを取っていたはず。こんな形で勝ちたかったわけじゃない。こんなことを思い描いていたわけでもない。ベルトは外した。あんな風になっても続けようとしたし、最悪の形で引き継いでも、さらに罰を受けるだけ。レフェリーには俺がダウンしていたと言われた。分からない。ちょっと熱くなっていたことも、いろいろあることも理解しているけど、ライバル関係とか……。俺は続けたかった。試合はペースが速くて、かなりの攻防戦だった。ファンはきっと楽しんでくれたと思う。年間最優秀試合になる可能性だってあったし、史上最高のバンタム級タイトルマッチになる可能性だってあった。あの瞬間までアクションはノンストップだったんだ。ファンには申し訳ない。試合がこんなことになってしまってごめん。もう一度できることを願っている。もう一度やりたい」

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