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【ONE】ディベラがプラジャンチャイにリベンジし世界王座を統一、ンサンが引退試合TKO勝ちで有終の美飾る、オルチコフがダウン応酬の末に4位ゴントーラニーに勝利、マラチエフがブルックスを絞め落とす、若松の対戦候補だったザキロフがフーに判定勝ち、ジャオスアヤイがグルザダに敗れる、磯嶋祥蔵がTKO勝ちで6連勝、5万ドル獲得

2025/10/04 09:10

▼第8試合 ミドル級 MMA 5分3R
〇アウンラ・ンサン(ミャンマー/Kill Cliff FC)
[2R 2分20秒 TKO] ※パウンド

×ゼバスチャン・カデスタム(スウェーデン/Legacy Gym/Pancrase Gym Sweden)


 今回が引退試合のンサンは、元ONEライトヘビー級&ミドル級MMA世界王者。大学で農業を学び、養蜂家として米国で生活も柔術を習ったことからMMAファイターに。

 2005年5月にイリノイでプロデビューし、MMA45戦で30勝15敗1NC。ONEでは、母国ミャンマーの情勢が安定していたときには、ヤンゴンのトゥワナスタジアムでメインを務めた。



 18年と19年に日本の長谷川賢とミャンマー&東京で2度の大激闘を繰り広げ、22年には岡見勇信にもTKO勝ち。ミャンマー史上初のMMA世界王者として、20年にわたるキャリア30勝で93%フィニッシュ率を記録している。キャリア後半の22年から23年にかけて3連勝をマークも、24年9月と25年2月にシャミル・エルドアンにKO負けして連敗中。40歳を迎え現役引退を決意し、最後に元ONE世界ウェルター級王者のゼバスチャン・カデスタムと対戦する。

 ムエタイベースのスウェーデン人のカデスタムは、93%のフィニッシュ率で15勝を誇る。レガシー・ジムとオールスターズ・トレーニング・センターでアレクサンダー・グスタフソンのような大きな選手たちと練習。さらに、KSWの2階級制覇王者ロベルト・ソルディッチをTKOで下し、3連勝の勢いでバンコクに乗り込む。2年5カ月ぶり復帰戦。

 カデスタムとの試合に向け、ンサンは公式インタビューで「グラップリング以外に彼に大きな弱点があるとは思わない。彼はディフェンス的にも非常に堅実だ。ロベルト・ソルディッチとの試合を見れば、彼の防御は完璧で非常に的確な動きと機動力もある」と評価。

 さらに友人でもあるカデスタムとの試合を「彼は良い人で本当に好きだし、彼がとても優秀であることを知っているが、私たちは打ち合うだろう。結局のところ、彼は彼と彼の家族の面倒を見なければならないし、私も私と私の家族の面倒を見なければならない。そしてファンは楽しめる。なぜなら私たちのどちらも引き下がらないから。どちらかがマットに沈む、それが唯一の方法だ。それが私たちの友情を称え、ファイターとして、戦士として互いを称える唯一の方法だ」と語っている。

 父がリングサイドで見守るなか、ミャンマーからの移民も多いタイで入場したンサン。生歌の入場曲の大合唱で花道を進む。セコンドにはキルクリフのヘンリー・フーフトコーチ、ネイサン・マーコートの姿も。

 1R、ともにオーソドックス構え。先に右ローのンサン。さらに左インローも前足に突く。カデスタムは右前蹴り。「アウンラ!」の大コールのなか、ンサンは左ミドルハイ。カデスタムも右ハイ。ガードのンサンは、右の蹴りでけん制。さらに右カーフ。カデスタムの蹴りがローブローに。

 再開。スイッチしながら入るカデスタムは右ハイ。ンサンもサウスポー構えから左の蹴り、オーソから二段蹴りも見せる。左ハイを突くンサン。かわしたカデスタムに右ローもローブローに。再開。

 ンサンの左ハイをかわすカデスタムは右後ろ蹴りを腹に。ワンツーで詰めるンサン。さばくカデスタムにワンツーのダブルを入れたンサン。カデスタムもワンツーで押し戻しゴング。慎重な出だし。

 2R、右ストレートで飛び込み、左ストレートで詰めるンサン。カデスタムも右ハイ。互いに右、ンサンは右ヒジ。ヒザ。頭が下がったカデスタムにアッパー、ヒザ、ヒジ。ロープを背にするカデスタムは試合間が空いていてスタミナ苦しいか。

 ロープに詰めたンサンが一気に左右ラッシュ! カデスタムは左目下から出血。そのまま崩れ落ちて、ンサンの中腰からのパウンドを受け続けてレフェリーが間に入った。

 右目を腫らしたンサンは、ミャンマー国旗を羽織り、「ありがとうミャンマー、バンコク。素晴らしい場を作ってくれてありがとう。神にも感謝します。応援してくる皆さんのおかげでこうしてここの場に立つことが出来ました。ヒザの怪我に悩まされてきましたが、昨年から少しづつ動けるようになって戦いました」とマイク。

 チャトリ代表からの5万ドルボーナスのアナウンスがあると、「良いときも悪いときも信じることを忘れずに戦い続けよう」とコメント。11月、日本大会で殿堂入りのセレモニーが行われることも発表された。MMA通算戦績46戦31勝15敗1NCのンサンは、リング上にオープンフィンガーグローブを置いた。

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