MMA
インタビュー

【RIZIN】鹿志村仁之介「アナコンダチョーク前の蹴り上げをさばいた立ち方に注目を」×所英男「出し切りたいけど“そうさせてもらえないのが試合”」

2026/03/09 21:03
 2026年3月7日(土)東京・有明アリーナにて『RIZIN.52』が開催された。  24歳の鹿志村は、10勝中9勝が一本勝利という生粋のグラップラー。柔道から柔術を始め、2020年にPANCRASEでMMAデビュー。25年6月、RIZIN初参戦で後藤丈治と熱闘の末に判定負け。  RIZIN2戦目の11月には柔道ベースの安井飛馬に判定勝ち。今回、自身の2倍の年齢である48歳のベテラン所の“回転体”を上回る寝技で世代交代を成し遂げるか、注目されていた。  所は、3連敗のなか24年7月「負けたら引退」の決意でヒロヤと59kg契約で対戦。1R、ヒロヤのローに右ストレートを合わせてダウンを奪い、マウント&ヒジでTKO勝ち。崖っぷちの逆境から再起を果たして現役続行。 「あと2試合」と宣言し、この日、2回り若い寝技師・鹿志村仁之介を相手に、48歳格闘技人生最終章の試合に臨んだ。  試合は、寝技師対決ゆえに打撃に勝機を見出す可能性もあった所の左ジャブに、鹿志村が左ストレートを合わせてシングルレッグからボディロックテイクダウン。  蹴り上げを狙う所に半身で足をさばきながらパスを狙う鹿志村は一気にサイドに回ると、そのスペースで所は亀になって立ち上がりに。その首をとらえた鹿志村がアナコンダチョークで回して絞めると、足はかけさせなかった所だが、失神した。  試合後、鹿志村はパスガードの際に所の蹴り上げをさばいた、くるぶしを相手の尻につけて足を持つ形に注意したこと、さらに、所に亀にさせることでアナコンダチョークを狙ったことを明かしている。  また、敗れた所は「出し切りたかった。でも“そうさせてもらえないのが試合”なんで」と不完全燃焼を語ると、進退について、大晦日に地元に近いナゴヤドームでの有終の美への未練も見せている。 鹿志村仁之介「アナコンダチョークは柔道でも使えると父が教えてくれた技」 ──試合を終えた率直な感想を教えてください。 「無事勝つことができてまずはホッとしています。とともに所選手を超えた実感が徐々に湧いてくる感じがすごい不思議な感じです」 ──試合時間は短かったと思いますが、練習相手ではなく、対戦相手としての所選手と、実際に戦った印象を教えてください。 「実際、今この試合が終わってからだから言える話ですが、練習でもたまに一本取られることもあって正直“怖いな”って思っていた部分もあったので、対面したときにいざそれが出ないように、ポーカーフェイスしながら戦ってたつもりだったんですけど……、試合になっちゃえば試合は試合なんで、相手が誰だろうと変わらないかな、というのは正直な感想です」 ――憧れていた所選手との試合を終えたばかりですが、今後の展望・目標を教えてください。 「まず僕がこのMMAで活躍するにあたって、一番大事なことは“自分の柔術を忘れずに極めで勝っていく”っていうスタイル。これを貫いていきたいと思います、今後も」 ――この試合が決まってから、準備を経て、実際にレジェンドとリングで触れ合って何を一番強く感じていますか。 「今一番強く感じることは、僕が今日フィニッシュしたアナコンダチョークなんですけど、僕が中学生の時に柔道をやっていて、その柔道で使える絞め技として親父が教えてくれたチョークでもあって。それを僕はずーっと使い続けてきていて、今となってはすごい自分の武器にもなってるし、なんかそれでフィニッシュできたっていうのが、一番嬉しいかなって思います」 ――お父さんとは話しました? 「はい、すぐに。『これ、誰が教えてやったんだよ?』って、すぐ言われました。『お前だよー』と言ってやりました(笑)」 ――試合後、所選手と何か会話はされましたか。 「はい、しました。『もう任せた』って言ってくれたんで、その言葉にすごいジーンときたんですけど『いやいやいや!』って言って。『またロータス(世田谷)で練習お願いします!』と行って。『いやこちらこそ』みたいな感じで、お話しさせていただいたんですけど。そんな感じです」 ――盟友の相本宗輝選手が交通事故で欠場となって、その相本選手の思いも背負うところもありましたか。 「表には出さなかったんですけど、すっごいありましたね、やっぱ心の中では、アイツの分まで……俺が勝って、アイツが全部報われるっていうかこうすっきりするわけはないんですけど、どこか悔しい気持ちをちょっとでも俺が背負ってあげて、しっかり勝って、いい背中を見せられたら……じゃないですけど、僕の活躍を見て、さらにやる気になってもらえたら、僕は嬉しいですね」 ――回復されたら次こそは一緒に? 「次こそは一緒に出たいですね。まあ、こんなところで辞める人じゃないし、こんなところで挫折して終わるような人でもないと思ってて。根性あるんで、絶対戻ってくると思うんで、それをみんなにも楽しみにしててもらいたいですね」 ――パスガードを狙って、スプロールしたところにアナコンダチョークを合わせましたが、もともとは普通にパスガードして抑え込みを狙っていたのでしょうか。 「はい。あの形はすごく僕、すごい得意な形で。パスガードに行く瞬間って相手が亀になるか、もしくは手でフレーム張って、足を戻して、ガードを戻してくるかの多分2択くらいにはなると思うんですけど。所選手は亀になられて、こっちに向かってきたので、ちょうどアナコンダのセットが上手く入ったっていうような感じですね。まあ僕の狙いとしては、どっちでもよかったです。それは、どっちの選択肢もあったんで、まあ、どっちが来ても大丈夫なようにはなってたつもりだったんで。それがうまくハマったかな、とは思います」 ――ちなみに足を戻してきた場合はどういう狙いですか。 「足を戻してきた場合は、再度同じプレッシャーをかけて、またパスのプレッシャーでパスガードに行くか、相手が亀になるのを待つ。足を戻してきて、また再度のプレッシャーかけられると、相手ももう1回戻そうというよりかは多分亀になってくるような感じがするので、まあそんな感じで狙ってたのかなと思います。  まあでも、僕が注目してほしかったというか、アナコンダチョークのセットももちろん自分のなかでも良かったし、すごいハマった感じはあるんですけど、あの、蹴り上げを注意した僕の立ち位置が、自分のなかではすごく良かったと思っていて。正面で行くと蹴られちゃうから、横で、相手と半身で横に向いて詰めていくっていう。あれを自分のYouTubeでも解説してて、技術解説みたいな感じで、HOW TOみたいな感じでやってるんですけど、そのHOW TOがうまくハマったんで、そのYouTubeをみんなに見てもらいたいなと思います。『ああ、これやってたんだコイツ!』みたいな。僕のYouTubeに出ているのでちょっと見てみてください」 ――所選手は、試合後インタビューで「あと2試合で引退と前から言ってけれど、ちょっと今回のような負け方だとどうしようか考える」と。それを聞いて思うことはありますか。 「いや、僕はもう1試合やってほしいです。もうその1試合もしやるってなったら、僕は全力で協力するし練習にも付き合うし。何でも言ってくださいって感じなんで。僕はもう1試合見たいです、ファンとして。はい」 ――所選手に試合前にお話を聞いた際に鹿志村選手のお父さんが所選手のファンであるという話題のなかで所選手が、「試合後に鹿志村選手のお父さんと飲みに行きたい」と話していたのですが、それを聞いていかがですか。 「へー! 行きましょう、僕も混ぜてください(笑)] [nextpage] 所英男「今回でもうガチンコ、ラストかな? って心の中で思ってたけど──」 ──試合を終えた率直な感想をお聞かせください。 「いやー、何も試合という試合をさせてもらえなかったというか。もう、何もできなかったなあって。鹿志村さん、強かったなあっていうのと、自分ダメだったなっていうのと……、な感じです。はい」 ──「何もできなかった」のは、ご自身どういったところだと振り返って思っているのか教えていただけますか? 「(コーナーの)金原(正徳)さんと勝村(周一朗)さんに言われたのはまあ、『ちょっと硬かった』っていうその間でもう終わっちゃってたっていう感じです。はい」 ──練習したことのある鹿志村選手を相手に、実際に試合で手合わせをしてみて戦った印象を時間は短かったですが、教えてください。 「もう強いのは分かってたし、あの形も強いのは分かってたんで“ああ、やっぱ強いなあ”っていうのと、まあ“いい男だな”っていうのをすごい感じました。なんか、リスペクトをしてくれててありがたいなと思いました」 ──皆さん気にしているのが、進退についてだと思います。今後について現状どう考えているのか教えていただけますか。 「正直、今回3R、金原さんみたいな試合が出来たら、もうまあ十分やった、満足だって思いたかって、もう、『あと2試合』って言ってたんですけど、まあ今回でもうガチンコ、ラストかな? って心の中で思ったんですけど、ちょっとなんか思ってたのと違って。“ああ、どうしようかな?”っていう感じです」 ──まだ考え中ですか。 「そうですね、まあ、もうちょっとまあ、あの、考える時間は自分、どんだけでもあるんで。まあゆっくり考えて。そうっスね。信頼できる人たちが近くにいるんで、その人たちと考えたいと思います、はい」 ──鹿志村選手とは一緒に練習している間柄。ああいう展開になったことは過去にありましたか。 「あ、もう何回もあります、うん、で、僕もあそこで立っていくと、起きると(首系の技を)食らうのは分かってるんで。頭ん中入れたし。そういうイメージで練習もしてたんですけど。なんかもうあの、ラウドラックって言うんですかね、あれが嫌だったので、なんか起き上がっていっちゃったスかね。で、まあああ。まだ不完全だったような感じだったですけど。もうちょっと気がついたら意識は無ったです」 ──完全に失神を? 「そうですね。起きたら足つってて、痛いなあと思ってたら勝村さんがいて、なんか“あれ? 何やってたんだろう?”って感じでした」 ──失神負けっていうのは、キャリアの中では初めてですか? 「ああ。まあ……もう、何度もあります」 ──今後に向けてっていうのは、またちょっとお時間があるということでしたけれども、まあ、今年の大晦日はあの所選手の地元岐阜に近いナゴヤドーム(正式名称バンテリンドーム ナゴヤ)での開催なので、まあここを期待しているファンも多いと思うんですけれども、まだそこまでは考えられない状況ですか? 「まあ、なかなかその出たいなって言える内容じゃないし。まあ名古屋ドーム行きたいですけど。なかなかこのRIZINっていう舞台はやっぱ難しいと思います。でも、そうですね。まあナゴヤドーム行きたいっスね」 ──本音では出たいと? 「けど、まあ、はい」 ──鹿志村選手は試合後、何か会話されましたか? 「いやもう本当に……、そうっすね。なんか本当に自分なんかにリスペクトの気持ちを持ってくれて話してくれて。リングでも、だってあんな、手を挙げてもらってとか。あんな、びっくりしましたね。なんか、ああ、もう……。でも本当に。もうそうっスね、完敗です。もう本当に鹿志村さん、強かったです」 ──これじゃ、このまま簡単にはやめられないなみたいな気持ちも若干出てきたっていう感じもあるんですかね。 「だからそうですね。そのまあ、思ってたことができないのがもう現実なんですけど……そうっスね……勝村さんとも話しましたけど、ちょっと。ここで、ちょっと考えます。あの、ちょっと、はい」 ──今は誰とやりたい、というよりか、出し切りたいっていうのが強いですかね。 「そうですね。もう、出し切りたいっす。出し切りたかった。まあでも“そうさせてもらえないのが試合”なんで。はい。悔しいです」
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