ムエタイ
レポート

【ONE FF】武尊がダウン喫するも逆転KO!ロッタンとバチバチのフェイスオフ、秋元皓貴がダウンを奪われ追い上げならず判定負け、小笠原瑛作が痛恨のダウン喫し判定負け、日本の先鋒・陽勇が判定勝ち、メインはスーパーボンが103秒ヒジ打ちKO、注目の一戦はアナンがウーに圧勝、サムエーが豪快KO、スアキムがダウン応酬の激闘制す

2024/09/27 21:09
ONE Friday Fights 812024年9月27日(金)タイ・ルンピニースタジアム※U-NEXTにてLIVE配信 ▼メインイベント(第12試合)フェザー級(-70kg)ムエタイ 3分3R〇スーパーボン(タイ/暫定フェザー級キックボクシング世界王者)[1R 1分43秒 KO]※右縦ヒジדスモーキン”ジョー・ナタウット(タイ)  スーパーボンはブアカーオの元で腕を磨き、2021年10月のONEフェザー級キックボクシング王座決定戦でジョルジオ・ペトロシアンに右ハイキックによるKO勝利で戴冠。2022年3月の『ONE:X』ではマラット・グレゴリアンを判定で完封し、初防衛にも成功した。  2023年1月、チンギス・アラゾフに2R KO負けで王座陥落。12月にはONEフェザー級ムエタイ世界王者タワンチャイに挑戦も判定負けで王座奪取ならず。しかし、2024年4月にマラット・グレゴリアンから判定勝ちし、フェザー級キックボクシング暫定王者となった。戦績は115勝(28KO)36敗。  ナタウットは10歳でムエタイを始め、2013年にはアメリカへ渡って試合を行い、ラスベガスを拠点とする『LION FIGHT』で2階級を制覇。2018年4月にONEに参戦すると、ジョルジオ・ペトロシアン(2敗)、チンギス・アラゾフ、ジャマル・エスポフと強豪に敗れたが、2023年10月にスーパーボンの代打としてタワンチャイと対戦。判定で敗れるも右ストレートと右ローでタワンチャイを苦しめた。  2023年12月にルーク・リッシに判定勝ちして連敗を脱出し、2024年6月にタワンチャイとONEフェザー級ムエタイ世界タイトルマッチで再戦。またもタワンチャイを苦しめ、判定2-0で敗れたが観客はタワンチャイにブーイングを浴びせた。  1R、ジャブのように左ハイを蹴るスーパーボンに、ナタウットは左ボディストレート。スーパーボンの蹴り終わりにボディを打つナタウット。右ボディから左フックを打ったナタウットに、スーパーボンは入り込んで右の縦ヒジをアゴにヒットさせてナタウットをダウンさせる。  バッタリと倒れたナタウットはなかなか起き上がれず、スーパーボンの見事なKO勝ちとなった。接戦になるかと思われた実力者対決を制したスーパーボンは「相手はパンチが上手いからヒジで倒す作戦だった」と明かし、次の対戦相手にタワンチャイを指名した。 [nextpage] ▼コー・メイン(第11試合)バンタム級 ムエタイ 3分3R×ノンオ―・ハマ(タイ)[判定0-3]〇カムラン・ナバティ(ロシア)  ノンオーは37歳で266勝56敗10分の驚異的な戦歴を誇り、ルンピニースタジアムでスーパーバンタム級からライト級まで四階級制覇、ラジャダムナンスタジアムのベルトも獲得している、まさにムエタイの伝説的存在だ。2019年2月にONEムエタイ世界バンタム級王者となり、鈴木博昭、セーマペッチ、ロードレック、リアム・ハリソンらを相手に7度の防衛に成功して絶対王者と呼ばれていたが、2023年4月の8度目の防衛戦でジョナサン・ハガティーにKOで敗れ王座陥落。12月にはニコ・カリロにもKO負けしてまさかの連敗を喫したが、2024年4月にクラップダムを技術で封じ込めて判定勝ちの再起。  ナバティはアマチュアムエタイのIFMA世界選手権や欧州選手権で金メダルを獲得し、ロシア・ムエタイカップでは5度優勝。『RCCフェアファイト』を主戦場として同団体のフェザー級トーナメントで優勝。同タイトルは2度の防衛に成功した。2023年9月の『ONE Friday Fights 35』に初参戦するとポンシリ・PK・センチャイに判定勝利。2024年3月の2戦目もアバター・PK・センチャイにTKO勝ち、6月にはONEで6戦全勝だったスーブラックを左フックで初回KOした。戦績は21勝(8KO)無敗。  1R、左右フックで前に出るナバティにノンオーはロープを背負って左ミドル。その左ミドルをキャッチして前へ出るとフックを見舞うナバティ。右フックでガードを上げさせると左ボディを強打するナバティに、ノンオーは右ローを蹴る。ナバティのコンビネーションパンチにはノンオーが左ミドルで対抗。ゴング直前、ナバティの左フックがヒットしてノンオーがフラついた。  2Rも左右フックで前へ出るナバティは、ノンオーに左ミドルを蹴られると左右ボディ。前後にステップを踏んで素早く動くナバティは蹴り足をキャッチすると左フック。ナバティは動いて的を絞らせず、ノンオーは蹴るタイミングがなかなかつかめないようだ。左ミドルを蹴っても必ずナバティがパンチを返す。ノンオーはつかめる数少ないチャンスでヒジを出すが、すぐにナバティが離れるため当たらない。  3R、ナバティがパンチで前へ出ていく。ジャブから右ロー、左フックを打ってすぐに離れる。左ミドルを蹴るノンオーだがナバティは手数を出してパンチを当てに行く。ナバティのワンツーにアゴが上がるノンオー。ナバティのパンチにサムエーは胴に手をまわしての投げを見舞う。  判定3-0でナバティがノンオーを破り、22戦全勝となった。 [nextpage] ▼第10試合 バンタム級ムエタイ 3分3R〇ナビル・アナン(アルジェリア/タイ)[判定3-0]×ソー・リン・ウー(ミャンマー)  アナンはテコンドー、空手(いずれも黒帯)を経てムエタイを始め、パタヤの地方スタジアムで経験を積んで2017年からルンピニーとラジャダムナンのメジャースタジアムに進出。2022年5月にはWBCムエタイ世界フェザー級王座に就いた。RWS出場を経て、2023年6月にONE初出場にしてスーパーレックと対戦したが初回KOで敗れている。  しかし、9月にはナックロップを右クロスでKO、12月には元ルンピニースタジアム認定ライトフライ級王者の“エルボーゾンビ”ことムアンタイを判定で破り、2024年7月にはクラップダムをヒザ蹴りでKOしてみせた。8月には本戦出場でフェリペ・ロボにも判定勝ちで4連勝の快進撃。また、2020年8月にはラウェイにも挑戦して勝利している。192㎝という規格外の長身で、戦績は36勝5敗1分。  ウーはラウェイの選手で2010年ゴールデンベルト60kg級王者。驚異的な打たれ強さから“マン・オブ・スティール”“アイアンマン”というニックネームが付けられた。2019年12月にはラウェイの試合でパコーンを頭突きでKOしている。ラウェイ戦績は71勝(68KO)3敗52分。ONEには2024年2月に初参戦すると津橋雅祥にTKO勝ち、3月にファビオ・レイスにも左ストレートでKO勝ち、7月にはルンピニー2階級制覇のポンシリをもKOして3連勝中。  1R、前に出るのはウー。アナンは軽々と右ハイを蹴る。長いジャブを突くアナンは右ローも。アナンが左ハイをヒットさせると、ウーは組みつく。さらに左手で後頭部を抑えながらの左ヒザを突き上げるアナン。長いジャブにウーはなかなか入れない。上から振り下ろすヒジ、天を突くヒザとアナンの一方的なペース。アナンの左ボディが突き刺さると、ウーは苦痛に顔を歪める。  2R、アナンはさっそくヒザ、ヒジ。右ヒザを上げながら前へ出てアッパーも打つアナンは、ウーが前へ来ると左右のヒジを横に振る。ヒジ、つかむとヒザ。離れるとジャブ。アナンのヒザが何度も顔面を捉え、さらに左ボディも突き刺す。ジャブからすぐにヒザが上がってくるため、ウーは全く近付けない。  3Rはアナンが左ミドル、前蹴りと蹴りを多用。顔面への前蹴り、左ハイでウーを翻弄し、ヒザも突き刺す。ジャブ、左ミドルでウーを近づけさせないアナンはヒザを突き刺して左ハイ。面白いように左ミドルとジャブ、前蹴り、ヒザを当てていくアナン。最後まで前へ出ていったウーだが、ほとんど攻撃を当てることが出来ずアナンの完封勝利となった。 [nextpage] ▼第9試合 バンタム級ムエタイ 3分3R×スーブラック・トー・プラン49(タイ)[3R 0分55秒 KO]※左フック〇クラップダム・ソー・チョー・ピャッウータイ(タイ)  スーブラックは2023年6月の『ONE Friday Fights 20』で初参戦。タンヌンウンに2RでKO勝ちすると、8月にイタリアのレニー・ブラジに3RでTKO勝ち、9月に鈴木真治にKO勝ち、12月にクレイグ・コークレイにKO勝ちと4連続KO勝ち&3連続ボーナスの激闘男で人気がある。2024年1月にFight Nightで本戦初登場するとステファン・コロディに判定勝ち、4月にはウラジーミル・クズミンにも判定勝ちとONEでの戦績は6戦全勝(4KO)だったが、6月にカムラン・ナバティに初回KO負けで初黒星。戦績は60勝19敗。  クラップダムはサウスポーのファイタータイプで、左ストレートを決め技とする元ルンピニースタジアム認定ライト級&スーパーライト級2階級制覇王者。2018年にはプロムエタイ協会ライト級王者の肩書を引っ提げて初来日。REBELSのリングで梅野源治とルンピニースタジアム認定ライト級王座決定戦を争い、4Rに強打で梅野を2度ダウンさせてのTKO勝利を収め、日本のムエタイファンにも強烈なインパクトを残した。  ONEには2019年9月から参戦し、2020年のONEバンタム級ムエタイトーナメントでは決勝へ進出したが、ロードレックに敗れた。2021年は1勝2敗、2022年は2勝3敗、2023年は4勝(3KO)1敗1無効試合。KO狙いのアグレッシブなスタイルはタイで人気を博している。前戦は7月にナビル・アナンにKO負けを喫し、ノンオー戦に続く連敗となった。戦績は70勝20敗5分。  1R、サウスポー同士。まずはローを蹴り合う中、クラップダムが左ボディストレートを突き刺す。前に出るクラップダムに下がるスーブラックにはレフェリーから注意が与えられる。クラップダムは飛び込んでの左フック。スーブラックは首相撲というよりはクラップダムの頭を抱えてパンチを防ぐ。クラップダムは後ろ蹴りを空振りし続けたが、最後は左ヒジを当てた。  2R、スーブラックの右ミドルをキャッチしたクラップダムが左ボディストレート。クラップダムは後ろ蹴りから左の飛び込みヒジ。両者ともあまり手が出ない中、スーブラックは左ローを蹴っていく。クラップダムは飛びヒザも出していくがかみ合わない展開が続く。  3R、クラップダムがワンツーから入っていくとクラップダムは胴タックルのように組みついてテイクダウン。このラウンドはクラップダムが一気にパンチで攻め込んでいき、左フックを連発してスーブラックを追い込む。そしてジャブから狙いすました左フックの一撃。スープラックは右ヒジを合わせようとしたがクラップダムの左フックの方が速く、クラップダムらしい一撃KO勝ちとなった。  クラップダムにも35万バーツのボーナスが贈られた。 [nextpage] ▼第8試合 ストロー級ムエタイ 3分3R〇サムエー・ガイヤーンハーダオ(タイ)[1R 1分22秒 KO]×アクラム・ハミディ(アルジェリア)  サムエーはルンピニースタジアム認定スーパーバンタム級とスーパーフライ級の2階級、プロムエタイ協会ではスーパーバンタム級・スーパーフライ級・フェザー級の3階級を制覇。2011年にはルンピニー・ファイター・オブ・ザ・イヤーとスポーツライターズ・フレンズ・ファイター・オブ・ザ・イヤーの両方を受賞しているムエタイレジェンド。  2018年1月にONE最初のムエタイの試合を戦ったサムエーは、ONEフライ級ムエタイ世界王者にもなったが、2019年5月にジョナサン・ハガティに判定負け後、10月にストロー級転向。12月にはワン・ジュングァンに判定勝ちし、新設されたONEキックボクシング世界ストロー級王者となった。  さらに2020年2月、ロッキー・オグデンを破りムエタイ世界同級王座も獲得して二冠王に。2020年10月にはジョシュ・トナーに2RでTKO勝ちし、初防衛に成功するも、2021年7月にプラジャンチャイに敗れて王座を失った。2023年6月の再戦でもプラジャンチャイにKO負け。戦績は373勝49敗9分。  ハミディはWKN世界K-1フライ級 -54.9kg王座やISKA世界フライ級(-53.5 kg)K-1ルール王座などを獲得。来日経験のあるサンベル・ババヤンやフレッド・コルデイロに勝利しており、2018年9月にはK-1に初来日したが武井由樹に1RでTKO負けしている。ONEには2023年6月から参戦し、1勝1敗。フランスでの3連勝を経て2024年6月の『ONE Friday Fights 66』で元ラジャダムナンスタジアム王者ゴンチャイにパンチの連打で初回KO勝ちした。戦績は50勝5敗1分。  1R、サウスポーのサムエーは左ミドル、ハミディは右インローを蹴ってワンツー、ワンツーを打って右インロー。サムエーは左ボディストレートを打ち、左ミドルを蹴る。ハミディが左右を連打してきたところへ狙いすました左ストレートでダウンを奪う。  立ち上がり、試合が再開した瞬間にサムエーが左ストレートを直撃。ハミディは直立したまま倒れ、レフェリーが即座に試合をストップした。サムエーにはこの日、初の35万バーツのボーナスが贈られた。 [nextpage] ▼第7試合 フェザー級ムエタイ 3分3R〇シャドウ・シンハ・マウイン(タイ)[判定3-0]×モハメド・シアサラニ(イラン)  1Rは両者様子見のようなラウンドに。2R、前へ出るサウスポーのシアサラニは1Rと同じく蹴り足をキャッチして攻撃しようとするが、有効な攻撃は出ない。シャドウは右ストレート、右ミドル。両者見合って前手を出し合い、かなり近い距離でパンチを打ち合い、組んでヒザを蹴る。  そこでシャドウが左ボディを叩き込み、ダウンを奪う。立ち上がるも組んでくるシアサラニにシャドウはヒザ蹴りを連発。苦しそうな顔を見せるシアサラニ。  3R、左右フックを放つシアサラニにシャドウは左右フックからヒジの猛攻でシアサラニをコーナーへ釘付け。さらに首相撲からのヒザ、ヒジ。右ボディからの左ヒジと一方的に攻める。ブロックして耐えるシアサラニにアッパーを突き上げるシャドウ。ロープへ釘付けにしてアッパー、ヒジ、ヒザ。逃げようと下がるシアサラニを追っていき、さらにヒジとヒザで攻めまくるシャドウ。右フックと左フックに大きく揺れるシアサラニだが、最後まで耐え抜いた。  判定3-0でシャドウがタフファイトを制した。 [nextpage] ▼第6試合 キャッチウェイト(-63.5kg契約)ムエタイ 3分3R〇スアキム・ソー・ジョー・トンプラジン(タイ)[判定2-1]×オーティス・ワグホーン(英国)  スアキムはルンピニースタジアムのバンタム級、スーパーバンタム級、スーパーフェザー級の三階級制覇王者で、2018年2月の『KNOCK OUT』に初来日。那須川天心への最強の刺客として大きな話題を呼んだが、那須川に5R判定負け。2019年7月には『RISE』で那須川と再戦したが、胴廻し回転蹴りで目尻を切り裂かれて流血、3R1分25秒、TKOで敗れている。  その後、RISEでニキータ・セブンを一蹴、ルンキットとの再戦でリベンジし、スーパーレックには判定負け。2019年12月に日本の『BOM』でチャンヒョン・リーにTKO勝ちし、BOMスーパーライト級王者になった。しかし、2020年4月に突然の引退宣言。2023年7月、ONEで現役復帰を果たすもキリル・ホムトフにKO負け。9月にサマン・アシュリをKOして再起を果たすも2024年1月にはアレクセイ・バリカにKO負けを喫した。4月のデニス・デミルカプ戦では劣勢からの逆転KOに成功した。  ワグホーンは22歳の新鋭で、WKO世界王座、ISKAインターナショナル王座、WBCナショナル王座などを保持し、7戦無敗で2024年6月の『ONE Friday Fights 67』に初参戦。1Rにコンクライに2度のダウンを奪われながらも3R右フックで大逆転KO勝ちで初陣を飾った。  1R、長身で手足が長いワグホーンは前後にステップを踏み、前蹴りでスアキムを吹っ飛ばす。スアキムは右ロー、ワグホーンは左ミドル。スイッチも見せるワグホーンはサイドキックを放つ。左右フックを打つスアキムだがワグホーンはしっかりブロック、首相撲からのヒザに持ち込む。スアキムがローを蹴るとワグホーンは打ち下ろしの右フック。ワグホーンが不用意に右ヒジを打ち下ろそうとしたところへ、スアキムが左フックのカウンターを合わせてダウンを奪った。  2R、スアキムが右ロー、ワグホーンが右ミドルを蹴ってくるとキャッチしてヒザを蹴る。前に出るスアキムがワンツーを打ったところへ、ワグホーンが右ヒジをカウンターで見舞いダウンを奪い返す。前に出るワグホーンが右ロー、右フックでスアキムをロープ際へ吹っ飛ばす。回転ヒジ打ちも見せるワグホーン。じりじりと前へ出るスアキムが左ローを蹴るとワグホーンは右フックを合わせる。ワグホーンが右フックを空振りしたところにはスアキムが右ヒジをヒットさせ、これでスアキムが前へ出てヒジを狙っていき、右ヒジの相打ちでスアキムが縦ヒジでダウンを奪い返す。  3R、思い切って前へ入るスアキムが左右フックもワグホーンの右フックをもらう。それでも前へ出るスアキムは左右フックとヒジ。スアキムも相打ち覚悟で右ヒジを打って行き、コーナーに詰まったワグホーンに右ヒジを見舞う。ワグホーンも回転ヒジ。スアキムは最後まで前へ出て左右フックを打ってワグホーンにロープを背負わせた。  判定は2-1で2度のダウンを奪ったスアキムが勝利、ワグホーンに初黒星を付けた。 [nextpage] ▼第5試合 キャッチウェイト(-60.32kg)ムエタイ 3分3R〇ジャオスアヤイ・モー・クルンテープトンブリー(タイ)[判定3-0]×スリヤンレック・ポー・イェンイン(タイ)  ジャオスアヤイはタイ国BBTVスタジアム・フェザー級8位として、2019年11月の「第3代K-1フェザー級王座決定トーナメント」に初来日。1回戦で安保璃紅を必殺の飛びヒザ蹴りでKO、準決勝でも卜部弘嵩との延長戦に及ぶ激闘の末に勝利。決勝こそ江川優生の左ボディに沈んだものの、鮮烈なインパクトを残した。2020年3月『K'FESTA.3』で小澤海斗からも勝利を収めている。2022年8月の「K-1 WORLD GP 2022 K-1フェザー級世界最強決定トーナメント」では1回戦で玖村修平にKO負けを喫した。 『ONE Friday Fights』には2023年6月から参戦し、初戦のペットスクンビットには初回KO勝ちも、8月の2戦目ではコンスック・フェアテックスに判定負けを喫している。11月にはパイダンをKO、12月はラジャのスーパーフェザー級王者ペットスクンビットから判定勝利を収めた。2024年4月はゴントーラニーに判定負けしたが、5月にプンルアンを左フックで初回KOに仕留めた。戦績は79勝(28KO)39敗2分。  スリヤンレックはラジャダムナンとルンピニーの2大殿堂でランキングに名を連ねたほか、タイのテレビマッチである『ワンソンチャイ』フェザー級王者の肩書を持つ。パンチを得意とするハードパンチャーで、激闘派ファイターとして名を馳せ、2019年12月のK-1名古屋大会に初来日。  当時K-1スーパー・バンタム級王者の武居由樹と対戦。合計3度のダウンを奪われて判定で敗れるも、そのたびに立ち上がって武居に反撃。3R終盤には猛反撃に出て武居をヒヤリとさせた。2020年2月にも再来日したが、軍司泰斗に判定で敗れている。ONEには2023年7月の『ONE Friday Fights 25』から参戦し、2024年6月のポンペット戦での初回TKO勝ちまで5勝2敗。  3R、スリヤンレックが左右フックとヒジの猛攻で前へ出て、ロープを背負うジャオスアヤイはそれに耐える。それでも左ハイキック、左フックを返すジャオスアヤイ。逃げるスリヤンレックを走って追いかけ、左右フックを見舞うジャオスアヤイ。スリヤンレックは突き飛ばしてこのピンチを凌ぐ。終了のゴングが鳴ると、両者は正座してお互いを称え合う。  大激闘を制したのはジャオスアヤイとなった。 [nextpage] ▼第4試合 フライ級(-61.2kg)キックボクシング 3分3R〇武尊(team VASILEUS/K-1三階級制覇)[2R 2分47秒 KO]※左フック×タン・ジン(ミャンマー) 武尊は2011年9月にKrushでプロデビュー。2013年の「Krushフェザー級初代王座決定トーナメント」で優勝して王座に就くと、2015年にK-1初代スーパー・バンタム級王座、2016年にK-1初代フェザー級王座、2018年にK-1第4代スーパー・フェザー級王座をそれぞれトーナメントで優勝してK-1史上初の3階級制覇を達成した。 2022年6月、那須川天心に判定負けも2023年6月にフランスでベイリー・サグデンをKOしISKA K-1ルール世界ライト級王座を獲得して復活。2024年1月、ONE初参戦でキックボクシング世界フライ級王者スーパーレックに挑戦したが、判定3-0で敗れている。戦績は41勝(25KO)3敗。  ジンはラウェイの戦士でまだ19歳。『ONE Friday Fights』には2024年2月から出場し、ジャイシン・シットナヨックパンサック(タイ)に鮮やかな左フックのカウンターで2R TKO勝ち。8月にはタイ・ソー・チョー・ピャッウータイ(タイ)もボディへの猛攻で1R1分14秒、マットに沈めている。2試合ともオープンフィンガーグローブ着用のムエタイルールで、キックボクシングルールはONEでは初。  まるでホームのような大歓声に迎えられた武尊。1R、ジンが右ローで先制。武尊も右ローを返すとジンは右ローを蹴り返す。右カーフを2発蹴る武尊にジンは煽ってから右ストレートを打つ。左フックをもらう武尊。右カーフを蹴られると雄叫びを上げて前へ出て攻撃するジン。武尊は冷静にジャブを突いての右カーフ。何度も右カーフが当たり、足が足が流れるジン。しかし、ジンがワンツーを出しながら前へ出て、武尊が真っ直ぐ下がったところに左フックをもらってダウン。立ち上がった武尊は左三日月を蹴り、これをジンが嫌がる素振りを見せた。  リングサイドにはロッタンの姿。2R、武尊は左三日月と右カーフ。ジャブも突くがジンのワンツーに真っ直ぐ下がってしまう。武尊が右カーフを蹴るとすぐにワンツーで前へ出るジン。武尊の左フックをもらったジンが下がり、そこへ武尊が左右フックとヒザで畳みかける。さらに前蹴り。右ミドル、右フック、前蹴り、右カーフ、ヒザと武尊の攻撃が次々とヒットするが、タフなジンは倒れない。しかし、武尊の左前蹴りが突き刺さり、ついにジンがうずくまるようにダウン。  左前蹴りから左右ボディ、ヒザを突き刺す武尊。ジンも左フックを返すが、武尊が右フックから左フックを打つとジンが力尽きるようにダウン。武尊の逆転KO勝ちに。ロッタンも立ち上がって笑顔で拍手を送る。武尊は勝利の儀式、コーナー最上段からのムーンサルト。  武尊は「応援ありがとうございました。1R(のダウンは)フラッシュ気味だったのでダメージはそこまでなかったですけど、怪我明けの試合で足を心配しすぎた感じです。でもこれから修正するので大丈夫です。思ったよりパンチがあったので作戦は2Rで変えました」と勝利者インタビューに答える。  するとロッタンがリングに上がり、武尊と握手。武尊は「ロッタン、アイム・レディー。レッツファイト」と言うと、武尊は頭がぶつかるほどのフェイスオフ。ロッタンが突き飛ばし、両者にらみ合いに。続いてロッタンが「今日の戦いは簡単すぎた。でも俺は簡単じゃないぞ」とマイクで話し、2人は再び額と額を押し付け合ってのフェイスオフ。ルンピニースタジアムは大歓声に包まれた。両者が激突するのはいつの日か? [nextpage] ▼第3試合 バンタム級(-65.8kg)キックボクシング 3分3R×秋元皓貴(EVOLVE MMA/元ONEバンタム級世界王者)[判定0-3]〇イリアス・エナッシ(モロッコ/オランダ/元ONEフライ級世界王者)  秋元は、ジャン・チェンロン、チュー・ジェンリャンら中国の強豪のほかカピタン・ペッティンディーアカデミーに勝利するなど5連勝も、2022年11月のペッタノン・ペットファーガス戦でスプリット判定負け。しかし、試合後ペッタノンに禁止薬物の陽性反応が認められたため、ペッタノンの王座は剥奪となっている。2024年5月、約1年半ぶりの試合となったウェイ・ルイ戦で判定負けもそのジャッジが物議をかもした。  エナッシは11歳でキックボクシングを始め、ジュニアからプロへ。2014年11月に18歳で来日し、森井洋介と対戦するも1RでKO負け。2016年5月にEnfusion -60kg世界王者となり、同年11月の再来日では町田光から2度のダウンを奪って勝利し、BLADE 61kg世界王者となっている。2018年にはWFL -63kgトーナメント優勝。  2019年8月にONEへ初参戦を果たすと、ペッダム・ペッティンディー・アカデミーを3RでKOし、ONE Super Seriesキックボクシング世界フライ級王者となった。同年11月にはワン・ウェンフェン、2021年2月にはスーパーレックの挑戦を退けて3度の防衛に成功したが、2023年1月に体重超過で王座をはく奪された。2023年2月、約2年ぶりの試合でバンタム級に階級を上げてアリアスガー・ゴドラティサラスカンに左フックでKO勝ち。なんと7年間負け無し。  1R、前へ出るのは秋元で左フックから右ハイ。エナッシは左フックからの左ボディ。右カーフを蹴るエナッシに秋元は左フック。エナッシは左ボディを打ってから蹴りにつないでくる。ジャブを打つエナッシに秋元が左フックを打とうとしたところへエナッシが左フックをヒットさせる。左ボディと左フックを使い分けるエナッシは、1R終了直前に右ボディからの左フックでダウンを奪う。秋元がフラつきながらも立ち上がったところでゴング。  2R、前に出る秋元が左ミドルを蹴ると、エナッシは左ボディ。さらに左ボディから左ハイキック。秋元も左ミドルを当てていくが、エナッシは左ボディからの左ハイを何度も繰り出す。秋元が左フックを打つと左フックを合わせに来るエナッシ。前に出て左ミドルを蹴る秋元を嫌がり、エナッシは前蹴り、クリンチを連発。前半はヒットを奪っていたエナッシは後半ほとんど手が出なかった。  3R、秋元が入ってくるとクリンチに持ち込むエナッシ。秋元の左右ミドルにエナッシは右ストレート、左フックを打ち返してくる。秋元の左ミドルにはエナッシが左ボディ。試合前半に比べると手数がガクッと減り、パンチの打ち方も雑になったエナッシ。それでも秋元の一方的なペースにはさせず、パンチを打ち返していく。  判定は3-0でエナッシが勝利。秋元の追い上げは届かなかった。 [nextpage] ▼第2試合 キャッチウェイト(59.87kg)ムエタイ 3分3R×小笠原瑛作(クロスポイント吉祥寺/KNOCK OUT-REDフェザー級王者)[判定0-3]〇リッティデット・ソー・ソンマイ(タイ)  小笠原はジュニアキックで活躍後、2011年7月にプロデビュー。2013年5月にプロ9戦目でREBELS-MUAYTHAIフライ級王座を獲得したのを皮切りに、REBELS52.5kg級王座、ISKA K-1ルール世界バンタム級王座、KNOCK OUT-REDスーパーバンタム級王座、同フェザー級王座を次々と獲得。2023年3月には2022年ムエタイMVPでルンピニースタジアム3階級制覇を達成しているロンナチャイをダウン寸前まで追い込む完勝を収めた。  8月に『ONE Friday Fights』に初参戦するとヨッドウィッタヤに31秒でKO勝ちしたが、11月のOFGマッチでウィンに延長戦で敗れ、12月のONEでもチョーファーにKO負けと連敗。しかし2024年4月にソーンスックノーイを判定で破り、ONEで2勝目をあげた。6月はONEに出場しているデーングリアングライに圧勝。サウスポーから放たれる左ストレート、左ミドルキックが得意。戦績は45勝(22KO)8敗1分。  リッティデットは2023年3月の『ONE Friday Fights 7』からONEに参戦すると、5戦目まで3勝2敗で決着は勝っても負けても全てKOという激闘男。2024年4月の6戦目でスリヤンレックに初の判定決着で敗れている。多彩な蹴り技を武器としており、かなり手強い相手が用意された。  1R、小笠原の左ローからスタート。右へ回り込みながら左ミドルと左ローを蹴り分ける小笠原にリッティデットは右ミドルと右カーフ。前蹴りから近付いて左ヒジを打つリッティデット。前蹴りやミドルを蹴ったかと思うとそれをフェイントにしてパンチを打つ。右ミドルを上手く当てていくリッティデットに小笠原は左フック。リッティデットの強烈な右ミドルが快音を発して決まる。小笠原は左目上から出血。  2R、小笠原の左ローとリッティデットの右ローの蹴り合い。リッティデットは小笠原の蹴り足をキャッチしてコカす。前に出る小笠原に右ミドルを巧みに当てていくリッティデット。小笠原は左ローから右ボディ、右フック。徹底して右ミドルを蹴るリッティデットに小笠原はなかなか近付けないが、右ボディは当たっている。  打ち合いを避けてパンチの距離になると走るように遠ざかるリッティデット。そこへ小笠原が近付くところへ右ハイキック。小笠原はスウェーでかわそうとしたがかわしきれずにもらってしまい、小笠原がダウン。立ち上がった小笠原はパンチとヒジで逆襲。  3R、前へ出る小笠原が思い切ってパンチを放っていき、リッティデットは打ち合いを避けるが近距離になるとヒジを打ち、コカしにいく。動き続けるリッティデットは右ミドル、前蹴りで距離を取り、逃げるリッティデットを追いかける小笠原。完全に逃げ切り態勢に入ったリッティデットにバックハンドブローを放つ小笠原だが空振り。リッティデットは組みついてコカす。小笠原は最後まで捕まえることが出来なかった。  判定は3-0でダウンを奪ったリッティデットの勝利となった。 [nextpage] ▼第1試合 フライ級キックボクシング 3分3R〇陽勇(=ひゅう/TEAM3K/VENUM TRAINING CAMP)[判定3-0]×ユセフ・エサード(アルジェリア)  陽勇は第1回全日本学生フルコンタクト空手道選手権1部男子軽量級(65kg未満)優勝、第7回JFKO全日本フルコンタクト空手道選手権大会軽中量級優勝、第6回JFKO全日本空手道選手権大会一般男子軽中量級準優勝、第36回白蓮会館全日本空手道選手権大会一般男子軽量級優勝などフルコンタクト空手で数々の成績を残してキックボクシングに転向。  サウスポーから繰り出すローキックを始めとした強い蹴り技、左ストレート&フックで8戦全勝(2KO)と無敗を誇る。2024年3月にはK-1との対抗戦に抜擢され、龍華を判定で破っている。  エサードは10勝2敗。今回がONE初出場。  1R、サウスポーの陽勇が左ローを蹴っていくが、エサードが右インローを返すとこれがローブローとなって試合中断。再開すると左ミドルを蹴る陽勇にエサードは右インローを蹴る。陽勇が左の三日月から左ボディ、さらに左の三日月をもう一度蹴るとエサードは下がっていく。ワンツーを伸ばして陽勇の前進を止めようとするエサードに、陽勇は接近してのジャブから左ボディストレート。  どんどん前に出る陽勇が左ハイキック、後ろ蹴り。陽勇のヒザ蹴りに右ストレートを合わせるエサードは、先ほどのお返しとばかりに左ハイを蹴る。陽勇が強い左ロー、左ミドルを蹴ると場内から歓声が沸き起こる。  2R、左三日月蹴りに下がったエサードへ陽勇は打点の高い飛びヒザ蹴り。コーナーに追い詰めると左ボディストレートから左ストレート。前へ出る陽勇がコーナーへ追いつめていくが、陽勇が連続してローブローを受けて試合が中断。陽勇がボディからの3連打、さらに左フックと左のパンチを当てていく。  ヒザ蹴りに行く陽勇にはエサードが左フック。コーナーへ詰める陽勇は左ストレートを顔面、ボディへ突き刺していく。エサードも左右ストレートを打ち返していくが陽勇の攻撃に圧倒される。陽勇の後ろ蹴りがローブローとなり中断。再開後、陽勇が左ローを蹴っての左ストレート、エサードがパンチからヒザを出したところで終了。  3R、前に出て右フックからの左ストレート、左右のボディを打つ陽勇。エサードが右ミドルを蹴り返してくると陽勇は胴廻し回転蹴りを放つ。コーナーに詰める陽勇が左ストレートを連続ヒット、右フックもヒットさせる。陽勇の右ミドルがローブローとなって中断。再開後も前へ出てエサードにロープを背負わせる陽勇。顔面前蹴り、ワンツー、ボディへの打ち分けと圧倒的に攻め続けた陽勇。  判定3-0で陽勇がONE初陣を勝利で飾った。「自分が力みすぎたのもあるんですけれど、腹が効いているのは分かっていたんですが、相手がアクションを起こしてきたのでそれを気にしてしまった」と勝利者インタビューに答えた。
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