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インタビュー

【NEXUS】フェザー級戦線、異状あり──山本空良はなぜ敗れたか、柔術黒帯の横山武司はMMA4戦目でいかに戴冠したか「家族のなかで僕が獲るしかないと思っていた」

2022/11/09 17:11
【NEXUS】フェザー級戦線、異状あり──山本空良はなぜ敗れたか、柔術黒帯の横山武司はMMA4戦目でいかに戴冠したか「家族のなかで僕が獲るしかないと思っていた」

(C)ゴング格闘技

 2022年11月7日(月)東京・後楽園ホールで開催された『Fighting NEXUS vol.29』のメインで、NEXUS王者・山本空良(POD/PFC)が、柔術黒帯の横山武司(Swells柔術ジム)に2R 判定で敗れ、王座陥落した。


【写真】中央の横山武司を囲む、右は父の横山和忠、左は兄の横山大鋳。3人とも柔術の黒帯だ。

 MMA4戦目の横山はいかに戦い、ベルトを獲得したか。RIZINで3勝2敗と勝ち越している山本はなぜ敗れたのか。試合を詳細に振り返り、試合後に横山にインタビューした。

山本は1年で8戦目、MMAデビューイヤーの横山は3戦連続一本勝ち

 山本は、2021年11月の「RIZIN Trigger 1st」で鈴木千裕に判定負けも、以降4連勝。RIZINでは新居すぐるを1R TKOに下すと、中村大介カイル・アグォンに判定勝ちも2022年7月の前戦ではヴガール・ケラモフに判定負け。NEXUSでは、2022年5月に、柔道強豪の寿希也を2R リアネイキドチョークで極めて初防衛に成功している。2021年10月の「Road to ONE: 5th」での野尻定由戦の判定勝ちから、2022年11月まで1年で実に8戦目と、ハイペースで試合をこなしている。

 対する黒帯柔術家の横山は、同じく柔術黒帯の兄・大鋳と共に伝統派空手と柔道、中学から柔術を始める。2018年世界選手権・茶帯アダルト・フェザー級ベスト8、2019年全日本選手権・黒帯アダルト・フェザー級優勝などの実績を誇り、2019年の「JBJJF東京オープン2019」黒帯オープンクラス決勝でクレベル・コイケに三角絞めで一本負けも、全日本の階級別では決勝で八巻祐に三角絞めを極めてフェザー級優勝。極めの強さが際立っている。

 2022年2月のFighting NEXUSでプロMMAデビューし、佐藤将光の指導も受けた横山は、木村豊を相手に1R 三角絞めで初陣を飾ると、5月大会では、十河卓児にも1R トーホールドを極め、8月大会でファビオ・ハラダを2R リアネイキドチョークで絞め、3試合連続一本勝ちをマークしている。

 22歳の王者・山本は、北海道で西川大和と練習するなど、MMAの寝技で強さを見せ、打撃でも立ち会うことが出来るトータルファイターになりつつある。一方で横山は、MMAでほぼ組み技・寝技のみで戦っており、伝統派空手仕込みのスタンドの展開は未知数だ。その極めの強さで王者をも突破できるか。

初回、横山の足関節に、山本も真っ向勝負。ヒジで出血させる

 1R、サウスポー構えの横山とオーソドックスの山本。喧嘩四つの前手争いから、柔術とともに空手もベースに持つ横山が右から左の二段蹴り。かわす山本も左ミドルハイをスナップを効かせて早い戻しでガード上に当て、さらに右インローもヒット。

 横山の右の関節蹴りと、山本の右ローが交錯。左に回ろうとする山本の外足を取る横山は左インロー、さらに左ミドルハイを2発、ブロック上に当てるなど打撃でも積極的に圧力をかける。

 山本が距離を取ったところに、横山は滑り込んでロールして左足を掴むと、足を掴んだまま一気に後転して山本の足をすくうと左脇にかかとを挟もうとするが、すぐにヒザを抜いている山本は内ヒールを組ませず、上を取るが、なおも左足を掴んでいる横山に、山本も横山の左足を左脇に抱えて内ヒール狙い、足関節の攻防を挑む。

 互いに足を抜き、横山の立ち際に下から左を突く山本。今度は右足を掴んだ横山が、自身の右足を内側から差し入れて右足にからむが、山本も横山の左足を掴んで腹ばいでヒザを伸ばそうとする。

 上体を起こして座る横山の右ヒザを下から手繰ろうとする山本。そこに左のパウンドは横山! しかし山本も連打はさせず、ヒザをすくって前方に煽るが、身体を戻した横山が座ったまま、インバーテッドガードで股下にいる山本の顔面に左パウンド。

 すぐに正対に戻してガードのなかに入れる山本は、下から強烈な右ヒジ! さらにガードの下から右ストレートを顔面に当て、MMAとしての際の打撃の上手さを見せる。ヒジを効かされたか上体を立てた横山に、草刈でなおもこかしてグラウンドを挑む山本。

 横山も右足を外掛けから内側に横回転しヒザを伸ばそうとするが、自身の左足を掴んで伸ばされないように防御する山本。横山はうつ伏せで足を手繰ろうとするが、今度は山本が座って、下の横山のボディにヒジ打ち、ヒザを抜いた山本は、サドルに組もうとする横山に足をかけさせず、うつ伏せになったところで尻を蹴って抜いて立ち上がり! その際でも横山に右を振ると、横山は背中を着いてガードポジションに。上から見下ろす山本。

 横山の頭部からの出血に、ここでレフェリーがドクターチェックを促す。1R 4分07秒で中断。綿棒で処置し傷口を塞いだドクター。再開。

 シッティングガードから近づく横山に右回りの猪木-アリ状態から、山本は残り10秒で右のパウンドで飛び込み、右のヒジ、パウンドを2発でホーン。横山もここは抱きつき凌ぐ。

 寝技でアグレッシブに攻めた横山。山本も足関節で対抗し、ガードからのヒジ打ちで横山を大きく出血させている。ダメージでは山本のラウンド。アグレッシブ、エリアコントロールでは横山のラウンドととれるか。

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