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【RIZIN】扇久保博正が朝倉海を降しGP優勝。サトシが矢地に一本勝ちで初防衛、朝倉未来が斎藤裕に405日ぶりリベンジ、五味戦後、那須川と武尊がエール

2021/12/31 12:12

▼第13試合 RIZINスタンディングバウト特別ルール 3分2R(※攻撃はパンチのみ、決着はKOまたはTKOのみで判定は無しのエキシビションマッチ)
-那須川天心(TARGET/Cygames)
[判定無し]

-五味隆典(イーストリンカンラスカルジム)

 RIZIN“卒業”マッチとなるRISE世界フェザー級王者・那須川天心(TARGET/Cygames)と、元PRIDEライト級王者の五味隆典(東林間ラスカルジム)が対戦。3分2Rのスタンディングバウト特別ルール(攻撃はパンチのみ)のエキシビションマッチとして戦う。決着はKOまたはTKOのみで判定は無し。契約体重は設けず、前日計量で那須川は62.00kg、五味は75.30kgで計量している。

“神童”那須川天心は、2014年7月にプロデビューし、15年5月にプロ6戦目・史上最年少の16歳でRISEバンタム級のベルトを獲得。同年8月のBLADE -55kgトーナメントで優勝するなどキックボクシングで45戦無敗。

 RIZINには2016年12月29日にMMAで初参戦。ニキータ・サプンをパウンドアウトすると、2日後の大晦日参戦を直訴し、MMAルールでカウイカ・オリージョにニンジャチョークで一本勝ちした。2017年7月にはミックスルールで才賀紀左衛門に1R KO勝ち。大晦日のRIZINキックボクシングワンナイトトーナメントでも優勝を果たした。2018年9月のRIZIN.13では堀口恭司とキックルールで対戦し判定勝ち。同年大晦日のRIZIN.14では、日本人で初めてフロイド・メイウェザーとボクシングルールの非公式試合で対戦した。

 2019年はRISE世界トーナメント決勝で志朗を判定で下し優勝。同年大晦日にはRIZIN.20で江幡塁を1R KOに下し、日本人最強を証明した。2020年9月のRIZIN.24では皇治に判定勝ち。大晦日にはタイの強豪・クマンドーイにも勝利し、連勝記録を更新した。2021年6月のRIZIN.28東京ドーム大会では大﨑孔稀、HIROYA、所英男との1人 vs. 3人の特別マッチにも挑戦している。

 2022年4月2日のRISEでキックボクシングから引退しプロボクサーに転向することを表明していたが、2022年6月にK-1史上初の三階級王者で現スーパー・フェザー級(60kg)王者の武尊(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)との対戦が電撃決定している。

 対する五味は野球、ボクシング、レスリングを経て1998年11月に修斗でMMAプロデビュー。2001年12月に修斗世界ウェルター級王者となり、2004年からはPRIDEに参戦。怒涛の10連勝を飾り、PRIDEライト級王者となった。PRIDE解散後は戦極を経て2010年3月からはUFCに参戦。5連敗を喫して2017年大晦日にはRIZINで矢地祐介にも敗れたが、2018年7月にはメルヴィン・ギラードをKOして観客を総立ちにさせた。

 また、2016年大晦日には魔裟斗とK-1ルールで対戦し、3分5R戦い抜いてドロー(判定決着なし)となっている。昨年の大晦日にも皇治とRIZINスタンディングバウト特別ルールで対戦し、判定2-0で勝利を収めた。

 体重差13.3kg。RIZINグリーンの「トリケラトプス」の恐竜ガウンで入場の那須川は目を潤ませる。1週間前のオファーを受けた五味もグリーンのボクシンググローブ。


 1R、サウスポー構えの那須川。オーソドックス構えの五味は「左手を前に伸ばす。那須川の入りに右を狙う五味。

 右のダブルから左ボディで飛び込む那須川。五味は右ストレートを那須川のガード上に当てる。さらに右ボディストレート! ワンツーで前に詰める那須川をショルダーで受ける五味だが、五味の右の打ち終わりには左右で詰めて、五味は思わず半身になる。右から大きな左を振る五味。かわす那須川は足を使って出入り。


 2R、ゴング前に両手を挙げて会場を煽る五味。グローブタッチ。右のダブルで前に出る那須川。そこに右アッパーを振る五味。クリンチから離れ、五味の右の打ち終わりに右を狙う那須川。右から左アッパーのダブルとリズミカルに前に。しかし五味も左フックから右ボディをヒット!

 すると那須川は下がりながら左をヒット! 五味は思わずクリンチする。五味も右ボディを当てるとガード上に右。那須川は右飛び込みのアッパー、右ジャブ連打から左の五味の打ち返しをあえて足を止めてスリッピングアウェイ。そして左で詰めてゴング。


 試合後、五味は感想を求められ、「そんなことより、もう無茶させないで、榊原さん、2週間ダメだよ、2カ月じゃなきゃ(苦笑)。天心、半年前に練習してきたときより強くなっていた。ただ武尊はもっと強いぞ。頼むぞ!」と那須川にエール。


 入場時に目を潤ませていた那須川は、「こんばんは。こういったタイミングで僕との試合を受けてくれた五味さん、ありがとうございます。感謝しかないです。体格差はあったんですけど、それよりも重いPRIDEが拳に乗っていて、楽しい、悲しい、いろんな気持ちが混ざった試合でした」と答えた。


 放送席の横浜流星から「たくさんの方に勇気を与えた」、堀米雄斗から「テンテンのカッコイイ姿を初めて見れてよかった」と声をかけられるなか、那須川も「来てくれてありがとう」とコメント。


 続けて「この試合でもうRIZIN卒業になるんですけど、ほんとうになんだろうな……ずっと僕、RIZIN大好きで……ほんとうにMMAからほんとうにRIZINが大好きです。こんな僕ですけど何者でもない僕にチャンスをくれたRIZINの舞台に挙げてくれた榊原さん、押し出してくれたRISEの伊藤さん、お父さん、ジムのみんなありがとう。これから4月のRISEの試合、6月の武尊選手との試合、大勝負なので、しっかり勝って卒業したいと思います。


 テレビを見ている子供たちに、僕は何者でもなかったけど、常識を変えるやつはいつも非常識なやつ。人が決めた限界は人にしか越えれれない。もしチャレンジしたいことがあったら、信念を持って進んでください」とメッセージを送った。

 そして、最後に五味は、師匠である故・木口宣昭氏への惜別の言葉を語った。

「ちょっと待て天心。ちょっと待て。一言俺にもしゃべらせろ。ちょっと待って。これは、これからも、たける選手ともね、とってもすごい試合やってくれると思う。ボクシング行っても、素晴らしい選手になると思います。これから期待してください。あとねちょっとネガティブに捉えてほしくないんですけど、僕がこのさいたまに……長いのわかってるんだけど、ちょっとまって。このリングに初めてあがったとき、一番勝利したとき真っ先に喜んでくれた木口宣昭先生が今年お亡くなりになったんで、佐藤ルミナ選手、山本KID選手、桜井”マッハ”速人選手、そういった選手をね、このリングに作り上げたとても優しい偉大な先生でした。なので、これからキックボクシングも総合格闘技も応援していくうえで、そういうおもしろくて偉大な木口宣昭先生って方がいらっしゃったことも、ちょっとね、心にとめて応援してもらえるとうれしいです。天国の木口先生も喜んでいると思います。そんな感じです! 天心頑張れよ、これからも!」と、さいたまスーパーアリーナのファンに語った。

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