変わるアイデンティティ、変わらないスピリット
【写真】父アジウソンを中心に、サンパウロのボンサイ柔術にて。
アジウソン・ソウザが創始した「ボンサイ柔術」の由来は、ボンサイは手入れが大変だが、手をかければ美しく、強くなることから名付けられたのだという。
かつてブラジルに渡った柔道家は柔術との対立のなかで、「柔道も柔術も同じ」だと言った。「だって柔道も柔術も同根ですから」と。
人の魂は住む土地の風土に根差す。どのような人物に成長したか、どこに帰属するかという意味で、人は土地の影響を受ける。土が変わればボンサイも変わる。マルキーニョスは、ボンサイ柔術も変わっているという。
【写真】1996年、父アジウソンと母マリ・ヒラヤマと少年時代のマルキーニョス。アジウソン手作りのボンサイブラジル道場にて。マリの祖父が沖縄出身で、祖母が横浜出身だ。
「いま、お父さんが見たら驚くかもしれないね。クラシックなボンサイ柔術にモダン柔術が加わり、いまはサトシたちのMMAが、僕たちの柔術のなかに確実に備わっている。でもボンサイ柔術のスピリットは変わらない。そして、アイデンティティも変わるものだと思う。常に自分が何者であるかは再定義していくものでしょう? でも、それは誰かにレッテルを貼られるものじゃない。自分のアイデンティティが何かを決めるのは、自分自身の選択だから」
2021年6月13日、東京ドームで我々は新たなボンサイ柔術と、サトシ&クレベルの姿を見ることになるだろう。(取材・文=松山 郷)
※この記事はゴング格闘技とLINE NEWSによる特別企画です。