MMA
インタビュー

【RIZIN】階級上でも完勝、7戦無敗の秋元強真「正直、本当に納得いっていない」、判定負けの鈴木博昭「思った以上に相手の反応が良かった」

2024/11/21 21:11
『RIZIN LANDMARK 10 in NAGOYA』(11月17日・ポートメッセなごや)のフェザー級(66.0kg)で、18歳の秋元強真(JAPAN TOP TEAM)が、39歳の鈴木博昭(BELLWOOD FIGHT TEAM)に判定3-0で勝利。MMA戦績を7勝無敗とした。  秋元は、9月29日の金太郎戦に続く連戦を、1階級上のフェザー級で戦ったMMA7戦目。立ち技で54戦を戦った鈴木にとっては4勝4敗の五分で迎えたMMA9戦目だった。  試合はともにサウスポー構えから。先に圧力をかける秋元は、左から右で入り、鈴木に金網を背負わせて前足にシングルレッグへ。ボディロックから小外がけを合わせて、最初のコンタクトでテイクダウンに成功する。  長い手足を活かしたパウンドとRIZINルールならではのグラウンドヒザ蹴りを打ち込み、ペースを握ると、鈴木のサウスポーからの右の蹴りもさばき、左右の強打もクリーンヒットさせず。秋元は組みを混ぜたワンツー、テイクダウン&パウンドで鈴木を削り、判定3-0で勝利した。  階級上との試合で慎重な試合運びだったものの、危なげない勝利を得た秋元だが、試合後は「ガードを開けさせようと思ったけど思ったより固かった」と反省しきり。試合内容を「正直本当に納得いっていない」とした。  一方で、元シュートボクシング王者の鈴木は、「自分がやろうとしたときの相手の反応速度が想像より良かった」と、秋元を評価。「自分の子供のほうが年近いくらいの秋元選手と戦うことになって、思うことがいっぱいあった」と語った。 秋元強真「1Rで終わらせようと攻め急いでしまった」 ──試合後の率直な感想をお聞かせください。  「うーん、まあ、あんまり良くなかったですね……って感じです」 ──その原因はあるのでしょうか? 「試合前は結構圧倒するとか色々言ってたんですけど、言ってる割には口だけのような感じの内容だったので、あんまり良くなかったっスね」 ──実際対戦して、鈴木選手の印象が違うところがあれば教えてください。  「ガードが固いのは分かっていたのですけど、自分のテクニックとスピードなら全然開けられるかと思ったんですけど、思ったよりガード固くて。思ったよりガード固かったなって感じです」 ──試合前に思い描いていたプランを教えていただけますか。 「自分のなかでは最初のテイクをやって終わらせるつもりだったんですけど、パウンドもなかなか、ガードが固くて入らず。で、まあ今まで1Rで終わらせてきたのが多くて、今度も1Rで終わらせようと攻め急いでしまって、1Rは力んじゃいました」 ──試合を終えたばかりですが、今後の目標・展望を教えてください。  「今回の内容は正直本当に納得いっていないので、またしっかり練習して。まあ、またすぐ、もうちょい強い相手とやらせてもらえたら嬉しいですね」 ──ご本人としては不満の残る内容でも会場は盛り上がっていたと思いますが、感じられなかったですか? 「自分のなかでは今回の試合内容はあまり面白いアレじゃないのかなと思ったので、それで敢えて1回立たせた場面もあったので、まあ、盛り上がったなら良かったですね」 ──3Rにわたり相手の打撃らしい打撃はほとんど受けませんでした。ディフェンス面ではいかがですか。 「ディフェンスには自信あるのでいつも通りかなと思ったんですけど、自分の攻撃もあまり入っていなかったので。右フックとか左ストレートも何発か入ったのですけど、うーん。あまり有効打とか、普通の人なら倒れているけど、グラッとなっただけで巻き返されたし、ラッシュかけてもガードが固かったので、だいぶやり辛いかったです」 ──試合間隔が短かったことはプラスの面もあったのでしょうか。 「プラスだったかな? とは思うっスね。前回の試合のまま大晦日こんな勝ち方したら良くなかっただろうし、今で良かったかな? って感じです」 ──大晦日にも出るつもりなのですね。 「結構今回ダメージが多くて、意外とアレなので、様子見て行けそうだったら狙っていきたいです」 ──バンタムとフェザーのどちらの階級でどんな選手と? 「フェザーで鈴木選手に勝ったので、別にフィジカル差とかはあんまり感じなかったので、まあでも減量するモチベーションが無いんだよな……スパンが短いので、ちょと自分と相談して」 ──バンタム級に落とすのはなかなか……。 「やろうと思ったら出来るけど、怪我とかも多少このあと出てくると思うので、それを見てという感じです」 ──あまりフィジカル差を感じなかったということですが、バンタム級とフェザー級でそんなに差がなかったですか? いつもなら倒れていたであろうパンチを相手が受けても倒れなかった点など、相手の耐久力も上がると思うので、その点について階級の違いはありましたか。 「今回の鈴木選手みたいな相手は特別ディフェンスが固い相手なので、ほかのフェザーの選手なら倒れてるんじゃないですか?」 ──1Rはテイクダウン中心に行き、2Rはスタンドで相手の右に左ストレートを合わせに。あれは当初からの予定なのか、あるいは切り替えたのですか? 「俺は『全局面で圧倒する』と言っていたので、1R結構寝技で圧倒したので、2R打撃でやって、3R全部混ぜていこうって感じでした。2R、打撃で倒せる感覚もあったので、2R目に結構ストレートが何発か入ったんですけど、思ったより固かったっすね」 ──それは結果的に3Rはフィニッシュに行くか、あるいはこのまま1、2R取っているのは間違いないので3R押さえに行くか、どちらでしょうか。 「フィニッシュ行きたかったっスね。だから多分、立たせたの何Rでしたっけ?(3R)。2Rか3Rで立たせたと思うんですけど、相手がディフェンス重視だったのでパウンドを打っていても決めるのは難しいと思ったので、行くなら打撃だと思ったくらいだったので。まあフィニッシュはずっと狙ってたっスね」 [nextpage] 鈴木博昭「最短距離で上がってきている秋元選手と、だいぶ遠回りして、冬の時代を乗り越えた僕の試合が組まれて、色々思うところはあった」 ──試合後の率直な感想をお聞かせください。 「残念です。まあしょうがないですけど。これが勝負なんで。残念ですが、しょうがないでしょう」 ──秋元選手と実際に対戦してイメージと違うところはありましたか。 「いや、おおむね想像通りではあったんですけど、思った以上に反応が良かったかなっていう。やろうとしたときの反応速度が想像より良かったなというのがあります」 ──試合後、ワーっと叫ぶ声が響いていました。 「そうですね、今回は変にお祭り気分で行かずに、ちゃんとじっくりじっくり、まあ戦いってうまくバン! と行って終わることも、そんなのばかりじゃないので、じっくりきついところに引きずり込んだろうと思ったのですけど、きついところなんだけど自分が上回ってなかったというのがあったので、それをやりきれなかった自分の悔しさというか。それが勝負です。何回も言いますが」 ──試合を終えたばかりですが、今後の目標・展望を教えてください。  「正直ここで勝たにゃというのがあったので、今すぐこれといった展望を今言える言葉は持ち合わせていないです。まあじっくりと考えねばと思いますが。やっぱ、いい舞台ですね、いい。RIZINは相変わらずエキサイティングでいい舞台です。それは改めてみなさんにお礼を言いたいなと思います」 ──シュートボクシング時代を含めて、負けてああいう感情の出し方をするのが自分は見たことも聞いたこともなかったです。先ほどの言葉を否定するかもしれませんが、今回の試合に対するモチベーションや勝敗に関して何か違う部分があったのかと思いました。いかがですか。 「いい質問をありがとうございます。やっぱり、最短距離で上がってきている秋元選手と、だいぶ遠回りして、冬の時代を乗り越えた僕が戦って、何かこう、やっぱり組まれたときに色々思い返すことが、普段あまりないんですけど、というか思わないようにしているというか。『俺は新人だ!』とずっと言っているのですけど。なんかこう、どこかすごい昔を思い出して。  僕も高校行かずにその当時は空手ですけど、ずっとやって、SB時代からあの頃はなあ、と思い返すことが今回あって。倍以上というか、自分の子供のほうが年近いくらいの秋元選手と戦うことになって、すごく思うことがいっぱいあったんですよ。だから、昔のガウンを引っ張り出して着ようとしたりもあったし、今回SBの。いろんな事情で着てはいないのですけど。すごく振り返ることが多かったです今回は。だから、そこで落としちゃいかんかったという気持ちはあります。だけど、何回も言いますけどこれが勝負です。落ち込もうが落ち込むまいが、これが勝負です。でもやっぱり、どこかそういう昔ながらの感情がちょっと溢れてしまったかなと思います」 ──いろんな思いを抱えて戦ったと。秋元選手には期待するのか、それともまだ自分のファイターとしての悔しさのほうが大きいでしょうか。 「両方ですね。もちろんこの負けて“もういいよ”っていう感情は正直ないので。なんとしてもここは変にウルァ──! って言うのは持たずにじっくりと、絶対変に爆発せずに、じっくりコイツを料理したろと思っていたので、“あれ? 怪物君の試合にしては爆発しないな”と思った方も多いとは思うのですけど、まあ今回は。それがゆえに、どこかやりきれない気持ちもゼロじゃないというのもあるし、まあ、本当にいろんな感情がありますよ。でもまあ本当にそのいろんな感情こそ格闘技なので、ちょっと一言で言い表すことができないのですけど」 ──次の試合に向かうモチベーションになっていますか? 休みたいメンタルですか? 「僕自身、一応こう見えて経営者でもあるし、後身の選手たちもたくさん抱えているなかで、いつまでファイトしていいのだろうという気持ちも本音を言うとゼロではない、いつまで自分にエネルギー使っていいのかなというのもあるし。でもこんなね、格闘技が生業なので僕は。じゃあ今回何もできず、何も反応できずに一方的にボコられたわけではないし、まだやれるぜコノヤローという気持ちもあるし。なんかこう、色々ですね。  まあでも全部抱え込んでいるからこその鈴木博昭でもあるし、だから今の入場曲でもある。全部抱えて行こうが行くまいが、俺はやりきってやるよ、というところもあるので、まあ本当に、“もういいっすわ!”という気持ちになるまで全身全霊で戦いたいという気持ちは今でもあります。今すぐどうこうとはっきりしたことは言えないですけど、競技だけが怪物君ではないので、僕は。全てひっくるめたタフガイとして生きる強い男としての怪物君でいたいので、またそんな姿をみなさんにお見せしたいという気持ちはもちろん、あります」
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