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「Yogibo presents RIZIN.25」
2020年11月21日(土)大阪城ホール
▼第10試合 RIZINフェザー級(66.0kg)王座決定戦 5分3R ※ヒジあり
×朝倉未来(トライフォース赤坂)
[判定0-3]
〇斎藤 裕(パラエストラ小岩)
※斎藤が初代王座に就く。
朝倉未来vs.斎藤裕は待望の初対決。新設されたRIZINフェザー級王座を懸けてのタイトルマッチとなる。
8月横浜大会で、修斗世界フェザー級王者の斎藤が摩嶋一整(毛利道場)を2R ヒザ蹴りでTKOに下した試合後、解説席で見届けた未来が「これが1位の戦いなら、俺がやってやりましょうかね。僕もベルトを獲るので、次の大会で(試合を)やります」と出場を表明。
これに斎藤は、「自分は相手を選ばないので。いいタイミングでみなさんが望む状況になれば自然とやるのではないでしょうか」と、対戦が組まれればやるとの意向を示していた。
しかし、その後、未来は9月27日のさいたま大会出場を断念。試合が決まらないことで、十分な準備と万全の状態で試合に臨めないことが問題となっていることをSNSで記していた。
未来はフルコンタクト空手、禅道会豊橋道場に入門し、総合格闘技に触れる。2012年にDEEP CAGE IMPACT浜松大会に出場し、1R53秒KO勝利。13年から弟の朝倉海と共にTHE OUTSIDERへ参戦すると、THE OUTSIDER史上初の二階級制覇を達成。17年3月に韓国ROAD FCに参戦し、1勝1敗。18年8月にRIZIN初参戦。これまで修斗出身選手では、日沖発、リオン武、矢地祐介を下している。今回は2020年2月のダニエル・サラス戦での2R KO勝ち以来の試合となる。
斎藤は、修斗世界フェザー級王者。2011年11月に修斗青森大会にてプロデビュー。15年に第7代環太平洋、16年に第10代フェザー級のベルト奪取し、修斗フェザー級の代表選手となった。さらに、17年には宇野薫、18年にはリオン武から判定勝利を挙げ、19年には高谷裕之からKO勝利と、時代を牽引したビッグネームたちを越えて来た。20年8月のRIZIN.23でRIZINデビューを果たすと、Rebel FCフェザー級王者の摩嶋一整に衝撃的なTKO勝利を収めた。高谷戦に続き2連勝中だ。
先に入場するのは青コーナーの斎藤。セコンドには石渡伸太郎、上田将勝ら。続けて赤コーナーの朝倉が入場。シャドーを見せて朝倉海とともに入場する。リング上で、榊原信行CEOによるRIZINフェザー級タイトルマッチ認定宣言
1R、サウスポー構えの朝倉。オーソドックス構えの斎藤。朝倉が右の拳、斎藤が左の拳を前に合わせてゴング。
朝倉が中央を取る。右のロングフックを先に出す。斎藤は左ロー。左ローの踏み込みから左アッパーの飛び込みは朝倉。ここは斎藤が下がってかわす。朝倉の左インローがヒット。ローブロー気味か。さらに左ヒザを当てる!
続く左ハイは斎藤がかわすと、朝倉の右ジャブにかぶせた斎藤の前手の左フックが顔面をかすめる! 強い左ローは朝倉もインローがローブローとなる。朝倉も手を挙げて謝罪する。中断。
正座する斎藤。顔が青ざめる斎藤はコーナーの椅子に座る。ニュートラルコーナーで待つ朝倉。立ち上がった斎藤。インターバルの最大時間は5分間。
朝倉に注意後、再開。残り3分12秒。中央を取る朝倉。左回りの斎藤。前足が近い間合いで朝倉は左ミドル! 斎藤も右ローを返す。朝倉の右と斎藤の左が交錯。右フックで飛び込む斎藤。そこに左カウンターを当てる朝倉。左ハイは空を斬る。朝倉の右から左ストレートは額で受ける斎藤。互いに激しいフェイントから斎藤の左に右を狙う。
ニータップを狙う斎藤。ここは切る朝倉。入りに右を当てる朝倉! 組む斎藤は左で差すが拍子木。コーナーに押し込みゴング。
2R、中央を取る朝倉。右ボディストレートは斎藤。今度は斎藤の右ローがローブローとなる。左から右、さらに右ハイは斎藤! さらにスーパーマンパンチで前に出るが、そこに朝倉もカウンター。スリップする斎藤だが、前に出た朝倉の左のローを掴んでテイクダウン! すぐに立つ朝倉のスタンドバックにつく斎藤だが、コーナーで片足になりブレーク。
右を振る斎藤。朝倉は左の中足蹴り。しかし体を入れ替えた斎藤は左ミドル! そこから左で差して組んでボディロックから崩そうとするが朝倉はロープに腕をひっかける反則。ブレーク。総じてブレークは早めの傾向だ。
朝倉にロープ掴みと場外逃避により警告が与えられる。左インローは朝倉。さらにミドルに斎藤はバランスを崩すが、朝倉の左にカウンターの右は斎藤! 朝倉は左ミドルの動きも蹴り足を捕まえにいく斎藤に足を出さず。
右ローから入る斎藤が中央に。右足を挙げてスーパーマンパンチも狙う。かわす朝倉に右ボディストレートを当てる斎藤。朝倉は左ヒザ! 左に回って流す斎藤も右ミドルをヒット! 喧嘩四つの前手争い。右ローは斎藤。斎藤の左右に下がりながら右を狙う朝倉。そこはもらわない斎藤はニータップでテイクダウン! 左腕を抱えてボディロックする斎藤。下から朝倉も細かく鉄槌。しかし、ここもブレーク。
斎藤の右ミドルに左ストレートを合わせに行く朝倉! 腰を落とし下がる斎藤。残り1分! 斎藤も押し戻し左、さらに右をヒット! コーナーまで下がる朝倉。しかし朝倉の右に斎藤も腰を落とす。すぐに攻撃に転じる斎藤。
最後の攻防、朝倉はなんと自らシングルレッグへ! 片足立ちになる斎藤に空いた左手でパンチは朝倉。さらに詰めて左を振って崩したところでゴング!
右手を挙げた朝倉に、斎藤も両手を挙げる。判定は1人目、斎藤、2人目も斎藤、3人目も斎藤。ユナニマス判定3-0で斎藤が勝利し、RIZIN初代バンタム級王者に輝いた。
試合後、リング上でベルトを巻いた斎藤は、「僕の勝利を信じて会場に来てくれた皆さんありがとうございます。対戦を受けてくれた朝倉選手ありがとうございます。またこのリングに上がり続ければ、また会うこともあると思います。そのときはお願いします」と、退場する朝倉未来に語った。
続けて、「ほんとうにいつも変わらず……(涙を流す)応援していただいた方々、ありがとうございます。人生いいことばかりではないですけど、頑張っていればいいこともあると思います。これからもっと精進して試合をして実力をみせていきたいです」と王者はリング上で語った。
また、試合後、斎藤は、大きく右目を腫らしてバックステージでの会見に出席。「まず朝倉選手めちゃくちゃ強かったです。紙一重だった。今日は自分に運があったということ」と試合を振り返ると、実際に未来と対峙した感想を「試合前いろいろありましたけど、冷静な選手だと思っていて、試合でもそのまま冷静でした」と語った。
今後については、「こういう状況なので見えないのですが、海外勢が来たらもっと厳しくなる。自分もこのままじゃいけないと思うので、フェザー級のレベルが上がるように精進します」と語った。会見後、斎藤は右目と鼻の負傷により、病院へ向かった。