練習を再開したパントージャ、UFC日本大会の時期は──
もう一人、ヴァンとの再戦が約束されているのが、前王者パントージャだ。
自身が右ハイキックをヒットさせている写真を12日、SNSにアップしたパントージャは、敗北を以下のように振り返っている。
「人生における“なぜ”は、恐ろしいほど魅力的なものであり、それを理解しようと試みることは私の役目ではない。時が来れば、人生そのものがその答えを明らかにしてくれるだろう。私は自分が正しい選択をしたことを知っており、できるだけ早く戻ってそれを終わらせたいと願っていた。しかし、私をここまで導いたもの、つまり闘いを終わらせたいという衝動に裏切られたのだ。私の自信と攻撃性が、逆に私を苦しめる結果となったのだ」
そして翌日には、「私は自分のものを取り戻すために戻る」「あなたは私がどんな男か理解していない。ノンストップ! 困難な時こそ、私たちを強くする!」と記し、左ヒジにサポーターを着用し、早くも右腕のみでウェイトトレーニングを再開している姿をアップしている。
果たして負傷からの復帰はいつになるか。ダナ・ホワイト代表は、ヴァンとパントージャの再戦を口にしながらも、「その前にヴァンは防衛戦になるだろう」とダイレクトリマッチよりも、ほかの相手とヴァンの王座戦が組まれることを示唆している。
“絶対王者”が陥落したいま、UFCフライ級トップ戦線は混沌としてきた。
フレッシュな身体で近い距離での打ち合いを制する新王者ヴァン。復活を期す35歳のパントージャ。類稀な身体能力をもとに巧みなボクシングで3試合連続TKO勝ちのケイプ。ほかの選手にない図抜けた寝技の強さを持ち、打撃に磨きをかける平良。復活のオクタゴンでステップを戻し、オールラウンドの強さを誇る堀口。
下位には、ヴァンをKOしたチャールズ・ジョンソン、ヴァンにテイクダウンから極めの場面を作った鶴屋怜も控えている。
堀口のUFC復帰によってUFCロースターにおける日本人アスリートは8人となり、フライ級3位の平良達郎、バンタム級に戻す朝倉海、女子ストロー級の魅津希、DWCSで契約を勝ち取った木下憂朔、そしてROAD TO UFC出身の中村倫也、風間敏臣と鶴屋怜が名を連ねている。さらに、2月1日の豪州大会では中村京一郎がROAD TO UFCフェザー級トーナメント決勝(vs.セバスチャン・サレイ)に臨むことも決まった。
フライ級に戻れば、王者との相性と研究、そこまでの進化が王座戦を左右する。パントージャからヴァンに変わったことで、ときの王者とのそれぞれの攻略方法も変わってくる。そして、平良や堀口が王座戦線にからむのは、いつどこになるか。
まずは2月ヒューストン大会に、果たしてヴァンは出場するか。その防衛戦の相手は平良かケイプか。そして、3月に朝倉海の次戦の海外報道もあるなか、ダナ代表が「会場探しに入っている」という日本大会を実現させるためには、どんなピースが必要か。
ヘルワニから「日本大会について何か新しい情報は?」と問われた平良は、「話では4月、5月にやりそうみたいなのは聞いたけど、言っていいか分かんないから、あの、小声で言っときます」と笑顔で語っている。
今春か、それとも年内か。難関をクリアすれば、具体的にゴーサインが出ている日本大会のカードも見据え、フライ級の王座戦線は動いていくことになりそうだ。



