MMA
レポート

【MMA】“ヘビー級を救う男”になるか? 東京五輪金メダルのゲイブル・スティーブソンがMMA3戦目もTKO勝ちで全試合1Rフィニッシュ。「僕には見せるべきものがもっとたくさんある」──28年ロサンゼルス五輪と二刀流も

2026/02/20 18:02
 2026年2月19日(日本時間20日)メキシコ・ヌエボ・レオン州モンテレイのショーセンター コンプレックスにて『Mexico Fight League 3』が開催され、2020年東京五輪フリースタイルレスリング125kg級優勝のゲイブル・スティーブソン(米国)がMMA3戦目を1R TKO勝ち。MMA戦績を3勝無敗、全試合1Rフィニッシュとした。  ミネソタ大学で3度のオールアメリカンに選ばれ、2度NCAAディビジョン1全米王者となり、2020年東京五輪で21歳で金メダリストとなったスティーブソン。22年にWWEと契約も24年に契約解除。24年5月にアメリカンフットボール未経験でNFLのバッファロー・ビルズとディフェンシブ・タックルとして契約。開幕ロースター入りならずで9月に契約解除。 (C)LFA  2024年11月の『UFC 309』でスティーペ・ミオシッチと対戦するジョン・ジョーンズの練習パートナーとしてJJに出会い、MMAに本格的にコミットすると、25年9月の『LFA217』でグレッグ・ジャクソンやブランドン・ギブソンのサポートを受けてプロMMAデビュー。  当時プロ1勝のブレンダン・ピーターソンを1R TKOに下すと、10月にカスタムルール戦の『Dirty Boxing Championship』で1R KO勝ち。さらに11月の『Anthony Pettis FC』で2勝1敗のケヴィン・ヘインを1R 左フックでKO。今回のウーゴ・レザマとの対戦を迎えていた。25歳。  対するレザマは、MMA11勝3敗とこれまでの対戦相手とは異なる戦績を持つ37歳のベテラン。極真空手ベースで、Budo Sento Championshipでヘビー級王座を1度防衛している。 ▼ヘビー級(265ポンド・120.2kg)5分3R〇ゲーブル・スティーブソン(米国)3勝0敗[1R 3分50秒 TKO] ※パウンド×ウーゴ・レザマ(メキシコ)11勝4敗  ジョン・ジョーンズの試合前のように蹲踞の低い姿勢でホーンを待ったスティーブソン。  1R、オーソドックス構えで中央を取り、サウスポー構えのレザマの威嚇のステップインには、ステップバック。レザマの左から右のオーバーハンド、関節蹴りをかわすと、レザマは左インローをヒット。続けてダブルレッグへ。  難なくスプロールしバックに回ろうとするスティーブソンに、レザマはハーフでガードで下に。4つの一本勝ちを持つレザマのガードワークにいったん体を放して、右足をさばきながら左へパスに。レザマが左で差してくると、右オーバーフックから右側に回って腰を切ってサイドに。左で脇差しから抜いて鉄槌に、レザマは足を戻して蹴り上げ。  離れたスティーブソンに、ブレーク。スタンド。左の後ろ廻し蹴りのレザマだが足首を捻ったか、着地に失敗して自らバランスを崩すと右を振りながら下に。すぐに覆いかぶさるスティーブソンは、ハーフからパウンド、ヒジ。半身になるレザマに肩固めも狙いつつ、戻してくると体を放して再びブレーク、スタンドに。  オーソに変えたレザマは今度は右の後ろ廻し蹴りを首横にヒット! 少し浅かった分、前に出たスティーブソンに左右の大振りも、かわしたスティーブソンは力まず右を当てると、さらに右から左の連打にクリンチしてきたレザマの脇を潜り、バッククリンチ。ここも自ら背中を着いてガードを取るレザマに、スティーブソンは空いた右手でパウンド。左手首はレザマが掴んでいる。  半身から亀になって立とうとするレザマをサイドバックから腰を抱いてパウンド。さらに仰向けにさせて左ヒジを連打! 亀に戻るレザマにグラウンドヒザをボディに突き、サイドからマウントへ。ハーフに戻したレザマは抱きつきから足を戻して蹴り上げ、ケージ際まで這うも背後から潰してマウントを奪うスティーブソンは、落ち着いて左右のパウンドを連打、頭を抱えたまま動けないレザマを見て、レフェリーが間に入った。  試合後、スティーブソンは「最高の気分だよ。改善すべき点はたくさんある。でも、日に日に良くなっている。厳しい戦いだったけど、彼は諦めなかった。素晴らしい選手だった」と語った。  組んでも相手から引き込みガードになる展開に、スティーブソンはテイクダウンを見せることなくトップに。そしてスペースが空けば自ら立ち上がり、打撃を試すようにスタンド勝負を望んだ。後ろ廻し蹴りを被弾したものの、左右のパンチはスムーズで、スタンドの圧力でトップを奪い、パウンドアウトした。 「シャワーを浴びてホテルに戻って寝るよ。次の目標に向かって頑張る」と語ったスティーブソンは、3戦目もMMAの適正を証明しながらも、トップレベルと戦うには課題も見せた。UFCはこのヘビー級の逸材といつ契約するか。テイクダウンを全面解禁したとき、オリンピアンはどんな試合を見せるか。 『プレッシャーこそがダイヤモンドを生み出す』  試合前に、MMA挑戦について、「今が適切なタイミングだと感じる。自分を発展させ、正しい方法でトレーニングする必要があった。以前はレスリングや他にも色々なことをやろうとしていたけど、今はこのMMAに全力でコミットしている」と語っていたスティーブソン。  経験豊富な相手を前にしても「プレッシャーはない。これまでにもそういう大きな局面を経験してきた。僕たちはプレッシャーに備え、訓練を受けている。『プレッシャーこそがダイヤモンドを生み出す』。『ゲーブルにできるのか?』って思うような場面はこれまでに何度もあったけど、僕はそれをやってのけた。おかげで自分の中で多くのことを書き換えてきた。プレッシャーはない。ただの1日だ」と金メダリストらしくトップアスリートのメンタルを見せていた。 「MMAに全力でコミットしている」が、周囲からは、2028年のロサンゼルス五輪での活躍も期待をかけられている。 「アメリカ合衆国のために、しかも自国開催でまた金メダルを獲れたら素晴らしいことだろうね。それが可能かって? 100%可能だ。僕の身体能力とワークエシック(労働倫理)があれば間違いなくできる。周りの人たちと、それが正しい選択かどうかを来年あたりに話し合うことになるだろう。今でもレスリングはしているし、以前よりも動きは速く、体も強くなっている。今マットに上がっても世界を圧倒できる自信がある。だから、そのドア(五輪への道)は閉まっていないよ」とLA五輪に向けてのレスリング復帰の可能性も語っている。 (C)APFC “ゲイブルグリップ”で有名な伝説のレスラー、ダン・ゲイブルにちなんで母親から付けられたゲイブル・ダン・スティーブソンは、この2年間をどう過ごすか。 「『ヘビー級を救う男』というラベルを貼られているけど、僕には見せるべきものがもっとたくさんある。みんなに見てもらうのが楽しみなんだ」
全文を読む

MAGAZINE

ゴング格闘技 NO.342
2026年1月23日発売
元王者モレノを下した平良達郎。2.8 UFC連勝目指す堀口恭司。朝倉未来をTKOのシェイドゥラエフ、サトシ撃破のノジモフのロングインタビュー。【40周年対談】佐藤ルミナ×鈴木千裕、武尊×野杁正明も
ブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリアブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリア