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レポート

【UFC】アンカラエフがペレイラに5R判定勝ちで新ライトヘビー級王者に、ゲイジーがフィジエフとの再戦制す、バハモンデスが一本勝ち、鶴屋怜が初黒星で連勝10でストップ、Z世代対決はヴァンが判定勝ちで3連勝に。『ONE PIECE』リアル“ルフィ”が衝撃KO勝ちで「日本、海賊王におれはなる!」

2025/03/09 09:03

▼フライ級 5分3R
〇ジョシュア・ヴァン(ミャンマー/米国)13勝2敗(UFC6勝1敗)※選手名からインタビュー
[判定3-0] ※30-27×3
×鶴屋怜(日本/THE BLACKBELT JAPAN)10勝1敗(UFC1勝1敗)※選手名からインタビュー

 鶴屋は、2023年の『ROAD TO UFC』で優勝し、2024年6月のカルロス・ヘルナンデス戦でUFCデビュー、判定3-0で勝利した鶴屋は、UFCフライ級最年少の22歳。

 当初、2月9日の『UFC 312』豪州大会で地元のスチュワート・ニコルと対戦予定だったが、ニコルが負傷欠場。「相手の怪我で試合なくなりました。僕はいつでも用意はできてます」と、調整を続けていくとし、陣営はフライ級ランカーの欠場があった場合のバックファイターとして出場する準備があることをUFC側に伝えていた。

 そんななか、3月8日にジョシュア・ヴァンと対戦予定だった13位のブルーノ・シウバが欠場。当時15位のヴァンの相手として、無敗でランキング外の鶴屋との対戦が決定した。

 フライ級では鶴屋に次いで2番目に若い23歳のヴァンは、UFC5勝1敗で、2連続判定勝ちだが、MMA12勝中6つのKO・TKO勝ちを誇るストライカーだ。2連勝中の23歳。ヴァンにとって、自分より若い選手とUFCで戦うのは、1歳下である今回の鶴屋が初。

 黒星は、3年前のFury FCでのキャリ3戦目のリアネイキドチョークでの一本負けと、2024年7月のUFCで強豪チャールズ・ジョンソンに3R 右アッパーカットでの逆転KO負けのみ。その後、エドガー・チャイレス、コディ・ダーデンに判定勝ち。チャイレス戦では自らテイクダウンを仕掛けてグラウンドでも戦えることを示した

 また、朝倉海がパントージャに挑戦した12月のラスベガス大会では、当時14位のダーデンを相手に、2R以降を打撃で圧倒している

 マット・シュネルをニンジャチョークで極めているダーデンのテイクダウンからのバック狙いをケージ際で防ぎ、ヒジを落としてダメージを与えると、間合いを詰めてオーソから右カーフ、得意の左ボディ、左の前蹴り・ヒザを腹に効かせて削り勝ちしたヴァン。テイクダウンディフェンスや組み技が試合毎に強化されており、かつて一本負けした姿はそこにはない。



 2024年6月に一度、平良達郎との試合が予定されていたヴァンをTHE BLACKBELT JAPANとしては、いかに研究していたか。

 サウスポー構えの鶴屋にとっては、ヴァンの近い間合いにさせない距離設定から、いかにアプローチしてグラウンドに持ち込むか。パウンドも強いヴァン相手にボトムは避けてトップから攻めてバックを奪いたいグラウンドとなる。

 これまでで最強のストライカーに挑むチャレンジマッチとなる鶴屋は、現在、MMA&元K-1選手の才賀紀左衛門から打撃の指導を受けており、才賀は鶴屋の才能を高く評価している。

 UFC史上初の2000年代生まれ同士の対決は期待のマッチアップであるとともに、フライ級15位から先週外れ再び順位を上げたいヴァンと、いち早くランク入りを目指す鶴屋の互いに大事な一戦となる。フライ級の両者の対戦は、プレリミナリーのメインにセットされた。

 鶴屋怜のセコンドには、THE BLACKBELT JAPANの鶴屋浩代表と岡田遼、才賀紀左衛門。ヴァンはオクタゴン持ち込みが再開されたミャンマー国旗を背に入場。



 1R、
サウスポー構えの鶴屋にオーソのヴァン。グローブタッチ。喧嘩四つで前手を触る両者。低いシングルレッグを切るヴァン。すぐに2度目に入る鶴屋は四つに組んで押し込み。差し返して突き放すヴァン。

 テイクダウンプレッシャーを見せた鶴屋。ヴァンは構わず圧力をかけて右から左。見えている鶴屋は回ってシングルレッグからケージに押し込み。四つも、差し返すヴァンが落ち着いて体を入れ替え離れる。

 右前蹴りで詰めるヴァンの右をかわして組む鶴屋。両差しで押し込むと、場内はブーイング。ケージ背に差し返して突き放すヴァン。右ハイをかわした鶴屋。右を突くヴァン。鶴屋は右前手を合わせに行く。シングルレッグの動きから得意の外無双で引き手を掴んで倒した鶴屋だが、ヴァンはフックガードから左を差して背中を譲らず立ち上がり、右ミドル。

 詰めるヴァンは右ハイ! もらった鶴屋だがシングルレッグで尻を着かせて両足を束ねに。金網に上半身を立てているヴァンは左を1発被弾しながらも手を着いて立ち上がり左ヒジを見せてホーン。ヴァンのラウンドに。



 2R、
中央を取るヴァン。打撃は交換せずシングルレッグの鶴屋は四つでクラッチし、後方にそり投げも最後にヴァンの身体が抜けてスタンドに。なおもシングルレッグの鶴屋は左足を持ち上げ股を潜り、背中を見せて片足立のヴァンのバックを取りたいが、ケージに向かうヴァンは足を抜いて正対し鶴屋を突き放す。

 左は空振りの鶴屋、右ジャブを突くが、構わず圧力をかけるヴァンにダブルレッグから右手を掴んで一本背負い! 背中を着かせた鶴屋は自身の腿を掴んで袈裟固めから左のパウンド。さらにVクロス狙いも首抜き立つヴァン。その際でバックを狙う鶴屋だが、ヴァンは足を組ませず立ち上がり。

 ヴァンの圧力に鶴屋はシングルレッグも切るヴァン。右で詰めるが、まだかわしている鶴屋は右関節蹴り。シングルレッグからケージに押し込むもヴァンは突き放す。ワンツーを突き、ヴァンの左をスウェイでかわす鶴屋。

 歩いて追うヴァンは右をヒット! シングルレッグからケージ押し込むが、離れ際にバックフィストの鶴屋だが軸がブレるように。打ち合いから右を被弾。再びのバックフィストをかわしたヴァンが詰めて右も、右にかわした鶴屋。ホーン。このラウンドでテイクダウンしパウンドした鶴屋だがニアフィニッシュはならず、ヴァンのラウンドか。



 3R、
打撃を交換せずすぐにシングルレッグ、切られてもダブルレッグも、顔を剥がしたヴァンが前に。

 なおもシングルレッグの鶴屋を潰したヴァンが鉄槌。離れる鶴屋。追うヴァンはダブルレッグも両足を広げて後方に飛ばすヴァンはスプロール。離れる鶴屋は力を使っている。追うヴァンの右前蹴りがローブローに。音が鳴る。中断。

 ブーイングのなか、再開した鶴屋。シングルレッグからケージに押し込み、ダブルレッグも尻はつかないヴァン。右足をかける鶴屋を剥がして立ったヴァンが前に。

 ワンツーの左の鶴屋。詰めるヴァンに左回りの鶴屋。右を打って右回り。さらに左もかわすヴァンはジャブから追う。鶴屋のバックフィストもかわし、「跳びヒザ」の声にも高く飛べず。

 ワンツーの左を突く鶴屋。圧力をかけるヴァンは再び右前蹴りがローブローと股間を押さえるが、スローで腹部と判断され、すぐに再開。左から右のヴァン。鶴屋の左は空を斬る。ヴァンが左を当てて鶴屋に片手を着かせ、右前蹴りを腹に突いてホーン。

 判定は3-0(30-27×3)のフルマークでヴァンが勝利、UFC3連勝をマーク。鶴屋のテイクダウンの85%を切る進化を見せた。鶴屋はキャリア初黒星、連勝が10でストップ。元ランカーの壁に跳ね返される形に。課題は明確な鶴屋、まだ22歳でMMAキャリアの次のステージに向かうべく、オクタゴンのなかで研鑽を積んで行く。

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