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2025年12月13日(日本時間14日)、米国ラスベガスのUFC APEXにて『UFC Fight Night: Royval vs. Kape』(U-NEXT配信/UFC Fight Pass)が開催され、メインイベントのフライ級で元RIZINバンタム級王者で現UFCフライ級6位のマネル・ケイプ(アンゴラ/ポルトガル)が、2位のブランドン・ロイヴァル(米国)を1R TKOに下し、王者ジョシュア・ヴァンに挑戦をアピールした。試合後のケージ内インタビューに加え、バックステージにスーツ姿で現れたケイプの会見全文を紹介したい。
このメイン前に2月7日(日本時間8日)米国ラスベガスのUFC APEX大会にて、5位アミル・アルバジ(イラク)vs. 8位の堀口恭司(日本)の試合が発表された。堀口は、「次戦が決まりました。アミル・アルバジ選手と対戦します。前回からすぐオファーをもらい受けました。前回に続きいい勝ち方をしてタイトル戦線につなげたいと思います。やったりやす!」と意気込みを語っていた。
9日の新ランキングで、ブランドン・モレノにTKO勝ちした平良達郎はフライ級3位にランクアップ。王者はアレシャンドレ・ パントージャに負傷TKO勝ちしたジョシュア・ヴァン。1位パントージャ、2位にロイヴァルがランクアップ、3位平良、4位モレノ、5位アミル・アルバジ、6位マネル・ケイプ、7位アスー・アルマバエフ、8位堀口恭司、9位ティム・エリオット、10位スティーブ・エルセグ、11位アレックス・ペレス、12位タギル・ウランベコフ、13位チャールズ・ジョンソン、14位ブルーノ・シウバ、15位ロニー・カヴァナと発表されていた。果たして、週開けのランキングはどうなるか?
▼フライ級 5分5R ※選手名からインタビュー
〇マネル・ケイプ(ポルトガル)22勝7敗(UFC7勝3敗)※UFC3連勝3KO
[1R 3分18秒 TKO] ※右フック→パウンド
×ブランドン・ロイバル(米国)17勝9敗(UFC7勝5敗)
両者は当初、2025年3月に対戦予定だったが、ロイバルの負傷欠場で試合はキャンセル。続けて、6月の『UFC 317』で仕切り直しの一戦が組まれたが、今度はケイプが右足骨折により欠場。今回が3度目のマッチアップだった。
ESPN-UFCの最後の試合に出場するロイバルは、23年12月に当時王者のアレシャンドレ・パントージャに挑戦も判定負けで王座獲得ならず。その後、元同級王者のブランドン・モレノ、平良達郎に連勝したが、6月に負傷欠場したケイプの代役で先週、新王者となったジョシュア・ヴァンに判定負けを喫していた。33歳。
ケイプは、2019年12月に朝倉海を2R TKOに下して2021年2月からUFCに参戦も、のちの王者パントージャ、マテウス・ニコラウを相手に2連敗。しかし、そこから怒涛の4連勝をマークし、2024年7月にムハンマド・モカエフに敗れたものの、12月にブルーノ・シウバ、25年3月にアスー・アルマバイエフをいずれも3R TKOに下している。32歳。
アレシャンドレ・ パントージャの王座陥落、ジョシュ・ヴァンの戴冠、平良達郎のブランドン・モレノ撃破、そして堀口恭司のUFC復帰戦勝利と5位アルバジ戦の決定──。激しく揺れ動くUFCフライ級のトップ戦線で、新王者ヴァンに次に挑戦するのは誰か?
会見でロイヴァルは「平良やジョシュアら若い選手たちを見ると“クソッ、上手すぎるだろ”って思う。俺たちも一緒に練習してるけど、彼らは年齢の割に完成されすぎてる」と新世代のフライ級の脅威を語りながらも、王座戦争いについては、「俺は現チャンピオン(ヴァン)と“今年のベストバウト級の試合”をした。3Rで記録を作ったんだから、5Rではどうなるか、誰もが見たいはずだ」とケイプに勝利し、ベルトを巻くことが目標だと語り、一方のケイプは「平良に勝ったロイヴァルを俺が簡単に見せてしまえばいい。そうなれば、もう疑いようがない。この試合で『誰が次の挑戦者か?』という話は終わりで、『俺がその男』だってことを証明するだけだ」と自信を見せ、「日本では俺の存在は大きい。堀口とのタイトルマッチを日本でやりたい」としている。
Manel Kape (@ManelKape) ties Joseph Benavidez for the most knockouts in UFC flyweight history with five at #UFCVegas112.
— UFC News (@UFCNews) December 14, 2025
Kape also ties Gautier, Morales, Murzakanov and Topuria for the longest active UFC knockout streak with three consecutive KO/TKOs. pic.twitter.com/oZlYS4LIXc
1R、サウスポー構えのモレノ。オーソのケイプは右を当てて、スイッチを繰り返す。前に出るのはケイプ。サウスポー構えで左ロー。ロイバルも左カーフを当てる。オーソに変えてスイッチのケイプにインローを当てるロイバル。さらに右の前蹴り。ケイプも左ロー。
今年のラストファイト・・・マネル・ケイプが1ラウンドTKO勝利👏@ManelKape
— UFC Japan (@ufc_jp) December 14, 2025
👊 #UFCVegas112 pic.twitter.com/jdwfdaXgxF
右ミドルのロイバルにキャッチのケイプ。左ミドルも嫌ってキャッチも足を戻すロイバル。中央でどっしり構えるケイプ。ワンツーで前に。ロイバルは左右の蹴り。ケイプは右ボディを当てるとワンツーの連打で前に! ロイバルをケージに詰めてサウスポー構えから前手の右をヒットさせるとロイバルはダウン! すぐに起き上がってきたロイバルを首相撲で引き落としてさらに右パウンド連打でレフェリーが間に入った。
HE WILL NOT BE DENIED.@ManelKape ends 2025 with a show-stopping R1 TKO! #UFCVegas112 pic.twitter.com/f50LAA8kT4
— UFC (@ufc) December 14, 2025
2位ロイバルにインパクトのある勝ち方をしたケイプ。1位で前王者パントージャの復帰はいつになるか。モレノをTKOに下した3位の平良は現状のランクではケイプより上だが、週明けの発表でケイプは何位になるか。そして5位のアルバジと対戦する堀口も2月8日に勝てば、王座戦線に入って来る。2月22日にはヴァンの地元のヒューストンでUFCが大会開催を決めている。果たしてそこにヴァンは出場するか。そしてその相手は誰になるか?
マネル・ケイプ「俺が足を骨折してなきゃ、今頃チャンピオンだった」
──(マイケル・ビスピンのケージ内インタビュー)君はここに来て声明を出すと言った。世界中に自分が次期ナンバーワン挑戦者であり、チャンピオンになると知らせると。まず第一に、その使命は成功したと思う。
「アッラーに感謝します、すべてに感謝します。そして2つ目。応援に来てくれた全ての人々、私の仲間たちに感謝を伝えたい。
さて、ジョシュア・ヴァン、君が言っただろ。今はお前がベルトを持ってる。もし俺が7月に足を骨折してなきゃ、今頃チャンピオンだったんだぜ、ベイビー。おい、よく聞け。俺はここにいる。お前のパパ、お前の親父が、お前のオムツを剥ぎ取るぜ。新しい契約で生き残る。準備しろよ、お前(地元の)ヒューストンにいたんだろ? 2月(21日)のヒューストン大会で戦おうぜ、お前が望むならな。この契約書にサインしろ。UFC初勝利もそこ(ヒューストン)で掴んだ。俺は必ずそこへ辿り着く。おい、覚悟しろよ。マネル“スターボーイ”がチャンピオンになるためにここにいる。誰も否定できない、誰も俺のベルトを否定できねえ。俺がここ一番だ。俺が最高だ!」
──ゲームプランについて話してくれ。ケージを遮断し、ボディを狙って手を下ろさせ、右フックで爆発させた。
「プランなんてない。我々のハゲタカがケージに踏み込むことこそが計画だ。後は俺がやる。エンターテインメントを。傑作を。全てを彩るんだ。美しい。これは美しい暴力だ。それが俺のやり方だ。お前らはただケージに足を踏み入れろ、後は俺が引き継ぐ。ゲームなんてないんだ。
俺が触れたら、お前らは触れた場所で死ぬ。触れた場所で昏睡状態になる。触れた場所で病院行きだ。誰が何を持ち込もうが関係ない。俺が奴を殺す。この階級に居続ける。俺は実際、この部門で最も危険な男だ。この部門で最も危険な男だ。よく聞け。この会社で最も技術のあるファイターだ。誰も俺のようなことはできない。俺は違う。よく聞け。来るぞ! もう言うことはない」
バックステージでの会見「ボクシングコーチと地味で退屈なこともたくさんやった」
──マネル、おめでとう。
「ありがとう」
──今の気分はいかがですか。
「気分はいいよ。勝ったからね。最高だ」
──3度目の仕切り直しだったロイバルとの章が終わったことについてどう感じていますか。
「ああ、もう終わった。俺はこの試合について、疑いの余地を一切残さなかったと思う」
──水曜日に「傑作を見せる」と言っていましたが、それが今日の試合でしたか?
「それが俺の言ってたことだよ。みんな、もっと俺の言葉を信じるべきだ。俺は言ったことは必ずやる。“簡単に見せる”って言っただろ? そして実際にそうした」
──試合に入る前のゲームプランは?
「ゲームプランは、とにかく冷静でいることだった。彼が嵐のように来るのは分かっていたし、それを受け止める準備はできていた。嵐をさばいたら、そこからノックアウトのチャンスを見つける。それが試合中ずっと頭にあった。彼を決して過小評価はしていない。だから落ち着いて、自分の仕事をしただけだ」
──試合後に、かなり強烈なプロモをしていましたね。もし平良達郎があなたより上だと信じている人がいたら、どう言いますか?
「そんなことを信じてるなら、そいつはMMAを何も分かってない。2+2は6じゃない、4だろ? ブランドン・ロイバルはさっき平良を倒したばかりだ。彼を精神的にも肉体的にも打ち砕いた。でも俺はたった1ラウンドでやった。だから計算してみろ」
──次はいつ復帰したいですか?
「できるだけ早く。今感じているこの感覚を、また味わいたい。本当の祝杯は、ベルトを腰に巻いた時だ。UFCが俺をブッキングするなら、いつでも行く。俺は出て、戦って、勝つ。そしてベルトを獲る。ケガもないし、試合も短かった。すぐにでもまた行ける」
──もしタイトルマッチになった場合、どうやって勝つと思いますか?
「それはもうずっと前から頭にある。彼をノックアウトする。奴らには俺を止める手はない。5Rなら時間をかけられるし、ゆっくり構えて、自分のペースで輝ける。でも相手がミスをしたら、1Rで終わらせる。最初は相手を料理して、2R目で仕事を片付けるつもりだ。何も変わらない」
──最近、アルチョム・クズミノフ(ウクライナ出身のUFCコンディショニング&ボクシングコーチ)というトップレベルのボクシングコーチと練習していますね。今日の勝利にどう影響しましたか?
「俺は2歳からボクシングをやってきた。だからアルチョムと組むことは素晴らしかった。基礎に戻って、ディフェンス、ミット、集中力を徹底した。本当に素晴らしかった。彼は最適なタイミングで現れ、彼とトレーニングしたのはキャリアの中でも最高の投資だった。俺が彼に投資し、彼も100%俺に投資してくれた。地味で退屈なこともたくさんやった。彼らは多くのドリル、ボクシング、ルーティンに集中するんだ。シャドーボクシングとか、ファイターが嫌がるようなことをね。基本に立ち戻るんだ。これが俺がやったことで、俺を非常に落ち着かせた。あれは全部、積み重ねの結果だ」
──クリスマスの予定はありますか?
「アンゴラでプマンゴル社の大きなプロモーションがある。ガソリンスタンドを回ったり、石油関係の広告をやったり、CEOののイヴァニエルセンとも一緒に動く。国のため、スポーツのためにやる。その後はまた練習に戻る」
──以前、日本であなたがとても人気があるという話をしましたね。平良については「日本では誰も知らない」と言っていましたが、その点については?
「誰も知らない、誰も知らない。信じてくれ、誰も知らないってのは本当だ。でも俺の名前を言えばみんな知ってるって言うよ。俺はUFCを信じている。UFCは賢くて、知性のある会社だ。成功している理由がある。もし賢いなら、俺に投資するべきだ」
──もし日本で、あなたとジョシュア・ヴァンの試合が組まれたら、平良vs.ヴァンより売れると思いますか?
「いや、俺だけでいい。日本ではマネル・ケイプだけで広告になる。日本人ファイターは必要ない。彼らが好きなのはスターだ。スター・ボーイだけだ」
──素晴らしいパフォーマンスでした。ボーナスも確実ですが使い道は?
「投資して、貯金する。娘が大きくなって、大学にも行く。彼女は俺と同じセンスを持ってるからね。ボーナスは彼女のためだ」
──フライ級全体の現状についてどう思いますか?
「なぜあんなに他の奴の話をするのか分からない。俺の試合を見れば分かるだろ。俺はエキサイトメントを持ち込むし、フィニッシュを見せる。俺は退屈な奴じゃない。あいつはただ『アオム・ハッピー』って言うのが上手いだけだ。お前らが何を望んでるのかさっぱり分からない。俺は最高の投資だ。ブランドン・ロイバルはUFCで12試合やって、一度もKOされていなかった(※20年にモレノにTKO負け)。俺が初めて倒した。前の相手(アスー・アルマバエフ)も17連勝中だった。誰も倒せなかったけど、俺がやった。何が欲しい?」
──あなたのCR7(クリスティアーノ・ロナウド)風のセレブレーションについては?
「素晴らしいよ。俺はアンゴラ生まれで、ポルトガルで育った。長くサッカーもやっていた(※ポルトガルのクラブチームのジュニアで活躍)。ルーツを忘れたことはない。アンゴラでも、今は俺がスポーツ界の大きな存在だ。アンゴラで大きなビジネスをして、スポーツを変えていきたい」
──この試合はUFC×ESPNの最後の試合でした。その締めを任されたことについては?
「最高だった。UFCは正しい投資をした。最後に俺を置いた。美しい終わり方だろ? フィニッシュがある。みんなそれが好きだろ」
──試合後、ダナ・ホワイト代表やマッチメイカーから何か言葉は?
「それはマネージャーのアリ・アブデルアジズの仕事だ。でも、みんな俺を見て分かってる。そしてチャンピオンが何も言ってないってのは、ある意味意味深だろ? 奴はもう怖がってる。怖がってるんだ。自分がもうすぐ(王座から)落ちるって分かってるから何も言わないのさ。俺が激しく襲いかかるんだ。2026年、俺はめちゃくちゃ熱い状態で来る。知ってるだろ、俺は多くの投資、多くのスポンサーを連れて行く。もっと準備万端だ。もっと鋭くなる。集中する。人生で気を散らす暇なんてない。毎日、食って、寝て、奴のことを考える。信じてくれ、あの金メダルを掴むまで毎日な。毎日奴のことを考える。奴は寝ても夢にまで俺が出る。奴の人生で最悪の悪夢になる。俺が本気で攻め込むからな。もっと鋭く、もっと集中して、完全に準備して戻ってくる」











