2025年12月13日(日本時間14日)、米国ラスベガスのUFC APEXで開催される『UFC Fight Night: Royval vs. Kape』(U-NEXT配信/UFC Fight Pass)にて、フライ級2位のブランダン・ロイヴァル(米国)と、6位のマネル・ケイプ(アンゴラ/ポルトガル)が、三度目の正直となるメインイベントに挑む。
▼フライ級 5分5Rブランドン・ロイバル(米国)2位 17勝8敗(UFC7勝4敗)マネル・ケイプ(ポルトガル)6位 21勝7敗(UFC6勝3敗)※UFC2連勝2KO
photos by Zuffa LLC/UFC
両者は当初、2025年3月に対戦予定だったが、ロイバルの負傷欠場で試合はキャンセル。続けて、6月の『UFC 317』で仕切り直しの一戦が組まれたが、今度はケイプが右足骨折により欠場。今回が3度目のマッチアップとなる。
ESPN-UFCの最後の試合に出場するロイバルは、23年12月に当時王者のアレシャンドレ・パントージャに挑戦も判定負けで王座獲得ならず。その後、元同級王者のブランドン・モレノ、平良達郎に連勝したが、6月に負傷欠場したケイプの代役で先週、新王者となったジョシュア・ヴァンに判定負けを喫していた。33歳。
ケイプは、2019年12月に朝倉海を2R TKOに下して2021年2月からUFCに参戦も、のちの王者パントージャ、マテウス・ニコラウを相手に2連敗。しかし、そこから怒涛の4連勝をマークし、2024年7月にムハンマド・モカエフに敗れたものの、12月にブルーノ・シウバ、25年3月にアスー・アルマバイエフをいずれも3R TKOに下している。32歳。
アレシャンドレ・ パントージャの王座陥落、ジョシュ・ヴァンの戴冠、平良達郎のブランドン・モレノ撃破、そして堀口恭司のUFC復帰戦勝利──。激しく揺れ動くUFCフライ級のトップ戦線で、新王者ヴァンに次に挑戦するのは誰か?
会見でロイヴァルは「平良やジョシュアら若い選手たちを見ると“クソッ、上手すぎるだろ”って思う。俺たちも一緒に練習してるけど、彼らは年齢の割に完成されすぎてる」と新世代のフライ級の脅威を語りながらも、王座戦争いについては、「俺は現チャンピオン(ヴァン)と“今年のベストバウト級の試合”をした。3Rで記録を作ったんだから、5Rではどうなるか、誰もが見たいはずだ」とケイプに勝利し、ベルトを巻くことが目標だと語った。
練習でも平良は強い。あのポジションでモレノは──
(C)broyval
──試合に向けて調子はいかがですか。
「気分はいいよ。ただ……ここちょっと寒くない? まあ自分が(計量前で)ガリガリだからだな。今めっちゃ痩せてるの忘れてた(苦笑)」
──試合に戻ってきて、また数日後にメインイベントを控えている気分は?
「いやー、ワクワクしてるよ。いい1週間だった。フライ級がどう動いているか見るのも最高だったし、それでこの試合に向けて自信も最大限に高まったよ。もう本当に戦って、やるべきことをやるのが楽しみだね」
──マネル・ケイプとのこの章をようやく終わらせる準備はできている? 3回も組まれてきました。
「うん。あいつが引っ込んで、また引っ込んで……で、ようやく実現だ。ついに起きそうだよな。俺はいつも“どうせまたできないだろ”って思ってるんだ。で、次に気づいたら、ウォークアウトしてて“やべぇ、本当にこの試合やるんだな”って感じる。だから、“どうせうまくいかない” みたいな考えを捨てるようにしてるよ。毎回、試合前は“否認の段階”みたいなのを経るんだよ。“何も起きない、どうせ試合にならない”って。でも会場に向かう車の中で“あれ、俺これから本当に戦うんだな”ってなる。
ただ、いつかは戦うと分かってた。ランキングもずっと近かったし。ミック(メイナード)に『ケイプと戦うのはどうか?』と言われた時も『いいよ、日付を決めよう。全員にとって都合の良い日を見つけて、それで決めよう』だけだった。メインイベントにしてくれたことに感謝してる。これはメインイベント級の試合だ」
──今回のファイトキャンプで変えた点は?「うまくいったね。今こうして準備できているのは集中力が高まって、完璧に調整できているからだよ。いくつか修正するところがあった。俺たちは元から対ケイプに向けて良いゲームプランを作っていたけど、時間が増えたことで特定の部分をもっと伸ばせた。3度目の準備だからこそ、大きな成果があった」
──この試合はスタイル的にもすごく興味深い試合ですよね。これは打撃戦になると思う? それとも総合的な展開に?
「多分どこでも起きると思う。でも、きっと殴り合いになるよ。俺の試合がファイト・オブ・ザ・ナイトになるのには理由がある。今回もまた取りに行く時だろうね」
──ケイプは「圧倒してマスタークラスを見せて、次のナンバー1コンテンダーになる」って言ってました。どうとらえてますか。
「俺はただ、歩いて前に出たいだけ。顔を突き合わせて、そいつにリードつけて、ケージの中を犬の散歩みたいに引き回してやるだけだ」
──先週の出来事についてどう思いましたか。アレシャンドレ・パントージャの負傷により、ジョシュア・ヴァンがタイトルを獲って祝って、批判もされましたが。
「俺はああいう状況をキャリアで2回経験してる。相手が怪我した時って、実際に何が起きたのか本当に分からない。ジョシュ・ヴァンは“自分がチャンピオンになった”と実感しただけで、それがどれだけクレイジーな瞬間かってことだ。俺も2回見直して、ようやくパントージャに何が起きたか分かったくらいだし。でも、当人がどうやって状況を完全に理解できる?“勝った”としか分からないんだよ。だから批判なんてしない。あの瞬間は彼の人生を変えたかもしれないんだ。もちろん、あんな形を望んだ人はいないけどね」
──あなたとジョシュア・ヴァンとの試合後の気持ちは? あれは実質的にナンバー1コンテンダー決定戦でした。
「正直に言うと“俺はクソバカだったな”って思ったよ。試合を見返してみて……まあ、公平に言えば、俺は“自分が何をするか” を全員に宣言して、その通りにやったんだ。ボクサーとボクシングしにいった。“ポケット”で戦いたかった。ファンにファイト・オブ・ザ・ナイトを届けたかったし。
試合が決まってすぐ、マネル戦が飛んで、ハンター・キャンベルからメッセージが来たんだ。『君たち、本当に嬉しいよ。この試合を受けてくれて嬉しい。いい試合になるだろう。注目試合に押し上げるよ』って。俺は『OK、ファイト・オブ・ザ・ナイトを取る。記憶に残る試合をする』と言った。実際、インタビュー全部でずっと『ファイト・オブ・ザ・ナイトにする。相手の望む戦い方で戦う』と言った。コーナーは強く反対したけどね。
あと10秒何も起きなければ(最終ラウンドにダウンを喫した)、相手のスタイルで戦って勝ってたかもしれない。でも今は、マネル・ケイプを倒して、取り返すだけだ」
──前に詰めて右ヒザを突いた、そこに右フックを合わせられました。
「俺はステップインニーを1回か2回は出したと思う。倒される前にクロスを当てて、ステップインニーも当てたけど、綺麗に入らなかっただけ。これはいつでも狙える武器だよ。俺は背は高いし、リーチは一番じゃないけど、小さい相手なら頭が俺のヒザの高さにある」
──パントージャとのリマッチを即受けるべき?
「うん。あれは10~15秒の試合だ(26秒)。あんなのはリマッチするべきだよ」
──ケイプに勝てば平良達郎を飛び越えて次に進めると考えますか。
「強烈な勝ち方をしたい。できればヒューストン(2月21日のトヨタセンター大会。ジョシュア・ヴァンの地元)でやりたいね。ヒューストンは大好きだ」
──平良達郎vs.ブランドン・モレノの試合についても。あのストップは早すぎるストップだった?
「早かったとは思う。でもモレノは逃げられなかったと思う。俺たちは平良とよく(デンバーで)練習するけど、あいつは強い。俺もあのポジションになったことがあるけど、最悪だよ」
──この試合はナンバー1コンテンダー戦になる?
「うん。マネル・ケイプ……まあ名前はどうでもいいけど、好きじゃない。でも強い。俺たちはこの階級のベストだし、この試合は技術的にめちゃくちゃハイレベル。褒めるのはそこまでだけど」
──この試合もランキングは上にもかかわらずオッズがアンダードッグです。
「まあ、クソどうでもいいよ。想像してたし。+250とかそんな感じだろ? 俺は賭けないけどな」
──堀口恭司選手のUFC復帰についてはどう感じましたか。
「本音を言えば、Bellatorに置いておいて、俺たちのところに来させるなって感じだよ。冗談だけどな(笑)。あいつは本当に上手い。俺は堀口の大ファンだ。あの試合でアンダードッグ? ありえないだろ。あれは“フリーマネー”だったね。ATTの友達からも彼の強さの話をよく聞くよ。すぐにタイトル争いに絡んでくると思う」
──ケイプとの確執は?
「俺はドラマなんてどうでもいい。誰のことも気にしてない。でも……正直、あいつのこと好きじゃない。リアルな“ビーフ”(ディスり合い)かは知らないけど、好きではない」
──マネル・ケイプのどこが危険ですか。
「彼は本当に速くて爆発的な選手だと思う。それが彼の主なスキルセットだ。彼は速くて爆発的な選手で、他のファイターのほとんどに対して、スピード面で大きなアドバンテージを持っている。そして、彼はそういった面で非常に運動能力が高い。だから、それがおそらく世界のほとんどのファイターに対する彼の最大のアドバンテージだ」
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平良、ジョシュアら若い選手たちを見ると「クソッ、上手すぎるだろ」って
(C)broyval
──フライ級の若い世代について。2000年代」」生まれの選手たちです。今、ヴァンが主導権を握っています。若いファイターが席巻し始めているのを目の当たりにしてどう感じていますか。
「ああ、最近、こういう将来有望な若手選手を見ていると、マジでヤバいって思うんだ。彼らは本当に強い。平良、ジョシュアら若い選手たちを見ると“クソッ、上手すぎるだろ”って思う。俺たちも一緒に練習してるけど、彼らは年齢の割に完成されすぎてる。俺は元々ファンだから、良いマーシャルアーツなら誰でも応援する。
でも、メキシコ出身の子供みたいに“すごく強い”って言い続けなきゃいけないことってたくさんあるんだよね。イマノル・ロドリゲスがすごく強いってことも知ってる。彼の試合、Fury FCとかを見るのが楽しかった。ジョシュア・ヴァンがFury FCで勝ったのも見たよ。あのショーに行って“この子たちはすごい”って思った。だから、何よりもまず自分がファンだってことを知ってる。格闘技が好きで格闘技を応援する。どんなことでもいい」
──試合に向けて、勝利の鍵は何だと思いますか?
「とにかく奴のケツを蹴り飛ばすことだろ。フィニッシュを狙って、賢く……いや、ちょっとバカみたいに戦うかもしれないけど(笑)やりながら決めるよ。とにかく、とにかく彼をブッ潰すように努力するんだ」
──UFCがあなたたちを今年最後の、そしてESPN最後のメインイベントに選んだのは、どんな気分でしょうか。
「これがESPN最後のUFCイベントを締めくくる試合になるなんて、すごく光栄だ。最近気づいたんだけど、“俺がESPN最後のウォークアウトになるんだな”と思うとクールだね。。ちょっとした歴史の一部みたいな。今年は記録破りの試合とか、そういうのを少し経験できたような気がする。家に持ち帰るのも、まあ、いい思い出になるかな」
──ファイト・オブ・ザ・ナイトのボーナスを5回も獲得した。2026年に向けて、どんな目標を立てる?
「ルイスの母ちゃんをステーキディナーに連れていく(笑)。まあそれは冗談として、本当の目標は、ぶっ飛ばしてタイトル戦線に戻ること。自分がどれだけ強いか、俺の本当の姿を世界に見せつけて、金を稼いでベルトを取ること。デンバーにベルトを持ち帰りたいね」
──さきほど、この階級に新しく加入した選手たちについて話してましたが、2026年にタイトルに返り咲くのが目標だとも。でも今はいくつか障害がある。タイトルに返り咲くには、どんなビジョンを持っていますか。
「堀口恭司がラインを飛び越えるかは分からない。彼は素晴らしいから文句はないけど。でも俺は現チャンピオン(ジョシュア・ヴァン)と“今年のベストバウト級の試合”をした。3Rで記録を作ったんだから、5Rではどうなるか、誰もが見たいはずだ。次の相手候補(平良達郎)にも勝ったことがあるし、土曜に派手な勝ち方をすればかなり良い位置に座れる」
──試合を待つ間、新たなタトゥーも?
「新しいタトゥーは入れてない。回復するのに2週間くらいかかるし、良いアーティストを探すと数年待ちだし、俺のスケジュールは予測不可能だから無理なんだ」
──ホリデーシーズンにどんなことを?
「家族の思い出は、子供の頃にもらったプレゼントの思い出なんだ。つまり、これは協力し合うこと。俺と家族は今、最高の状況にある。デンバー出身でデンバー育ちだから、ホリデーシーズンに地元で数家族のスポンサーをしたり、クリスマス関連のイベントを企画したりする予定だ。ここ数年、成長著しい若者たち、あるいはまだ成長途中の若者たちと一緒に活動できるというのは、本当に素晴らしいことさ。今年で2年目になるけど、数家族をスポンサーすることができた。何があってもやり遂げるつもりさ。マネル・ケイプ戦でボーナスをもらい、スポンサーできる家族が増えれば増えるほど、そういうことも増えていく。これが僕たちが最近始めた一番新しいホリデーシーズンの伝統で、今のところ一番気に入ってるんだ」
──最高だね……チーム名は?
「We're the good guys」