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レポート

【UFC】フライ級5位 平良達郎が2位ブランドン・モレノと対戦、王者パントージャvs.ヴァン、バンタム級王者ドバリシビリvs.ヤン、セフードvs.タルボット、トーレスがドーソンをTKO、ATTダンカンが逆転一本勝ち、バーバーが637日ぶり勝ち名乗りで7連勝、ジアムが6連勝、ターナーがバハボーザを初回KO=速報中

2025/12/07 09:12

▼フライ級 5分3R
ブランドン・モレノ(メキシコ)23勝8敗2分(UFC11勝5敗2分)2位 125lbs/56.70kg
平良達郎(日本/THE BLACKBELT JAPAN)17勝1敗(UFC7勝1敗)5位 126lbs/57.15kg

 平良は修斗世界フライ級王者からUFCに参戦し、オクタゴンで6連勝を記録。24年10月に同級1位のブランドン・ロイバルにスプリット判定で敗れプロ初黒星を喫したが、25年8月の前戦で当時無敗のパク・ヒャンソン(韓国)に2R リアネイキドチョークで一本勝ち。試合後に王者を含む上位陣との対戦をアピールしていた。MMA17勝(5KO・8一本)1敗。25歳。

 対する2位のモレノは、メキシコ人として初めてUFCのベルトを巻いた元王者。21年にデイブソン・フィゲイレードにリアネイキドチョークで一本勝ちし初戴冠。翌年のラバーマッチでフィゲイレードに判定負けで陥落も、22年にカイ・カラ=フランスとの暫定王座戦で、左ミドルでダウンを奪いパウンドで3R TKO勝ちし暫定王者に。23年には正規王者フィゲイレードに3R TKO勝ちで統一王者となっている。

 23年7月に現王者のアレッシャンドリ・パントージャとの再戦でスプリット判定で敗れ王座陥落し、続く24年2月にブランドン・ロイバルにもスプリット判定で惜敗したが、その後、アミル・アルバジ、スティーブ・エルセグに判定勝ちで2連勝中。MMA23勝8敗2分(5KO・11一本)、UFC11勝5敗2分、31歳。

全局面で強いモレノ、進境著しい平良

 強い寝技を軸とする平良にとってモレノは、ある意味、王者よりも厄介な相手と言っていい難敵だ。

 平良が当初8月に対戦する予定だったアルバジとの試合でモレノは、2R以降を完全ドミネート。最終ラウンドにはアルバジの組みを差し上げて両差しからテイクダウン。立ち際に首相撲から左ヒザを突き上げたまま左フックを効かせるなど、5Rにわたりアルバジを削って完勝。

 25年3月の前戦ではエルセグを左右上下と変幻自在の動きでコントロール、テイクダウンも奪い完勝している。

 オーソながらシャープなジャブ、多彩な左を中心に鋭くコンパクトな打撃と、右オーバーハンド、変則的な際のつなぎの打撃も巧みで、5つのKO・TKO勝ちをマーク。カラフランス戦では走り込んでの左中足蹴りを腹に効かせてKOするなどボクシングだけでなく、パンチから蹴り、テイクダウンに繋ぐ動きにも長けている。

 さらに、パントージャとの2Rでは、モレノがテイクダウンからバックを奪うなど、レスリングの上手さと、寝技でも11の一本勝ちを誇る極めの強さも持つ。三角絞め、ダースと正面からの絞めもあるが、フィゲレードを極めたリアネイキドチョークでは6つの勝ち星を上げており、そのバックを奪うレスリング力、グラップリング力の高さが、MMAのなかで巧みに繋がれている。

 これまで公式戦でKO・TKO負け、一本負けも無く(※2016年のTUF24でパントージャにRNCで一本負け)、8つの黒星はすべて判定によるもの。身長170cm、リーチ178cmは、モレノ・平良ともに同じで、ラスベガスでは、強豪グラップラーのマイキー・ムスメシ、柔術元世界王者のヘナート・カヌートらと練習しており、平良が武器とする寝技でも攻略は容易ではない。スタンドでも頭に手をつけたガードから長い左ジャブ、左の蹴りと懐深く、細かくステップを使い、時に足を止めての打ち合いも出来るモレノからいかに被弾せずにとらえるか。

 パクからダウンを奪うなど近年、急速な打撃の進化と、MMAとしての組技の繋ぎがスムーズな平良は、どの局面でも強いモレノを相手に組技の精度で上回れるか。このところ3試合がメインイベントで5分5Rだった平良だが、今回は5分3R。ほとんどの大会でメインイベンターを務めるモレノも2020年11月のロイバル戦(1R TKO勝ち)以来、約5年ぶりの3R戦となる。そのロイバル戦でモレノは序盤から早い仕掛けでオーバーハンド、バック奪取から凄まじいスクランブル戦でトップを奪い、ロイバルを負傷TKOに追い込んでいるが、いまの平良は初回を落とさない戦いが可能だ。歴戦の兵のモレノの経験値を活かさせない3R戦で2つのラウンドを取るために、いかにバックを奪うか。

 平良にとって2023年7月のエドガー・チャイレス戦以来となるUFC APEX以外の会場・T-モバイル・アリーナのアウェーといっていい大観衆の前で、まだ新世代には黒星が無いモレノを破り、王座挑戦に名乗りを挙げられるか。日本格闘技にとっても、今年最大の大勝負が決まった。

 前日計量で平良は、126ポンド(57.15kg)の王座戦以外のプラス1ポンド規定のジャストでパスし、『進撃の巨人』の「心臓を捧げよ!」の敬礼ポーズで大一番への覚悟を見せた。

 また、9時間後の観客の前での公開計量では、すでにリカバリーに入っている身体で体重計の上で『NARUTO』のポーズ。モレノとフェイスオフをかわしている。

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