ダナ代表「試合が終わった直後から、我々は日本を考えていた」
20代のアジア人同士のUFC世界フライ級タイトルマッチを日本で──その可能性をダナ・ホワイトUFC代表は、口にした。
「パントージャはヒジじゃなく肩が外れた。バックステージで元に戻したんだ。今はMRIで靭帯の状態を確認する必要がある。私は医者じゃないけど、彼がすぐに復帰するとは思えない。復帰前には(ヴァンの)防衛戦があるだろう。時間が必要だ。回復過程の話だけど、靭帯損傷は骨折より厄介な場合が多い。まずそこから回復し、打撃を再開するまでにどれだけの期間が必要か。だから復帰には調整が必要だろう」と、前王者のパントージャの回復は時間がかかると予想。ダイレクトリマッチより、新たな相手との王者の防衛戦になると展望を語る。
その舞台はどこになるか。
ヴァンにとっては、王者として祖国を代表することが試合への大きなモチベーションになっている。しかし難民キャンプを経て米国入りしたヴァンにとって「凱旋」は難しい状況だ。
「次の試合はどこでやりたい? ミャンマーかその近くで?」と問われたヴァンは、「もちろん、できることなら母国に行きたいよ。だけど政府だったりの問題があって難しいんだ。早くミャンマーに戻りたいとは思っているんだ。だけど……とにかく戻りたいと思うよ」とコメント。
ダナ代表は会見で、ミャンマー人コミュニティが多いシンガポール大会でのヴァンの起用を問われ、アジアでの王座戦の開催の可能性に言及している。
「面白いことに、ちょうど次に何が起こるか話していたところだ。試合が終わった直後から、我々は日本を考えていた。日本には長い間行っていない。だから担当者にはすでに日本の会場を探してもらっているよ。でも、シンガポールも行くよ」と語ると、日本大会でのヴァンと平良のタイトルマッチの可能性について、前向きな姿勢を示した。
「そうだね。いや、そうじゃない(笑)。そういうと『日本大会開催』って見出しが明日出るだろう? ただ、そのアイデアはいいね。素晴らしい考えだ。実現可能かは分からないけど、それはやりたいことだ。チームと話し合う必要がある。日本大会で何が利用可能か、何が実現可能か、解決策を見つけるよ」と、明言した。
これまでも何度か日本開催のプランが持ち上がり、その都度、肯定してきたダナ代表だが、いよいよ26年に具体的にゴーサインを出した形だ。
もちろん難関はある。政府がサポートする中東大会や豪州大会のように、日本大会にもサポートが必須で、UFCはどことタッグを組むか。日本人選手の層が厚みを増し、フライ級では、鮮烈のUFC復帰を果たした堀口恭司や、ヴァンと判定まで持ち込んでいる鶴屋怜の名前もあり、平良達郎の王座挑戦の流れも含め、気運はこれまでにないほど高まっている。
前述のDJは、「(世界で)日本のMMAと言えば、必ず朝倉海や堀口恭司の名が挙がるが、平良達郎の名前は聞かない。だが今や彼は、日本から世界チャンピオンを輩出する次なる選手だと確信している。日本はUFC世界王者を出したことがない。有望な選手はいた。RIZIN王者、ONE王者、DREAMチャンピオンとして王座を勝ち取った選手もいた。だが日本のMMA選手でUFC王者になった者はいない。平良達郎が、今まさにそれになるだろう」と、日本人王者の誕生に期待を寄せる。
2017年9月の『UFC Fight Night: Saint Preux vs. Okami』から実に8年間、UFCは日本で大会を開催していない。
平良は、「それが僕の夢です。日本にUFCを持ってくる。僕がそれをしたい。そのために、もっとプッシュし続けなければならないと思っています」と語り、「日本人初のUFC王者に?」と問われ、「Yes、I Will be Champion, soon(もうすぐチャンピオンになります)」と、力強く語った。果たして、その舞台はいつどこになるか。
【追記】9日の新ランキングで、平良はフライ級3位にランクアップ。王者ヴァン、1位パントージャ、2位にロイヴァルがランクアップ、3位平良、4位モレノ、5位アルバジ、6位マネル・ケイプ、7位アスー・アルマバエフ、8位堀口恭司、9位ティム・エリオット、10位スティーブ・エルセグ、11位アレックス・ペレス、12位タギル・ウランベコフ、13位チャールズ・ジョンソン、14位ブルーノ・シウバ、15位ロニー・カヴァナと発表された。
12月13日(日本時間14日)には、2位ロイヴァルと6位ケイプのランキング戦も組まれており、その勝者にも王座挑戦のチャンスはある。また8位の堀口は次戦で誰とマッチアップされるか、注目だ。





