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コラム

【UFC】いかに平良達郎は元王者に完勝したか「もうすぐチャンピオンになる」。そしてUFC日本大会の可能性は?

2025/12/09 16:12

新王者ヴァンとの対戦は「裏では決まりました(笑)」

 続く、フライ級のタイトルマッチは意外な結末だった。

 UFC8連勝中の“絶対王者”アレシャンドレ・ パントージャが、開始早々打ち合いの凄まじいプレッシャーをかけながら右ハイを打つが、その蹴り足を肩口で掴んで前に倒したヴァン。パントージャは、スクランブルのためか受け身を取らず、手のひらを外側にむけてマットに着いたため、左肩を脱臼。すぐに「続けられない」と右手を小さく振り、試合が止められた。

 平良は「正直、残念な試合だったし、両選手ともこの結果を望んでなかったと思うけど、ジョシュア・バンが何か“持ってた”んだろうなっていう風に思うしかないかなって。試合前の予想とかもずっとパントージャ(勝利)と答え続けてきて、でも近くでジョシュア・ヴァンを見ると、本当、何かを持ってる選手だなという風には感じていたので、初めてのアジア人男子UFCチャンピオンを素直に祝いたい」と祝福しながらも、「しっかり決着がついてたら、勝者とフェイスオフがしたかった。僕的には次、ジョシュア・ヴァンとすぐやりたい」と、早期の20代対決を希望した。

 バックステージでは16勝2敗・24歳の新王者とエールをかわしたという。

「ジョシュア・ヴァンとは裏(バックステージ)で会って『おめでとう』と伝えて、『次やろう』っていう風に言って。彼も『いいよ』って感じだったんで、まあ裏では決まりました(笑)」と25歳、同世代の平良は笑顔を見せる。

 ベルトを巻いたヴァンは、「この1週間は“やるか・やられるか”の気持ちで過ごして来た。(序盤の打ち合いは)予想していた通りだった。彼はアグレッシブでチャンピオンの強さだった。勝つつもりだったけど、あんな終わり方は望んでなかった。パントージャが回復したらすぐ再戦したい。彼をリスペクトしているし、最も偉大なファイターの一人だと思う。だから必ず再戦したい」とリマッチを希望しながらも、次期挑戦者については、「誰でも構わない。俺の名は“The Fearless”(怖れ知らず)だ。誰を前に出されようとファイターとして、UFCが決めた相手と戦う」と語っている。

 実は、平良とヴァンの両者は、2024年6月の『UFC302』で、互いの当初の対戦相手が欠場したことにより、一度は試合が組まれている。しかし、その後、両者とも別大会へスライド出場となった。

 ヴァンは「達郎は素晴らしいパフォーマンスだった。クレイジーだよ。彼とは必ずぶつかると思っていた。達郎とは遅かれ早かれ戦うことになる」と、プロスペクト対決を必然とし、会見で「2人がこれだけ成長したことを考えると試合への対策は去年と違うものになる?」と問われ、「去年やってもブッ飛ばしてたよ(笑)。同じことだ」と笑顔を見せた。

 ヴァン同様に、平良にもパントージャ戦の思いがあった。

「今回、モレノとの戦いもすごく嬉しかったけど、僕は(同門の扇久保博正が出場した)TUFシリーズを見て、UFCフライ級をどんどん知っていったから、次にヴァンと戦ってベルトを獲ったら、パントージャと戦いたい」という。

 試合後、UFC解説のマイケル・ビスピンは、ヴァンの次の挑戦者は平良達郎になる、という。

「(ケージインタビュアーの)ジョー・ローガンがマイクで言ったように、王座挑戦に達郎を入れても大丈夫だ。ヴァンの次なる対戦相手となる。達郎はブランドン・ロイヴァルに敗れたが、ジョシュア・ヴァンはロイヴァルに勝っている。彼には対戦相手が必要だ。ブランドン・モレノは平良にストップされたばかりだ。だからジョシュア・ヴァンと平良の試合だ。2026年中にパラマウントで放送される予定だ」と、米国では新たにPPVではなく視聴が可能となる初年度に、ヴァンと平良の王座戦が組まれると予想した。

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