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2025年12月6日(日本時間7日)米国ネヴァダ州ラスベガスのT-モバイルアリーナにて『UFC 323: Dvalishvili vs.Yan 2』(U-NEXT配信/UFC Fight Pass)が開催され、フライ級で5位の平良達郎(日本/THE BLACKBELT JAPAN)が2位のブランドン・モレノ(メキシコ)と対戦。2R 2分42秒、平良がパウンドでTKO勝ちし、同日のフライ級王座戦でアレッシャンドレ・パントージャ(ブラジル)に1R 負傷TKO勝ちしてアジア人男子初のUFC世界王者となったジョシュア・ヴァン(ミャンマー)への挑戦に大きく近づいた。
これまでKO・TKO負けも一本負けも無い元王者を、平良はいかにフィニッシュしたか。そして、待望のUFC日本大会、日本人初のUFC世界王者誕生の可能性を探った。
▼フライ級 5分3R
〇平良達郎(日本/THE BLACKBELT JAPAN)18勝1敗(UFC8勝1敗)5位 126lbs/57.15kg
[2R 2分42秒 TKO] ※パウンド
×ブランドン・モレノ(メキシコ)23勝9敗2分(UFC11勝6敗2分)2位 125lbs/56.70kg
メキシコ系ファンも多いラスベガス。23年6月のエドガー・チャイレス戦以来の有観客、T-モバイルアリーナで平良はブーイングで迎えられた。メキシコルーツのファイターをことごとく倒してきた平良。モレノの入場には大きな歓声が沸いた。
S&Cトレーニングの効果もあり、モレノと向かい合うと身体・フレームの大きさを感じさせる平良。
1R、ともにオーソドックス構え。中央の取り合いはモレノ。左ジャブを低い手の位置の構えから打つ。
「自分の攻撃、パンチ、キックが当たれば、ダメージを与えられると分かっていました」という平良は、そこに左からシャープな右を打ち込む。日米で対ストライカーを想定したトレーニングパートナーを用意し、大橋ジムの井上浩樹氏が沖縄でも平良のボクシングをチェックしてきた。その成果が平良のスタンドに表れている。
モレノはテイクダウンを警戒し、腰を引いて、頭を前に出す構え。構えが大きくパンチが伸びる平良だが、打ち下し気味になるため、頭の上を抜ける。また、モレノもテイクダウンディフェンスの低い構えのため、得意の足さばきがいつもより少ないのは、平良にとって奏功したか。
最初のダブルレッグは切ったモレノに、右ヒザのフェイントの平良は詰めるとモレノは近距離で左フック。それをダックでかわした平良はそのままダブルレッグへ。平良は右腕を深くハイクロッチで股下に差し込む、得意の動きも、右腕で差し上げているモレノはそのままかちあげてクラッチさせず。またいでバックに。背中を取らせず一瞬、仰向けになった平良が上体を起こしてきたところに横三角を合わせてきた。
頭がケージに詰まり、角度も作れないモレノだが、三角を解かない。
このとき平良は、「予想してない1Rではありました。1Rから飛ばす予定はあったけど、モレノも絶対、ロック(三角絞め)放さなかった。でも、キツい体勢だったのはモレノだったんで、まあもう仕方ないというか。普段は自分が三角を仕掛ける側だけど、あんなに長くされたのは初めてかもしれない。足を引きつけられて股の下でロックされた時に、“あっ、このチョーク、横三角を知ってるんだ”と思って。だけど、頸動脈、首の呼吸は確保できていたので大丈夫でした。タップ? NEVER!(ありえない)。
“僕がフィニッシュされる”っていうプレッシャーを感じなくて。上手く脱出したいと思ってたけど、試合であんまりなったことがないようなポジションでもあったので、慎重になった部分もあって。モレノがずっと絞め続けていたので、僕も強引に動けず、ちょっと相手にスタミナを使わせる方向に途中からチェンジした」と、一見、捕まったかに見えた場面でも冷静だったという。
通常の三角とは異なる側で足を組むモレノ。平良が中腰でケージまで押し込むと、モレノは下から平良の右足を抱え、平良は三角に組まれたまま左の細かいパウンドを打つ。右ヒザ裏でのロックに小さくスラムした平良だが、左手で右足を引き寄せていたモレノは、左ヒザ裏で足を組み直しての三角に。中腰のまま平良は左で細かいパンチを横腹に打っていた。
「絶対に極まらなかったし、あの状態が危ないとは思わなかったけど、本当にすごいブーイングが聞こえてたのと、この状況でどうやって1Rのジャッジを僕のラウンドにしようかとずっと考えていた。あの状態で下手に動きようもなかったので、セコンドの声を聞いて、“ここからどんどんギアを上げるしかない”って」
両手で平良の足を草刈りでいったん崩して片ヒザ立ちにさせたモレノだが、すぐに中腰に戻す平良。頭を抜くとパウンド。モレノの立ち上がりにがぶり、ヒザ蹴りを左右から突き放して初回終了のホーンが鳴った。






