2026年2月7日の『PFL Dubai: Nurmagomedov vs. Davis』UAEドバイ大会を視察した榊原信行CEOが、ロシアでRIZINを放送しているテレビ局OKKOのインタビューで、今後のRIZIN「vs.世界」について語った。また、現地に同行した柏木信吾マッチメーカーが本誌に2026年の海外勢の展望を語った。
ドバイで榊原CEOは、「PFLのCEOの交代(ジョン・マーティンCEOに)により、RIZINはPFLと良好な関係を築きます。新体制のPFLとは、双方の選手を交換するなど交渉中です。近い将来、MMAファンにとっていい発表をします」と、PFLファイターがRIZINに、RIZINファイターがPFLに参戦する可能性を語った。
また、ロシア人ファイターについても、「もちろん日本のファンはロシア人ファイターを熱烈に支持しています。ヒョードルは日本で今でも非常に有名です。新しいロシアのヒーローを獲得します。まだ発表はできませんが、現在、ロシアの優秀なファイター数名と交渉中ですので、近い将来、新しいロシア人ファイターを発表する予定です」と、ダゲスタン勢を含むロシア人ファイターの参戦を予告した。
RIZINのロシア選手といえば、ヘビー級GPで優勝したアレクサンダー・ソルダトキンが記憶に新しいが、ソルダトキンの今後について問われた榊原CEOは、「もちろん。彼は近い将来、ヘビー級チャンピオンになることを目指していますから、日本のファンは次の試合を望んでいます。そしてヒョードルさん、ぜひ私たちのショーをご覧になってください。前回の大晦日大会には、アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラとミルコ・クロコップが観戦に来てくれました。ぜひ近い将来、会えることを楽しみにしています」と、ソルダトキンとヒョードルの来日に期待を寄せた。
2025年の8大会から26年は10大会を予定しているというRIZIN。25年の大晦日には、2人の新たな外国人王者が誕生し、3階級でベルトが海外に流出したことになる。
◆ライト級イルホム・ノジモフ(ウズベキスタン)
◆フェザー級ラジャブアリ・シェイドゥラエフ(キルギス)
◆バンタム級ダニー・サバテロ(米国)
◆フライ級扇久保博正(日本)
◆女子スーパーアトム級伊澤星花(日本)
※ヘビー級GP優勝アレクサンダー・ソルダトキン(ロシア)※ライトヘビー級(空位)
25年は7月からはフライ級世界GPが開幕し、扇久保vs.元谷友貴による日本人対決が決勝に残ったが、バンタム級では試合中に負傷もあった井上直樹がバンタム級王座陥落。フェザー級では朝倉未来がシェイドゥラエフにTKO負け。ライト級では絶対王者だったホベルト・サトシ・ソウザがノジモフにKO負けを喫している。
その状況を、タレントリレーションを務めるRIZINマッチメーカーの柏木信吾氏はどう見ているのか。2月13日(金)12時からの『RIZIN LANDMARK 13 in FUKUOKA』(4月12日・マリンメッセ福岡)対戦カード発表会見を前に、本誌インタビューの未公開部分も含め、一部紹介したい。
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柏木信吾「格闘家として自分の時間にしっかり投資をしないと、生き残れない階級になってきている」
――いよいよ2026年のシーズンがスタートするわけですが、大晦日はベルトが海外に流出する階級が続出。それを柏木さんはご自身の立場からどう捉え、そこから今年をどう動かそうと考えていますか
「……複雑な心境ではあります」――ただ世界レベルの強い選手がRIZINの中で支持を得て人気を博し、チャンピオンになるという形で興行が成り立つことは、いい形なのではありませんか?
「本当にそうですね。今回アメリカ、プーケット/ウズベキスタンにチャンピオンが生まれたことはプロモーションとしても、業界関係者の中で、つまり選手たちやマネジメントに対してRIZINがすごく浸透する、ひとつの動きとしては素晴らしいものだなと思います。サバテロもATTにベルトを持ち帰り、あのジムには世界中のトップレベルのファイターたちが来るので、RIZINというブランドがしっかりと関係者の中で浸透してきていることに手応えありますし、大晦日が終わってから選手の売り込みがとんでもなく増えました。だからそういった部分では、業界の中での認知が広がっていると、確かに感じています」
――フェザー級王者のシェイドゥラエフの母国凱旋や、ライト級新王者であるノジモフ選手の空港での歓迎ぶりも、世界での認知度に高まりを感じました。
「たしかに、キルギスでのシェイドゥラエフ選手もそうでしたね。ノジモフ選手はタイガームエタイの練習特待生としてプーケットに移住していますからウズベキスタンで活動しているわけではありませんけど、それでも母国であんなふうに迎え入れられていることは、すごくいいことだと思いますよね」
――フェザー級タイトルマッチの結果についてはいかがでしょうか。
「フェザー級は日本人選手にとってはより頑張らないと本当に厳しくなっていくと思います。シェイドゥラエフはもちろん強いですけれど、コレスニックもいますし、ダウトベックや、ノジモフも元々フェザーです。ケラモフも、クレベルもいます。つまり、本当に強い選手たちが群雄割拠する中では生き残りをかけた切磋琢磨が必要で、格闘家として手が抜けないような状況です。海外の選手たちのように“人生を賭けて懸けて強くなるためにはどうしたらいいのか”。シェイドゥラエフにどうやったら勝てるのか。格闘家として自分の時間にしっかり投資をしないと、生き残れない階級になってきていると思います」
――大晦日は、王者と挑戦者の間に大きく差が見える試合になってしまいました。その結果はシェイドゥラエフ選手が成長したのか、元々あれほどだったか……。
「いやあ、成長しました。最初からこんなじゃなかったですよ。連れてきた当初、武田光司戦やアーチュレッタ戦はまだ……」
――つけ入るスキがありましたか。
「そうですね。シェイドゥラエフがRIZINに来てから一番成長しちゃったんじゃないかって、思います。舞台が選手を育てる部分はあるけれど、それが適用したかなと思います。本当に強くなっています」
――この後どうしようとなったときに、久保優太選手があそこまで健闘したことが今になって光ってきますし、これから復帰してくる鈴木千裕選手や、平本蓮選手だったり、秋元強真選手(3.7有明でパッチー・ミックスと対戦が決定)などもどうなるか。
「シェイドゥラエフには向き合った人間にしか分からない圧が絶対あると思っていて。どうやって彼を下げるんだろうなっていう。多分それはストライカーなんじゃないかなと思いながらも同じフィジカル系のケラモフと見てみたいなとか色々と思います」
――あそこまで圧倒的な王者となると、日本でもここまで支持されるのだな、とも感じました。
「そうですよね。すごく歓声も大きいと感じましたし、格闘技ファンも、RIZINファンも、本物の圧倒的な強さを持つ選手に対して魅力を感じてくれるようになったのはありがたいことですし、強豪外国人同士の試合を日本のお客様が夢見れるような時代になってきたかなとも思っています(※榊原CEOはPFL王者とシェイドゥラエフの対戦を示唆)」
――今後、誰がシェイドゥラエフを倒すのか、ですね。
「一体シェイドゥラエフは負けるとしたらどうやって? という気持ちが、彼がこの強さを見せ続けてる以上、必ず出てくると思うんです。それを願わくば、日本人の選手に見せてもらいたいというのはありますよね。実際シェイドゥラエフをどう倒そうかというのもそうですし、目標が高ければ高いほど濃い練習もできるので。シェイドゥラエフを倒す練習をしていれば、コレスニックにも勝てるのではないでしょうか」
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RIZINルールでサバテロが活きる
――バンタム級は新チャンピオン誕生です。
「困りました(苦笑)。太田忍、佐藤将光、井上直樹選手を相手にあれをやりきれちゃうと、誰が対応できるんだろう? っていう……」
――日本勢はここでやられてしまうのかとちょっとショックでした。
「いや、ショックでしたね。井上選手……ギリギリでしたけれど。あの試合は本当に最後の30秒じゃないですか。最後まで戦う姿勢を見せに行ったこと。新しい判定システムでもサバテロ選手だったでしょう。本当に最後まで戦いに行ってサッカーキックからパウンド入って。あれで決めたと言っても過言ではない、サバテロ選手が勝ち取ったベルトだと思います」
――井上選手は、最終ラウンドに切れてしまったのでしょうか。
「肋骨を怪我してしまっていたようです。ただ、井上選手にはぜひ勝ってほしかった」
――サバテロのレスリングのドミネートスタイルもファンに浸透しつつあるなかで、あれも楽しめているのでは?
「どうですかね(笑)。会場の空気的にはテイクダウンされると『またか』って感じもあるかと。固めてヒジでスクランブルもあまりしないときもあるので。ただ大晦日は際(きわ)をちゃんとやるようになりました。テイクダウンして立たれる前提で、離れ際に武器を用意しておくのは良かったと思います。あとはサッカーキックも出せるようになってきたので、たとえばテイクダウンして離れてサッカーキックっていう、KNOCK OUTノUNLIMITEDルールのような戦い方もできるんじゃないかと(※3月7日『RIZIN.52』にKNOCK OUT UNLIMITED王者カルロス・モタが参戦し、伊藤裕樹と対戦)。それを身につけるとだいぶ怖い。RIZINルールならまだサバテロ選手を活かせるし、活かしてもらわないと」
――どうあれ、北米のトップどころと戦ってきた選手ではあります。フライ級はRIZIN GPの決勝含め、日本勢が世界で活躍している。次は、バンタム級です。昨年末にはUAE UAE Warriorsで藤田大和選手が元ONEのリース・マクラーレンに敗れましたし、モンゴル勢の活躍も目立ちます。
「そうですね、だから日本のバンタム級の選手は、世界に行きたいのであれば、サバテロ含め、そこの選手に勝たなきゃダメでしょ、と思います。吉野光選手や野瀬翔平選手があんなふうに(シンバートルに)負けるとも想像もしていなかったですし、その壁を越えないと」
――サバテロ選手自身は福田龍彌選手、後藤丈治選手らの名前を挙げていましたが。RIZINバンタム級王座戦線はどういう展開に?
「挑戦者として、福田選手や後藤選手もいいですね。相性で言えば、僕は安藤達也選手が相性いいんじゃないかなと思うんです。RIZINの日本人選手の中では一番噛み合うんじゃないかと。安藤選手だったらサバテロ相手にスクランブルに持っていけると思うんですよね、タックルの段階で。そこは見てみたいです」
――サバテロ選手以外の海外勢はいかがでしょうか。日本人選手が活躍できる階級としては、フライ級では実際に今世界のトップで戦っている選手がいますが、その上のバンタム級はどうなるでしょう。「RIZINに日本人のバンタム級の選手は多いのですが、海外勢ではスーチョルとジヨンがROAD FCで再戦(3月15日)、アーチュレッタも海外なので、外国人選手をもう1、2人くらいは入れたいです。日本人がほかの海外勢と戦い、サバテロに挑むという分かりやすい競い合いになるのかなと(※3月7日『RIZIN.52』元LFA王者・ジョン・スウィーニーが佐藤将光と対戦)」
――マッチメイカーとして26年の展望を教えていただけますか?
「日本人の格闘家も選手たちも増えていっているなか、何より高みを目指して業界として世界に挑んでいきたいなって思いますよね。僕なんか外国人連れてきて『焼け野原にしてる』みたいなこと言われますけど。最終的にはやっぱりそこにチャレンジしていく日本人を見たいですし、そこに勝っていく日本人が見たいというシンプルなところではあります。自分は格闘家ではないので。でも格闘家たちは強さを求めてやっているわけですから、自分たちから海外に行けないのなら呼んでくるということで、海外のレベルを紹介するような仕事もできればと思います」
2月13日に4.12 福岡大会の会見を発表したRIZIN。新たなジャッジシステム、新王者ノジモフ誕生のライト級、日本人対決となったフライ級なども大いに語った柏木氏ロングインタビューは本誌『ゴング格闘技』NO.342に掲載。