(C)@KleberKoike ゴング格闘技/RIZIN FF
2023年7月30日、さいたまスーパーアリーナで開催された『超RIZIN.2』で、前RIZINフェザー級王者のクレベル・コイケと、Bellatorのピットブル兄弟の間でトラブルがあったことが、試合後の榊原信行CEOの総括で明かされた。
大会後の当日夜には、ピットブル陣営がインスタライブで、リングサイドでトラブルがあったこと、控え室で乱闘があったことなどを公開。
パトリシオはSNSで、一方的に「クレベル・コイケは汚くて卑怯な負け犬だ。戦いの後、私の敗北を祝い、兄と口論した。それから彼は私たちのロッカールームに侵入し、パトリッキーの背中を蹴って逃げた」と告げ、RIZINに対して「こんなファイターはもうあなたのリングに上がるべきではありません」と警告した。
その言葉を受けてニュースでは「蹴って逃走」と各社が報道するなど、クレベルへの批判が集中するなか、クレベルはここまで沈黙してきたが、8月2日にマネージメントを通し、本誌とブラジルのPVTの取材に応じ、ことの真相を語った(※YouTube版はこちら)。
さいたまスーパーアリーナで何が起きていたのか。因縁の発端はどこにあったのか。動画は何をとらえていたのか。なぜこの騒動は起きたのか。前フェザー級王者は今後をどう考えているのか──渦中のクレベル・コイケに聞いた。
あのKOは本当にサプライズで立ち上がったけど、パトリッキーはリング上から──
──今回ピットブル兄弟との間にトラブルがあったことは確かですが、ピットブル兄弟の言葉だけが先行しているのはフェアではないので、クレベル選手の言葉も聞きたいと思います。まず、当日現地にいたのはサトシ選手のセコンドにつくためでしたか。
「はい。いつもお互い助け合っていますので。サトシと一番練習していますから、当然です」
──時系列に沿って確認します。まず、当日の会場入り、もしくはファイトウィークに入ってから、ピットブル兄弟と会う機会はあったのでしょうか。
「ホテルで会っています。試合前にはルールミーティングなどでも会っているし、ホテルのなかでも、何回か会いました」
──その段階では、(YouTubeでピットブル兄弟に触れたことについて)クレームを向こうからつけられたりはしていないのですね?
「その時には何も言われなかったですね、普通に挨拶だけして。試合当日の前半のBellatorパートでサトシの試合が終わった直後も、パトリシオがこちらに来て、『今回は(急なオファーの)試合を受けてくれてありがとう』といった声をかけてくれました。その時もまったく問題は起きてなかったです。サトシが負けて自分は泣いて悲しい気持ちだったときに、挨拶もして。そこに我々の間に何か確執があったなんてとても思えない」
──後半のRIZINパートで、鈴木千裕選手の試合の時にリングサイドで観戦していたのは、RIZINからの要請だったと聞いています。
「そうです、RIZINから頼まれて朝倉未来vs.ケラモフ戦は次期挑戦者としてリングサイドにいないといけなかった。自分の姿をカメラで映すためですね。そういう時、スポンサーたちもいますから、自分はきちんとスーツを着て正装するようにしています。ピットブル戦のためにいたのではなくメインのために席を用意されていて、千裕選手を応援するとかあるいはピットブル選手を応援するとかではなくて、単純にイベントとして、セミから見るように言われ、そこに座っていました」
──1カ月前にクレベル選手は鈴木選手に一本勝ちしていて、もちろん試合後にエールを交わしたりもしていたとは思いますが、だから応援していた、ということではないということですよね。そもそもこのパトリシオvs.鈴木戦が発表された時に、クレベル選手はこの対戦に疑問を呈して「???」と投稿していました。
「そうですね。その時点で分かる通り、この対戦はレベル差のある戦いだと思っていました。全然ピットブルのほうが強いと。それだけにKOは自分にとって衝撃的でした」
──たしかに。衝撃的な1R KOでしたから、場内が一斉に総立ちになっていた状況でしたね。
「そうです。ピットブルたちはまるで自分が『鈴木千裕がKOしたことをお祝いした』というように言っていましたが、あの場にいた人だったらみんな分かる通り、あの試合は本当にサプライズで、会場中の全員が立ち上がりワー! っとなっていました。自分は1カ月前に千裕選手と試合したばかりです。自分が極めて勝っていたのだから、信じられなかった。自分にとってショックな信じられない出来事だったんです。
その状況については、RIZINの撮影チームが自分を撮影していたこともあってその様子は公開されるのではないかと思っていますが、あの瞬間、自分が“ワーッ”て両手をあげている瞬間は撮影されていました。SNSで自分が『悪態をついた』とか、ピットブルを下げるようなことをしていたように言っている人がいるようですけど、全くそんなことしていません」
──そうやってクレベル選手が両手を挙げた姿を見つけて、パトリッキー選手が怒って近づいてきたのですか。
「彼はもともとコーナーにいて、会場が盛り上がった時に自分は手を挙げたのが、向こうから見ると(喜んで)盛り上がっていたように見えたのだと思います。彼らは、それからリングに上がって、倒れたパトリシオを介抱していて、僕らはみんなずっと立ったままでした。すると、リングの方から、パトリッキーが、中指を立てて、それから、お尻を指す、ブラジルでも最も屈辱的なポーズをしてきたんです。そしてパトリッキーが『次はお前だ』と。そういうことをされても、自分は取材のカメラがずっと密着していましたし、ノーリアクションを通しました」
──硬い表情をしていたのは何かあったのかと思いましたが、そういった挑発を受けていたのですね。
「それから自分はカメラマンから質問を受けていたのですが、それから顔を上げた瞬間、パトリッキーを含むピットブル陣営の4、5人が目の前に立っていました。自分達側にはマネージャーのアドと自分しかいなくて、5人くらい向こうのチームが近づいてきていることに気づいていませんでした」