今回の試合で「練り直してくる」のはお互い様
いよいよ、ベルトを取り戻す大一番。
その相手となる牛久は、12月12日に「DEEPフェザー級タイトルマッチ」を神田コウヤと戦い、判定4-1で勝利している。それはスコア以上に僅差の内容でもあった。
「接戦だったと思います。牛久選手が要所要所でトップを取ったり、大技などの攻撃の印象が良かったりしたのかなと思います。お互いにもう一歩踏み込めなかったという試合だったと思います」
接戦のなかでも、得意の前手の左フック、さらに大きな左の後ろ蹴り、オーソドックス構えにスイッチしての右ミドル、前蹴りでペースを握り、終盤に印象に残るテイクダウンを決めた。斎藤戦を経て、落ち着きを増したような王者の動きだった。
「相手によって出す攻撃は変えているのかなと思います。神田選手とはサウスポー同士の試合でしたし、リーチも僕とは違いますから、それ用の作戦を立てたのかなと思います。構えを変えてくることは、自分との前回の試合でも何回かあったので対応できると思います」と、斎藤にとっても、一度直に対峙したことでイメージは出来ているようだ。
「再戦」であることは両者にどう作用するか。
「あまりそこは深く考えないタイプですが、1回試合で対峙しているというのはデカいと思っていて、向かい合ったときに感じるものは、初対戦の選手とは自分の中にデータとして残っているものが違います。それはいい面に働くときも、悪い面で働くこともあると思いますが、再戦が続いても、そこまで硬くなり過ぎずにとは思っています」と、前戦とは戦う上で前提が異なることは間違いないものの、引きずられることなく戦うという。
「向こうの陣営がどういう対策を立ててくるかによりますが、間違いなく前回戦ったときのことをもとに、今回の試合で練り直してくるだろうなと思っていますので、それはお互い様かなという気がします。自分も向かい合って感じたこともたくさんありますので。それを次の試合に活かすということではお互い一緒かなと思います」
松嶋こよみ、ジェイク・ウィルキンスらも練習相手に
互いの動きを知り、それでもなお見せていない引き出しがキーのひとつになる。連戦からの再起戦に向け、斎藤は練習環境の変化も語る。
「試合の勝ち負けでいろいろ選手を取り巻く環境は変わりますが、自分のなかで出来ていることはあります。なので、いますごく試合に向けて集中して向かっている状況なので、精神的にもコンディション的にもいい状況です」
それは新たなスパーリングパートナーの参加だ。
プロ選手が集い、スカイツリー下の“虎の穴”と化している石渡伸太郎率いるCAVEで、「今回の試合に向けて来てもらっている選手、スパーリングパートナーがいますね。対サウスポーという意味もありますし、ほんとうに来てもらっている選手がすごく強い選手なので、緊張感のあるいい練習をさせてもらっています」と、充実の表情を見せる。
その名前を自ら口には出さなかった斎藤だが、陣営によれば、その選手は以前、動画で公開された松嶋こよみと、新たにジェイク・ウィルキンスも斎藤のスパーリングパートナーとして練習に参加しているという。
東京育ちのウィルキンスはTRIBEでMMAを学び、渡米後、米国ジャクソン・ウィンクMMAで修行。アマチュアでベルトを獲得後、日本に帰国し、Fighting NEXUSで河名マストにTKO勝ちするなど2連勝中だ。
次戦でライト級で戦うウィルキンス、そして海外で活躍する松嶋こよみという強力なサウスポーのスパーリングパートナーを得て、確実に斎藤の練習の密度は上がっている。
今回の公開練習の相手を務めた原虎徹や雅駿介ら所属ファイター以外にも、CAVEを拠点とするファイターでは、アキラ(武蔵村山さいとうクリニック/&MOSH)、平本蓮(ルーファスポーツ)、宇田悠斗(総合格闘技道場HOPE)、井村塁(ネクサセンス)らが鎬を削っている。勝利も接戦を落とす試合もあるが、斎藤は、「先日もアキラさんの勝ちだと思って見ていました。自分が勝ってそういう流れを変えられたらいいですね。そういう気持ちは常に持っています」という。