西川大和はグラウンドで下から「首相撲」をしていた
――「VALE TUDO JAPAN」から「VTJ」と続いていく中で、プロ修斗もケージとなり、役割が近づいて行ったと思います。そこで、再び「VTJ」というのは、「対世界」が一番の理由なのでしょうか。
「どの時代も併用していた時代があったと思うんです。ルールしかり、リング・ケージしかり。大事なのは、そこに向かう選手たちの気持ちです。修斗で鎬を削っている選手が『VTJ』で戦うということは、修斗を代表して出ることにもなる。修斗の旗印のもと、“外”に出たときに、何らかのプライドを持って戦ってもらいたい。ある種の“他流試合”に挑むときに、自分が何を背負うか。それが家族であれ、チームであれ、俺が俺のためにやるという個人であれ、その経験は、海外で試合をするときに生きてくるとも思います。やっていることは修斗と同じケージで、ルールもユニファイドで同じじゃないか、と言われると思いますが、僕からするとそこは大きく違う。絶対負けられないというプライドがぶつかり合うから名勝負が生まれるんじゃないかなと思います」
――その“外敵”をどんな選手が迎え撃つこことになりそうでしょうか。
「フライ級の平良達郎、フェザー級のSASUKE、ライト級の西川大和といった、新しく世界チャンピオンになった選手の中から出場可能な選手に外国人選手を当てていきたいですね。コロナが始まって1年8カ月ぐらい、そこが滞ってきましたからね。黒部三奈はどうなるか? そこは迎え撃つべき相手がいるので、ご期待ください(※昼の修斗でSARAMIとの3度目対決が決定)」
――ところで先日、西川選手は、川名TENCHO雄生選手を下からの打撃で降しました。あの稀有なスタイルは、対海外勢にも通用するでしょうか。
「そこも興味深いところでしょう。彼には何か変える可能性があるから、僕は底知れないと思っています」
――西川選手は、強くなるのに「穴を埋める」作業という言い方をしていました。
「例えばいま、カーフキックがあったりするじゃないですか。テイクダウンされないでパンチで行くとか、技術に流行り廃りはある。でも、根本は変わらないと思うんですよ。僕はあの試合を見て感じましたね。“こいつ、首相撲をやってるんだ”と」
――首相撲?
「西川選手は、下になったときに、首相撲が出来ているんですよ。立ち技でも首相撲をやっていたけど、ガードポジションになっても首相撲をやっていた。これ、ガードポジションを取られている側は首相撲が難しいんですよ。下からの首相撲をちゃんとやって潰して勝っている」
――首相撲という大昔からある根本の技術を、寝技のなかでやっていたと! インサイドガードの中、上からだと首相撲はやりづらいですか?
「首を取らなくていけないけど、寝ちゃったらもう取れない。上からパウンドに行ったり、ヒジ打ちもあるけれども、首相撲にはならないんですよ」
――うーん……そして上からの打撃を避けている。何より、足を越えさせない。超えられても戻している。
「根本の技術ですが、進化している。それが“ヴァーリ・トゥード”を冠した大会で、またMMAが進化するんじゃないかなと。西川流ができるのかなと、期待したいです」