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【MMA】超新星・平良達郎が目指す頂──国内フライ級戦線も激化でトーナメント開催へ

2021/07/07 07:07
 2021年7月3日&4日に国内外で行われたMMA大会で、日本人フライ級(125ポンド/56.7kg)ファイターたちの活躍が、話題となっている。世界最高峰を目指す逸材が輝きを見せるなか、国内でもフライ級トーナメント開催の機運が高まってきた。果たして、日本にはどんなフライ級の強豪が揃っているのか。 【写真】群発的なローブローが1発減点の不運もあった堀内佑馬(左)。(C)Legacy Fighting Alliance  まず7月3日の“UFC登竜門“LFAオクラホマ大会では、米国チームオオヤマを拠点とする堀内佑馬が「LFA暫定フライ級王座戦」に出場。5Rの激闘の末、判定2-1で惜敗。日本人初の戴冠はならなかったものの、その頂が遠くないことを示してみせた。  続く4日には、日本で「プロ修斗世界フライ級チャンピオンシップ」が行われ、21歳・無敗の平良達郎が、王者・福田龍彌に挑戦。1R 4分31秒、三角絞めで一本勝ちし、新王者に輝いている。 【写真】9戦無敗で修斗の世界王者となった平良達郎。(C)SUSTAIN/SUSUMU NAGAO 格闘技のバックボーンが無いまま高校からアマチュア修斗を始めた平良は、9戦無敗でチャンピオンベルトを腰に巻き、「沖縄代表として、日本を代表して、修斗を代表して、いろんな強い人たちをバッタバッタ倒していく」と、世界進出を宣言している。 【写真】5月に清水清隆に判定勝ちした宇田悠斗(右)  修斗フライ級戦線は、現在RIZINバンタム級GPに参戦中の扇久保博正がフライ級王座を返上後、新王者・平良を筆頭に、前王者・福田、清水清隆に判定勝ちするなど現在6戦負け無しの宇田悠斗、内藤のび太の実弟・内藤頌貴らが名を連ねており、今後の展開が注目される。 [nextpage] 佐伯繁 DEEP代表「フライ級トーナメントを開催したい」  また、同日に行われた「DEEP 102 IMPACT」でも、フライ級の新星が頭角を現している。 【写真】2020年8月のRIZINで伊藤盛一郎と激闘を繰り広げたDEEP王者・神龍誠(左)。(C)RIZIZN FF  DEEPフライ級では、正規王者の神龍誠が、2019年6月の柴田“MONKEY”有哉戦での戴冠以降、Bellator JAPANでの中村優作戦、2020年8月のRIZINでの伊藤盛一郎戦で勝利しているものの、地元・宮城でのジムオープンのため一時戦線離脱中。2週間に1度、東京に出稽古を重ねており「年内には試合をしたい」と語っている。 【写真】山本聖悟にカーフキックを当てて、右ハイでダウンを奪ったDEEP暫定王者・藤田大和。組みにも定評がある。  そんななか、7月4日のDEEP後楽園大会では、フライ級暫定王者の藤田大和が、ROAD FCでも活躍した山本聖悟にカーフキックを効かせて、右ハイキックでダウン奪取&パウンドで勝利。 【写真】プロ2連勝、19歳の鶴屋怜。猛者揃いのパラエストラ千葉ネットワークのプリンスはまだ育成段階。どんなカードが組まれていくか。  また、第1試合では、パラエストラ千葉ネットワーク・鶴屋浩代表の次男・鶴屋怜が、60kg契約ながら荒木凌をギロチンチョークで極めてプロデビュー2連勝を飾っている。 【写真】安谷屋智弘に逆転一本勝ちの伊藤裕樹はTHE OUTSIDER、ROAD FCを経てDEEP、RIZINへ。プロ8勝1敗だ。(C)DEEP 【写真】修斗で6勝1敗1分け後、DEEPで初陣を飾った本田は怪我からの復帰待ちになる。(C)DEEP  藤田、鶴屋のほかにも、修斗からDEEPに戦場を移した本田良介、RIZINでPANCRASEの杉山廣平を33秒KOに下し、6月DEEPで実力者・安谷屋智弘に一本勝ちした伊藤裕樹、その伊藤に判定勝利している鮎田直人、鮎田に一本勝ちも藤田にTKO負けし戴冠を逃した渋谷カズキ、伊藤には敗れたものの、第7代修斗同級王者の福田に判定勝利し、元ZST暫定王者・坂巻魁斗、GRACHANフライ級王者の松場貴志にも判定勝ちしている安谷屋、2年間試合から遠ざかっている柴田“MONKEY”有哉も「2022年に復帰」を宣言しており、互いに鎬を削り合っている状況だ。 【写真】2020年8月の川原波輝戦でリフトしテイクダウンする越智晴雄。ストロー級からフライ級転向はどう出るか。 【写真】2018年2月のDEEPで元谷友貴と死闘を繰り広げたビョン・ジェウン(右)は再来日なるか。  DEEP佐伯繁代表は、「フライ級が面白くなってきている。来年に優勝賞金200~300万円でフライ級トーナメントをやりたい」と語り、上記の選手たちに加え、元谷友貴と死闘を繰り広げたビョン・ジェウン(※3月に神龍誠と対戦予定もコロナの影響で来日できず)のトーナメント参戦、さらに「越智選手もフライ級でやると思う」と、前DEEPストロー級王者の越智晴雄のフライ級参戦も示唆した。 [nextpage] PANCRASEフライ級暫定王者決定トーナメントを勝ち上がるのは? 【写真】PANCRASEフライ級暫定王座を返上した升水翔兵。 そして、PANCRASEフライ級では、暫定王者の升水翔兵が「柔道時代からの古傷である膝の故障によりコンディションを整える事に専念するため」ベルトを返上。現在、「フライ級暫定王者決定4人トーナメント」が行われている。 【写真】フライ級暫定王者決定4人トーナメントにて。上は秋葉太樹を下した小川徹。下は上田将竜に判定勝利した猿飛流。  5月大会で猿飛流が上田将竜に判定勝利、小川徹が秋葉太樹に判定勝利し、猿飛流と小川徹による決勝が決定。また、ONE参戦中の正規王者・仙三は「いつかは日本で、PANCRASEで防衛戦をしたいという気持ちにブレは有りません」と、統一戦を行いたい意向を示している。果たして、暫定王座のベルトを巻くのは誰になるか。 [nextpage] RIZINもフライ級戦線が活発化 【写真】2020年11月の大阪大会で北方大地に判定勝利した竿本樹生(右)。北方は階級を上げての参戦だ。(C)RIZIN FF  RIZINでもフライ級戦線が活発化している。  DEEP王者・神龍誠を筆頭に、ZSTからRIZINに参戦し中村優作、北方大地を相手に2連勝、MMM12勝連勝中の竿本樹生、RIZINではマネル・ケイプと戦うなど階級上とも戦ってきた伊藤盛一郎、DEEPにも参戦中の伊藤裕樹、6月大会で北方大地と対戦予定だった中村優作、山本聖悟を1R KOに下した村元友太郎も次戦のチャンスを狙っている。  そして、RIZINで川原波輝、村元相手に2連勝も、持病が再発し、闘病中の征矢貴も「クローン病になってから2戦2勝。病気は向き合う事で必ず自分の成長に繋がるし自分の武器になり得る。それを証明する為にも試合で結果を残していきたい」と復帰戦を諦めていない。 【写真】打ち合いの中で左フックを松場に当てる安谷屋(左) 国内メジャー以外でも、GLADIATORフライ級王者NavEを下し、初代GRANDフライ級のベルトを巻いたGRACHAN王者・松場貴志、GRADIATORライトフライ級王者の宮城友一を腕十字に極めている初代FightingNexusフライ級チャンピオンの駒杵崇大らも、RIZIN参戦をアピールしている。 【写真】初代FightingNexusフライ級王者の駒杵崇大。東海大学柔道部出身で、佐藤将光主宰のFIGHTBASEで研鑽を積む。 [nextpage] 「世界」の頂へ そして、海外ではONE ChampuinshipでONEフライ級(※水抜き禁止の-61.2kg)に参戦中の若松佑弥、和田竜光らが頂点を目指している。 【写真】いま最も「世界」に近い日本人フライ級ファイターの若松佑弥。ONE王者アドリアーノ・モラエスに挑戦なるか。(C)ONE Championship 【写真】再戦でフィゲイレードを破ったブランドン・モレノ(C)Zuffa LLC   現在、UFC世界フライ級王者は、メキシコ人初のUFC王者のブランドン・モレノ。  1位が前王者のデイブソン・フィゲイレード(ブラジル)、2位がロシアのアスカル・アスカロフ(7.31 アレックス・ペレス戦)、3位がブラジルのアレッシャンドリ・パントージャ(8.21 ブランドン・ロイヴァル戦)、4位にアレックス・ペレス(米国)、5位にジョセフ・ベナビデス(米国)、6位にブランドン・ロイヴァル(米国)、7位にカイカラ・フランス(ニュージーランド)、8位にホジェリオ・ボントリン(ブラジル)、9位にマット・シュネル(米国)、10位にティム・エリオット(米国)というトップ10の顔ぶれだ(※【追記】元UFCバンタム級王者コディ・ガーブラントがフライ級に転向、12.11 UFCでカイ・カラ・フランスと対戦へ)。 【写真】エンボーファイトクラブ出身で「チベットの鷲」の異名を持つス・ムダルジ。フライ級アジア最高位の13位につけている。(C)Zuffa LLC  続く11位にダビッド・ドボジャーク(チェコ)、12位にブラジルのハウリアン・パイヴァ(7.24 カイラー・フィリップス戦)、13位に初めてアジアからチベットのス・ムダルジがランクインを果たしている。14位がマネル・ケイプに勝利したマテウス・ニコラウ(ブラジル)、15位がアミル・アルバジ(スウェーデン)というフライ級ランキング。 【写真】負傷を押して王座戦に臨んでいた堀口恭司。日本人がオクタゴンでベルトを賭けて戦った試合から、6年が経った。(C)Zuffa LLC  日本がらみでは、扇久保が現3位のパントージャに判定勝ち、10位のエリオットに判定負け。和田が7位のカラフランスに判定勝ち、LFA参戦を決めている田中路教がバンタム級でボントリンに一本勝ちをマーク。そして、堀口恭司が2015年4月にデメトリアス・ジョンソン(DJ)が持つUFC世界フライ級王座に挑戦。5R 4分59秒、腕十字で敗れている。  その後、DJはONEに移籍。堀口はRIZINでバンタム級に転向を果たし、王座を獲得。Bellatorと併せて2冠に輝いている。 【写真】パントージャと戦うマネル・ケイプ。3戦目は8月の予定だ。(C)Zuffa LLC  第2代RIZINバンタム王者として、2021年2月からUFCに参戦したマネル・ケイプは、1階級下げてフライ級でオクタゴンに出場。アレッシャンドリ・パントージャ、マテウス・ニコラウに判定負けを喫するなど苦戦を強いられ、8月7日にジャマイカ系米国人のオデー・オズボーン(9勝3敗)との対戦が決定している。 【写真】平良達郎のプロ10戦目は防衛戦となるか、それとも…。(C)SUSTAIN/SUSUMU NAGAO  世界を目指す平良はこのなかにいかに割って入るか。コンテンダーズシリーズの開催が発表されないなか、アフリカ系選手が少ないフライ級はアジアの選手にとってはチャンスもある階級だが、それでもその頂への道は高く、険しい。しかし、バンタムに続いて人材豊富なフライ級で、日本人世界王者の誕生が期待されるところだ。同時に日本国内でのハイレベルな戦いにも注目したい。
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