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【ONE】“石の拳”リネカーがKO勝利で王者ビビアーノに挑戦アピール、若松佑弥がマクラーレン下し「僕がフライ級で日本人初の王者になります!」、緊急参戦の澤田龍人はリータオとの再戦で判定負け、ホルツケンがJWPをKO!

2021/04/22 09:04

▼フライ級 5分3R
×リース・マクラーレン(豪州)60.80kg, 1.0014
[判定0-3]

○若松佑弥(日本)61.20kg, 1.0210


 ONEフライ級4位の若松は、2019年3月の両国大会でデメトリアス・ジョンソン(DJ)に2Rギロチンチョークで敗れたが、同年8月のマニラ大会でジェヘ・ユスタキオに1R、右ストレートでKO勝利。続く10月の試合でも韓国のキム・デファンを相手に1Rに右手を骨折しながらも判定勝利。2020年11月に約1年ぶりの試合で韓国のキム・キュソンと対戦し、右ストレートで1R KO勝ちを収めている。現在3連勝中で、今回は約半年ぶりの試合となる。

 4月8日に、アドリアーノ・モラエス(ブラジル)がDJを2R KOに下し、フライ級新王者に輝くなか、挑戦権を獲得したい若松にとっては、避けて通れず、そして落とすことができないのが、今回のマクラーレン戦だ。


 試合に向け、青木真也(4月29日にエドゥアルド・フォラヤンと対戦)と個別練習の時間を持ち、トライフォース赤坂で朝倉兄弟を相手に出稽古も行って来た。若松は、「今回すごくキツいファイトキャンプをしっかりやってきました。15分に自分のすべてをケージの中に置いていく覚悟で挑みます」と語ると、米国での中継もある大会に向け、「こんな小さなアジア人でも、スピリットを感じ取ってもらいたいです。アメリカに無い侍魂を見てほしいです」と意気込みを語っている。

 対するフライ級5位のマクラーレンは、元世界タイトルマッチ挑戦者。2016年12月にONEバンタム級(※65.8kg)で王者ビビアーノ・フェルナンデスに挑戦し、スプリット判定で敗れ王座戴冠はならなかった。その後、ケビン・
ベリンゴンにも敗れるも、ONEフライ級(※61.2kg)でアナトポン・ブンラッドにダースチョークで一本勝ち。その後もジアニ・スッバを肩固めで極め、和田竜光に判定勝ちと3連勝。カイラット・アクメトフとダニー・キンガドには判定で敗れたが、2019年12月にゲイリー・マンガットにリアネイキドチョークで一本勝ちし、再起を遂げると、2020年10月にはMMA7勝無敗だったアレクシ・トイヴォネンを1R、強烈な右ヒザ蹴りでKOに沈めている。


 ランクでは若松より下位ながら、上位陣と遜色ない強さを見せているマクラーレン。豪州クリスマス島でムエタイやボクシングを習い、17歳でクィーンズランド州カチMMAでジョン・ウィル&マチャド柔術の黒帯ジェフ・ペリーから柔術も修得。ゴールドコーストのPUMMAでMMAファイターのキャリアを積んできた。


 グラップリングベースながら、近年の打撃の進化は目覚ましく、トイヴォネン戦では、強いカーフキック、サウスポー構えにスイッチしての左ミドル、さらにオーソドックス構えに戻して左レバーブロー、左から右のワンツー、首相撲からのヒザ蹴りでのフィニッシュと、強い組みの圧力を活かした打撃が大きな武器となっている。2020年11月には豪州「The ETU Cup」でボクシングルールにも挑戦し、3R KO負けもコンスタントに試合をこなしている。


 若松戦を前にマクラーレンは、「彼の強みはボクシングだが、柔術に関してはまだ欠けている部分があると思う。“オーストラリアン手錠”をユウヤにかけたい。早いペースの試合になると思う。花火のようにね」と、短期決戦も視野に、グラウンド勝負に分があることを語っている。


 果たして、フライ級次期コンテンダーとなるのは、若松佑弥かリース・マクラーレンか。


 1R、ともにオーソドックス構え。右のカーフ狙いはマクラーレン。若松は大きな右から左と振り前に。マクラーレンは組んでスタンドバックにつくきかけるも、外す若松。さらに若松の左右に組むマクラーレンに若松は小外がけでテイクダウン!


下からのマクラーレンの仕掛けを潰してパウンド。「グラウンド付き合わなくてもいい」という長南亮代表の声に、足を抜いて立ち上がる。


 右アッパーを当てる若松。スイッチするマクラーレンにさらに左ストレートで前に! 両脇を差して押し込む若松。四つに持ち込むマクラーレンは体を入れ替えてダブルタイトルへ。しかし両足を広げて凌ぐ若松はマクラーレンの頭を股に置く。頭を出してテイクダウンを狙うマクラーレン。ボディロックからテイクダウン!


 若松の立ち際をバック狙うが、落とす若松が上に! しかし、スイープしたマクラーレンがヒジを落とし、ゴング。


 2R、サウスポー構えになるマクラーレン。「グラウンドじゃないよ」という長南代表の声。若松はオーソから右ロー。ヒザ着きながらダブルレッグに入るマクラーレンはシングルレッグテイクダウン、すぐにバックテイクも、ここの際を制している若松は落として上に。なおもマクラーレンは足を効かせて立つ。


 その離れ際にヒジは若松! さらに左ストレート! にやりと笑うマクラーレンはダブルレッグから脇を潜りバックテイク、その足を外してまたも上を取る若松! しかしここも足を跳ね上げ立つマクラーレンが詰めるも、突き放す若松。


 スタンド。右を伸ばす若松。マクラーレンの組みを切る若松は右で差して押し込むと離れ際に右ヒジ! 一瞬、動きが止まるマクラーレン。組みに来たマクラーレンを両脇を差して押し込むのは若松。マクラーレンのヒザが股間に入るも若松は気にせず。ここまでマウント奪取のマクラーレン、スクランブルから打撃を当てた若松と、五分に渡り合った両者。最終ラウンドへ。


 3R、最終ラウンド。右を当てる若松。そこにダブルレッグからすぐに脇を潜りバックテイク、そこにすぐに正対する若松。金網まで押し込むマクラーレンは腰で組もうとするがクラッチは組めず。両足を広げ金網背に切る若松!


 スタンド。右のカーフキックは若松! さらに右ストレート。残り3分の勝負。さらに右カーフを当てる若松。前足を変えるマクラーレンは前足にシングルレッグへ。足を外に出して片足立ちで切る若松! さらにマクラーレンはアタックするが、崩しはなく、差し上げる若松。左足を両足で挟むマクラーレンだが、足を戻す若松。左足にシングルレッグはマクラーレンも、再び戻す若松。力を使うマクラーレンは右で差すも、体を入れ替える若松は左ハイ! さらにマクラーレンの低いタックルを切ってがぶりからヒザ! 潰してパウンド連打。立ち上がるマクラーレンを詰めてゴング!


 若松とハグをかわしたマクラーレンは、がくりと腰を落とし、マットに座りこんだ。判定コール前から若松を指すマクラーレン。判定は3-0で若松が勝利! 「心が折れた。ユーヤは強かった。何て言ったらいいか分からない」と語るマクラーレン。4連勝を決めた若松は「まず、寝技がすごく成長したかなと。練習していたので勝負できたかな、と。今後の自信になります。トップランカーを倒したので、とりあえずタイトルマッチをやってアドリアーノ・モラエスを倒して、僕がフライ級で日本人で初めてのチャンピオンになります。サンキュー」と、力強く王座獲りを語った。

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