2021年4月22日(木)の朝9時30分から配信されるONE Championship「ONE on TNT 3」に出場し、豪州のリース・マクラーレンと対戦する若松佑弥(TRIBE TOKYO M.M.A)が、朝倉未来&朝倉海が所属するトライフォース赤坂にて、朝倉兄弟とスパーリング。日本MMAトップ同士の貴重な練習をABEMA「Vlog Vol.1」にて公開した。
本誌の取材に、出稽古のきっかけを「長南(亮・TRIBE TOKYO M.M.A代表)さんから話をいただいて、ちょうど自分もやりたいと思ってたので、いいタイミングだなと」と語った若松。
「朝早いんですよ。自分の生活スタイルと異なるので、そこも真剣な環境なので、それに向けて前の日の夜に寝れなかったりするし、初めて肌を合わせる選手で強いし、そういう意味でも、試合とすごい近いイメージで出来ます」と、慣れない環境下で試合形式に臨む出稽古に意味があるという。
海のシングルレッグに若松は──
スパーリングは大きめのオープンフィンガーグローブに、キックのレガースは着けないマススパーリング形式だが、互いにパンチは抑えながらも当てる形に。
動画では、まずは朝倉海と若松が拳を交えた。
ともにオーソドックス構え。伸びる右を繰り出す朝倉海は、踏み込んでから若松に右カーフの動き。
海の入りにダブルレッグは若松。切ろうとする海の左腕を巻き込んでスタンドバックに回ろうとするが、正対する海は四つに持ち込む。
長身を活かし頭をがぶり払い腰で投げる海。マウントを奪うおうとするが、すぐに起き上がる若松のバックにつく海。若松もすぐに正対する。
若松の右に前手の左フックを狙う海。それを潜り、スッと懐まで詰める若松。今度は海が左右にステップして角度をつけてステップイン。かわす若松も右アッパーを見せる。
貴重な場面は、海の片足タックルだ。
右のフェイントから若松の前足にシングルレッグに入る海。若松に片ヒザを着かせるが、すぐに顔を切り差し上げる若松が逆に詰めていく。そして若松がダブルレッグテイクダウン。今度は海が金網を使って立ち上がると、すかさず若松が左で差して押し込むが、海も左で差し上げて突き放すなど、ケージレスリングを見せている。
スタンドの近距離は若松が左から右のワンツーをヒット。すぐに海は左ボディ、右ストレートで反撃。
「スピードがあるからステップを使ったら(相手は)やり辛いから、もっと動いた方がいい」という海の言葉に、若松は「自分たちで考えて(練習を)やっているんで、自分にはない発想だったりがいっぱいありますね」と感想を語る。
そして、若松は朝倉未来ともマススパーリングを行った。
未来の組み技、若松のスピード
サウスポー構えの未来の左ミドルの打ち終わりに右で飛び込む若松。バックステップでかわす未来。右ボディストレートの若松に、左ボディストレートを返す未来。その打ち終わりに左を入れる若松。
そして未来もいつもは見せない、テイクダウンの動きを公開。
ニータップから左足を取り、左手で肩を突いてテイクダウンを狙ってみせる。ここは切る若松。
未来がオーソドックス構えから右ストレートを伸ばすと、それを掻い潜る若松は、右手で左足を抱え、左手は腰に巻きテイクダウン狙い、それを耐える未来のスタンドバックにつくが、未来もケージ際ですぐに立ち上がり、正対。
スタンドでは、左で入る未来に左フックを当てるが、未来も圧力。そこに左ボディ、右ストレートから組みつく若松だが、階級差がある未来は右で差して押し込み、シングルレッグで左足を持ち上げて軸足を払い若松をこかすと、若松のバックを奪い、引き込む場面も見せている。離れて未来がサウスポー構えに戻したところでブザー。
こうして、濃厚なスパーリングは終了した。あくまでもマスの形だが、実際の動きはさまざまなヒントに溢れており、必見の動画となっている。
トータルで強くなっている。何が来ても負ける気はしない
出稽古後、朝倉兄弟とのスパーリングを「やっぱりトップクラスなので、こんな緊張感ある練習なかなかないです。ちょっと集中切れたら怪我しちゃう。しっかり集中してやらないと」と充実した表情を見せる若松。
「強い人には興味がある。遊びじゃないし、戦うのが仕事なので積極的にアドバイスを聞かないと。そこをちょっと盗みに行っている感じです。『俺はこれでいい』と思ったらお終い。必要ないと思ったらやらなければいいし。そこも戦いですね」と、自身をアップデートすることの必要性を語る。
本誌の取材でも、22日放送のマクラーレン戦に向け、「技術面でも、ああいうトップ選手に直にいろいろ話を聞けて、次戦に向けてのテクニックがまた増えたりして、すごいいい練習になりました」と手応えを語っている。
さらに「2人とも頭いいなって。知能ファイターなのかなという印象で、自分どっちかと言えば、もう考えないで本能で戦うタイプですが、逆に朝倉選手は試合までこうやってと決めて戦うような選手なのかなという印象を受けました」と、戦略家としての朝倉兄弟の印象を語った。
前RIZINバンタム級王者と、フェザー級のコンテンダーを相手に、打撃からのトランジション、ケージレスリングでも渡りあった若松は、次戦に向け「試合みたいな感じで凄いいい練習が出来た。自分はトータルで強くなっているんで、何が来ても負ける気はしない」と自信をのぞかせる。
DJ戦以降3連勝中の若松に対し、マクラーレンも2連勝。強い組み技を誇るが、前戦では首相撲からのヒザ蹴りで1R KO勝利するなど打撃での進化も著しい。
ONEでフライ級(※水抜き禁止の61.2kg)王者を目指す若松はマクラーレン戦に向けて力になったかと問われ、「そうですね。朝倉海選手よりは強くないと思うので」と、本誌の取材に語っている。そして朝倉海も、5月開幕のRIZINバンタム級ジャパンGPに向けて好調な仕上がり具合を見せた。
日本MMAをリードする3人の、越境スパーリングのその後にも注目だ。