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2025年12月21日(日)東京・有明TFTホール1000にて開催される『GRACHAN79 × HELIOSⅡ』の前日計量が20日行われた。岩﨑ヒロユキGRACHAN代表は、「今回、GRACHANらしいカードがここで組めたこと。そして、このタイミングでU-NEXTでGRACHANの初めての配信が決まり、十分、世間にアピールできるお膳立てもできたのかなと思っております。ぜひ皆さん、この試合を楽しみにしてください。よろしくお願いします」と語り、メインとセミの会見が行われた(※試合リポートはこちら)。
HELIOS II 計量結果とインタビュー
2025年12月21日(日)東京・有明TFTホール1000
第2部 17:00開始予定
開場12:40 /開始 13:30
▼GRACHANバンタム級(61.2kg)タイトルマッチ 5分3R
伊藤空也(BRAVE/エターナルMMAバンタム級王者/王者)61.10kg
手塚基伸(シークレットベースドミネート/コブラ会/同級2位)61.05kg
2021年12月の初戦以来、4年ぶりの再戦。
国内外で実績を積み重ね、Eternal MMAのバンタム級ベルトを巻いた日本人王者・伊藤空也。オーストラリア・パースで現地王者を破り海外タイトルを獲得すると、帰国後の「GRACHAN × HELIOS」でTSUNEを撃破し、GRACHANバンタム級王座を奪還した。そして今回、自身初となる防衛戦に挑む。
伊藤の原点は幼少期から培ってきた空手。正確な打撃とスピード、そして試合終盤でも衰えないスタミナを武器に「ROAD TO UFC」での苦い経験を経て、距離感と戦術眼はさらに研ぎ澄まされた。
その伊藤が今回、自らの意思で“逆指名”した相手こそ、かつて彼から王座を奪った男、手塚基伸である。
2021年12月「GRACHAN52」で当時王者だった伊藤は、手塚にわずか1R 52秒、腕十字で敗れベルトを失った。あの屈辱から約4年。海外で王者となり成長を遂げた伊藤が、ついにリベンジの舞台へ戻ってきた。
一方の手塚基伸は、RIZINやGRACHANをはじめ50戦以上のキャリアを誇る技巧派グラップラー。一度組みつけば逃がさない制圧力と、冷静な試合運び、そして極めへの執念は今なお健在だ。ここ3戦はGRACHANでTSUNEに2連敗後、24年10月の前戦「POUNDOUT」で笹晋久に判定負けも、22年10月のRIZINではメイマン・マメドフを三角絞めからのヒジ打ち・パウンドで初回TKOに下す強さも見せている。かつて伊藤を極めた“職人の腕”が、再び火を吹くのか。
打撃と寝技、スピードと経験──両者の武器が真正面からぶつかり合う注目のタイトルマッチ。伊藤にとっては「真の王者」を証明する戦い、手塚にとっては「あの勝利が偶然ではなかった」ことを示す再戦。失ったものを取り戻す者と、奪ったものを守り抜く者。リベンジとプライドが交錯するGRACHAN年末のメインイベント。この夜、有明のケージが“真の王者”を決める。
伊藤「4年前の(手塚の一本勝ちは)『やっぱりまぐれだったんじゃないかな』と思わせるような試合に」
「コンディションはもうしっかり仕上げてきました。明日、いいパフォーマンスが出来ると思います。しっかりストーリーが僕的にも作れるんじゃないかなと。4年前と本当に同じシチュエーションで、僕がチャンピオンで、手塚さんが挑戦者。4年前の(手塚の一本勝ちは)“やっぱりまぐれだったんじゃないかな”と、そう思わせるような試合にできたらなと思います。
手塚さんが仰った通り、プロレスからまたMMAに来たっていうのは、多分ご自身の夢でもあったと思うし、僕もやっぱプロレス好きだったので、ちょっと羨ましいというのもあるんですよね。やっぱりもうMMAには戻ってこないかなという中で、本当に僕もその現地で、TSUNE選手と手塚さんのタイトルマッチを見てマイクアピールしたんですけど、当然あの時台本なんかなくて。ただ僕がその場で自然と口に出た言葉だったんで。だから、そういうのがやっぱり実際形になったっていうのは、運命なのが必然なのかって考えたら、やっぱり意味があるのかなとも思うし、しっかりそれがどんな形になるのかなっていうのは、やってみなきゃわからないので。まずは試合を受けてくれたことに本当に感謝してますね。あともうあとやるだけなので、よろしくお願いします。
熱い試合を当然届けるっていうのはそうなんですけども、やっぱり僕自身を見せたい。GRACHANを僕がRIZINきっかけで敗北はしたんですけど、それ以上のものを見せるっていうのもあるし、やっぱり自分にしかできないこともあると思うので、そういう意味では、この4年間のすべてを明日試合で表現できたらなと思います」
手塚「やるべきことをやって勝つ、38歳のおっさんの戦い方を見てほしい」
「3連敗してちょっと格闘技から離れようというか、もうやりきったなというのもあったんですけど、それでプロレスラーになるっていうのが自分の中で夢だったんで、岩﨑(ヒロユキGRACHAN代表)さんに話したら繋いでくれて、今年プロレスラーになるっていうことも実現したんです(大阪プロレス)。そういうのがあって体重も76kgまでぐりぐり上げてました。オファー自体は嬉しかったんですけど、伊藤君が呼んでくれて、こうやって、また俺もこっちに帰ってこれたんで。それは本当に感謝してます。プロレスラーになって、プロレスとMMAをやっぱ共存させるっていうのが、本当の小さい頃の夢だったんですね。そういうタイミングで、いろいろごちゃごちゃあって、こういうシチュエーションで、プロレスを、MMAをさせてもらえる機会を与えられて、しかもそれがタイトルマッチ。それは格別ですね。
伊藤くんから、大阪大会で負けて、本当にアカンなと思った時に、あそこで声かけてもらったんで。それが本当に嬉しかったし、GRACHANのストーリー的に、岩﨑さんとも10年以上はつきあいありますし、俺が背負ってきたとは言わないですけど、俺と中村(謙作)選手が戦ったことで、ちょっとこう変わっていろんなものができたと俺は思ってるんですよ。だからGRACHANのことが俺は好きですし、そこで今回は伊藤君とのストーリーですけど、4年ぶりにこういうシチュエーションになって実現できて良かったなと思います。だからこそ明日はその伊藤君が4年ぶりの再来っていうんだったら、同じ感じで1分ぐらいで俺が倒すっていう、そこまでやって完結させたいと思います。
明日は勝ちには絶対行きますけど、いい試合をしようとは思わなくて。それはもう本当に俺も今年38歳ですけど、もう旬ではないんでね。フレッシュな感じで今は伊藤君は脂が乗ってるかもしれんけど、俺はもうやるべきことをやって勝つしかないんでね。だからもう38歳のおっさんのその戦い方を見てほしいと思います」
(試合1カ月前インタビュー)
伊藤「4年間やってきたことの答え合わせに」
──伊藤選手、今回は「長野県対決」という形になりました。地元の応援団からは「もう一回やるんだ」といった反応はありましたか?
「そうですね。『ついに言っていたことが実現したね』という反応でした。ずっと『いつかリベンジしたい』という話はしていたので、皆喜んでいましたね」
──禅道会の小澤先生もSNSで反応してくれていましたね。知らない選手とやるより、逆に手塚選手とやるほうが、昔から知っているファンは盛り上がるのかもしれませんね。
「それもありますし、僕的にもストーリーがあるので、いいタイミングだったかなと思います」
──今回はどのような強化をしているんですか?
「6月の『ROAD TO UFC』を終えてから、色々取り組みを変えています。今はBRAVE以外でも練習をしていて、打撃の基礎や動きの変化、距離感、癖直しなどをやっています。あとは、意見を言ってくれる人も増えたので、素直に聞いて自分で汲み取りながら、練習のやり方から意識を変えるように取り組んでいます」
──今回はどんな試合展開になると予想しますか?
「4年前の答え合わせみたいなものなので、『この4年間どれだけできたかな』という、お互いの持っているものをぶつけ合う試合になるかなという感じはします」
──次のビジョン、勝った先のことは考えていますか?
「まずはETERNALの方ですね。9月のオーストラリアでの試合が相手の欠場で流れてしまったので。これから発表されるとは思いますが、予定では来年の4月くらい、早くて1月か2月に暫定王座戦があるらしく、その勝者とやるかもしれません」
──海外の試合はなかなかポンポンと決まっていかないものですね。
「僕がどうこうというより、相手の怪我などで流れることが多いですね。僕はいつでも試合できる状態なんですけど、毎回そんな感じで……」
──で残りの練習はどんな感じで取り組んでいくつもりですか?
「今ちゃんといい方向に進んでいるか、やっていることが間違っていないか、毎日自分と向き合いながら一個ずつ取り組むことですね。今は追い込み期間なので、自分に勝つことは当たり前として、自分のいけない所と相手の弱点、そこをうまく見ながら練習に取り組んでいく感じです」
──では最後に、改めて手塚選手へのメッセージをお願いします。
「手塚選手、僕からの逆指名を受けていただきありがとうございます。プロレスに行くのかと思い不安でしたが、MMAの試合を受けていただき感謝しています。4年前に負けましたが、この4年間、対柔術・対グラップラーの練習をイチから取り組んできましたので、その答え合わせができたらと思います。当日はいい試合ができるようお互い頑張りましょう」
──ファンにメッセージもお願いします。
「ファンの皆様、いつもありがとうございます。今回12月、1年ぶりのGRACHAN参戦ですが、ありがたいことにまたメインで試合をさせていただくことになりました。熱くて面白い試合を会場に届けられたらと思いますので、応援よろしくお願いします」
手塚「向こうが欲を出してきたら──」
──手塚選手、久々の試合がいきなりタイトルマッチとなりました。コンディションはいかがでしょうか?
「今(※11月29日)は体重も68.5kgぐらいで、順調にキープしつつ強度の高い練習ができています。いつもより2kgぐらい軽くて、仕上がりは早いかもわかんないですね」
──いつも減量がギリギリで辛そうなので、今回は良さそうですね。SNSを見る限り、体がすごく変わったように見えます。
「そうですね。環境が変わったからかもしれないですし、組み合う相手が大きくなったからかもわかんないです」
──ぶっちゃけ、以前より今のほうが強いんじゃないかと思っています。今回はフィジカルトレーニングもしっかりやっている印象ですが。
「今はフィジカルも結構やってますね。以前は自分と同じ階級の選手とスパーリングをすることが多かったんですが、今は水野君とか、もうプロレスラーになったんで85kgぐらいあるんですよ。そのクラスと組み合ったり、(石原)夜叉坊とか、その辺りと組んでいても手応えはあります」
──MMAの試合は、24年12月の笹晋久戦以来、1年ぶりになります。
「TSUNE選手に2回負けて、笹選手に負けてと、今まで3連敗はしたことがなかったと思います。それも込みで休んでいたところもあったんですが、伊藤選手が気遣っていつもアクションを起こしてくれるから、それでなんとかまたここに戻ってくることができました」
──ここ最近の伊藤選手の試合を見て、どう分析していますか?
「TSUNE戦もROAD TO UFCも見させてもらったんですけど……変わらず、かなと。 気持ちは強そうやから、ずっと淡々とやるんだろうけど、みたいなところはあるんじゃないですかね」
──もう穴は見つけている感じでしょうか。
「癖とかも感じる所があったんで。実際に試合で組んでみてどうかは分からないですけど、大体こういう動きをしてくるなっていうのは掴めています」
──以前「とんでもないウェルター級にしようかな」なんて冗談も言っていましたが(笑)、プロレス経験を経て、階級に対する考えは変わりましたか?
「プロレスデビューした時は76kgまで増やしたんですけど、動きはそこまでしっくりこなかったですね。今の自分のキャリア的にも、今から体重を上げて戦う必要性も感じなかったので、バンタム級で大丈夫です。ただ、需要があれば全然フェザーでもいいですね」
──では、今回はどんな試合展開になると予想しますか?
「まあ、伊藤空也がどう出てくるかにもよると思うんですけど。向こうもやってくることは分かると思うんで、どう裏をかいてくるか。それによって俺も合わせるんですけどね。 順当に見たら“俺が組む”か“向こうが切って打撃で距離取るか”の展開になるとは思うんですけど、そこで向こうが欲を出してきてくれたら……」
──変なことをしてきたら、流れが変わると。
「そうですね。そこはやっぱり心理戦もあるんじゃないですかね」
──何より今回は「長野県出身対決」であり、禅道会の先輩後輩というテーマもあります。
「そうですね。まあ、伊藤空也が俺のこと好きだろうしね(笑)」
──手塚選手が優勝した時、伊藤選手はまだ少年でしたからね。では最後に、改めて伊藤選手へメッセージをお願いします。
「ちょっと3連敗という形で、不甲斐ない時期もありましたが、伊藤君が作ってくれたストーリーと、ベルトを懸けてくれることによって、また格闘技に戻ることができました。感謝してます。全力で戦って……これが2度目の対戦なんでね、3度目はもう別にやらんでもいいと思うんで、もうここで決着をつけようかなと。お互いそれでやりましょう」
──ファンへメッセージもお願いします。
「最近ちょっと不甲斐ない試合が続いて、勝敗だけじゃなく内容もパッとしなかったので、見ている方を残念がらせてしまったと思います。 とにかく今回は、また4年前みたいにベルトを巻かせてもらおうと。このチャンスをしっかり取って、GRACHANでもっと話題を提供できるように頑張りたいと思います。いつもありがとうございます」












