ウェルター級王座決定戦で林RICE陽太と山田哲也がベルト争う
▼GRACHANウェルター級(77.1kg)王座決定戦 5分3R
林RICE陽太(reversal gym osaka anne/同級1位)76.35kg
山田哲也(E.D.O YOKOSUKA☆BASE/同級2位)77.10kg
ウェルター級王者・桜井隆多が契約期間内に試合できない事から王座返上。かつてライト級王者としてGRACHANの頂点に立った関西が誇る闘将、林“RICE”陽太が、再び、新たな階級でベルトを狙う。
林は、2023年12月に岸本篤史とライト級暫定王座を争い、スプリット判定勝ちで戴冠。2024年2月に大道翔貴に判定勝ちすると、4月には『Road FC 68』に参戦。パク・シウォンに1R TKO負けで連勝が「5」でストップした。その後、正規王者の原口伸が王座返上したため、正規王者となった24年12月の『GRACHAN HELIOS』でライト級王座をかけて同級1位のロクク・ダリと対戦し、スプリット判定勝ち。王座防衛に成功。しかし、2025年5月『GRACHAN 74』で芳賀ビラル海に判定負けで王座陥落。9月にウェルター級のベルト獲得を狙い、階級転向を決意。青木忠秀に延長判定で勝利している。
林の代名詞は、“圧をかけ続けるファイトスタイル”。一歩も退かず前に出るプレッシャー、打撃から組みへの切り替え、そして相手を削り切るタフネス。ウェルター級に階級を上げ、パワーとフィジカルをさらに強化。重みを増した攻撃と組みの連動で、自分のリズムを作り上げる。この試合で勝てば、自身二度目の王座戴冠──GRACHAN二階級制覇という快挙がかかる。
対する山田哲也は、高校在学中にプロデビューを果たし、2009年「戦極 第七陣」で鮮烈な登場。その後はZST王者として名を上げ、アジア最大の舞台「ONE Championship」へ。世界の強豪たちを相手に戦い抜き、通算29勝を誇る実力者だ。MMAでは24年5月に上田拳翔に判定勝ち後、9月に宇土冬真に1R TKO勝ちで2連勝中。
山田の強さは、経験に裏打ちされた冷静さと戦略。リーチを生かした打撃、柔道仕込みの組み、そして磨き抜かれた極めの精度。一度流れを掴めば、相手の得意分野すら封じ込める老練さを持つ。
この「ウェルター級王座決定戦」は“攻め続ける男”と“崩さない男”の真っ向勝負。林が圧力で主導権を握るのか、山田が知略でペースを奪うのか。攻撃と理性、勢いと経験。二つの格闘哲学がぶつかり合う年末の頂上決戦。GRACHANウェルター級の新王者として名を刻むのは、攻めの象徴・林か、静の支配者・山田か。
林「やってきた成果を出すのは自分」
「今のコンディションはとても良いです。ライト級のときは減量してたんですけど、減量が無くなって強い選手と試合ができるっていう状態なんで、めちゃくちゃ明日は楽しみにしてます。
(山田の印象は)ずっと海外で活躍されてた選手なんで。岩﨑代表が動いて実現したカードだと思いますが、やっぱりこのGRACHANってこういう強い選手がドンと来たりするんで、めちゃくちゃ面白いなと思ってて。山田選手に来ていただいて楽しみにしてるんで。そこは感謝したいと思ってます。
山田選手との試合が決まった時は、一つ前の青木(忠秀)選手との試合の時に『勝った方が山田選手と試合』っていうお話だったので、僕としてはもう山田選手とやりたかったですし、そのために練習仲間の青木選手とも試合した。とにかく勝って山田選手に挑戦したいなっていう気持ちで、お話いただいた時はワクワクしましたし、そのために越えないといけない試合を超えてきたなって思ってます。
もう、とにかく明日、自分でやるべきことを、僕はやるんで。山田選手ももちろん全力で試合に向けて練習してきたと思うので、その成果をどっちが出せるかなって。僕が出します、と言いたいです。
海外から帰ってきた山田選手との試合で、海外に行く選手もGRACHANはいて、本当に面白い選手が多くて。僕もしっかり面白い試合しようと思ってるんで、明日楽しみにしててください。よろしくお願いします」
山田「最強の相手とやるためにしっかり準備をしてきた」
「林選手は青木選手にもしっかり勝ってきてるわけなんで、自分の中では最強の相手だと思ってます。その最強の相手とやるためにしっかり準備をしてきました。
(ベルトの意味)ベルトを獲るっていうことは、その団体を背負うっていうことなんですけど。今はまずそれよりも、強い林選手とやるっていうことにすべてをかけているので。それに勝ってついてくるものだと思っています。
明日はお互いのすべてを出し合ったすごい試合になるんじゃないかなと思ってます。しっかり林選手と一番盛り上げてやろうと思ってます。久しぶりの試合みたいな感じなんですけど、自分の今までやってきた試合の中でも、一番たくさんの応援が来るので、しっかりそれも力に変えて、バッチリ勝って強さを証明したいと思います」
(試合1カ月前コメント)
林「苦しいと思いながら練習しきた、それを試合に出せて報われたら」
──林選手、試合までもう1ヶ月を切りましたが、調子のほうはいかがでしょうか?
「しんどい練習をずっとやってるなという感じで。調子が良い日もあれば、今日上手くいかないなっていう日もあるんですけど、それの積み重ねで試合当日は良い状態に持っていけたらなというような感じです」
──前回の青木戦から、修正点などは見つかりましたか?
「そうですね。やっぱりその、打撃の練習を結構してたんですけど、いざ始まってみたら“打撃で行ったらちょっとやられるかもな”というイメージがなんとなく浮かんできたんで、組の展開が多くなったんです。でも試合終わってみたら“もっとガンガン打ちに行ったら良かったな、もっと打ちに行けよ”っていうのはありましたね。練習してたのに出せなかったなっていうのはありました」
──林選手らしくなかったということですか?
「そうですね。ちょっと嫌な展開のイメージが湧いてしまったんで」
──でも組んだ時、向かい合った時に相手を「強いな」って感じたんですか?
「正直感じました」
──試合の映像を見ても思ったんですけど、体が大きく見えましたね。
「計量の時に“あれ? こんなに大きかったっけな?”と思って。大きかったです」
──試合を振り返っていかがでしたか?
「正直自分の試合を見た時に、僕のほうがだいぶギリギリというか……。結果としては最後に僕が良い展開を持ってこれたんで勝てたんですけど、僕のほうがスタミナもかなりギリギリかなというような感じで。まあまあ必死にやってなんとか勝てたなっていうような。延長戦で」
──今回、山田哲也選手に決まりましたけど、山田選手のイメージは?
「過去の試合も結構何試合も見させてもらったんですけど、やっぱり強いなという印象ですね。上手いし、強いし。正直今までの試合の中で一番強いかもしれないなとは思ってます」
──山田選手がONEでの契約が終わってからGRACHANに来ましたが、その時強い外国人選手、ブレンゾリンク・バットムントとやって負けちゃったんですよね。彼の弱点はブランク?
「ああ、はい。そうですね。まあ僕もちょっと山田選手の、GRACHAN放送局のインタビューを見させてもらったんですけど、『いい環境で練習してます』って結構ニコニコしてはったんで。“良い練習”というか“気持ちいい練習”されてるんかなっていう印象をなんとなくあの時は思って。逆に僕はもう、自分の駄目やったところとかを結構“苦しいな”っていう……正直練習前に“今日行きたくないな”と思いながら練習してるような状況が最近よく続いてるんで。それを試合に出せて報われたらなとは思ってるんですけどね」
──なるほど、どんな展開になりそうですか?
「僕はもうやることは決めてて。恐らく山田選手が嫌であろうことをやろうとは思ってるんですけど。ただその展開は、僕もいつも好きでやるようなことじゃないかもしれないなとは思ってるんで、もうしんどいことにはなるかなとは思うんですけどね。 ただまあ、強いなとは思うんで。正直、最近の試合、僕の自分の試合って組みの展開が結構多いかなと思うんですけど、組みになったら厳しいかもしれないなとかは思ってるんで。まあもうとにかく僕がやりたいことやれるかどうか、っていうところですね。出来なかったらやられるかもなっていうところですけどね」
──山田選手にメッセージを頂けますか?
「山田選手。世界で戦ってきた選手で、まあ僕のことを正直格下だと思ってると思いますし、勝てる試合だと思ってると思うんですけど、僕は正直、格上の選手と試合っていうのは自分が一番やりたいことで好きなことなんで、もう思いっきりぶつかって行こうと思ってるんで、覚悟しといてください。よろしくお願いします」
──林選手を応援してくれてる皆さんへメッセージをお願いします。
「僕のことを応援していただいてる皆さん。最近ちょっと判定の試合と、組みが多い展開が多くて、ちょっとモヤっとすること多いかもしれないんですけど、僕は自分でやるべきことを一生懸命やる試合を作っていこうと思ってるんで。判定になる可能性もありますし、KO・一本になる可能性もあるんですけど、もう僕の出せる全力のパフォーマンスを出すつもりなんで、是非引き続き応援をよろしくお願いします」
山田「正直『やったら俺の方が強いでしょ』というところはある」
──山田選手、少し怪我をされていたと聞きましたが、今回は久々の出場になりますね。
「そうですね。去年の9月末ぐらいに怪我をしてしまいまして。岩﨑さんとお話するのも1年ぶりぐらいですね」
──ブランクが明けて、コンディションはいい感じに戻ってきましたか?
「はい、ようやく動けるようになってきました。今は怪我をする前よりも調子が良いですね」
──先日行われた大阪での林vs.青木の試合はご覧になりましたか?
「もうワクワクしながら見ました。僕はフィジカルとスタミナで青木選手が勝ちきるのかなと予想していたんですが、林選手がポイントを取るのが上手かったですね」
──林選手の方が体格は小さかったですが、上手さがありましたね。今回対戦が決まった林選手のイメージはどうですか?
「林選手は、試合の組み立てが緻密に上手いタイプというよりは、その場その場で対応していく選手という感じがします」
──対応力があるということですね。
「そうですね。あとは、向こうのジムの代表が作戦を立てるのが上手いのかもしれません。前回の試合も、3ラウンド目の途中までは青木選手がペースを握っていた気がしましたが、最後のバックのポイントが大きかった。あれで決まってしまいましたね」
──そうですね。林選手は曲者ですが、今回の試合はどんな展開になると予想しますか?
「試合を見ながら率直に思ったことを言っていいですか? もうこれは本心なんですけど、“自分がぶっちぎりで一番強いな”と思いました」
──なるほど(笑)。山田選手の強さは間違いないですが、試合を見てそう確信しましたか。
「はい」
──今はおいくつになりましたか?
「もうおじさんです(笑)。35歳です。デビューが16歳、戦極に出たのが18歳ですから」
──キャリアは長いですが、体を休めてこれた時間も活きていると思います。この先のビジョンなどはありますか?
「まずはRIZINに出たいですね。チャンスがあればライト級でもウェルター級でも、どちらでも行くつもりです」
──ライト級まで落ちるんですか? 一時はウェルター級が良いと言っていましたが。
「全然落ちます。今は通常体重が80kgぐらいしかなくて、コンディションもバキバキに仕上がっているので」
──それはすごい。GRACHANのウェルター級選手は、頑張ればライトに落とせる体格の選手が多いですが、山田選手は身長180cmありますよね。ライト級まで落とせて動けるなら大きな武器になりますね。
「そうですね。アジアの市場を見ると、ウェルター級やミドル級は層が薄くて、ROAD TO UFCでもウェルター級が開催されないのはそのせいだと思います。だからこそ、ウェルター級で戦える希少性も活かしつつ、ライト級も視野に入れています」
──GRACHANとしても縛るつもりはなく、ここをきっかけにチャンスを掴んでほしいと思っています。では最後に、林戦に向けての意気込みと、林選手へのメッセージをお願いします。
「林選手へのメッセージですか……まあ、会ったこともないですが、正直“やったら俺の方が強いでしょ”というところはあるんで。試合は絶対に一本かKOで僕が勝ちます。よろしくお願いします」
──試合までしっかり整えてください。
「はい、もう自信満々です」









