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【UFC】平良達郎が無敗ヒャンソンからダウン奪いフェイスクランクで極める!「パントージャ、ジョシュア・ヴァンと戦いたい」。 中村倫也がフレッチャーを三日月蹴りTKO! 日本人UFC戦士5連戦の初陣飾る

2025/08/03 06:08

【プレリム】

▼バンタム級 5分3R ※選手名からインタビュー
〇中村倫也(日本)10勝1敗(UFC4勝1敗)136lbs/61.69kg
[1R 1分02秒 TKO] ※左三日月蹴り→左ST、パウンド

×ネイサン・フレッチャー(英国)9勝3敗(UFC1勝2敗)135.5lbs/61.46kg

 中村は、フリースタイルレスリング61kg級で2017年U-23世界選手権優勝などの実績を残し、2021年にプロMMAデビュー。2022年の『ROAD TO UFC』優勝を経てUFCと契約し、RTU決勝での風間敏臣戦を含め、ファーニー・ガルシア、カルロス・ヴェラを相手に3連勝。MMA9連勝をマークしたが、2025年1月の『UFC 311』でムイン・ガフロフに判定負け。キャリア初黒星を喫した。MMA9勝1敗、30歳(※中村倫也インタビュー)。

 直前で構えが定まらないなかガフロフに敗れ、日本、そして米国フロリダで次戦に向けて作り直してきた中村はいかに7カ月ぶりの試合に向かうか。今回はAPEXでいつもより小さめのオクタゴンとなる。

 対するネイサン・フレッチャーはMMA9勝2敗(UFC1勝1敗)の27歳。パディ・ピンブレット率いるNext Generation MMA Liverpool所属で、キャリア初期は桜庭スパッツを愛用していた極め技師。身長は170cmで中村と同じながら、リーチが178cmと4cm中村を上回る。9勝中、1KOと7つの一本勝ちをマークするグラップラーで、4つのリアネイキドチョーク、2つの肩固め、1つの三角絞めが決まり手でトップ、バック、ボトムからも極めを持つ。

 Cage Warriorsで活躍後、24年3月のTUFに階級上のフェザー級で出場したが初戦でカーン・ オフリに判定負け。24年9月のUFC APEX大会でリトアニアのジギマンタス・ラマスカとフェザー級で対戦し、2Rにボディロックテイクダウンからサイド、マウント、肩固めで一本勝ち。

 25年3月のUFCロンドン大会で本来のバンタム級に落として9勝2敗(UFC1勝2敗)のケイラン・ロクラン(アイルランド)と対戦。初回にロクランにテイクダウンを奪われるも、2Rにフレッチャーがシングルレッグから軸足を刈ってテイクダウン。ケージ際の立ち上がりにダブルレッグで手を着かせて背中に乗ってボディトライアングル。背後からパンチでラウンドを取り返した。

 しかし、3Rにダブルレッグテイクダウンから立ち上がりをコントロールされると、がぶりから体を入れ替え、バックフィストをヒット。さらにジャブも突き、ロクランを出血させるも、ジャッジはロクランを支持し、スプリット判定で敗れている。

 サウスポーの中村に対し、フレッチャーは基本はオーソドックス構えもスイッチも使い、ジャブ、右を突いてのシングル・ダブルレッグテイクダウンからのグラップリングで勝負しトップ、バックからの極めのみならず、下からの三角絞めも得意とする。

 一方で、テイクダウンディフェンスは50%と際立って高いわけでもなく、ハーフガードから潜ってシングルレッグでレッスルアップ。バッククリンチからのグランビーロールなど、ポジションを取られてからのスクランブルに注意が必要だ。

 中村はスタンドの立ち位置を制して左を突き、いかにテイクダウンに繋いでスクランブルさせずに押さえ込んで削るか。試合前に「ATTはみんな打撃もレスリングもできた上で寝技が強いので、寝技のみならず当然、ストライキングも磨いてきましたし、そこもバッチリ出せるかなと思っています」と語っている。

 笑顔を見せて入場の中村。ATTの堀口恭司、実弟の中村剛士、マイク・ブラウンがセコンド

 1R、サウスポー構えの中村、緩やかな出入りのステップ。オーソのフレッチャーに左の蹴りから。フレッチャーの軸足を蹴ってこかす。立つフレッチャーに左インローを当てる中村。

 フレッチャーの蹴りは空振り。中村は左ストレートの飛び込み。さらに左三日月蹴りを効かせると、フレッチャーが身体がくの字に。動きが止まったフレッチャーに中村はさらに左ストレートを突いてダウンを奪うとパウンド4発! レフェリーが間に入った。

 試合後、ケージの中でマイケル・ビスピンから「通訳無しで英語で行く?」と聞かれ、「はい、やってみます」と英語で答えた中村は、「実際、前回の試合でレスリングを試したんだけど、ノックアウトのボーナスに集中しすぎて、レスリングがうまくできなかった。だから、自分のレスリングがどれだけ良いか見せたいんだけど、レスリングが上手くいかなかった。

(三日月蹴りは)特にその点については練習していません。彼の腹部(レバー)が少し開いているのを見たので、ただ足を上げただけ」とコメント。

 あなたの戦績は11勝1敗です。素晴らしい。次に誰を指名したい? と聞かれ、「10勝です」と訂正した中村は、「年内にもう1試合。バンタム級で誰かを指名するために、あと2つの勝利が必要だと思います。だから誰でもいいです」と語った。

 また、試合後、U-NEXTのインタビューで中村は、「やってきたことは自分のレスリングを活かす、MMAとしての完成度を上げること。力の抜き方をギリギリまで恭司さんから聞いていた。(蹴りは狙っていた?)全然。むしろ前回の方が狙っていた。

(構えが組みかパンチか蹴りか分からなかったが?)それがまさにやりたかった。パンチ、蹴り、組みを同じ初動でやりたかった。(相手が)ダウンして行こうか迷ったけど、セコンドから)『行け、行け、行け』と(言われて)“よし行こう!”と。(武術は)道として格闘技を極めることがやりたいんだなと原点に帰りました。無事勝てました」とコメント。

 セコンドの堀口は、「よかったです。今までやってきたことを楽しんでやっていけ、と話しました。打撃も伸びて、打撃でも倒せるものがある。オールラウンダーだと思います」と中村の勝利を語った。

 続く公式インタビューでは、「とても幸せで、そして少し驚いた。 予想より早く終わったので。彼は僕をもっと激しいゲームに連れて行こうと思っていただろうけど、そうならなかった。幸せと驚きが半々だった。

(相手の懐に)深く入り込んで、彼のレバーを突いたのを感じたけど、大きなダメージを受けたふりをしているようにも見えて。行けるかどうか少し迷ったけど、私のコーナーマンたちが『行け、行け、行け、ただ行け!』と言ったので、決心して中に入った。少し緊張したけど。

 打撃勝利を逃したくないので、それが私を少しだけ喜びを感じさせました。MMAキャリアでの最初の敗北の後だったので。

 自分自身に『人生で何をするのか、何を実現するのか』と問いかけました。そして、フロリダに移り、アメリカン・トップ・チームでトレーニングすることを決め、彼らは私自身を信じるようにさせてくれました。緊張しながらも、自分自身のことを半分は信じていました。常に自分自身を信じようとしました。私は常に自分自身を疑う傾向があったけど、チームが、ATTの仲間たちが、私自身を信じるようにしてくれた。それが私にとって大きな力となった。

(ラスベガスでは)僕が知っている唯一の祝いの方法はギャンブル。今回はバカラを学んだので、もしかしたら(笑)」と語っている。

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