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インタビュー

【MMA】80人が一斉練習! 岡見勇信の新ジム『TEAM THUNDER』でロバート・ ウィテカーがセミナー。岡見「一つひとつの動きに意図がある」×ウィテカー「努力は省略できない」

2026/02/15 20:02
 2026年2月10日、東京都板橋区の岡見勇信の新ジム『TEAM THUNDER』にて、元UFC世界ミドル級王者にして、現9位のロバート・ ウィテカー(豪州)がMMAセミナーを行った。  今回のセミナーは、Netflixの『フィジカル:100 アジア』に日本チームのリーダーとして参加した岡見と豪州チームのリーダーとして参加したウィテカーとの交流がきっかけだったという。 「『フィジカル:100 アジア』に参加した後、インスタのDMで『韓国、日本に行く際に、何か一緒にしよう』ということで、せっかくウィテカーが日本に来てくれるならば、日本のプロMMAの底上げをしたいと思って、セミナーをお願いしました」(岡見) 広大なスペースで四面が壁の「全方向対応型の実戦空間」  募集をかけたところ、80人のファイターの応募があった。 「正直こんなに集まるとは思っていなくて、どうしようかなと思ったんですけど、ウチなら入れるなと」 『TEAM THUNDER』はもともと屋内ドッグラン施設だった広大なスペースを丸ごとマットスペースにし、その四面を「壁」にしてケージレスリングが出来るようにした。米国のメガジムに勝るとも劣らない施設と言っていい。  その「四面の壁」は岡見が現役時代に最も欲していた環境だったという。壁は、初心者にとっては身体の使い方を理解しやすくする“ガイド”になり、プロファイターにとっては、壁レスリングや距離管理、切り返しなど実戦的技術を磨くための必須要素になる。  岡見は、志村坂上にこの物件を見つけたときに「ここでジムを開け」と天からの啓示を受けたように感じたという。 「MMAのために生まれてきたような箱で、奇跡の物件だなと。天井の高さと、四面が壁で、中途半端な柱がない。これだけ広ければ一般会員さんからプロ練習まで同時に練習ができる」と直感した。  何よりビルの作りが強固な上に、三面を壁、一面をケージにして、その間に1本の柱も通っていないことが理想的だった。 「壁が四面にあれば、いつでもどこでも攻めることが出来る。やっぱりデッドスペースがあると“ここで攻めたいけど攻めれないな”っていうのが本能で出てしまって、それがいずれ試合で出てしまう可能性がある。試合の感覚のように、四方どこでも攻められる、どこにぶつかっても安全だという空間を作りたかった。僕がずっと現役の中で感じていた部分です」と、そのこだわりを語る。  この“全方向対応型の実戦空間”で、ウィテカーは、自身のMMAの一端を紹介、指導した。 「やっぱり一つひとつの攻撃の中にしっかりとした意図がある。何も考えずにただ攻める・ただ守るという動きは一切なかった。それは自分もずっと教えていることで再認識できて、今ここでやっていることは間違いないなと思いました」(岡見)  80人ファイターたちがこの広大な四面の壁を使って、ウィテカーのケージレスリングの打ち込みをする姿は壮観だった。なかでも、壁を使ったディフェンスは、岡見にとっても新鮮な動きだったという。 「僕もああいう形で教えるんですけど、やっぱりあのウィテカーの股関節を柔らかくして、下に入り込んで脇を差しに行く、打ち込みのやり方はちょっと衝撃的でしたね。ウィテカーが試合でやってる、そのままだったのですぐにイメージできたのですが、打ち込みからああやってるんだなってのは、改めてすごく勉強になりました」 [nextpage] 「ブリッツ」の極意は空間支配にあり  セミナーには、RIZINファイターの鈴木千裕、ストラッサー起一をはじめ、ONEの手塚裕之、山北渓人。宇野薫や藤田大和、内藤由良ら多くのファイターたちが参加した。  ケージレスリングに加え、ウィテカーといえば“ブリッツ”と呼ばれる剛柔流空手を軸とした出入りの打撃を大きな武器としている。  そのスタンドについて、セミナーに参加した手塚は「空間の支配」の巧みさを挙げた。手塚は現在、堀口恭司を育てた一期倶楽部出身の空手家・二瓶卓郎氏から指導を受けており、今春に自身も宇都宮に二瓶氏も参加する新ジム・TGFCオープンを控えている。 「ウィテカーによる伝統派空手のコンセプトが、究極の舞台のUFCでも利用できるというのが、あらためて明確になったセミナーでした。スタンドでも相手をコントロールすること。『自分から無理に当てに行かずに、空間を支配して相手に出させて、崩して当てる』という意図を感じました」と、その動きのポイントを説明する。 「例えば『ドロー・ザ・ジャブ』──相手の攻撃を引き出して被せる動きはボクシングでもありますが、ウィテカーも言っていたように『ジャブを見てから反応は無理』なので、『空間を支配して相手に手を出させて、狙った瞬間に合わせる』ことが必要。その合わせる技を何パターンか持っていて、そこにはテイクダウンも入ってくる。  それをUFCの舞台でもウィテカーは実行している。その動きを言語化できる指導者が少ないなか、ウィテカーの教えを聞いて、単純に真似ようと思っても難しく、自身の動きに落とし込む必要があるなと感じました」と、動きの有効性ととともに、試合で実践できるように練り込む必要があるという。 「序盤の指導にあった親指に乗る立ち方・同じスタンスに、相手との距離、ステップも……半身になるとカーフの対策や後ろ手が遠くなることへのアジャストも必要で、空手の構えだけでなく、ウィテカーが打つ瞬間は反対側のガードをしっかり上げていたことも印象的でした。  カウンターの動きのようでいて、自分主導なんです。相手にジャブを出させるために、顔を前に出したり、さまざまなフェイントで距離をコントロールして先回りして動きを混ぜる。こういったことを反復練習して、コンビネーションにして自分のものしなくてはいけないです」と、セミナーであらためて気づきを得たようだ。手塚の次戦は、4月29日の『ONE 175』日本大会になるか。 [nextpage] スピードの源は足から「近道なんてない」  ウィテカーは、今回の日本でのセミナーを、「経験のある人間が知識を伝えるのは重要なことだ。それに僕は日本が大好きだ。ここに来るのに大した理由は必要ない。この場所が大好きだし、ユーシンとは良い関係にある。だから連絡して『日本に行って君の新しいジムでセミナーを開いて教えたい』と言ったんだ」と、今回の来日を語る。  そして「ケージレスリングの動きは、レスリングのコーチが僕に言ったこと。僕のスタンドの動きがすぐにはモノにできなくても、その理屈は分かったと思う。半身気味でも、フットワーク、足を使ってその距離をいかに埋めてパンチで飛び込むか。そうやって距離を稼ぐんだ。そうすればリーチの差は関係ない。そのためには足さばき。つまりスピードの源は足なんだ」と、マットを踏み込む力をいかにMMAの動きに伝えるかが重要とした。  そのコツを聞くと、「練習は飛ばせない。努力は省略できない。近道なんてないんだ」と、正しい練習あるのみという。  近年、UFC豪州大会の継続開催や、Eternal MMAやHex Fight王者たちの躍進もあり、豪州&ニュージーランド勢の活躍が目覚ましいが、「MMAは世界中で成長して、世界を席巻している。知ってるだろ? MMAは世界で最もエキサイティングなスポーツの一つだ。だから僕は思うんだ。全体的に選手のスキルレベルが上がり、全てが向上している。それは豪州やニュージーランドに限らずね」と、全世界でMMAの技術が共有され、レベルアップしていると語るウィテカーは、「だからこそ、こういったユーシンのジムのような環境でセミナーができてよかったよ」と日本ファイターとの交流を語った。  次戦については「できれば6月までに。その頃には試合に戻りたいんだ。日本のMMAファンのみんな、本当にありがとう。君たちは世界で最も敬意を持ち、思いやりがあり、サポートしてくれるファンだ。そして、いつか日本で戦える日を心待ちにしている」と、UFC日本大会があれば、参戦したいと希望した。  あらたな城で今後、岡見はどんな選手を育てていくか。 「今はもう十代から、中学生、高校生からジムに入会してプロを目指している子も多いので、そういった子たちを正しく、自分なりの形で世界に向けて道筋を作っていきたいです。もちろん人生を豊かにするために、一般会員として格闘技に取り組む人たちにも、格闘技を通して、人として強くなってもらえればいいかなと思っています」(岡見)  世界最高峰に続くサンダーロードを、岡見はファイターとともに進む。
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