評価の低い「コントロール」を取りにいくと判定で負ける可能性が高い
この日の大会後、昨年のABC(アソシエーション・オブ・ボクシング・コミッション&コンバティブスポーツ)総会にも出席したRIZINの柏木信吾氏は、近年のMMAジャッジについて下記のような見解を投稿した。柏木氏の許可を得て、全文を紹介したい。
◆最近のMMA解釈(柏木信吾)
「ゴールに向けた動きしてくださいねー。あなたはどうやってフィニッシュしたいのか我々にその姿勢を見せてくださいねー。えっ、ゴールする気がない? それはちょっと評価し辛いですねー」
MMAはゴール目指すスポーツ。判定狙いは求められていない流れになってきているイメージ。
ジャッジも
①効果的な打撃/グラップリング
②効果的な積極性
③ファイティングエリアコントロール
※JMOC引用
①の前に「フィニッシュに向けた」と考えると分かりやすく、そしてABCのジャッジは大体この①で差を見出すという共通認識があります。
即ち「コントロール」に行き着く前に結論を出せ。
この解釈で見ていると試合の経過と共にブレイクのタイミングが徐々に速くなっていくのも納得ができます。
試合中同じ態勢になった時「それさっき3分やらせたけど全然ゴールに向かわなかったよね。このポジションまたやらせてあげるけど何か違うもの見せてね」──レフェリーもゴールを目指しています。
などと偉そうに語っていますが、先日行われたBELLATORバンタム級タイトルマッチのミックスvsマゴメドフの自己採点は46-49でマゴメドフ勝利(予想)にも関わらず、結果はミックス2-1勝利で実際あまり分かっていなかった事が露呈されました。
この理論/解釈は興行主が競技の公平性と安全のために依頼する第三者機関自らが掲げている解釈です。
故に選手はその解釈を理解した上で「判定でもなんでも良いからとにかく勝つ事」をすれば良いのです。ただし1番評価の低いコントロールの分野を取りにいくと判定で負ける可能性が高いという事です(柏木)。
最近のMMA解釈
— shingo kashiwagi (@MmaShingo) July 22, 2024
「ゴールに向けた動きしてくださいねー。あなたはどうやってフィニッシュしたいのか我々にその姿勢を見せてくださいねー。えっ、ゴールする気がない?それはちょっと評価し辛いですねー。」
MMAはゴール目指すスポーツ。判定狙いは求められていない流れになってきているイメージ。
と、23日までに投稿。さらに24日には、これまでユニファイドルールで反則だった垂直縦ヒジの解禁や、グラウンド状態の新定義についても言及。
◆今まで反則だった12-6エルボーが解禁。グラウンドの定義も「手と足以外の身体の部位が地面についた状態」が新定義。つまり金網際でTDD(※テイクダウンディフェンス)をしながらグラウンド状態の恩恵を受けられなくなる。「グラウンドの恩恵受けたいならしっかり身体をマットにつけてください」。11/1から導入予定(柏木)。
と、新たなルールを紹介している。
グラウンドポジションの定義2024
— JMOC | 日本MMA審判機構 (@mmaofficials_jp) July 24, 2024
A fighter shall be considered grounded and may not be legally kneed or kicked to the head when any part of their body other than their hands or feet is in contact with the canvas(ground)
手をついた相手の顔面への膝打撃やキック攻撃が可能となります pic.twitter.com/pDwf5TQ1vL
これまでユニファイドルールでは、頭が下がったときにマットに手を着けることで頭部へのキックを防ぐことができたが、11月以降は、このルールの盲点を活かしたディフェンスは使えない。手足裏以外のヒジ・ヒザ、尻や背中などをマットにつけることで「グラウンド状態」とみなされて頭部へのヒザ蹴りなどをもらわずに済むが、それはこれまでの手足をマットに着けた状態よりは、リカバリーが難しくなる。トップを取った選手にとっては押さえ込んで極める・削るチャンスにもなる。