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【RIZIN】井上直樹が元谷友貴の追い上げ凌ぎ、バンタム級王座初防衛、ダウトベックが鈴木千裕にスプリット判定勝ちで10連勝、野村がグスタボ越え、エドポロキングが酒井にTDされるも逆転TKO勝ち、萩原がミセッチを24秒KO、木村が横山を54秒KO、伊藤がララミー撃破、泉が体重超過のカーライルに判定勝ち、魚井が赤田からダウン奪う判定勝ち

2025/03/30 11:03
 2025年3月30日(日)あなぶきアリーナ香川にて『RIZIN.50』が開催された。 『RIZIN.50』速報 2025年3月30日(日)あなぶきアリーナ香川11:00開場/13:00開始 ※オープニングファイトは11:30開始予定 ▼第12試合 RIZINバンタム級(61kg)タイトルマッチ 5分3R〇井上直樹(Kill Cliff FC)王者 60.95kg[判定2-1]×元谷友貴(アメリカントップチーム)挑戦者 60.90kg※井上が初防衛に成功  香川初上陸となるRIZINの記念すべき50回大会のメインは、RIZINバンタム級タイトルマッチ (5分3R)として。王者・井上直樹(Kill Cliff FC)に、元谷友貴(ATT)が挑戦する。  2020年大晦日以来、4年3カ月ぶりの再戦は、再び井上が元谷を極めるか。それとも元谷が北米修行の成果を見せて悲願の戴冠なるか。 元谷「最強の王者に挑戦できること、本当に嬉しく思っています。激しいメインの仕事したいと思います」 井上「四国初上陸の舞台で初防衛します……えっ?…はい、以上です(笑)」  井上は、バンタム級屈指のスピードと技術を誇る現王者。地元・愛知県豊橋市の名門・空手道白心会で姉・魅津希と共に格闘技を始める。15年2月のプロデビュー以来10連勝を挙げ、17年、日本人最年少の19歳でUFCと契約し6月のデビュー戦で判定勝利。18年6月、怪我からの復帰戦でマット・シュネルに僅差で敗れキャリア初黒星を喫した後は、フライ級廃止の余波でUFCを離脱。  2020年2月のRIZIN初参戦以来2連勝ののち、大晦日、元谷友貴に一本勝利。21年はバンタム級GP参戦。大晦日、扇久保博正に判定負けを喫し優勝候補からまさかの準決勝敗退に終わる。23年5月、堀口恭司が返上した王座決定戦進出を賭けフアン・アーチュレッタと好勝負を繰り広げるも判定で敗れた。  24年3月、佐藤将光と、界の舞台を知る実力者同士のハイレベルな攻防を展開し判定勝利で再起。9月、朝倉海が返上した王座をかけ、激闘派キム・スーチョルを相手に1Rスタンドパンチ連打によるTKO勝利で王座戴冠。ベテランの元谷を挑戦者として迎え撃つ今回、再びフィニッシュ勝利で返り討ちにし、1度も防衛されたことのないRIZINバンタム級王座の初防衛を成し遂げるか。  元谷は、2015年末の旗揚げからRIZINに参戦し、国内外の名だたる強豪と名勝負を繰り広げてきた歴戦の勇士。18年10月、DEEP二階級制覇を達成するとその大晦日ジャスティン・スコッギンスに一本勝ちで5連勝。19年7月、扇久保博正との死闘に僅差で敗れると大晦日にはBellatorとの対抗戦でパッチー・ミックスのフロントチョークに沈んだ。  21年6月のGP1回戦では岡田遼を終始打撃で圧倒するも2回戦では瀧澤謙太にTKO負けでGP敗退。22年は3連勝ののち大晦日にホジェリオ・ボントリンにTKO勝利を収め5連勝。しかし23年5月、朝倉海との待望の一戦で無念のKO負けを喫した。大晦日にはヴィンス・モラレスと激闘の末に判定負け。  24年5月、再起戦のDEEPで、負傷欠場の福田龍彌の代打で参戦した平松翔にダウンを奪われながらも一本勝ちで復活を遂げると、9月には太田忍を3Rリアネイキッドチョークで再び返り討ちにした。  大晦日の次期挑戦者決定戦では18歳でプロ7戦無敗と躍進中の秋元強真を相手に終始主導権を握る完勝で、ベルト挑戦の切符を掴んでいる。無念のタップアウトから4年3カ月越しに井上直樹へのリベンジを達成し、王座を奪取できるか。  1R、ともにオーソドックス構え。スイッチする元谷を追って右跳びヒザ。左ジャブを刺す井上。サークリングする元谷をコーナーに詰めるとジャブ、ワンツー。ブロッキングの元谷は頭から右の飛び込み。かわす井上は左ジャブ。  元谷はニータップでテイクダウン。井上のスクランブルの立ち上がりにアームインギロチンで足をかけると絞る! ニンジャチョークも狙う元谷に、仰向けになった井上は前戦のように足を抱えてスイープして立ち上がりゴング。  2R、先に圧力をかける井上。ガードする元谷に真っ直ぐのジャブは井上。ニータップで押し戻す元谷を切る井上。元谷は左右からダブルレッグへ。回って切った井上はコーナーに詰めて4連打。元谷は左目頭から出血。  スイッチして右カーフを2度当てる元谷に、井上はジャブ、詰めてダブルレッグの元谷に、ロープ最下段から両げを出てスプロールする井上は足を戻すと、ボディロックから投げは元谷。これを残して右で差してコーナーに押し込みヒザは井上。  体を入れ替える元谷を再び入れ替えてコーネーに押し込みヒザを着く井上。ゴング。井上も左目を腫らす。  3R、圧力をかける元谷はニータップからテイクダウン。スクランブルする井上の首に手を回すが、腰をずらして立つ井上、そこをすぐ追ってボディロックテイクダウンは元谷! サイドから左脇に頭を突っ込みパスを狙う元谷に、井上はラバーガード狙いも汗で滑る。  元谷はニアマウントから肩固めを狙うが、立ち上がりの井上にバック狙いの元谷を落とした井上が逆にバック狙い。そこでスイッチで正対した元谷が上に! すぐに立ち上がろうとした中腰の井上に右足をかけて右を連打する元谷のままゴング。  打撃も組み技も拮抗していた両者。前半の打撃は精緻なジャブを当てた井上、序盤をディフェンスした元谷は、中盤に井上の右目を腫らさせてからは組みの際で先行し、パウンドしたが……判定は2-1で井上が初防衛に成功。  RIZINバンタム級史上初の防衛に成功した井上は、「しょっぱい試合をしてすみません。右目が見えなくなり、元谷選手のパンチをもらって失速してしまいました。しっかり王者としてKO・一本できるように頑張ります」と語った。 [nextpage] ▼第11試合 RIZINフェザー級(66kg)5分3R×鈴木千裕(クロスポイント吉祥寺)66.0kg[判定1-2]〇カルシャガ・ダウトベック(カザフスタン)66.0kg 鈴木「最短でチャンピオンになるために、この試合クリアして5月クリアして、7月、9月……その後いくつあるか分かんないですけど全部クリアして、最短でタイトルマッチ行くんで、楽しみにしててください! 絶対に稲妻落とします!」 ダウトベック「ここに来れて大変嬉しく思っています。頑張ります」  セミファイナルは、RIZINフェザー級のトップ戦線争い。元同級王者の鈴木千裕(クロスポイント吉祥寺)が、大晦日にYA-MANを下すなどMMA9連勝中・RIZIN3連勝のカルシャガ・ダウトベック(カザフスタン)と対戦する。  ダウトベックは対日本人4連勝中。鈴木は大晦日にクレベル・コイケに敗れ王座陥落後、ボンサイ柔術でファイトキャンプを行っている。勝者が王座戦線に残るサバイバルマッチだが、一方で、5月4日の『RIZIN男祭り』東京ドーム大会の朝倉未来の対戦相手候補としても注目されている。  解説席に座った朝倉未来は、「鈴木選手とは難なく勝ったらやるのかな」。ダウトベックについては「一度戦ったことがあるのでレベルの高い試合になる」とした。  1R、グローブタッチ。鈴木は右足首に厚いテーピング。サウスポー構えのダウトベックに、オーソの鈴木は左に回りながら右ロー。右ストレートにはダウトベックが左ヒザを合わせる。鈴木の右ヒザにはダウトベックが左ストレートを合わされる。  左ミドルを蹴るダウトベック。鈴木の右ミドル掴もうとするダウトベックは左ミドルも。さらに右カーフ。左ボディストレートはダウトベック。次は左ストレートで上を突く。左インローも蹴るダウトベックは右ハイも。脇下。  右ローを蹴る鈴木は左ミドルも。そのダウトベックの入りに左を当てた鈴木! ダウトベックはダブルレッグでクラッチしてリング中央に向けてテイクダウン! ダウトベックの細かいパウンドに鈴木はフルガードで下からこつこつ打つ。  2R、圧力をかけるダウトベックは左アッパーを当てる。さらに鈴木は左を被弾し、後退。ワンツーを振る鈴木に右足を外にとって左ストレートを突くダウトベック。ダメージからか負傷か、鈴木の打撃は軸がブレるようになる。  右目尻から出血のダウトベック。圧力をかけ直した鈴木はジャブも、ダウトベックはボディから右! 被弾した鈴木だが、その右の入りに左フックをヒット! 下がったダウトベックに鈴木は左で前に。しかしダウトベックもコーナーを出る。  3R、左ローの鈴木。ダウトベックも右ミドルハイ。死闘。互いにジャブを突きながら鈴木の右とダウトベックの左が交錯。右ハイを当てた鈴木の前進にダウトベックはシングルレッグもすぐに差し上げる鈴木。  圧力をかけるのはダウトベック。コーナーに詰めて右フック。ガードする鈴木は、右ハイ。辛うじてブロッキングのダウトベックに左右を振る鈴木。左ロー、右ハイは空振りも立ち上がり。圧力をかける鈴木は頭を下げての左を当てると、前へ! さらに右ハイ、ヒザ蹴り。最後は組んできたダウトベックを投げて立ち上がりに胴廻し回転蹴りでゴング。  すべてを出し切った鈴木は大の字に。サウスポー構えから外を取り、巧みな距離感でステップして角度をつけてパンチを放ったダウトベックに、鈴木は上下の蹴りを混ぜて終盤に猛攻を仕掛けたが……判定は2-1に割れて、有効打を当てたダウトベックが勝利。  試合後、ダウトベックは、「日本、四国の皆さま、今回もRIIZNで戦えて心から感謝しました。前回の試合から今回の試合まで精一杯準備しました。怪我をしていたので、次回は完全な状態で戦いたいと思います。皆さんに心から感謝の気持ちを込めたいと思います」と語った。  ゲスト解説席の朝倉は「効かせた打撃がダウトベックが多かったと思います」と語った。また鈴木との対戦については「ここまで激闘した選手とは戦えないですね。YA-MANしかり。あまり無理をさせないでほしい」とした。 [nextpage] ▼第10試合 RIZINライト級(71kg)5分3R×ルイス・グスタボ(ブラジル)70.85kg[判定0-3]〇野村駿太(BRAVE)70.95kg  野村はDEEPライト級王者。兄の影響で3歳から伝統派空手を習い始める。一時は空手を離れるも、高校時代には全日本空手道選手権大会5位の成績を残す。空手部に所属していた大学時代に伝統派空手出身の堀口恭司がRIZINで活躍する姿を見て衝撃を受ける。大学卒業後、空手を続けるため自衛隊に半年間所属したのち23歳よりMMAを開始。21年9月、GRACHANでプロデビュー。22年7月より主戦場をDEEPへ移すと、泉武志、小金翔、元修斗王者の川名TENCHO雄生らを相手に勝ち星を重ねる。通算4連勝で迎えた23年7月、江藤公洋に判定負けを喫した。 その後、再び2連勝を挙げ、24年9月に江藤が持つ王座の初防衛戦に挑戦。レスリングベースの江藤の組みを切り、逆に自身が得意とする打撃を効かせてフルマーク判定勝利を挙げるとDEEP王座戴冠とともにリベンジを果たした。地元の四国で初開催のRIZINでデビュー戦となる今回、ライト級王座挑戦経験者でストライカーのグスタボを相手に、伝統派空手出身ならではのスピード感とBRAVEで培ってきたレスリング力を武器に、DEEP王者として日本人ライト級屈指の実力を見せつけ、一気にRIZINライト級トップコンテンダーの座を奪い去る。 グスタボは、往年のシュートボクセスタイルを彷彿とさせるアグレッシブな突進力だけでなくグラウンドでも繊細な技術を兼ね備える。過酷な環境で幼少期を過ごし、ストリートの抗争に巻き込まれ父親を亡くしたのち地元が開放していた格闘技ジムに通い始める。数々のアマチュア大会を経て14年に18歳でプロデビュー。16年、ヴァンダレイ・シウバにポテンシャルを評価され、アンドレ・ジダ率いるEVOLUCAO THAIに移籍、着実に勝ち星を重ねる。18年8月、初参戦のRIZINで矢地祐介をKO。19年にはライト級GPに参戦。大晦日にパトリッキー・ピットブルにTKO負けを喫し、準決勝敗退の結果に。 コロナ禍を経て22年4月、矢地と再戦。約2年のブランクを感じさせない動きで圧倒し2R TKO勝利を収めると続く9月には大原樹理を1R TKOし2連勝。怪我からの復帰戦となった23年4月に武田光司に判定勝利、24年2月には堀江圭功に判定勝利を挙げ4連勝。悲願のタイトル挑戦となった9月、王者サトシの鉄槌を浴び1R TKO負けを喫した。再起戦の今回、DEEP王者野村の空手出身の打撃を自身の荒々しい打撃で呑み込み、再び頂点を目指す。  1R、ともにオーソドックス構え。低めの手の構えの野村は、グスタボの右蹴りに右の飛び込み! さらに右ストレートで飛び込み。  ワンツーで飛び込みシングルレッグからダブルで持ち上げる野村にジャンピングのギロチンチョークのグスタボ。クローズドガード入れて絞るが、ヒザを押して凌ぐ野村。ブレーク。  スタンド再開。野村の飛び込みに左フックを突くグスタボ。野村は左三日月蹴りを効かせてコーナーに押し込むがコーナー背にするグスタボは右ヒザがローブローに。再開。  中央を取るグスタボに右アッパー、左ジャブでサークリングする野村は、ワンツーで突いて出入り。グスタボはコーナーに詰めると野村は右を突いてコーナーを出る。  2R、中央を取るグスタボにダブルレッグテイクダウンの野村はパウンド! 下からグスタボは足をかけるが首のみ。かついでパスを狙う野村はハーフからヒジ打ち。グスタボに背中を着かせて細かいパウンド。さらにパス狙いからコーナーに詰めてサッカーキック! さらにパウンドで飛び込み、両足をさばいてサイドにパス。肩パンチ、ヒザ! そのままゴング。  3R、足をシャッフルした野村の右の入りに、グスタボも左を返す! コーナーに押し込む野村とバッティングか、押し込まれながらも右ヒジのグスタボ! 野村はカット。グスタボも右目上をカット。  ドクターチェック。再開。右アッパーの野村。前に出るグスタボは右から左! しかし野村も左を打ち合いの中でしっかり見ながら左ジャブ。グスタボの右から左ボディの対角線攻撃。さばく野村。再びドクターチェック。グスタボはカットが深く続行不可能。この時点までの判定に。  判定は3-0で野村が勝利。地元、四国でグスタボ越えを果たした野村は、「途中バッティングしちゃってすみません。これから僕がライト級引っ張って行きます。今治市が火事で大変なので、皆さんご支援お願いします」と語った。 [nextpage] ▼第9試合 RIZINヘビー級(120kg)5分3R×酒井リョウ(レンジャージム)112.60kg[2R 2分32秒 TKO]〇エドポロキング(ROOTS GYM)120.0kg  酒井は、21年12月から4連勝し、22年11月に赤沢幸典をTKOに下し、DEEPメガトン級暫定王座を獲得。23年7月の水野竜也との再戦で1R TKO勝ちで王座防衛に成功。23年9月にヤン・へジュンに一本負け後、24年3月には同級正規王者のロッキー・マルティネスと王座統一戦で再戦し判定負けで王座陥落した。  再起戦の24年11月、元ONEの長谷川賢と対戦。2R、長谷川の後頭部打撃による負傷判定で勝利を収めている。5年ぶりのRIZINの舞台で、RIZIN2戦目(初戦は貴賢神を1R KO)のエドポロキングを相手に、そのメガトンパンチを武器にMMA26戦のキャリアの差を見せつけられるか。  1R、右の蹴りを掴んで組んだ酒井。エドボロキングは右の前蹴りで顔面をかすめる。  右ローを当てる酒井。左右を突き、右の蹴りから左のヒザに繋ぐエドボロキングをブロッキングする酒井は右、さらに左で飛び込む。右ローのエドボロキングは左ヒザで飛び込みも、組んだ酒井はボディロックも四つに持ち込む。ブレーク。  酒井は右を振って前に。エドボロキングのヒザに組んでボディロックから小外でテイクダウン! サイドを奪い右ヒザを頭に突く。  2R、右の蹴りはエドボロキング、遠間でかわす酒井は、左右で前に。ボディロックから小外がけでテイクダウン! サイドを奪うとノースサウスチョークを狙うが、ロープを蹴ったエドボロキングが後転してトップに。  クラッチ組めず下になった酒井にマウントを奪ったエドボロキングはパウンド、後ろを向いた酒井にバックマウントからパウンドでレフェリーが間に入った。  MMA2試合目で厳しい試合を越えたエドボロキングは、「もうちょっと出来るかと思ったけど、しょっぱい試合してしまいました。悔しい、出直します。一緒に練習してくれた人、ありがとう!」と語った。 [nextpage] ▼第8試合 RIZINフェザー級(66.0kg)5分3R〇萩原京平(SMOKER GYM)65.75kg[1R 0分24秒 TKO]×トビー・ミセッチ(米国)65.95kg  萩原は、ラグビーから格闘技を始め、地下格闘技大会を経て、地元大阪の大会を中心に出場。20年8月のRIZINデビュー戦で白川陸斗にTKO勝ちでチャンスをものにすると、2020年大晦日にMMA転向初戦の平本蓮に2R TKO勝ち。21年10月、RIZIN LANDMARKで朝倉未来に判定負家後、2連勝も22年3月、弥益ドミネーター聡志に腕ひしぎ三角固めを、5月にはクレベル・コイケにリアネイキドチョークを極められ、さらに9月の鈴木千裕戦も一本負けで3連敗に。 23年4月、地元・大阪大会でカイル・アグォンを相手に判定勝ちで連敗脱出も、23年9月の牛久絢太郎戦、24年3月の武田光司戦で判定負け、9月の高木凌戦でも一本負けを喫し、再び3連敗の厳しい状況に。今回14団体で戦ってきた経験豊富なベテランのミセッチを相手に復活の狼煙を上げられるか。 対するミセッチは、元Destiny MMAバンタム級王者、元PXC同級王者、元AFC同級王者。2013年8月のPXCで矢地祐介を相手に2R KO勝利すると、18年7月にはDWCSに出場もリッキー・パラシオスに判定負け。12月よりBellator定期参戦。19年2月にはエドゥアルド・ダンタスに完封負けも、同年12月、体重超過はあったがエリック・ペレスを1R 54秒でKO、メインを締めている。ブランクを経て22年からはBYBでのベアナックルボクシングで2戦2敗。23年以降Cage WarriorsやKOTCでMMA4連敗中。香川で再起を遂げるのは、萩原かミセッチか。萩原のセコンドには長南亮TRIBE代表がつく。  1R、サウスポー構えのミセッチに、オーソの萩原。  左インローのミセッチに、右インローを返す萩原。そこに同じインローをミセッチに蹴り返させると、萩原はカウンターの右ストレート!  ダウンしたミセッチにパウンドでレフェリーが入り、萩原が24秒TKO勝ち。  729日ぶりの勝ち名乗りを受けた萩原は、「この環境、最高ッス。これまで負けて裏切ってきたんで。もう、負けないんで。ここから勝ちまくるんで。次、5月すね。皆さん、誰と見たいですか? 怪我もないんでいいオファー待ってます」と札束をこするポーズを見せた。 [nextpage] ▼第7試合 RIZINフェザー級(66kg)5分3R×横山武司(Swells柔術ジム)65.80kg[1R 0分54秒 KO]〇木村柊也(BRAVE)66.0kg  横山は小中学校で空手と柔道を始める。中学生の時にPRIDEのヒョードルやミルコに憧れ、総合格闘家を夢見て柔術を習い始める。19年のJBJJF東京オープンでは黒帯オープンクラス決勝でクレベル・コイケに一本負けで準優勝も、その極めの強さで、全日本選手権・黒帯アダルト・フェザー級で優勝。その後コロナ禍を機にMMA挑戦を決意、佐藤将光の薫陶を受ける。22年2月、Fighting NEXUSでプロデビュー。3試合連続一本勝ちで迎えた11月、山本空良の王座に挑戦。判定勝ちを収め、プロデビューからわずか9ヶ月、4戦目で第2代Fighting NEXUSフェザー級王者に輝いた。 RIZIN初参戦の23年5月、山本琢也に一本勝利。9月、摩嶋一整との寝技師対決で上を取られ、判定で初黒星を喫した。その後、網膜剥離で失明し長期欠場。復帰戦の24年8月、Fighting NEXUSでライト級王者の岸野“JUSTICE”紘樹を1R三角絞めで失神させ3度目の防衛に成功。10月のJMAEXPOではチームRIZINとしてQUINTETルール先鋒戦で一本勝ちを収め団体戦の勝利に貢献した。大晦日はRIZIN柔術フェスティバルでガリットチュウ福島に秒殺一本勝利。いよいよRIZIN本戦復帰となる今回、日本拳法王者の木村を極め、RIZIN再起戦を一本勝利で飾りたい。 木村は、父の通う道場について行くようになったのをきっかけに3歳から始めた日本拳法で、20年にわたり輝かしい功績を残す。明治大学在学中は体育会拳法部に所属し19年には全日本拳法個人選手権大会決勝で芳賀ビラル海に勝利し優勝。最年少の18歳、大学1年生での優勝は、同大学出身で現在プロレスラーの拳王以来、史上二人目の快挙となった。コロナ禍で2大会中止となるも、22年大会でも優勝し学生時代2連覇を達成。また全日本学生拳法個人選手権大会でも1年時より3連覇(20年は大会中止)。 日本拳法16年目で初の日本一となって以来MMAに挑戦して上を目指したいと考え、22歳よりMMAを開始。23年12月、GLADIATORで田口翔太を1R66秒、右ストレートでKOしプロデビュー戦を白星で飾った。その後もKO勝利を重ね24年10月のAngel's FC暫定ライト級/ICKFフェザー級王者キム・ウィジョンとの初の国際戦を含めてMMA戦績は4戦全勝、全て初回KO。地元四国でRIZINデビュー戦となる今回、日本拳法代表として独特の間合いやステップ、踏み込みのスピードをもって、黒帯柔術家でありMMAでも組技・寝技を武器とする横山をKOし混沌のRIZINフェザー級に割って入りたい。  1R、サウスポー構えの横山に、オーソの木村。先に左ハイからイマナリロールの横山をかわす木村。  立ち合いで右ボディを見せた木村。横山の左の蹴りからシングルレッグを切った木村は、右フック! ダウンした横山がガードを取る前にパウンド! 横山の意識を飛ばして、54秒、パウンドアウトした。  試合後、木村は「横山選手ありがとうございました。試合前に、『木村、1R一本で負ける』という声が多かったんですが、どうですか? これが日本拳法です。まだまだ強くなるんで、チャンピオン、取ります。この後、野村さんが豪快KOしてくれると思うんで最後までよろしくお願いします」と語った。 [nextpage] ▼第6試合 59kg契約 5分3R〇伊藤裕樹(ネックス)59.0kg[判定3-0]×トニー・ララミー(カナダ)58.80kg  伊藤裕樹は、RIZINでヒロヤ、トップノイ、上田将年を相手に判定勝利。24年10月にはROAD FCで活躍するイ・ジョンヒョンにもTKO勝利し、4連勝中。対するララミーは、兄で元UFCファイターのTJ・ララミーの影響でレスリング、格闘技を始め、PFC&BTCフライ級王者。11月、初参戦のRIZINで村元友太郎に完封勝利している。  1R、サウスポー構えの伊藤は出入り、オーソのララミーの入りにヒザ。ワンツー、左テンカオも、しかしその打ち終わりにララミーが右フック! ダウンした伊藤はすぐに立ち上がると、右を振る。ララミーはワンツーから右ハイ。伊藤は右ボディ、左ヒザで角度をつけて出入り。  ボディ打ちの伊藤にしかし詰めるララミーは右から左フック。ボディ打ちから真っ直ぐのパンチは伊藤。ララミーの左から右に、伊藤は左を合わせてダウンを奪い返すとラッシュもゴング。  2R、ワンツーから左ヒザをララミーの腹に突く伊藤! ララミーの打ち終わりに左を突くが、ララミーも左を返してスイッチして左カーフ。伊藤はワンツーから右フック、左ヒザ。ララミーは右フックを狙うが、伊藤は角度をつけてジャブを刺す。  3R、右ストレート、右フックのララミーに、左の攻撃を上下に散らす伊藤は、左ボディストレートから左ストレート。さらにララミーの入りに左を当ててダウンを奪う! すぐに立つララミーは下からダブルレッグテイクダウンで引っこ抜くとすぐに立つ伊藤。  詰めるララミーの大きな左右をかわして伊藤は左ヒザ、さらに左でダウンを奪うとパウンドラッシュもゴング。  判定3-0で伊藤が勝利。「判定だよね? 足んねえな。KOじゃないとボーナス出ないんで。5月用意して次は絶対フィニッシュするんで、応援よろしくお願いします」と語った。 [nextpage] ▼第5試合 59kg契約 5分3R〇前田吉朗(パンクラス大阪稲垣組/ENCOUNTER)58.65kg[3R 2分52秒 リアネイキドチョーク]×横内三旺(Four Rhombus)59.0kg  前田は元PANCRASE&DEEP二冠王者。00年の船木誠勝vs.ヒクソン・グレイシー戦に触発され、P‘sLAB大阪に一般会員として入会。03年2月のプロデビュー以来、強豪相手に破竹の12連勝。05年5月のPRIDE武士道ではチャールズ・ベネットに自身初のKO負けを喫した。06年、PANCRASE初代フェザー級王者決定トーナメントを制し王座戴冠。08年ミゲール・トーレスのWEC世界バンタム級王座に挑戦し敗れるも、同級世界最強と謳われた王者との互角の激闘が大きな反響を呼び年間ベストバウトと称された。12年2月、大塚隆史に一本勝利で第3代DEEPバンタム級王者に。大晦日、DREAM同級王者ビビアーノ・フェルナンデスとのノンタイトル戦では一本負け。 13年4月、DEEPのV2戦でDJ.taikiにKO負けで王座陥落。ドローを挟む4連敗を経て、修斗ほかで4連勝を挙げて復活後はコンスタントに試合を積む。福田龍彌、平良達郎に2連敗で迎えた21年11月、初参戦のRIZINで砂辺光久と18年ぶりに対戦し判定勝利。22年4月、MMA引退。23年3月、GLADIATORに参戦しPROGRESSフォークスタイルグラップリングルールで江木伸成に判定勝利。9月には同ルールでNavEに一本負けを喫した。MMA復帰戦となる今回、10代の甲子園覇者・横内の寝技を熟練の技術でねじ伏せるか。 横内は愛称「おにぎり君」。喧嘩っ早い性格から親に勧められ、9歳から16歳まで柔道を経験。関東から全国まで多数の大会に出場し、山梨県優勝、東日本3位、神奈川3位等の実績を持つ。16歳の時に学校を退学し、以前より好きだったMMAを始める。現在は通信制の高校に通いながら練習に没頭。アマチュアで経験を重ね、柔道ベースの組技・寝技の強さを発揮し16勝3敗1分うち6勝は一本勝利。23年、アマチュア修斗東海選手権フェザー級で優勝、DEEPフューチャーキングトーナメント2023バンタム級で準優勝している。24年大晦日のRIZIN甲子園決勝では、空手ベースの斉藤健心を1Rリアネイキッドチョークに極め、優勝を果たした。本戦初出場となる今大会で、四半世紀もの年齢差およびキャリア差のある、軽量級MMAを牽引してきたレジェンド前田吉朗を“握り”、新世代の到来をアピールできるか。  1R、ともにサウスポー構え。右跳びヒザで前に出る横内をいなして組む前田はボディロックテイクダウン。しかし横内も右で差してスイープするとスタンドに。  ともに跳びヒザから左で差して組む横内。互いにアームロック狙い。前田は左ジャブ。横内は組んで持ち上げて前に座らせようとするが、着地した前田は離れる。  右ジャブの横内。右で飛び込み首相撲も、前田はボディ打ちからボディロックから崩しも、横内の頭がロープに引っかかり前田も崩せず。  2R、前手右フックを狙う前田。横内は右スーパーマンパンチ狙い。かわす前田に、横内は左右で飛び込み。左ミドルは前田が掴むも深追いせず。腹を狙う横内。  組んで脇潜りバッククリンチの横内に、コーナーでアームロック狙いから突き放す前田。横内のバックフィストをかわして、右を入れて、横内のシングルレッグを潰してサッカーキック狙い。さらに背中を見せた横内の背中に乗り、首を狙いつつ着地してパウンド。  3R、右ジャブを突く前田。横内の左の飛び込み、跳びヒザをかわすが、組む横内は50/50からサドルに組んで外ヒールから内ヒールに切り替えも、前田も足関節に挑みつつ後ろを向いて足を抜き、横内のバックに。  半身でリアネイキドチョークを狙うと、横回転する横内についていき、両足を束ねてリアネイキドチョークを極めた。  試合後、前田は「香川が生んだ英雄。前田吉朗です。みんな、どうですか? 榊原さんは? 繁は? 佐伯さん、高松でこのような舞台を組んでくれてありがとうございました。来年もさ来年も、何年もここでできるように頑張ります。僕も頑張ります。でもスピンオフ!」と、地元での特別出場であることを語った。 [nextpage] ▼第4試合 RIZINライト級(71kg)→NCルール 5分3R×スパイク・カーライル(米国)73.0kg ※体重超過[判定0-3]〇泉 武志(BRAVE)71.0kg※カーライルに50%減点、泉が勝利の場合のみ公式記録に。カーライルが勝利した場合はノーコンテスト  泉は陸上のインターハイ選手を父に持つアスリート一族の三男で、長男は競歩選手で全国大会、次男はバレーボールの国体選手。中学では軟式テニスで県大会ベスト16進出。県立八幡浜工業高校ではバスケ部に入部したが、全国大会出場を夢見て、2年時に強豪のレスリング部に転部。未経験から3年時にはインターハイ団体戦ベスト8に貢献。日体大4年時にはインカレでグレコローマン60kg級優勝、国民体育大会成年男子同級で準優勝等の好成績を残した。大学卒業後は就職したが12年のロンドン五輪に刺激を受け復帰。17年にアジア選手権優勝、世界選手権出場等、活躍する。 20年、MMA転向。22年4月、MMAプロデビュー戦にして初参戦のRIZINで、グラント・ボグダノフに3RTKO負け。7月からDEEPを主戦場とし、初戦で野村駿太に判定負けを喫して以降は北岡悟らを相手に5連勝。24年7月、野村との再戦で最終R逆転TKO負け。10月にはグラップリングマッチで森戸新士に敗れた。再起戦にしてデビュー戦以来となるRIZINの舞台で、高いグラウンド技術を誇り、極め力のあるカーライルを圧倒し、地元四国からライト級上位陣にアピールしたい。 カーライルは幼少期に様々なスポーツを経験。12歳でレスリングを始めると格闘技にのめり込む。18歳でMMAを始めアマチュアで20戦近く経験。17年9月、地元のCCWでプロデビュー。そのほかCXF、LFA等でキャリアを積む。20年2月、UFCデビュー戦で1R KO勝利を挙げたが、その後は2連敗。21年はLFA、Ballys Fight Night、Cage Warriors、Bellatorでの4試合で全てフィニッシュ勝利を収めた。続く22年4月、初参戦のRIZINで武田光司にフロントチョークを極め全フィニッシュでの5連勝と勢いに乗る。 しかし10月のBellatorではAJ・マッキーのライト級転向デビュー戦で判定負けを喫した。その後23年5月のライト級王者ホベルト・サトシ・ソウザとのノンタイトル戦で、サトシが勝利した試合では初となる判定決着での敗北。続く9月の堀江圭功戦も判定負けに終わり悔しい3連敗となった。背水の陣で迎えた24年6月、RIZIN2連勝中だったキム・ギョンピョをリアネイキドチョークで絞め落とし再起を遂げた。  しかし、前日計量でスパイク・カーライルが体重超過。73kgと2gもの体重超過により、71.0kgちょうどでパスした泉武志との試合は、カーライルに50%の減点、さらに泉が勝利の場合のみ公式記録に。カーライルが勝利した場合は「ノーコンテスト」となることが発表されている。  1R、ともにオーソドックス構えから右ロー。泉は組んでおっつけて押し込むが、その離れ際に左フックで泉をダウンさせる。  すぐに立つ泉は四つで組んで引き出して右足をかけるが、コーナーに戻り、倒れないカーライルはバック狙いの泉を突き放し、左フック! 泉も右フックを返して前に。左で差して組んで、後方に崩してテイクダウン!  サイドから肩固め。身体を起したカーライルにアナコンダチョーク! ここも仰向けになって抜いて立ち上がるカーライルが前に。  2R、圧力をかけて右アッパーからダブルレッグの泉。カーライルのがぶりに立ち上がり。カーライルののど輪絞めを泉は指摘。シングルレッグから密着してコーナーに押し込むが、突き放すカーライルは右ハイ、さらに、押し込んでヒザ。カーライルののど絞めに「警告」。  3R、先に詰めてボディロックから回してテイクダウンを狙う泉だが、捨て身気味に。体を起こして際でトップはカーライル。泉の身体の起こしにバックを奪うと、4の字ロック。ずれたところで立ち上がろうとする泉だが、許さないカーライル。下からの泉のキムラ狙いを外してバックに。  パウンドの際で立ち上がる泉は正対。コーナー背にヒザを突き合い、サークリング。最後はカーライルが左から右で前に出て右ハイをガード上に突きゴング。  判定は50パーセント減のカーライルに、泉が3-0で勝利した。 [nextpage] ▼第3試合 ストロー級(52.0kg)5分3R〇万智(67ジム)51.85kg[2R 4分04秒 TKO]×パク・ソヨン(ROAD GYM GUNSAN)51.65kg  21歳の万智は、柔道ベースで22年11月のDEEP JEWELSでプロデビュー。23年10月にRIZIN初参戦で修斗王者の渡辺彩華に判定2-1で勝利。その翌月、DEEP JEWELSストロー級暫定王座決定戦で松田亜莉紗にスプリット判定負け。24年5月、松田が返上した王座をかけパク・シウと対戦。足関節でダメージを与えるも判定負けで2連敗。9月にはラウェイ王者スーリ・マンフレディを2R 肩固めに極めて再起。 今回、1年5カ月ぶり二度目のRIZINで、自身と誕生日3日違いの同い年で修斗インフィニティリーグ優勝の新鋭パク・ソヨンを相手に、進化した打撃と極めの強さを見せつけるか。  1R、サウスポー構えの万智に、オーソのパク・ソヨンは細かいステップで的を絞らせずスイッチしてロー。そこに万智はじりじりと詰めてワンツー、左ハイ。  ブロッキングのパク・ソヨンは右の飛び込み、右フックのダブル。かわす万智だが、右の飛び込みを被弾! 顎が上がる万智だが、左ハイをガード上に。さらにワンツー。ここはずらす万智は右フック。さらに左で前に出るが、ともに首相撲。万智の左オーバーハンドとパク・ソヨンの右が交錯する。あえてか、打撃を軸に戦う万智。  2R、試しの打撃の1Rからパク・ソヨンの右の入りを潜ってダブルレッグで組んでボディロックテイクダウンは万智。右で脇差しハーフからマウント。右の鉄槌をこつこつ当ててからサイドに出て腕十字を狙いながらもマウント、パウンド! 背中を見せたパク・ソヨンにヒジ連打! リストコントロールからパウンドし、立ち上がるパク・ソヨンを崩してグラウンドヒザ連打! パク・ソヨンのバックを奪い、4の字ロックからリアネイキドチョークを狙いつつ、最後はバックマウントからパウンド連打! レフェリーが間に入った。  試合後、「RIZINを見て、将来の夢が決まり、こうしてこの舞台に立っています。たくさんの人に夢と希望を与えられるように頑張ります。今日、ここにいる皆さん万智のみなさん、ファンになってくださーい! RIIZNでストロー級のベルトを作ってもらえるように頑張ります」と語った。 [nextpage] ▼第2試合 RIZINストロー級(53kg)5分3R〇越智晴雄(Little Giant Gym)52.95kg[3R 1分23秒 ギロチンチョーク]×中務修良(NOMAD)52.85kg  越智は大学から空手を始め、ボクシング部に入部。同時にパラエストラ愛媛で総合格闘技を始める。08年2月、修斗でプロデビュー。13年から主戦場をDEEPに移す。17年9月、カンサトーのDEEPストロー級王座に挑戦し2Rフロントチョークに極め、第2代王者に輝く。9月、初参戦のRIZINでPANCRASE王者砂辺光久と日本人ストロー級最強決定戦に臨み、3R KOで王者対決に勝利。19年12月のBELLATOR JAPANでは同級世界最強と言われたジャレッド・ブルックスに判定負け。20年8月、川原波輝に2R一本負けを喫しDEEP王座陥落。 再び階級を上げ、22年DEEPフライ級GPに参戦。8月の初戦で本田良介に判定負けでGP敗退、2連敗に。12月の中村真人との再起戦(55kg契約)、続く23年5月のキム・ウジェ戦(56kg契約)を、ともにギロチンでDEEP2連勝を挙げると、12月のDEEP ストロー級暫定王者決定戦では1R佑勢乃花(上原佑介)の三角絞めに対し豪快なスラムで失神KO、暫定王座を戴冠した。24年5月の王座統一戦では1Rギロチンで川原波輝とのラバーマッチを一本勝利し統一王者に。3年4ヶ月ぶりのRIZIN参戦となる今回、地元四国で国内最強のストロー級として豪快なフィニッシュ勝利を飾りたい。 中務はいじめられっ子で不登校の少年時代に漫画「はじめの一歩」を読みボクシングを始める。高校時代はボクシング部がなくレスリング部に在籍。就職で上京した際、山本“KID”徳郁に魅了され、MMA転向を決意。アマチュアで好成績を残すと、18年Wardog Cage Fightでプロデビュー。19年7月には第2代WARDOGストロー級王者決定戦に臨み、ふじい☆ペリーに一本勝利で第2代王者に輝く。22年4月、初参戦のRIZINで階級を上げ征矢貴と対戦するもTKO負け。7月には自身の階級で砂辺光久を1R TKOし RIZIN初勝利。 23年3月のGLADIATORで初の国際戦に55kg契約で臨みフィリピンのエイドリアン・バトト・ジェマーに1Rヒールフックを極め一本勝利を挙げると続く11月、韓国のGFCにフライ級で参戦、キム・テフンを1Rわずか32秒KO。24年にはHEX Fight Seriesに参戦し、ショーン・ガウティとのフライ級王座決定戦に臨むも1R KO負けを喫した。これらの国際戦を経て9月のDEEPで再びストロー級に戻し多湖力翔に判定勝利で再起。12月の越智戦が自身の怪我で中止となり今回はRIZINでの仕切り直しの一戦に。DEEP王者相手に圧倒的勝利を挙げ国内外の軽量級へアピールしたい。  1R、サウスポー構えの中務。オーソの越智に右の外足を取ろうとする。中務は左で飛び込み。右に回らされる越智はシングルレッグからコーナー押し込み。そこにギロチンを合わせに行く中務に、首を抜く越智はボディロックで後方に回して崩すと、中務の立ち際にギロチンチョーク!  しかし、越智を抱えたままコーナーに押し付けて、それ以上、越智の上半身を反らせない中務は、ヒザを押して首を抜いてダブルレッグへ、すぐに立つ越智は蹴りからシングルレッグ、ボディロツクも四つから体を入れ替え押し込むのは中務。突き放した越智は右オーバーハンドで前に出る。  2R、ジャブで先制し、ニータップで越智を崩した中務は、越智の立ち上がりにバックに。崩してから左足をかけて4の字、おたつロックから後方にパウンド。越智に向き直りを許さない。細かいパウンド、鉄槌でゴング。  3R、サウスポー構えからニータップ狙いの中務。下がりながら右を振る越智のスピードが若干、落ちるが、越智はロープ背に右フックで片ヒザをマット着かせると、すぐさま中務の立ち際にギロチンチョーク! しっかりクローズドガードに入れて中務を上に向かせて絞りタップを奪った。  最終ラウンドに打撃を当てて一瞬の際を逃さなかった越智は「今日は近い愛媛からここ香川に来ていただきありがとうございました。キツい試合でしたが、何とか勝つことができてよかったです。こんな試合でいうのも何ですが、RIZINでストロー級を作りたく、強い選手とやってDEEPの強さを証明したいと思います」と語った。 [nextpage] ▼第1試合 RIZINバンタム級(61kg)5分3R〇魚井フルスイング(和術慧舟會HEARTS)60.95kg[判定2-1]×赤田プレイボイ功輝(剛毅會)61.0kg  魚井は2008年にプロMMAデビュー。修斗環太平洋バンタム級王座決定戦で祖根寿麻に判定負けで王座戴冠ならず。19年6月、地元・神戸でRIZINデビューを果たすとカナ・ハヤットにTKO勝ち。20年8月、元谷友貴に一本負け。修斗、RISEも含め5連敗後の2021年11月に獅庵にTKO勝ち。その後RIZIN、DEEPで伊藤空也、倉本一真、ヤン・ジヨン、平松翔、梅野源治を相手に5連敗。24年9月のDEEPでは梶本保希に判定勝ちを収め約3年ぶりの白星を掴むも、12月に小崎連に判定負けを喫し完全復活ならず。今回、キック出身、大晦日『雷人番外地』で五明宏人を相手にスプリット判定負けの接戦を繰り広げたMMA2戦目の赤田を相手に、フルスイング復活で再起を果たせるか。 赤田は、20歳でキックボクシングを始め、2020年、Krushでのデビュー戦以来、得意の左で2連続KO勝利でKrush4勝(3KO)2敗に加え、K-1では北村夏輝と引き分けた。2024年4月、皇治プロデュースのNARIAGARIに参戦、ライト級T1回戦で良太に判定負け。その後、朝倉未来戦に向かう平本蓮のスパーリングパートナーを務める。11月のDEEPでMMAデビューし、1R TKO勝ち。大晦日のRIZINで五明宏人を相手に接戦の末にスプリット判定負け。  朝倉未来の『君が居れば』を口ずさみながら入場の赤田。セコンドの平本は笑いをこらえて大塚隆史とともに花道を進む。魚井はいつもの『Run魂Run』で大沢ケンジ代表らと登場。  平本同様にコールにお辞儀をしながら中指を立てる赤田。  1R、サウスポー構えの両者。中央を取る赤田。魚井は左から右のオーバーハンド。赤田も左の飛び込み。魚井は左の空振りに1回転。赤田が左カーフをこつこつ当てると魚井も左オーバーハンド。  ブロッキングの赤田は右ジャブ。魚井も左オーバーハンドから左右のボディ打ち。赤田は左カーフ、左ハイ。魚井は振りかぶりながら左ボディ打ち  赤田の左ヒザに魚井は右から左、左フックを当てると、一瞬動きが止まった赤田の舌出しに左ストレート! ダウンした赤田の立ち上がりにダブルレッグテイクダウン! 赤田の立ち際にヒザ、さらに左足をかけて左パンチも。  2R、先に詰める赤田は右ジャブ、左カーフ。魚井は左を振るが、カーフのダメージかバランスを崩す。左ハイの赤田。コーナーに詰まる魚井に左カーフ。右ジャブ。しかし魚井も左をボディ打ち、右フックも。  左瞼から出血の魚井に赤田は右ジャブ。左カーフ。ドクターチェック。中断。再開。  赤田の左カーフに左オーバーハンド、左ボディの魚井! しかし、赤田もガード固め、左カーフ。左ミドル。魚井は左を振って、左ヒザ。ダブルレッグも切る赤田は左カーフ。左にバランスを崩して尻餅をつく魚井。そこに赤田はパウンドで飛び込む。  3R、中に入れ、の声に左を上下に突く魚井はニータップの押し込みに赤田がスリップから立ち上がり。関節蹴りも出す魚井。赤田は右ジャブのトリプル。そこに魚井の左フルスイングがかすめる。ジャブ&ローの赤田はアウトキックボクシングから左ストレートの飛び込み。  魚井は赤田の左に左を合わせに行く。赤田は右ジャブ、魚井はシングルレッグでバランス崩し、立ち際に左ミドルをヒット。  前に出る赤田はジャブから左もかわす魚井もジャブ。首相撲ヒザで際の打撃。ジャブの赤田にダブルレッグも切る赤田が前に。右ジャブのダブルで前に出ると、魚井もブロッキングで回ってゴング。  赤田のジャブ&カーフに、初回にダウンを奪い、フルスイングをボディ打ちと顔面に打ち分けた魚井の試合の判定はスプリットに割れ、2-1で魚井が接戦を制した。試合後、赤田は跪いて魚井と握手して言葉をかわした。 [nextpage] 【オープニングセレモニー】 ▼OP5 RIZINキックボクシングルール 67.5kg契約 3分3R〇稲井良弥(TARGET大森)67.50kg[1R 2分57秒 TKO]※レフェリーストップ×加古稟虎(NJKFteamBonds)67.35kg  加古は16歳の高校2年生。稲井は14勝(10KO)2敗、第4代DEEP☆KICK-70kg王者でRISEウェルター級(-67.5kg)3位。  1R、前に出る稲井がジャブ、左右ロー。加古は右へ回り込みながらジャブと右ロー。稲井はガッチリと両腕ブロックを固め、右ストレート、左右ロー。加古は飛びヒザ。ロープに詰めた稲井が左ボディからの右ハイでダウンを奪う。立ち上がった加古に稲井は右フック、加古がダウンしたところでレフェリーが試合をストップした。 [nextpage] ▼OP4 RIZINキックボクシングルール 63.5kg契約 3分3R〇吉岡龍輝(及川道場)63.20kg[判定2-1]※30-27、28-29、29-28×切詰大貴(武勇会teamSUSANO)63.20kg  戦う医学生の切詰は7戦全勝、イノベーションのスーパーライト級王座に就いている。吉岡は現DEEP☆KICK-63kg王者のサウスポー。両者は同じ日にベルトを巻いた。  1R、切詰は左ミドルと右ジャブ、切詰も左ミドルを返す。ショートレンジでの打ち合いから、吉岡は左ミドルを蹴る。左ストレートをボディにも打つ吉岡に切詰は左フック。吉岡は左へ回り込みながら、攻撃の時は右にステップインして左を打って行った。  2R、ショートレンジの打ち合いでパンチを回転させていくのは切詰。吉岡は前に出て左ストレート、右フック。それを左右フックで迎え撃つ切詰。今度は切詰が前に出て右を打って行くが、吉岡がワンツーを繰り返して回り込む。  3R、前に出て連打を決める吉岡。強いワンツーを繰り出し、切詰はヒザで迎え撃つ。回り込みながらワンツーを打つ吉岡に切詰は左右ボディ、ヒザ。両者とも疲労の色が見える中、切詰は前へ出て徹底したボディ攻め。そこへ吉岡が左のショートを当てる。両者打ち合いの中、終了のゴングが鳴った。  判定は2-1と割れ、吉岡が勝利をもぎ取った。 [nextpage] ▼OP3 RIZINキックボクシングルール 63.0kg契約 3分3R〇大谷翔司(スクランブル渋谷)62.90kg[1R 3分00秒 KO]※3ノックダウン×足利也真登(Fight Club Rush.)62.95kg  KNOCK OUT-BLACKライト級王者の大谷と対戦するのは、第5代DEEP☆KICK-64kg王者の足利。大谷は2月に試合を終えたばかり(KO勝ち)で、5月には防衛戦も決まっている。  1R、足利は喰ってやる気満々でパンチと右カーフを放って行くが、大谷が右ストレートを伸ばしていくと足利が下がり、右ストレートからの左フックでダウン。大谷は右カーフからの右フックで2度目のダウンを奪う。  左右フックで捨て身の攻撃を仕掛ける足利に大谷も打ち合い、両者にとって危険な距離。足利が右ストレート、左右フックをヒットさせて大谷が下がるが、右のカウンター。攻め疲れた足利のボディを打つ大谷。足利が最後の力をふり絞って左右フックで勝負をかけたところで、大谷が右のカウンターをさく裂させてKO勝ち。  得意のナパームストレートを決めて地元での勝利を飾った。 [nextpage] ▼OP2 RIZINフライ級(57.0kg) 3分2R〇高岡宏気(FORCE GYM)56.90kg[2R 3分44秒 リアネイキドチョーク]×飴山聖也(ENCOUNTER)56.85kg  飴山は前田吉朗の門弟で4連続KO勝ち中。高岡は修斗世界フライ級2位。  1R、左インローの蹴り合いから飴山がワンツーで前へ出る。高岡が飴山のワンツーのタイミングで組み付きコーナーへ押していくが、飴山が突き放す。離れると飴山は右アッパー、右カーフ。高岡がシングルレッグでテイクダウンに成功。 背を向けて立ち上がった飴山は、後ろに倒れるとすぐに正対して上に。立ち上がってサッカーキック。高岡もすぐに立ち上がって左右フックを打つ。パンチの打ち合いとなり、互いにヒットを奪う中で高岡が組み付いてバックに。飴山はアームロックで耐えるも残り時間わずかでテイクダウンされた。  2R、ジャブを繰り出す飴山に高岡がダブルレッグでテイクダウン。飴山もブリッジですぐに立つが、高岡はバックをとったまま後ろに投げる。すぐに立ち上がる飴山だが高岡はバックに付き続ける。 アームロックを取る飴山を崩し倒した高岡はバックマウントを奪いリアネイキドチョークに行くが飴山はブリッジで逃れる。しかし、すぐに高岡がマウントパンチから背を向けた飴山に再びリアネイキドチョーク。今度は逃さず、高岡が一本勝ちを収めた。 [nextpage] ▼OP1 RIZINキックボクシングルール 55.0kg契約 3分3R×龍生(ALONZA ABLAZE)54.95kg[判定0-3]※27-28×3〇香川 刻(blaze)55kg  K-1グループから参戦の龍生は4勝4敗、17歳の香川は1勝3敗。互いに四国出身。  1R、龍生はサウスポー。踏み込んでのワンツーを繰り出す香川を左右フックで迎え撃つ龍生。香川は右インカーフからの右ストレートでダウンを奪う。香川の右ストレートを連続被弾する龍生は真正面からの打ち合いで左右フック。左フックが香川を捉えるが、右ストレートをもらう。打たれても前に出る龍生が最後に左右フックからのヒザを決めた。  2R、前に出る龍生がヒザからの右フックでダウンを奪い返す。さらに畳みかける龍生に香川はバックハンドブローを繰り出すが龍生の勢いは止まらず、コーナーやロープを背負う香川。しかし、このラッシュを香川に耐えられ龍生がスローダウン。香川が右ストレートで逆襲に転じる。左フック、右ストレートで香川が攻勢だったが、頭を振ってパンチをかわした龍生が頭を戻したところでバッティング。香川がうずくまってしまった。再開後、すぐにゴング。  3R、再び前に出て左フック、左ヒザで攻める龍生。香川は右インカーフ。ワンツーからのバックハンドブロー、ワンツー連打をヒットさせる香川だが龍生は前に出て左フックを打つ。もらいながら前に出て右フックを打つ龍生。  判定3-0で香川が勝利。喜びを爆発させた。
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