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2024年7月21日、東京・後楽園ホールにて開催された『プロフェッショナル修斗公式戦 2024 Vol.5』のメインイベントの5Rの王座戦の判定が選手・関係者の間で、議論となっている。
各ラウンド毎に採点する「10ポイントマストシステム」のスコアは「10-9」が基本であり、大差がついたラウンドが「10-8」となります。「10-10」は、通常は用いられませんが、採点に適さない場合、例えば、アクシデント等により短時間で終わったラウンドなどでまれに用いられることがあります。#JMOC https://t.co/UNq94ENZIP
— JMOC | 日本MMA審判機構 (@mmaofficials_jp) July 28, 2024
北米ユニファイドルールによる傾向も踏まえた現在の判定基準はどうなっているのか。団体によって異なる部分はあるものの、その考え方を知ることで、今週末に注目となっている「朝倉未来vs.平本蓮」などの見方も変わるため、下記に紹介したい。
割れた判定──
21日の後楽園のメインイベントは、「世界バンタム級チャンピオン決定戦」。安藤達也が、5月8日付けで返上したベルトを巡り、環太平洋王者で世界1位の藤井伸樹(ALLIANCE)と、3位の齋藤奨司(FIGHT FARM)が世界王座を争った。
高校・大学時代にボクシング部に在籍し、RISEでもキックを3試合戦っているストライカーの齋藤と、“最も戦いたくない”と称される我武者羅グラップラーの藤井による、打撃vs.組みの構図の5Rの王座戦。
試合は、序盤からスタンド打撃を当てる齋藤とテイクダウンからコントロールを狙う藤井の熱闘に。1、2Rはスタンド打撃で攻勢の齋藤に、テイクダウンを奪うのは藤井だが、齋藤もマットに完全に背中をつかされることなく、金網背に座りながら細かい打撃。藤井も立ち際にクリンチボクシングをまとめている。有効打では齋藤だが、テイクダウン&コントロールは藤井、ダメージは僅差で齋藤のラウンドとも取れる。
3Rはジャブ。右フックを突く齋藤に、藤井が組みのフェイントから右を突く。金網を背にさせる藤井がシングルレッグテイクダウン! 齋藤を寝かせることに成功するが、齋藤も金網背に上体を立てる。藤井が支配したラウンドか。
4Rはャブから右ボディを突く齋藤に、シングル&ダブルレッグで寝かせる藤井。齋藤はシッティングまで体勢を戻すと肩甲骨にヒジ。藤井は両足を束ねたまま頭を上げて左右を顔面、腹にまとめる。コントロールと細かい打撃では藤井のラウンドに。
5R、上下に散らす打撃の齋藤に、シングルレッグ、ボディロックテイクダウンの藤井が齋藤を寝かせるも、厳しい膠着ブレイクにより、スタンドに戻され打撃戦に。右を突く齋藤に藤井も打ち合いに応じ、互いに決定打が無いまま判定へ。
▼メインイベント 第11試合 世界バンタム級チャンピオン決定戦 5分5R
×藤井伸樹(同級1位・ALLIANCE)60.8kg
[判定1-2] ※49-46, 45-50, 47-48
〇齋藤奨司(同級2位・FIGHT FARM)60.9kg
※齋藤が第13代世界バンタム級王者に
[レフェリー]片岡誠人
[サブレフェリー]
福田正人 45-50(1R 9-10/2R 9-10/3R 9-10/4R 9-10/5R 9-10)
田澤康宏 49-46(1R 10-9/2R 10-9/3R 9-10/4R 10-9/5R 10-9)
鍋久保雄太 47-48(1R 9-10/2R 10-9/3R 9-10/4R 10-9/5R 9-10)
判定は2-1のスプリットに割れ、1者が49-46で藤井を支持も、2者が齋藤を支持。そのうち1者は47-48の1ポイント差で齋藤支持、もう1者は45-50のフルマークで齋藤を支持していた。
ベルトを巻いた新王者は、「FIGHT FARMの齋藤奨司です。大好きな格闘技が怪我で1年ぐらいできなくて、そこから藤井選手と頭の中で1年間戦ってきました。下馬評は不利だったと思うんですけど、自分を信じて、仲間たちを信じて一つのことを頑張り続けたらチャンピオンになることができました」と、今回の試合が1年間、シミュレーションしてきた結果だと語った。
続けて、「特別才能があったわけじゃないですけど、一生懸命頑張れる性格に産んでくれたのは両親に感謝します。何より僕を強くしてくれたのは藤井選手なので藤井選手に大きな拍手をお願いします。そして、総合格闘技を始めるきっかけを作ってくれた高谷さんありがとうございます。これからも自分を信じて仲間を信じて上に行くんで応援お願いします」と、“津田沼の特攻隊長”高谷裕之に感謝の言葉を述べた。
MMAストライカーだった高谷裕之仕込みの“倒される前に倒して勝つ”津田沼魂を継承し、“倒されても殴る・倒されても立ち上がる”スタイルでチャンピオンシップを制した齋藤。対して、打撃での立ち合いからタフなテイクダウン&コントロール、ドミネートを狙った藤井の熱闘の判定に、ファイター・関係者から大きな反響が起きている。