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インタビュー

【RIZIN】征矢貴「一日中、格闘技のことを考えて練習する生活をしたいから、年内あと3試合やりたい」=8.18「RIZIN.18」名古屋

2019/08/12 12:08
【RIZIN】征矢貴「一日中、格闘技のことを考えて練習する生活をしたいから、年内あと3試合やりたい」=8.18「RIZIN.18」名古屋

8月18日(日)愛知・ドルフィンズアリーナにて開催される『RIZIN.18』で村元友太郎(ALIVE)と対戦する征矢貴(パラエストラ松戸)がパラエストラ柏で公開練習。その後、本誌の単独取材に応じた。

難病であるクローン病との闘病を続けながら、6月に2年ぶりの試合で川原波輝を相手に1R KOによる復活勝利を挙げた。「何年後かの自分を考えると、いま頑張ったほうが強くなれる」という征矢は「8月名古屋大会で勝って、10月の大阪、12月のさいたまも出たい」と、語った。

自分が頑張る事でほかの人に希望を与えられたら、それ以上の幸せはない

──6月2日のRIZIN初戦は59kg契約で、川原波輝選手を相手にオーソドックス構えから左フックを当てて最初のダウンを奪いました。練習していた得意の形でしょうか。

「そうですね。サウスポーからはかなり見えにくい角度で、打つ練習はしていました。始まったときに最初はガードが下がっていたので“当たるかな”と思っていました」

──先にダウンを奪いペースを掴みながら、川原選手もしっかり立って仕切り直し、構えも変えて圧力をかけてきました。最後はロープを背にしながらの右のカウンターでした。相手の動きが見えていましたか。

「それまでにしっかりバックステップで相手のパンチをかわしていたので、距離がだいたいつかめていたところに相手が飛び込んできてくれた。あそこでガードが高すぎるとカウンターは狙えないんですけど、あえて狙ってという形でした」

──それでガードを下げていた。誘っていたんですね。手の位置が低い方が速く出せる。伝統派空手出身は川原選手の方なのに、あのときは大きな振りになっていた。その前の攻防でも川原選手の左は長いですが、当たっていませんでした。

「そうですね。距離がつかめていましたね」

──倒した後にすぐにサッカーキックが出ていました。慣れた動きのようでした。

「練習以上のことはできないので、練習でサッカーボールキックはやっていました。本気では蹴らないですよ(笑)。練習でも技術のひとつとしてサッカーボールキックは採り入れて、相手にサッカーボールキックありの動きでスパーリングお願いします、とやっていたので本番で出せたんだと思います」

【写真】2019年5月のONEシンガポール大会でアレックス・シウバに判定勝利した内藤のび太とムエタイのゲンナロントレーナーと征矢。

──約2年ぶりの試合での勝利というのは……。

「ほんとうにホッとしましたね。2年ぶりの試合で動けないかもしれないし、大舞台で委縮してしまう選手もいると思うんですけど、自分はそんなこともなく、いつも以上の動きもできたのでそこは安心しています」

──前回の試合後の周りの反響は?

「何回か『試合見ました』と声かけていただくことがあったので、やっぱりRIZINの反響はすごいなと。今までは無かったので」

──前戦が6月ですから8月18日の次戦は短いスパンでの試合になりますね。

「前回終わった後、気持ち的に一瞬燃え尽きたんですけど、すぐオファーいただいて。モチベーションもすぐに戻ってきて、体調も問題ないですし、また呼んで頂いて嬉しいなという気持ちが大きいですね」

──「一瞬、燃え尽きた」というのは?

「練習をすごい必死にやって、試合でいい勝ち方ができたので一瞬気が抜けたというか、何もやりたくないという感じが1週間くらいあって。またすぐ話(オファー)を頂けたので、またよしやるぞと。前回は勝ったんですけど、自分が負けてショボイ試合をしてしまったら呼ばれないと思いますし、常に崖っぷちという気持ちなので、決まった以上はものすごい練習してきました」

──現在の試合1週間前のコンディションは?

「練習の疲れがピークです。ただ、心拍数を上げる練習はしっかりやってきました。あとは疲れが取れれば100パーセントで動ける状態です」

──東洋医学との出会いもあり病気(クローン病)の症状が回復し、試合にも勝利した。その過程で追い込みなどもあり不安だったかと思います。その後はいかがでしたか。

「今は症状は出ていないです。前回の試合前はやはり不安があって、身体に気をつかいながら練習をしていましたが、やっても大丈夫だなと。試合後も特に崩れることもなく、今回もしっかり追い込みの練習ができました」

──2年前の修斗での清水清隆戦はフライ級(-56.7kg)でした。59kg契約というのはフィットしつつありますか。

「7月に試合があるかもしれなくて、その前にももしかしたら61kgでやってくれ、という話もあったので、59kgでも61kgでもやりますとは伝えていました。59kg契約になって……まあ全然、やりやすい体重だなと思っています」

──村元友太郎選手とは同門のランボー宏輔選手が対戦(2018年4月の「DEEP83」)してランボー選手が判定で敗れています。その試合もご覧になっていますか。

「はい。ランボーさんが負けているので……普通にうまくて強い選手だと思います。戦績はそんなに飛び抜けてはいないですが実力者だなと。ALIVEで練習をされていて全部出来るでしょうし、1年間試合をしていませんが、若い選手(※村元は征矢と同じ24歳)は1年間で相当強くなると思うので──それは僕もそうですが──かなり強くなっているだろうなというイメージで練習してきました」

──いずれの試合も思い切りのいい打撃と粘り強いレスリングでも勝負してきます。

「相手はかなりスタミナがあって動く選手とわかっているので、スタミナで負けないように練習量をこなして、相手のポイントを潰しせるように練習をしてきました」

──どんな試合展開になると考えていますか。

「僕がプレッシャーをかけて、相手は足を使ってきて、瞬発力があるので、飛び込んでパンチとかタックル(きたところ)をしっかりさばいて、僕が最終的にはKOするイメージです」

──お二人とも川原選手と対戦しています。

「あの試合は……(村元が)ちょっと熱くなって結構パンチを振り回していたので、もしそういうことがあればチャンスかなと。そういうところは修正が難しいので」

──征矢選手は剛腕のイメージが強いですが、実はしっかり相手を見てコンパクトな打撃を打つ部分も感じます。

「昔はフックばかりでしたが(笑)。最近はしっかり組み立てながら戦えるようになってきたかな、と思います」

──前回の試合後は朝倉海選手、中村優作選手、トップノーイ選手、という名前も出しました。今後はそういった61kgの選手ともやっていきたいと?

「そうですね……あんまり先のことは考えていないですけど、まずは目の前の相手を倒してという感じですが、もちろん61kgで、と言われても戦えるように、誰が来てもという感じでやっています」

──バンタムの61kgで試合をしたことは……。

「61は昔、プロデビュー戦(DEEP TOKYO IMPACT 2012)がその体重でした。それ以降は修斗で56.7kgでやってきたので、61になるとパンチとか蹴りも威力が全部違うので、まあやってみないと分からないですけど、やってみたいなという気持ちもあります。いまは通常が64kgくらいなので、59kgでも減量もほとんど、1週間前からやれば落ちるくらいです」

──身体への負担も考えている?

「そうですね。あまり急激な減量はしないように。あとは昔はウェイトトレーニングをすごいやっていたんですけど、病気になってから一切、やっていないので、それで通常体重が落ちた感じです。体重が軽くなると圧力は変わるかもしれませんが、どっちが強いかというと今の方が確実に強いです。練習で体重差のある相手にパワーでやる練習しても意味がないなと気づいて。試合で強くないと意味がないですし」

──征矢選手と同じ病気で苦しんでいる方も勇気づけられると思います。

「そうですね。ツイッターとかメッセージで同じ病気の方から“勇気をもらいました”とか言って頂いて、それが一番嬉しいです。そういう人たちの希望になれればなと。もちろん自分のために(格闘技を)やってるんですけど、自分が頑張る事でほかの人に希望を与えられたら、それ以上の幸せはない。簡単に辞めるとかは言えないですね」

──ところで、征矢選手は浅倉カンナ選手のように怖い夢を見ることは?

「今は、見ないですね。この試合に向けては特にないです」

──ジムの先輩である扇久保博正選手も7月大会で元谷友貴選手に競り勝ち(スプリット判定)ました。ジムの雰囲気はいかがですか?

「すごくいいですね。(扇久保から)刺激をたくさんもらっています。試合に対する姿勢や格闘技に対する姿勢が一番で、チームのみんなで追いかけて追い越そうとしています。俺も俺もとエネルギーが溢れています」

──名古屋のファンにどんな試合を見せたいですか?

「名古屋のファンには(自分の)アグレッシブさだったり、立っても寝ても仕留めに行くぞ、というところを見てもらいたいですね」



──相手のホームで、今回もアウェイです。

「そうですね。多分向こうは大応援団で来ると思うんですけど、まあ、日本国内だったらアウェイとかあまり関係ないですね(笑)。みんな仲間も来てくれるので、最強のチームで名古屋に乗り込みたいと思います」

──前回は神戸、今回は名古屋と東京以外での試合が続きますね。

「できることなら、今回試合をして10月の大阪大会と12月も出て、今年は4試合やりたいと思っています。プロレスラーの巡業みたいですけど(笑)」

──試合を急いでいるように感じます。

「2年間試合していなかったし、試合があればそれに向けての練習で相当レベルアップできているのを感じています。いまというよりも何年後かの自分を考えると、いま頑張ったほうが強くなれるかなと思います。あとは、まあお金の話になりますが、RIZINに出続ければ、一日中、格闘技・練習に専念できる環境でいけるので、そういう点でも負けられない。将来を見据えてRIZINで戦っています。年齢的にもいま一番強くなれる時期だと思っているので。一日中、格闘技のことを考えて練習するという生活をしたいので、年内あと3試合をやりたいなというのが僕の希望です」

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