唯一のUFC日本人男子ファイター・佐藤天「竹槍を持って戦闘機に挑むのは嫌だった」
現在、日本男子選手で唯一のUFCファイターである佐藤天(サンフォードMMA)は、ATTでの練習経験を持つ修斗世界バンタム級暫定王者の岡田遼とのYouTube対談で、日米の練習環境の違いについて、次のように語っている。
「初めて行ったときに、施設の大きさと器具の豊かさに驚き、さらに知らないことが多すぎてついていくのも精一杯で、日本では普通に毎日練習しているはずなのに、相手が強いというのもあると思うんですけど、全身がつるし、“あれ? ヤバイな”みたいなのはありました。技術的なことも分からないことが多くて、この状態でUFCで戦ったら怖いなと。竹槍を持って戦闘機に挑むみたいで、それは嫌だなと。勝てるものをしっかり準備してUFCに挑まないと、先が無いと思った」と、初の渡米出稽古で危機感を抱いたことを吐露。
練習内容については、「すごい反復練習が多い。ただ打ち込みだけじゃなく、掘り下げてシチュエーションを噛み砕いて、1個1個、すごく時間をかけてドリル練習をやって形を作り、週に2回くらいスパーリングで試す。日本と比べると技術練習・ドリル練習が多い。そのドリルも詰めてやるとキツい」と、回答に向かって、反復する練習が多いことを指摘している。
さらに「ドリルで問題点に焦点を当てて、答えを出してからスパーリングで試すというところまでやるから(試合に)繋がりやすい。コーチもすごく細かいところまで研究している。各コーチ間も意思の疎通が出来ているので、チーム全体としてまとまりがある。全体ミーティングもあって、ほんとうに“プロチーム”という感じがします」と、選手と各ジャンルのコーチ陣の連携が必須と、北米MMAの最前線の練習環境を語った。
その上で、佐藤は記す。
「合う合わない・良い悪いは人それぞれなので、それを知るためにも行って確かめてみるのは良いと思います。結局、すべて自分次第。自分はすべて自分のせいに出来る環境に身を置けていることには満足しています」と、米国屈指のトップジム・サンフォードMMAでの練習のアドバンテージを十分に理解しながらも、ただ米国のジムにいるだけで強くなれるわけではなく、高みを目指す選手の取り組む姿勢や意識のなかにこそ差があるとした。