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【DEEP JEWELS】前澤智が青野ひかるに一本勝ちで有終の美飾り引退。さくら、山崎桃子、栗山葵が勝利

2020/10/31 17:10
【DEEP JEWELS】前澤智が青野ひかるに一本勝ちで有終の美飾り引退。さくら、山崎桃子、栗山葵が勝利

(C)ゴング格闘技

skyticket Presents DEEP JEWELS 30

2020年10月31日(土)ニューピアホール
開場 17:30 開始 18:00

▼メインイベント(第8試合)DEEP JEWELSアトム級タイトルマッチ5分3R  
〇前澤智(リバーサルジム 立川 ALPHA)王者
[3R 0分57秒 ギロチンチョーク]

×青野ひかる(ストライプル新百合ヶ丘)挑戦者

 前澤は青森県八戸市出身。八戸商業高校で柔道部に所属し、弘前市の東北女子大を経て、八戸に戻り就職。並行してパラエストラ八戸に通い、柔道のほかサンボ、ブラジリアン柔術を経験し、2012年にJEWELSでプロMMA(総合格闘技)デビュー。本格的に格闘技に取り組むために16年に上京すると、元UFC・金原正徳主宰のリバーサルジム立川 ALPHAに移籍。

 17年8月に韓国のROAD FCで、当時しなしさとこを破るなど3連勝中だったイ・イェジにアウェイでスプリット判定勝利をもぎ取ると、2018年12月には黒部三奈もスプリット判定で破り、DEEPJEWELSアトム級のベルトを巻いた。

 その後、2019年3月にケージで行われたDEEP JEWELSでのノンタイトル戦で浅倉カンナに判定負け、7月のRIZINでもハム・ソヒに1R TKO負けを喫するなど、王者として悔しい試合が続いたが、2019年10月の「DEEP JEWELS 26」でアトム級王座防衛戦に臨み、柔術ベースの富松恵美に判定勝ち。初防衛に成功した。

 2020年8月のRIZINでは、対戦相手探しが難航していた前RIZIN女子スーパーアトム級王者の浜崎朱加に名乗り。日本格闘技界の女王に果敢に挑むも、2Rにキムラロックで一本負け。試合後、マイクを渡され、「DEEP JEWELSだったりRIZINだったり、どんどん若い選手が出て来て、格闘家になりたいという若者が増えてくれたらなと思います」と、競技人口の増加を願っていた。

 今回の引退試合の決定に前澤は、「立場的にも、キャリア的にも、勝つことが当たり前だと思います。そして今回の試合を最後に引退したいと思ってます。結婚、コロナ、自分の格闘技への向き合い方、要因は様々です。引退という言葉を使うと、自分の戻る場所が無くなると思っていましたが、終わる覚悟ができました。青野ちゃんに私の最後を託します」と、「勝つことが当たり前」「最後を託す」という表現で、引退試合に臨む思いを表現。

 さらにSNSでは、「前澤どうしたんだろう? と、思ってる方もいるかと思いますが、言葉よりも拳で語ります! よろしくです!」と、最後のMMA戦への意気込みを語っている。

 前澤のベルトに挑戦する青野は静岡県出身。ロンドン五輪グレコローマン日本代表・長谷川恒平らを輩出した静岡県立焼津中央高等学校レスリング部を経て、日本大学レスリング部に進学。2013年、東日本学生女子選手権48kg級優勝、2014年、全日本社会人レスリング選手権大会48kg級優勝などの実績を誇る。

 2017年12月のMMA転向後は、プロデビュー戦でMMAキャリア3年の佐藤絵実に敗れるも、以降、桐山安奈、古瀬美月、ARAMIを相手に3連勝。2019年3月にベテランの富松恵美にリアネイキドチョークで一本負け。同年6月の檜山美樹子戦、9月の古澤みゆき戦と連続一本勝ちを収めて2019年12月、事実上のDEEP JEWELSアトム級王座挑戦者決定戦をハム・ソヒの妹分パク・シウ(韓国)と争ったが1R3分40秒、TKO負けを喫した。

 再起戦となった2020年7月のリオン戦では、柔術ベースのリオンに対し、青野は得意のダブルレッグでテイクダウンを奪うと、リオンの下からの腕十字の仕掛けを潰してパスガード。サイドからの鉄槌連打でリオンを出血させ、1R 4分53秒、TKO勝ちで復活を果たしている。

 1R、ともにオーソドックス構え。いきなりダブルレッグテイクダウンは青野! しかし金網背に立つ前澤。ついていく青野は前澤の巻き込みにもついていき、ハーフから左で枕に巻き肩固め狙いも、腰ずらし立つ前澤。再びバックから崩し、左で枕に巻き抑え込む青野。またもヒザを立てて立つ前澤に左で差して払い腰テイクダウンは青野! 金網背に右で差して立とうとする前澤だが、右足を両足で挟んで後方に伸ばし、右手でパウンドは青野。そのままゴング。トータルジャッジではあるが青野のラウンドに。

 2R、前澤の右ハイを潜ってテイクダウンは青野! 前澤の立ち際にバックに回り、右足で前澤の右腕を刈る。巻き込み前転から上を取ろうとする前澤に際で上を取る青野。がぶりから崩して上になり、背中を着かせて左手で細かいパウンド。ついに右で差した青野だが、この際で上を取り返す前澤! しかし青野も正対、そこに腕十字を合わせる前澤! ヒジを抜く青野。ゴング。

 3R、青野のダブルレッグに小手に巻いて払い腰は前澤! しかしすぐに立つ青野がダブルレッグへ。いったんはニンジャチョークを狙う前澤。青野が首を下げたところに前澤はギロチンチョーク! がっちりクローズドに入れて絞りながら上に。青野がタップした。前澤は最終試合の名勝負を一本勝ちし、ベルトを巻いて最後にケージに残る勝者に。

 師匠の金原正徳代表とがっちりハグする前澤。試合後、ライバルたちからのサプライズメッセージの動画が場内に流された。

 SARAMI「前澤さんとばちばちにやりあったのはすごくいい思い出です。第二の人生も負けん気の強さを全面に出して幸せになってください。お疲れ様でした」

 長野美香「前澤さんの試合を観て頑張っている姿に勇気をもらいました。同じ時、格闘技を一緒に出来たことを幸せに思います。またどこかでお会いできることを楽しみにしています」

 富松恵美「前澤選手、現役生活お疲れ様でした。私みたいに高齢のおばさんが引退しないで、前澤選手が引退してしまうということで、すごくびっくりしていますが、何よりリヴェンジできないまま終わってしまうのが非常に悔しいです。ただ、前澤選手が格闘技と同じくらい、それ以上に素敵な大切なものを見つけて、さらに幸せな新たな人生を歩んでくれればとても嬉しいです。ほんとうにお疲れ様でした」

 黒部三奈「前澤さん、まさか自分よりも先に引退するとは思ってもいませんでした。前澤さんとは3回試合をしてるんですけど、最初はほぼデビュー戦のときから、最後はタイトルマッチまで来て、思い返すといろいろ感慨深いです。今度ゆっくりご飯食べに行きましょう。お疲れ様でした」

 パク・シウ「コンニチハ、女子ファイターとして困難に立ち向かい頑張ってきた前澤選手を応援します」

 浅倉カンナ「前澤選手とは一度対戦させてもらって、引退は少し寂しいです。最後の試合、いままでやってきたことを出し切って、悔いなく頑張ってください」

 浜崎朱加「前澤さん、現役生活、お疲れ様でした。RIZINで戦えたことを嬉しく思っています。落ち着いたらご飯を食べに行きましょう」

 ハム・ソヒ「(すべて日本語で)日本から前澤選手の引退の知らせを聞きました。前澤選手、今までお疲れ様でした。これからの新しい人生も応援しています。頑張ってください」

 試合後、佐伯繁代表から花束を受けとった前澤は「対戦してくれた青野選手、ほんとうに強くて、内心焦っていました。渡部選手が支えて青野選手が頑張る、二人三脚の格闘技人生が私には出来ず羨ましくも思いました。これからもRIZIN目指して頑張ってください。すごい欲を言えば、勝ったから言うんですけど、もう1度、RIZINでやりたかったです。RIZINでやりたい選手がまだ……RENAちゃんとか。今までは、死ぬことが生活の基準にあったんですけど、これからも生きていきたいと思わせてくれた旦那に感謝します。格闘技は……私にとってたったひとつで全部でした。格闘技は苦しいことも楽しいことも教えてくれた、奪っては、それ以上のことを与えてくれました。これからは人生という戦いの場で、ファイターとして誰かのセコンドとして頑張っていきます。ファンの皆さんと心は一緒に生きていきたいと思います。人間・前澤智をよろしくお願いします。これまでありがとうございました」と挨拶。マット上で10カウントゴングを聞いた。

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