▼ミドル級 5分3R
○パク・ジョンヨン(韓国)185lbs/83.91kg
[判定3-0] ※30-25×3
×ジョン・フィリップス(ウェールズ)186lbs/84.37kg
プレリミナリーの第4試合で「最多パウンド数」という珍しい記録が生まれた。
ミドル級のノーランカー同士の対戦。ジョンヨンは韓国TOP FCを経て、日本のHEATにも参戦。2016年11月から7連勝でUFCとの契約を決めた。
2019年8月のオクタゴンデビュー戦では米国のアンソニー・ヘルナンデスにアナコンダチョークで一本負け。12月の地元・韓国大会では、カナダのマフクアンドレ・バリユーを相手に初回こそアグレッシブさを見せたものの以降は別人になったかのように遠い距離で戦い、テイクダウンして固める手堅い内容で、母国のファンからブーイングを浴びている。
対するフィリップスはUFC1勝4敗。デビューから3連敗していたが、4戦目となる2019年9月のコペンハーゲン大会で、マケドニアのアラン・アメドフスキーを相手に足を止めての打ち合いの末、17秒KO勝ちで初白星。しかし、2020年7月の前戦では、スウェーデンの新星ハムザト・チマエフにテイクダウンからのパウンドを受け、最後は、2Rにダースチョークで一本負け。あらためてグラウンド技術に穴があることを露呈している。
そんな両者によるミドル級戦では、やはりジョンヨンが徹底してフィリップスの穴を突いた。
ジョンヨンはスタンド打撃を出さず、ダブルレッグ(両足タックル)、シングルレッグ(片足タックル)でテイクダウン。タックルを切れないフィリップスは、背中をマットに着けたままで立つ動きを見せず。ジョンヨンはコツコツと上からパウンドを当てて行く。
2Rも早々にシングルレッグを決めたジョンヨンは、パウンド連打。亀になってしまうフィリップスは闇雲に下からヒジを振ったことでジョンヨンの左瞼をカットさせ、一矢報いることに成功するが、3Rにもまたもシングルレッグを受けると、尻餅を着いて金網まで這ったものの、ジョンヨンに潰され、早々に立ち上がりを諦めてしまう。フィィリップスは最後までパウンド&エルボーを受け続けてブザーを聞いた。
A walk in the Park 🌳
— UFC (@ufc) October 17, 2020
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計量後のダナ・ホワイト代表も交えた3ショット撮影中の自撮りでスマートフォンを落としたフィリップスだが、試合も大差の判定で落とし、UFC1勝5敗でリリースが決定的に。
ジョンヨンはオクタゴン2連勝。試合後、ダニエル・コーミエーから「ミドル級最多パウンド記録だ、いやミドル級だけじゃない」と聞かされると、「(フィリップスの前戦のハムザト)チマエフよりも !?」と驚いた表情を見せた。
UFCの公式アカウントによると、ヒットしたトータルストライクスは286発。そのすべてがグラウンドでのパウンドによるもので、インターバル中の分析画面では、パウンドした数が○印で表示され、63個の丸で埋め尽くされた画面に、視聴者から「無礼だ」「なぜ彼は(UFCから)カットされなかったのか分からない」などのコメントがSNSに並んだ。
2️⃣8️⃣6️⃣ total strikes
— UFC (@ufc) October 17, 2020
2️⃣8️⃣6️⃣ ground strikes
4️⃣ takedowns
1️⃣3️⃣:1️⃣1️⃣ ground control time pic.twitter.com/roqCKJdKAj
コロナ禍での欠場・緊急出場などで、ときにコロナ前と比べ、コンディションや実力が伴わない選手の姿を見ることがあるが、フィリップスは2018年からの参戦組。テイクダウンされると何も出来ない部分は成長の跡が見られず。ジョンヨンとしてもフィニッシュしたかったところだろう。
試合後の会見でジョンヨンは「自分は会社人間だから、記録は気にしていないし、誰が相手でも気にしていない。会社から連絡が来て戦えと言われたら受けて立つ。地球上にいる他のみんなと同じようにね」と、最多パウンドについて驕りは見せず。
「自分のゴールはチャンピオンになること。コロナの難しい状況の中で、試合ができて、ランキングも上げられて、俺たちの生活が出来るようにしてくれたUFCには本当に感謝している」とあらためて試合が出来ることに感謝の言葉を語っている。