ウマルがバテイスタのヒザにフラッシュダウンも、左を返して無限レスリングで判定勝ち
▼バンタム級 5分3R
〇ウマル・ヌルマゴメドフ(ロシア)19勝1敗(UFC7勝1敗)136lbs/61.69kg
[判定3-0] ※30-27×3
×マリオ・バティスタ(米国)16勝3敗(UFC10勝3敗)135.5lbs/61.46kg ※UFC8連勝でストップ
1R、中央を取るバテイスタの最初の右ミドルの打ち終わりに組んだウマルがテイクダウンもすぐに立つバテイスタ。ボディロックテイクダウンに。下のバテイスタはトーホールドも反転して抜くウマルがサイドで押さえ込んで細かいパウンド。
バテイスタの左差しでの起き上がりを潰したウマル。フルガードになるバテイスタは、ハーフから金網使い立とうとするが、寝かせるウマル。バテイスタはケージを蹴って立ち上がりも、バックに乗って両足をフックするウマル。
ボディトライアングルのウマルははたすきがけ。首を守るバテイスタ。ホーンにすぐに立つバテイスタだが、初回は一度もスタンドに戻せず。
2R、右ミドル、さらにウマルの頭を下げた入りに右ヒザをアゴに当ててダウンを奪うバテイスタ! サウスポー構えのウマルはすぐに立つとシングルレッグテイクダウン! ハーフから立とうとするバテイスタにボディトライアングルを左右入れ替えて組む。
その組み換えの際で正対狙い、スイッチから上を取り返したバテイスタ! さらに自ら組むが、ウマルはシングルレッグテイクダウン! サイドを奪う。中央に戻り腰を抱き、再びサイドに回るウマルはバテイスタの立ち際にバック狙いも、バテイスタは立ち上がり!
A big knee from @Bautista_MMA early in round two 👀 #UFC321 pic.twitter.com/0I2EHwn1JS
— UFC (@ufc) October 25, 2025
左ミドルを打つウマル。詰めるバテイスタに左ストレートを当て、左ハイをガード上に突く。2Rは拮抗したラウンド。
#UFC321 Official Result: Umar Nurmagomedov (30-27, 30-27, 30-27 | @UNmgdv) defeats Mario Bautista via Unanimous Decision.
— UFC News (@UFCNews) October 25, 2025
Complete Main Card Results ➡️ https://t.co/ghyN5mbNsz pic.twitter.com/eZOvTodTEI
3R、詰めるバテイスタ。前蹴りのウマルに跳びヒザを見せると右を振るが、ウマルも左ストレートを突く。バテイスタは蹴りでスリップ。ウマルは左の蹴り、ワンツー。バテイスタは角度をつけられず。右カーフの打ち終わりに組んだウマルは脇潜りバッククリンチから崩し。クラッチを切って正対したバテイスタにはシングルレッグ。
しかし戻るバテイスタは突き放して前に。そこにダブルレッグテイクダウンはウマル! ケージの目の前にはセコンドのハビブ・ヌルマゴメドフがいる。立とうとするバテイスタを崩してバックから対角の腕を縛るウマル。
スクランブルバテイスタについていき、正対するとシングルレッグ。足を抜いたバテイスタをすぐに追いかけて押し込み。バテイスタはついに切るとワンツーから右ハイもサークリングでかわしたウマルがホーンに両手を挙げる。
Put all his skills on display tonight 👏@UNmgdv gets the unanimous decision victory at #UFC321! pic.twitter.com/qFsmvpchJD
— UFC (@ufc) October 25, 2025
判定は3-0(30-27×3)のフルマークでウマルが勝利、フラッシュダウンを奪ったバテイスタだが2Rもウマルのラウンドだった。
【試合前インタビュー】
ウマル・ ヌルマゴメドフ(バンタム級2位)「レスリングとグラップリングで上回る自信がある」
──マリオ・ バティスタ(バンタム級9位)がニューアークでパッチー・ミックスに勝ったあと、次はあなたとの試合だと多くの人が予想していました。(※ミックス戦=2025年6月『UFC 316』で判定勝ち)
「そう思ったよ。彼の勝ち方を見て“次はこいつだな”って感じた。実際、たぶん俺からもメッセージしたと思う。この相手が次だってね」
──バティスタのここ2試合の印象を教えてください。アルド戦はレスリング中心、いっぽうでミックス戦はほぼスタンドでした(※アルド戦=2024年10月『UFC 307』でスプリット判定勝ち)
「ジョゼ・アルドはレジェンドだけど、全盛期からだいぶ時間が経ってるし年齢も重ねた。パッチー・ミックスは何が原因かは分からないけど、いつもの彼じゃなかった。確かに、マリオ・バティスタはその二人より出来が良かった。アルド戦は接戦だったけど、ミックス戦ではすごく良いパフォーマンスを見せた。他の試合でもそうだけど、打撃が上手いし、常に動いてる。才能があると思うよ」
──前戦のドバリシビリ戦から、完全にコンディションが戻って本格的にキャンプに入るまで、どれくらいかかりましたか?(※ドバリシビリ戦=2025年1月『UFC 311』で判定負け)
「夏からずっとトレーニングキャンプはしているよ」
──アブダビのイベント出場を狙っていましたか。バンクーバーでの5R案も噂されましたが、準備環境としてはどちらが良かったですか?
「ドバイやアブダビで準備できるのは、もちろん俺にはベストだ。みんなが来やすいし、手伝ってくれる仲間も多い。友達も応援に来られるから、俺には向いてる。でも大きな違いがあるわけじゃない。どこでも戦える」
──いまでも“メラブ・ ドバリシビリ(バンタム級王者)に勝てるのはウマル”と言う声が多いです。メラブもインタビューであなたの名前を出すことが多い。今回勝てば、再戦は理にかなっていると思いますか?
「もちろん。お互い勝てば、ファンにとってもUFCにとっても興味深い試合になる。ただ、俺は待ちたくない。できるだけ早く試合をしたいんだ。だからこの試合のあと、状況次第では1月か2月にでも戦いたい」
──メラブはあなたについて聞かれると、少し苛立っているようにも見えます。「2~3連勝してから話をしろ」といった発言もあります。なぜあなたの名前が出ると、彼は熱くなるのだと思いますか?
「彼に聞けば“10連勝してからだ”って言うかもしれないね。まあ、それが彼の考えで、彼の意見なんだろう。好きなことを言えばいいさ。でも現実は違うと思ってる。彼が苛立つ理由も、みんなわかっているだろう。再戦すればどうなるか予想がつくからだ。あの試合も非常に僅差だったしね」
──ヘッドコーチのハビエル・ メンデスに、あなたがメラブ戦で犯した一番のミスは何かと聞いたところ「手を骨折したのにコーナーに言わなかったこと」と答えていました。自分では最大のミスは何だったと考えていますか?
「言わなかったのは、コーナーに余計なエネルギーを背負わせたくなかったからだ。俺もコーナーに立つことがあるし、仲間が“手を折った”って言ってきたら、結局“まだ行ける”って背中を押すしかないって分かってる。だから黙って戦った。言わなくても、とれる手は全部使って勝ちをもぎ取ろうとしたんだよ」
──メラブのコーリー・ サンドヘイゲン(バンタム級4位)戦についてはどう思いましたか?打撃の進化を見せたという評価もあります。
「10回、20回と足にタックルを仕掛けられたら、打撃で戦う側はすごく難しくなる。俺もよくやるから分かる。だから驚きはない。結果にも驚いてない。グラウンドでの長いコントロールとか、サブミッションの仕掛けとかはなかったはずだ。倒しては立たれ、また倒す──勝ちは勝ちだし、やりたい戦術で勝った。それだけだ。驚きはなかった」
──メラブとピョートル・ ヤン(バンタム級2位)の再戦はどう見ますか。ヤンが前回の敗戦を返す可能性は?
「もちろん誰にでもチャンスはある。ヤンはこの階級でも屈指のタフなファイターだ。あとは両者の仕上がり次第だね。1年ぶりの試合を体がどう受け止めるかも大きい。俺の予想は、KOとかが起きない限り、メラブはショーン・ オマリー(バンタム級1位)やサンドヘイゲンのときと同じ作戦で戦って、彼が勝つだろう」
──仮にメラブと10回戦ったら、あなたは何回勝つと思いますか?
「彼は“50歳まで戦う”って言ってるらしいから、じゃあ俺は彼が50になるまで勝ち続けてやるよ」
──「あなたは謙虚だけど、今回のマッチアップは実力差が大きい」と言う声もあります。私自身、この試合はあなたのほうがはるかに上だと思います。マリオ・バティスタを“格下”として見てしまわないよう、どう保っていますか?
「打撃では俺が“はるかに上”だなんて思ってない。ほぼ同じレベルだと思ってる。彼は打撃もフットワークもいいし、スマートにポイントを取る。無駄にスタミナを使わないし、強振ばかりもしない。なのに“1Rで俺を倒す”なんて言っていたが、最近の8試合で彼が誰かを倒したことがあったかな。俺はレスリングとグラップリングで上回る自信がある。打撃は相手も上手いよ」
──メラブ・ ドバリシビリがピョートル・ ヤンとの試合を早々に受けたのは、あなたとの対戦を避けるためだと思いますか?
「分からない。向こうの事情だし、好きにすればいい。こっちが“なぜそうしたか”を推測で語るのは難しい。今回の試合のあとで、どうなるか見ればいいさ。もし相手が俺を避けようとしても、俺は待たない。とにかく試合をしたいんだ」
──今回、イスラム・ マハチェフ(ライト級1位)はセコンドにつきますか?
「いや、イスラムはもうニュージャージーに移動して自分の試合に向けた準備をしてる」
──あなたの敗戦は“ハビブ・ ヌルマゴメドフの指示(テイクダウン)を聞き、ハビエル・ メンデスの指示(距離を保って打撃)を聞かなかったから”だ、という声があります。実際のところは?
「誰の言うことを聞いたとか、聞かなかったとかが原因じゃない。要因はいくつかある。その一つは手を骨折したのにプランを変えなかったこと。もう一つは、レスリング面での集中と規律をもっと高める必要があったこと。結局は俺自身の問題だよ」
──キャリア初黒星の直後という事実は、今回のメンタリティに影響しますか?
「全くない。負けは起こり得ることだし、それで引退だなんて言い出すなら、それは挫けたってことになる。でも俺は何も変わってない。同じウマルで、同じ夢を追ってる。王者になるためにハードに練習するだけだ」
──ハビブは“敗戦後の選手には、それぞれに合った声掛けが必要だ”と言います。あなたの敗戦直後、彼は何と言いましたか?
「“必ず復活する”って言われたよ」
──あなたは多くの試合を戦いたいと言いました。もし自分が王座を取ったら、防衛頻度はどれくらいを考えていますか。メラブのように年4回ペースで守るつもりですか?
「コンディションやケガの有無などの要素次第だけど、すべてが順調なら年に3試合はまったく普通にできると思う」
──「同じウマルで、同じ夢を追ってる」と言いましたが、歴史に永遠に名前を残すには、王者として何度くらい防衛すべきだと考えますか?
「まず何より王者になることが一番大事だと思ってる。そこから先のことは、その後に決まっていく」
──仮にピョートル・ ヤン(バンタム級2位)が今後勝ち続け、あなたと王座を懸けて戦う形になったら、UFCにロシア、あるいはロシア近辺での開催をリクエストしますか?
「いまの状況でロシア開催は難しいと思う。おそらくアブダビなら多くの人が来られるし、サポートも受けやすいだろう。とはいえ、どこでやるかは最終的にUFCが決める。選手の要望でどうこうなる話じゃない」
──あなたの元対戦相手のベクザト・アルマハンが、イリア・ トプリア(ライト級王者)の兄アレクサンドレ・トプリアと対戦すると聞きました。アレクサンドレには、いずれあなたの階級でタイトル戦線に絡む可能性を感じますか?
「どんな選手にもチャンスはある。大事なのは勝ち続けることと、アクティブに戦い続けること。その道を進めばベルトに近づく」
──イリア・ トプリアがイスラム・ マハチェフ(ライト級1位)について辛辣な発言をした件で、カタールのイベントではセキュリティを強化すべきだという声もあります。
「マニー・パッキャオが以前に、他人を見下していると、結局はリングの中で痛い目を見ると言っていたが、そういうものだよ。同じテンションで言い返すこともできるけど、俺たちはわざわざ自分をそのレベルに落とす必要はない。イスラムにはイスラムの生活もあるし、ファイトとは別の話だ」
──あなたのスパーリングパートナー、マゴメド・マゴメドフはセルジオ・ペティスに厳しい形で敗れました。彼にはどんな言葉を掛けましたか?(※ペティス戦=2025年10月『PFL Champions Series 2』でKO負け)
「支える言葉をかけたよ。相手は一度だけ勝つチャンスを掴んだ、それが当たっただけだ。10回ケージに入れば10回ともお前が勝つってね。今回はラッキーパンチに捕まっただけだ、って」
──今回勝ったら、イスラム・ マハチェフ(ライト級1位)のキャンプにすぐ合流してニュージャージーで準備を手伝いますか?
「もちろん。試合のあと、チームに合流するつもりだよ」
──ハビブ・ ヌルマゴメドフは「ファン対応のプレッシャーから解放される一番の方法は“次の試合で負けることだ”」と冗談めかして言っていました。初黒星のあと、ファンが離れたと感じましたか?
「いや、何も変わらない。違いは感じてないよ」
マリオ・ バティスタ(バンタム級8位)「肩書きで自分にプレッシャーはかけない。同じように血が流れて同じように練習してる。頭の中で相手を自分のジムのスパーに連れてきて、そこで折れていく姿を思い浮かべるんだ。俺のジムは厳しいから、あのオーラもそれで剥がれる」
──かなり久しぶりの海外、とくに初の国外での試合になるという理解で合っていますか?
「そうだね。試合で海外は初めてで、海外に出たのも11歳のときにメキシコへ行った一度きりなんだ。ただ、メキシコもロサンゼルスやフェニックスと部分的に雰囲気が似ているからね。ここは全く別物に感じるよ」
──フェニックスからアブダビまでは長旅だったと思いますが、移動はいかがでしたか?
「ヒューストン経由で、そこから13時間のフライトだった。機内ではずっと寝るようにして、全体的にスムーズだったよ」
──海外、あるいはここで試合をした経験のある仲間やコーチに、時差ボケ対策や到着タイミングなどを相談しましたか?
「コーチからいろいろ聞いたよ。最近だとマーカス・マギー(バンタム級15位)もここで試合してるから、彼からも助言をもらった。早めに来て時差に合わせろってね。俺たちもそうしたし、調子はいい」
──今回の相手はウマル・ ヌルマゴメドフ(バンタム級2位)です。あなたがパッチー・ミックスに勝った流れで、このマッチアップを予想していた人は多かったと思います(※ミックス戦=2025年6月『UFC 316』で判定勝ち)。ウマルは2025年1月に『UFC 311』でメラブ・ ドバリシビリ(バンタム級王者)に敗れましたが、パッチー戦のどれくらい後にオファーが来たのでしょうか?
「そんなに時間は空いてない。1~2カ月後くらいには話が出て、そこから一気に進んだ。俺が望んでた試合だし、いちばん筋が通ってた。他の連中はだいたい埋まってたし、タイトルに最短で行くにはこのカードがベストだと思った」
──メラブ戦は、ウマルが勝っていたという見方も当時はありました。とはいえ現在では“メラブはバンタム級GOATだ”という声も増えています。あの試合、あなたはどう見ましたか?
「俺はメラブが勝ってたと思う。3、4、5Rを取って試合を掌握したし、見せ場も作ってた。コントロールもあったしね。だから俺の採点はメラブだ」
──あなたは対戦相手の研究をかなりするタイプだと過去のメディアデーでも伺っています。メラブ戦や、コーリー・ サンドヘイゲン(バンタム級4位)との試合から、今回の試合に活かせるポイントは(※サンドヘイゲン戦=2024年8月『UFCファイトナイト・アブダビ』でヌルマゴメドフが判定勝ち)
「主に見るのはメラブ戦だね。さっき言った3、4、5Rのところ。メラブはプレッシャーをかけ続けて、ウマルにレスリングを仕掛けた。ウマルにそこまでレスリングを仕掛けたやつはいなかったから、良い手本になった。要は自分のゲームプランを徹底すること。自分のベストをぶつけて、やるべきことをやるだけだ」
──「アップ&ダウンの展開になる」と話していましたが、文字どおり立ち技と寝技を行き来する、という意味でしょうか?
「両方の意味だね。パッチー戦みたいに完全なスタンドの勝負にはならないと思う。マットに行く場面も出てくるだろうし、あっちが優勢に見える時間帯もあれば、俺が巻き返す時間帯もある。お互いオールラウンドで、どの局面でも戦えるから、面白い試合になる」
──メラブのコーチのジョン・ウィットが「メラブは地道に勝利を重ね続けたマリオを尊重している。メラブも同じ立場だったから」と話していました。ここで勝てば、次はタイトルマッチだと思っていますか?
「その話は聞いたよ。王者がそれを尊重してくれてるのは嬉しい。メラブも長い道を歩んで、たしか9連勝くらいでタイトルに辿り着いたはずだろ。そういうリスペクトはありがたいし、結局はライト層も含めたファンの声が大事になってくるからね。王者にリスペクトをもらえたのはデカい」
──パッチー戦のあと、反響や生活の変化はありましたか。ジョゼ・アルド戦の後は批判の声が大きかったですが、ファンが戻った印象もあります(※アルド戦=2024年10月『UFC 307』でスプリット判定勝ち)
「SNSはちょっと落ち着いたくらいで、ほかは特に変わってない。あまりそこにフォーカスしないようにしてるし、UFCに来たときからのルーティン?毎日の流れ、週の流れ?はずっと同じ。スケジュール面で大きな変化はないよ」
──ロシアやダゲスタンの選手と戦う相手は、SNSが彼らのファンで溢れる、なんて話も耳にします。今回、DMやコメントは増えましたか?
「そうなると思うだろ? でも意外にも、まだアルドのファンのほうが多い。ロシアのファンよりも、いまのところはね。ブラジルのファンは、とにかく声がデカいよ」
──あなたは“パーティー・クラッシャー”という評判がつき始めています。ジョゼ・アルドの復帰戦を台無しにし、ベラトールから来たパッチー・ミックスも片づけた。いわゆるアンダードッグの立場、相手側にばかり注目が集まる状況は、むしろ得意ですか?
「得意ってわけじゃないけど、アンダードッグでも全然気にしない。相手がアルドだろうがパッチーだろうが“3度の世界王者”とか“前評判が凄い”とか、そういう肩書きで自分にプレッシャーはかけない。みんな同じように血が流れて、みんな同じように練習してる。俺は頭の中で相手を自分のジムのスパーに連れてきて、そこで折れていく姿を思い浮かべるんだ。俺のジムは厳しいから、あの“オーラ”もそれで剥がれる」
──昨日、ウマルは打撃に自信を見せていて、打撃に関しては自分に分があると言っていました。あなたはどこで優位に立てると思いますか?
「どこか一つじゃない。この試合は全部を使うことになる。上下に動かして、MMAの試合にしないといけない。パッチーのときと同じことはできない。ウマルの打撃はパッチーよりずっと上だと思ってるし、だからこそ全部を使う、上でも下でも混ぜていく必要がある」
──いまMMAコミュニティでは、再戦の話題ばかりです。メラブとピョートル・ヤン(バンタム級2位)の再戦が終われば、次はメラブとウマルの再戦だ、と。実際には目の前の相手はあなたなのに、あなたを飛ばして次の話をしているようにも見えます。どう感じますか?
「試合が終われば分かる。俺は流れを変える機会を得たし、この階級をひっくり返すチャンスがある。もしウマルが勝てば、しばらくは再戦の話ばかりになるだろう。メラブと、サンドヘイゲンがまた上がってきて、みたいなね。だからこそ俺が流れを変えるつもりだし、そのつもりでここにいる」
──あなたはUFCで6年、12戦してきましたが、インスタグラムのフォロワーはまだ2.6万人ほど。アルド、パッチーに勝っても“メディア向きじゃない”と言われたりもします。ウマルに勝てば、人気や露出はもっと伸びると思いますか?
「伸びるかもしれないけど、正直そこにはあまり重きを置いてない。俺は家にいるのが好きで、やることは練習だけ。派手な生活はしてないし、でも少しずつ歩み寄ろうともしてる。今回の試合が終わって、フォロワーが少し増えたら嬉しいし、タイトルショットを得る助けになるなら、メディア対応ももう少しやるよ。とはいえ、俺が集中するのは勝つことだけ。勝てば、行きたい場所に辿り着けるからね」
──コーリー・サンドヘイゲンとの再戦が組まれれば、受けたいですか?(※サンドヘイゲン戦=2019年1月『UFCファイトナイト・ブルックリン』で1R一本負け)
「もちろんだね。俺も向こうも昔とは違うファイターだし、あのリベンジを果たせたら最高だと思ってる。ぜひもう一度やりたいよ」
──UFC 323(日本時間12月7日・日)にメラブ・ ドバリシビリとピョートル・ヤンの再戦があります。ヤンの陣営は「前回は一番の武器である右手をケガしていて使えなかったが、今回は違う」と自信を見せています。今回の再戦、どう展開すると見ていますか?
「前回と同じになると思う。メラブもその間にさらに良くなってる。前と同じメラブじゃない。ここ数試合も素晴らしい内容だし、進化してる。だから俺はメラブが勝つと見てる」
──では、メラブを倒すには何が必要だと思いますか。タイトルマッチやメラブの試合を分析してきた中で、どこに糸口があると感じていますか?
「ショーン・ オマリー(バンタム級1位)との初対決でもそうだったけど、最後のラウンドにメラブはボディで効かされていた。あれは早い時間から仕掛けていかないといけない。ラウンドを通してスタミナを削るためにね。まずはそこから始めて、タックルに来たら代償を払わせる。そこからがスタートなんだ(※オマリーとメラブ・ドバリシビリの初対決=2024年9月『UFC 306』でメラブの判定勝ち)」
──あなたは「ウマルを1Rで仕留めるつもりだ」とも話していました。強力なレスリングを持つ相手に対して、1Rでのフィニッシュをどう描いていますか?
「1Rノックアウトがいちばんいいね。そう言うのは、早く家に帰れて、残り2ラウンドを相手にしなくて済むからさ。理想のシナリオはそれ。とにかくフィニッシュだ。ノックアウトで終わらせるのが一番だと思う」
──一本勝ちよりもノックアウトをイメージしている?
「そうだね。一本よりKOのほうが取りやすいと思う。ウマルはグラウンドがかなりいいから、いまの俺のプランではKOのほうが現実的だと思ってる」







