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【UFC】ヘビー級王座戦はガヌのアイポークでアスピナルが続行不可能1R ノーコンテストに。ダーンがジャンジロバに5R競り勝ち女子ストロー級新王者に、ウマルがバティスタの蹴り被弾も左を当てて組み伏せ判定勝ち、ムルザカノフが1R KOでMMA16戦無敗・UFC6連勝に。豪州サルキルドが右ハイKO! ウォルケルが4試合連続1Rヒールフック勝利、魅津希が連勝アモリムに完勝!

2025/10/26 00:10
【UFC】ヘビー級王座戦はガヌのアイポークでアスピナルが続行不可能1R ノーコンテストに。ダーンがジャンジロバに5R競り勝ち女子ストロー級新王者に、ウマルがバティスタの蹴り被弾も左を当てて組み伏せ判定勝ち、ムルザカノフが1R KOでMMA16戦無敗・UFC6連勝に。豪州サルキルドが右ハイKO! ウォルケルが4試合連続1Rヒールフック勝利、魅津希が連勝アモリムに完勝!

(C)Zuffa LLC/UFC

 2025年10月25日(土)23時からアラブ首長国連邦のアブダビ・エティハド・アリーナにて『UFC 321: Aspinall vs. Gane』(UFC Fight PassU-NEXT配信)が開催された。

『UFC 321: Aspinall vs. Gane』速報

2025年10月25日(土)23時~(U-NEXTUFC Fight Pass配信)
アラブ首長国連邦アブダビ・エティハド・アリーナ

▼UFC世界ヘビー級選手権試合 5分5R
─トム・アスピナル(英国)15勝3敗1NC(UFC8勝1敗1NC)156lbs/70.76kg
[1R 4分35秒 ノーコンテスト] ※アイポーク

─シリル・ガヌ(フランス)13勝2敗1NC(UFC10勝2敗1NC)247.5lbs/112.26kg

 ヘビー級タイトルマッチ(5分5R)。王者アスピナルに、1位のガヌが挑戦。

 22歳からボクシング世界王者タイソン・フューリーのスパーリングパートナーを務めていたアスピナルは、22年7月のカーティス・ブレイズ戦での開始15秒で右ヒザ前十字靭帯を断裂して負傷TKO負け。23年11月にセルゲイ・パブロビッチを1R KOで暫定王座獲得。24年7月の防衛戦でカーティズ・ブレイズと再戦し、左ジャブでダウンを奪い、1R TKO。リベンジに成功している。ジョン・ジョーンズに対戦を呼び掛けるもJJは引退表明。正規王者に繰り上がった。32歳。

 ガヌは、ムエタイベースでカナダTKOヘビー級王者から、4戦目でUFCと契約。オクタゴン7戦無敗で暫定王座を獲得。22年1月に正規王者フランシス・ガヌーと統一戦も判定負け。MMA初黒星を喫した。ガヌーのUFC離脱により、23年3月にJJと王座決定戦も1R ギロチンで一本負け。その後、セルゲイ・スピバックを2R TKOで再起し、24年12月のアレキサンダー・ヴォルコフ戦でスプリット判定勝ちで2連勝中。35歳。

 1R、サウスポー構えのガヌに、オーソのアスピナル。前足で右関節蹴りのガヌに、ワンツーで詰めるアスピナル。アスピナルも左の関節蹴り。ガヌのジャブの打ち終わりにシングルレッグはアスピナル。切るガヌに固執せず離れるアスピナル。

 半身構えのガヌは右回り、アスピナルはスイッチして左ロー。ワンツーも右にかわすガヌ。左インローも。ガヌは右ジャブを伸ばす。詰めるアスピナルは回転のフェイント。ガヌの右ジャブにアスピナルは鼻血。アスピナルの右カーフにガヌがバランスを崩す。

 左手を前に突いて左の蹴りのガヌ。目は開いていなかったものの両目へのアイポークとなり中断。長いインターバルが取られるがアスピナルは右目を開けられず。レフェリーが両手を広げて交差させてノーコンテンストに。ガヌも跪いて長い時間立ち上がれず。

 試合後、ダニエル・コーミエーのケージインタビューでアスピナルは「(ブーイングに)おい、俺、眼球に拳骨を突き刺されたんだぜ。何だよ? なんでそんなことする? 俺にどうしろってんだ? 俺が突き刺したわけじゃない。見えないんだ。この瞬間を長く待ってた。こんな結果になるなんてがっかりだ。まったくクソみたいな話だ。試合は始まったばかりだったのに。ほとんど目を開けられない。ただ見ているだけだ。(アイポークのスロー再生に)両目だった」と右目を押さえてコメント。

 また、ガヌにもマイクが向けられ「まず申し訳なく思っている。本当に申し訳ない。観客の皆さん、ファンの皆さんに。トム・アスピナルにも申し訳ない。自分自身にも申し訳ない。この試合のために本当に多くのエネルギーを注いだんだ。少しがっかりしている。でもこれがスポーツであり、人生だ。(あなたは素晴らしい1Rを戦った。できるだけ早く再戦を組んでほしい?)今後の展開は分かりません」と話した。

【試合前インタビュー】

トム・アスピナル(ヘビー級王者)「その言葉を口にした相手は、みんな最初の1分でKOされてる」

──あなたが相手の肩に腕を置く仕草が、最近よく話題に上がっています。あれは距離感を測っているのか、フレンドリーさの表現なのか、あるいはロマンチックな意味なのか??実際のところ、何なんですか?

「だいたい95%はロマンチックだね(笑)」

──このカードは“ヘビー級の次世代対決”と言われてきました。いまはシリル・ガヌ(ヘビー級1位)をこれまで以上に研究し、準備しているはずですが、相手への評価は今も変わっていませんか?

「変わらないよ。俺たちは“普通のヘビー級”と違ってよく動けるし、フットワークも距離感もいい。考えなしに振り回したりしない。お互いタクティカルでテクニカル、動けるデカいアスリート同士だ。いいマッチアップだよ」

──さきほどシリルは「これまであなたが戦った誰よりも自分は距離を管理できる。だから“ディープウォーター(限界の領域)”へ連れていける」と話していました。どう受け止めていますか?

「彼、本当に“ディープウォーター”って言ったの? その言葉を口にした相手は、みんな最初の1分でKOされてるよ。これまでの記事や動画を見返してみなよ。だから俺は上機嫌だね」

──以前あなたは「セルゲイ・ パブロビッチ(ヘビー級3位)との“アレの大きさ比べ”には乗らない」と冗談を飛ばしました。シリル相手に、そういう低次元な張り合いは?

「それは分の悪い勝負だから、やらないね(笑)」

──あなたのキャリアには、UFC参戦前から“誰も戦いたがらない”という側面がありました。いまは王者なのに、ジョン・ジョーンズやアレックス・ ペレイラ(ライトヘビー級王者)が互いにやりたがって、あなたを避けているようにも見えます。王者になってもそんな状況が続くとは思っていましたか?

「やりたいって言う連中はいるよ。ただ“大物”は好きにできるってだけ。俺の考える王者の在り方はシンプルだ。ランキング1位の挑戦者と戦う。最強だと証明し続ける。それをできるだけ長く繰り返す」

──マンチェスター出身のアスリートとして、リッキー・ハットンについて何か言葉はありますか?

「俺と同世代で彼の試合を見て育った人間なら、格闘技ファンじゃなくても、マンチェスター出身じゃなくても、UKの誰もが彼を知ってて愛してたはずだ。本人と会ったのは数回だけで深く知ってたわけじゃないけど、誰もが身近に感じられる存在だった。ベガスで彼が戦うと2万人の英国人が押し寄せた。全員がチケットを持ってたわけじゃないのに、ファイトウィークに“彼と同じ地面を踏みしめたい”ってね。本当に大きな喪失だ。彼を知るすべての人に心からお悔やみを伝えたい」

(※リッキー・ハットン=英元プロボクサー。スーパーライト級&ウェルター級の元世界王者で通算48戦45勝。2025年10月14日にマンチェスターの自宅で死去と報じられた。享年46)」

──MMAを始めた当初の目標は“目の前のベルト”を手にすることでした。追いかけていた頃の想像と比べて、王者としての生活はどうですか?

「正直、まったく同じ。何も変わってない。やることは山ほどあるし、1日2回ジムに行くし、子どもを学校に送るし、みんなと同じことをやってるだけだよ」

──シリルの試合映像を見て、彼にあなたをディープウォーターへ連れていく力があると思いますか? それとも「自分のほうがずっと上」だと感じますか?

「俺は自分が誰より上だとは思ってない。毎試合、相手をリスペクトして臨んでるし、シリルにはとくに敬意がある。メディアやファンの一部に“シリルは大したことない”って空気があるけど、あれは完全なナンセンスだ。彼は本当に才能がある。長くヘビー級トップにいるのは簡単じゃないし、暫定王者にもなってるし、正規王座にも2度挑んでいる。だから俺は徹底的にこの試合を重く見てる。“楽勝”だなんて一切思ってない。準備しているのは、めちゃくちゃハードな戦いだ」

──理想を言えば、マンチェスターでの試合から今日までに、何試合こなしたかったですか?

「最低でも2試合はやりたかったね」

──体のタトゥーは“仕上げる計画”のままですか?

「タトゥーって終わりがないんだよ。だからその話題は避けとこう。計画はいろいろあるけど、どうなるかはそのうち分かる」

──最近のインタビューで「自分はジョン・ジョーンズじゃないし、近くもない。でも“現役のヘビー級の中では”俺がベストだ」と言っていました。ジョンとの経緯や、あなたが暫定王者になってからの流れもあって、今後もジョンと比較され続けると思いますか?

「分からないね。俺は自分の道を作って、その道を進みたい。他の誰かと比べるつもりはない。思い出してほしいのは、俺の最初の目標は“専業で格闘技をやる”ことだったってこと。もう長いことそれができている。タイトルを持って、世界ナンバーワンだって言われる状況にいられるのは素晴らしい。でも誰かのコピーにはなりたくない。自分のキャリアを、自分のやり方で進めたい」

──ファイトアイランドのときに会いましたが、アブダビはあなたにとって相性がいい土地です。今回もここで防衛戦です。アブダビへの印象は?

「大好きだよ。第二の故郷って感じだ。UKから約6時間、時差も3時間で、天気も人も最高。もしキャリアの残りを全部アブダビでやれるなら、世界中のどこよりもここを選ぶ」
(※アブダビでは『UFCファイトナイト・ファイトアイランド』で2戦2勝)

──あなたの平均フィニッシュタイムの2分2秒を維持しなきゃ、という余計なプレッシャーはありますか?

「みんな、俺が早いフィニッシュを決めてきたのは知ってるよね。俺には世界でもトップのヘビー級チームがついてる。最高の頭脳、最高のスパーリングパートナーたちだ。俺たちは“何ができるか”“どれだけ危険か”をもう示してきた。だから今回はちょっと趣向を変えるよ??見事な“つまらないスプリット判定勝ち”でいくつもりだ」

──あなたはメインイベントやコメインイベントを多く務めています。こうした経験値は今回の試合でアドバンテージになると考えますか?

「向こうにも経験はあるけど、俺にもある。プレッシャーが簡単じゃないのはお互い分かってる。実際のところは試合日になれば分かるさ。どう転ぶかは、ケージに入ってみないと分からない」

──シリル・ ガヌ(ヘビー級1位)はドバイとアブダビで3か月、グラウンドを強化したと言っていました。一方で、あなたは絞れてシャープに見える。今回のキャンプはあなたはスピード強化、対して相手はグラウンド強化、そんな構図と受け取っていいですか?

「見た目は絞れてるかもしれないけど、実は前回より体重はけっこう重い。どの要素も伸ばしてきたよ。フィジカルもメンタルもね。離れていた時間で全体的に良くなった。だから単純に“こうだ”とは言えないかな」

──共通の対戦相手という観点では、セルゲイ・ スピバック(ヘビー級7位)やアレクサンドル・ ヴォルコフ(ヘビー級2位)などがいます。比較材料として重視しますか?

「少しは見るけど、試合は毎回違う。実際にケージに入るまで何が起きるか分からない。俺たちは同じ相手と何度も戦ってるわけじゃないし、スタイルが噛み合えば全然別物になる。相手のその日のフィーリング次第なところもあるし、体調が良くなくても最高のパフォーマンスが出ることもある。結局はそのとき次第なんだ」

──以前、何度も“ジョン・ジョーンズ戦に備えてきたが、実現はしなかった”と話していました。実際にはどれくらいトレーニングキャンプをやっていたのですか?

「フルのキャンプって感じではなかった。『この時期に準備ができそうだ』ってタイムラインだけ渡されて、それに向けて備える……そんな感じだ。締切や契約があったわけじゃない。だから本格的なキャンプというより、その時期に向けた準備を何度かやったってことだね」

──UFCパリのとき、あなたは「キャリアを通して2Rに行かなくても構わない」と笑っていました。一方で、お父さんのアンディは「判定まで戦ってスタミナを証明してほしい」と話していました。5Rでも主導権を握れるという自信は?

「さっきも言ったけど、今回は“5Rのスプリット判定勝ち”を取りにいくよ。ジャブ、ジャブ、ひたすらジャブ。数分で観客はブーイングだろうけど、そのスローペースを5R維持して勝つつもりだ」

──マイケル・ ビスピンが、あなたを“MMA界のモハメド・アリ”と例えました。これについては?

「どうだろうね。ビスピンはどこからそれを引っ張ってきたんだろう。すごい褒め言葉だけど、そこに到達するにはまだやることがあるよ」

──あなたは試合を多く戦うアクティブな王者でいたいと話しています。シリル・ ガヌ(ヘビー級1位)に勝ったら、ヘビー級で誰が残っていますか。世間はジョン・ジョーンズやアレックス・ ペレイラ(ライトヘビー級王者)を語りますが、“トム・ アスピナル vs アレックス・ ペレイラ”という声もありますか?

「UFCが決めることだよ。ただ、次は“勝者対勝者”になるのは明らかだと思う。俺とガヌの勝者が、(同じUFC 321に戦う)ヴォルコフとジャイルトン・ アウメイダ(ヘビー級5位)の勝者とやる。『勝者 vs 勝者』??それが次のヘビー級タイトルマッチだと思ってる」

──多くの関係者は、あなたがヘビー級王者として長期政権を築くと予想しています。最終的な目標は何でしょうか。キャリアを終えるとき、何を振り返りたいですか?

「さっきも言ったけど、俺の究極の目標はだいぶ前に達成してる。“専業でこの競技をやる”ことだよ。もう長いことフルタイムでやれているし、それが究極の目標だった。そこに上乗せされるものは、何でも最高だ。長期政権がどうとかは、成り行きに任せるしかないかな。分からないけど、この階級で俺がベストだという自信はある。ただヘビー級MMAは何が起きるか分からない。勝つか負けるか、その二つしかなくて、ケージにいるのは二人だけ。ヘビー級のベルトは“ホットポテト(熱過ぎて持っていられないじゃがいも)”みたいなもので、右へ左へと手渡される。長く一人の手元に留まらない。危険すぎるからね。だから様子を見るだけさ」

──ドバイでのキャンプで、シリル・ ガヌ(ヘビー級1位)は“レスリング強化”に重点を置き、優れたレスラーたちと多くのスパーを積んだと言っています。打撃に加えてその強化は、あなたにとって最難関の試合要因になると思いますか?

「彼にとって役に立つはずだよ。彼はグラップリングを伸ばす必要があったし、きっと伸びている。シリルは頭が良くて、優れたファイターで、素晴らしいアスリートだ。最後に彼のレスリングを見たときより、確実に良くなっているはずだと思ってる」

──ガヌに一本勝ちをしているジョーンズが、この試合をテレビで見るだろうと言われています。プレッシャーはありますか?

「まったくないよ」

──今回の試合とアブダビに、お父さんが一緒に来ていることの意味を教えてください?

「俺たちのストーリーを知ってる人なら分かるけど、MMAに引き込んだのは親父なんだ。最初からそばにいて、最後まで一緒にいる。そういう関係さ。親父も俺と同じでアブダビが大好きなんだ。だからここに来られてハッピーだよ」

──去年、あなたは「キャリアを長く続けるつもりはない。4~5年でたくさん防衛して去りたい」と話していました。今回の14カ月のブランクで、考えは変わりましたか?

「いい質問だけど、答えは分からない。正直、成り行き次第だよ。今はこの競技を心から楽しんでるし、体も最高に感じる。人生も充実してる。これがいつまで続くかは、俺にコントロールできることじゃないから、分からない」

──この空白期間を経て、ケガなく終えられたら、できるだけ早くタイトル戦線を積み重ねたいという狙いですか?

「そのつもりだよ。前に進んで、勝ち続けるだけだ」

──シリルはあなたに“判定で勝つ”と予想していました。あなたの予想は?

「同じだよ。スプリット判定で俺が勝つ」

──2R、3Rに入ることへの不安はないですか。しっかりそのためのトレーニングは?

「いや、2分過ぎるとすごく疲れちゃうから、次の4分半は“何もしない”予定さ」

──これだけ早いKOが続くと、“5Rの戦いになったらどうか”と自問することはありますか?

「いつも自問してるけど、まだそこに到達してないから答えは出せないね」

──ジョン・ジョーンズはいったん引退を表明してから、2週間で“復帰する”と言いました。どう思いましたか?

「気にしてない。自分のキャリアに集中してる。試合が決まったと聞いた瞬間から、俺の頭にあるのはそれだけ。俺は戦う、それだけだ」

──ジョンは“ホワイトハウスで戦いたい”とも言っていて、デイナ・ホワイトは「10億分の1の確率だ」と言いました。あなたの意見は? 本当にホワイトハウスで戦うと思いますか?

「彼が望むものを手にできるといいね。幸運を祈ってるよ」

シリル・ ガヌ(ヘビー級1位)「ディープウォーターに連れていく準備はできてる」

──まず試合の話に入る前に、前戦から今日までの生活を聞かせてください。しばらく姿を見ませんでしたが、映画やテレビにも出ていました。近況はどうですか?

「映画の撮影が2カ月くらいあったけど、それ以外はずっとジム。成長する、土台を組み直してもっと強い自分を作る、そこに時間を使ってたよ」

──試合以外の活動もあって、世界的な知名度や、試合ごとの注目度が上がったと感じますか?

「そのためにも映画をやったんだよ」

──今回の王者トム・ アスピナル戦は、あなたにとって新たなタイトルマッチです。デリック・ ルイス(ヘビー級8位)やフランシス・ガヌー、ジョン・ジョーンズとのときと比べ、今回はどんな違う準備をしましたか(※ルイス戦=2021年8月『UFC 265』ヘビー級暫定王座決定戦で第3R4分11秒でTKO勝ち、ガヌー戦=2022年1月『UFC 270』UFCヘビー級王座統一戦で判定負け、ジョーンズ戦=2023年3月『UFC 285』ヘビー級王座決定戦で第1R2分04秒で一本負け)?

「今回はもっと“深いところ”を追求する感じだった。ケガからの回復を経て、3月からキャンプを始めた。ジョン・ジョーンズやフランシス・ガヌーのときみたいにミスらないように早めに動いたよ。10月の時点でもう良い仕上がりで、キャンプはすごく充実してた。フランスでスパーを重ねて、仕上げはドバイでほぼ6週間。大きいレスラーたちを呼んで、レスリングを重点的にやってきた」

──あなたはトム、ジョン・ジョーンズ、フランシス・ガヌーら“史上最強クラス”と評される面々と全員やる唯一の存在になります。トムの試合を見て、フランシスやジョンと比べて際立っている点はどこですか?

「誰にでも強みと弱みがある。トム・アスピナルの特徴はオールラウンド。サイズがあって、テクニカルで早い。俺と同じように新時代のファイターで、他とはタイプが違うんだ」

──今週、ホテルなどでトムと顔を合わせましたか?

「一度だけ会ったよ。問題ない。パリでもすれ違ってるし、これはスポーツだ」

──メディアは“両陣営に因縁がある”みたいな構図を作りたがっています。トムへの印象は?

「SNS的にはそういうのは“おいしい”のかもね。でもこの試合がビッグチャレンジなのは誰でも分かってるし、わざわざ騒ぐ必要はない。俺たちは同じ新時代のファイターで、これは待望のマッチアップだ。でかい試合になるのは分かってる。俺は誰かを悪者にするタイプじゃないし、そういうのは求めてない」

──ジョン・ジョーンズやフランシス・ガヌーとの“大一番”を経験しています。今回のトム戦に向けたプレッシャーは、そのときと比べてどうですか?

「いまは経験があるから、プレッシャーは少ないね。最初の“大一番”はフランシス・ガヌーとの試合で、あのときはストーリーづくりもファイトウィークもスケールが大きくて、メディア対応もやることが山ほどあった。あれがいちばん重かった。そこからジョーンズのときは少し減って、今はさらに少ない」

──ドバイにはかなり早く入ってきました。フランスからは距離も近いですが、映画の露出などで国内は騒がしくなっていたはずです。雑音から離れて集中する狙いもありましたか?

「それもあるけど、それだけじゃない。アブダビやドバイで良いスパーリングパートナーがたくさん見つかったんだ。俺は大勢とスパーするから、全員をフランスに呼ぶより、自分がドバイやアブダビに動くほうがコストも抑えられる」

──ある番組で、トム・アスピナルが対戦相手の肩に手を置く行為について話していました。もし試合直前にあなたにそれをやってきたら、押しのけますか?

「いや、何もしないよ。というか、その話はちょっと違う。あれが本人の考えなのかも分からないし、周りがやらせてるのかもしれない。どっちにせよ賢い行為じゃないけどね」

──アレックス・ ペレイラ(ライトヘビー級王者)がヘビー級について語っています。今回のこの試合も見ているはず。彼がヘビー級に上げることをどう見ますか?

「いいアイデアだと思う。アレックスは今や世界中から観たいと思われるファイターになったし、美しい物語もある。しっかり積み上げてきたから、ヘビー級でもできる。危険な存在のままだよ。ジョン・ジョーンズがヘビー級に上がるときも、みんながワクワクしてたろ。それと同じだね」

──もしそのペレイラがジョン・ジョーンズと戦うことになったら、勝機はあると思いますか?

「もちろん。これはファイト、戦士同士の勝負だ。何だって起こり得る」

──あなた自身も、将来的にペレイラとの対戦に興味がありますか?

「もちろん、興味はあるよ」

──この試合は“3度目の正規ヘビー級王座挑戦”で、いわば「最後のチャンス」だという見方もあります。そういうメンタリティで臨みますか? その意識はトム・ アスピナル(ヘビー級王者)にとって危険な要素になると思いますか?

「最近は俺への評価も少しずつ変わってきていると感じている。本当にモチベーションを高く保てているよ。ただ、最後のチャンスとは思っていない。やろうと思えば、俺はまだまだ長く戦える。(現在35歳だけど)40歳になっても戦い続けられると思う。、この挑戦にワクワクしてるし、燃えてるよ」

──トムはUFCで100%のフィニッシュ率で、しかも第2Rを越えたことがありません。判定までもつれない可能性が高い相手に対して、どんなゲームプランで臨みますか?

「俺の強みも、あいつの強みも、みんなもう知ってる。俺は距離をうまく管理できるし、2R目に入ってからでも崩せる。でも逆に、最初のラウンドから一気に圧をかけていくこともできる。いずれにせよ“ディープウォーター(=限界の領域)”に連れていく準備はできてる」

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