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【ONE】ヘメッツバーガーがブンタンを破りONEストロー級ムエタイ世界王者に、シャドウがクヤテをバックブローTKO、アブドゥラエフがTKO勝ちでMMA13戦無敗に、タイ・ルオトロがエイドリアン・リーに一本勝ち、無敗対決は陽勇が見事なTKO勝ち

2025/09/06 10:09

▼第1試合 フライ級キックボクシング 3分3R
×ジョーダン・エストゥピニャン(コロンビア)
[3R 1分45秒 TKO]※3ノックダウン
〇陽勇(=ひゅう/Team Mehdi Zatout/TEAM3K)





 陽勇は第1回全日本学生フルコンタクト空手道選手権1部男子軽量級(65kg未満)優勝、第7回JFKO全日本フルコンタクト空手道選手権大会軽中量級優勝などフルコンタクト空手で数々の成績を残してキックボクシングに転向。RISEを経て2024年9月からONEに参戦して3戦全勝、通算戦績は11勝(3KO)無敗。



 エストゥピニャンは2025年1月の『ONE 170』に初参戦し、フレディー・ハガティーから右ストレート、右フックで2度のダウンを奪って勝利した。3月の2戦目もアリ・サルドエフに判定勝ち。優れた身体能力からトリッキーに繰り出す攻撃が持ち味。9戦全勝。ジョハン・エストゥピニャンとは双子の兄弟。キックボクシングルールは初となる。



 1R、陽勇はサウスポーから左ミドル、左インロー。エストゥピニャンも右ミドルと右インローを蹴る。両者とも蹴りの高さを変えて多用。陽勇は左ボディストレート、左フックを繰り出す。エストゥピニャンはあくまでも右の蹴りで勝負。陽勇は後ろ蹴りを放つがローブローとなって一時中断。



 再開後、左の蹴りを放って行く陽勇にエストゥピニャンが右ストレート。陽勇も左ストレートから連打を繰り出し、左の三日月蹴り。さらに胴廻し回転蹴りを放ち、最後に攻撃をまとめて印象付ける。



 2R、前に出る陽勇はジャブから左ストレートを顔面とボディへ。エストゥピニャンもこのラウンドはジャブと右ストレート、左ボディを打つが、パンチの距離から右ハイを放つ。ワンツーで切り込む陽勇だが、そこへエストゥピニャンは左ミドルのカウンターからワンツー。エストゥピニャンの右ストレートからの左アッパーがヒット、陽勇は得意のヒザで応戦。



 距離が近くなり打ち合いとなるが、エストゥピニャンは右ハイキックや前蹴りも織り交ぜる。手数が多く右ストレートを当てて前に出るのはエストゥピニャン。飛び二段蹴りを放つと、陽勇が前へ出ていくがそこへエストゥピニャンが右ストレートを合わせて印象付けた。



 3Rはおそらくジャッジメントラウンド。陽勇は左ストレートからのヒザ、前に出るエストゥピニャンは右ストレートで攻めるが、陽勇が右フックへのカウンターの左ストレートでダウンを奪う。立ち上がったエストゥピニャンは打ち合いを挑み、陽勇もこれに応える。その打ち合いの中で、左ストレートのモーションから左の飛びヒザをアゴに叩き込み2度目のダウンを追加。



 顔面前蹴りから左右の連打でコーナーへ追い詰める陽勇。エストゥピニャンは防戦一方となり、陽勇のストレート、フック、アッパーを浴び続ける。レフェリーがストップし、陽勇の見事なKO勝ちとなった。



 陽勇は勝利者インタビューに「サワディーカップ! まず1Rと2Rは力量を見るので固くなってしまったのと、3Rは全然体力があったので自分のやることをやろうと思って倒しに行きました」と応え、5万ドルのボーナスをゲット。タイトル挑戦をアピールした。

陽勇ONE4連勝なるか、試合前インタビュー「どんな相手にも対応できる強さを魅せたい」

──コンディションはいつも通りですか?

「そうですね。でも、結構体も大きくなってきて。いつも減量がなかったんですけど、今回は5kg位減量する感じになりました。2カ月前の7月の段階で調整もし始めて、体も絞れてもいい感じです。健康面でもとてもいい感じです」

──今まで減量がなかったっていうのは、それでも大体どれぐらい落とされてたんで
すか?

「今までは試合の1週間前に食事の量を減らしたりしていただけでした。今は長期的にちょっと夜のご飯だけです。でも、今も全然食べてるんですけど。でも、そういうちょっと削るっていうのもできていて、なんか身体的にも今までの中で1番調子いいかなっていう気はしています」

──今回減量することになった理由は、意識的に体を大きくしているからですか?

「身体を大きくしようと前から思っていましたが、自然に大きくなった感じです。2月終わったぐらいからですね。それ位から結構ぐっと大きくなりましたね」

──フィジカルを多めにやったとか、そういう感じですか?

「いえ、多分、通常のトレーニングで使ってない筋力とかそういうのがついて。あと、そのやってきたことがちょっとずつついてきた感じですね」

──あくまで結果としてっていう感じなんですね。

「そうですね。特別にフィジカルを強化したとかではないんですけど。多分、やっていっている練習の質が上がってきて、筋力もそういう面で上がってきたんだと思っています」

──今年大学を卒業して、今は仕事をしながら戦っているのですよね。

「そうですね。仕事もしたくて。両立しながらやっています」

──言える範囲でお願いしたいのですが、どういった関係のお仕事をされてるんです
か?

「大阪を盛り上げる仕事なんですけど。総合的に色々なことをしていて楽しいですね。大阪を活性化させる仕事です」

──因みに、平日出勤のお仕事なんですか?

「そうですね。フル出勤です。朝から。ただ、みんなにも心配しないで欲しいのは、練習時間は今まで通り確保できていますし、仕事をする様になってからの方が調子良いのかなって思っています」

──むしろ、練習に集中できる感じですか?

「そうですね。多分、生活にメリハリがついたと思います。無駄な時間を過ごしている暇がないので。常に練習の時間を取り戻さなアカンと思って焦ってやってるんで、質はホンマにめちゃめちゃ濃いと思います」

──22歳で既にこういったやり方で質を意識した練習の仕方というのは素晴らしいですね。

「空手をずっとやってきていたので。そこで自分で質を求めて考えてやるっていうのが、身につきました。元々、大学に行っていたのもそうですけど、ずっと格闘技だけをしてきたんじゃなくて、学校と両立しながらやってきていたので、仕事、就職しても今までと変わることはないって感じです。格闘技一本じゃなかったら、中途半端にやっているって思う人もいるかもしれないんですけど、僕は全然そうじゃないと思っていて。寧ろ仕事をしてプライベートの時間を格闘技に注いでるので、本当に格闘技が好きだからそれができているし。格闘技だけじゃなくて、仕事することによって視野も広がって、行動に拍車がかかるというか、格闘技の方にも頑張らなアカンって。だから、そういう面でも社会人的にも、格闘技の技術としても、両方成長できると信じています。毎日、ホンマに充実しているって感じですね」

──練習環境について、タイのTeam Mehdi Zatoutでの練習はどうなっていますか?

「期間的にはあんまり行けなくて。でも、試合前にちょっと行ける感じです。ゴールデンウィークには3、4日休みがあったので、その時はタイでトレーニングに行きました。メディとの連絡は、動画を送ったりとか、常に取り合っています。だから大学の時とあまり変わらない感じです」

──陽勇選手は直近の5試合で4KOを記録しています。このKO率の高さの理由は、ご自身ではどう分析していますか?技術面だったり、メンタル面だったり、以前と比べると何か変化があったのでしょうか?

「僕は元々KOをあまり1番重要視してなくて。むしろ試合内容を意識して、総合的に勝ち切れたかどうかを見ています。例えば、第1ラウンドでポイント取られて、第2ラウンドで巻き返してKOという勝ち方は、僕は好きじゃないんです。だから、そういう3ラウンドを徹底して取る戦いを意識しています。最近、1発の技とかでKOしたりしていますけど、それは試合全体の組み立てとか意識してやっている結果で、それがKO率の向上に繋がっていると思います。あとは、単純に自分がキックボクシングに対応してきたかなっていう感じです」

──陽勇選手の戦い方への意識はONEのラウンドごとにジャッジするシステムにもフィットしていますね。

「そうですね。僕はそのポイント・ポイントでも負けたくないんで、そこは意識してやっています。様子見るとかは良いと思うのですけど。ポイントを取られるっていうのは、それをしちゃうと反省点が残ってしまうので、そこは絶対取られないように意識しています」

──今の現時点で11月開催の日本大会をどう意識されていますか?

「日本大会は、もちろん出たいと思っています。『自分が出なアカンやろ』って思われる試合を9月やりたいです」

──直前で対戦相手が変更になった心境は?

「相手がジョーダン・エストゥピニャンだからテンションも下がることなく、ワクワクしてます。ジョーダン選手には(直前の試合を受けてくれて)凄い感謝しています」

──カリロフに向けての準備から、この対戦相手の変更は、戦術から大きく変えないといけないですか?


「僕は試合が決まっている、決まってない関係なく、戦術よりどんな相手にも通用する純粋な強さを突き詰めてるから、問題ないです」

──ジョーダンはONE2戦を戦って、フレディ・ハガティーやアリ・サリドエフと好勝負の末に連勝しています。どう評価しますか?

「ONEでも活躍していて、変則的なスタイルが面白いと思います。試合を楽しんでくるから、余計に自分も試合中楽しめそうです」

──あの飛び抜けた身体能力の高さは脅威ですか?


「警戒はしているけど、自分はいつも対戦相手のやりたいことを封じ込める。それがわかりやすい試合になると思う」

──言える範囲で、別の脅威に感じている点は何ですか?

「荒い攻め方をするときでもコンパクトな攻撃が出るところです」

──続けて言える範囲で、この短期間で相手の穴(弱点)を見つけましたか?


「カウンターを合わせやすいから狙っていきたいです」

──改めて、このような状況の中での今回の試合のテーマは何ですか?

「直前の対戦相手変更はあまり気にしてないけど、どんな相手にも対応できる強さがあるところは魅せたい。テーマも変わらず世界に自分の位置を証明します」

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