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【ONE】ヘメッツバーガーがブンタンを破りONEストロー級ムエタイ世界王者に、シャドウがクヤテをバックブローTKO、アブドゥラエフがTKO勝ちでMMA13戦無敗に、タイ・ルオトロがエイドリアン・リーに一本勝ち、無敗対決は陽勇が見事なTKO勝ち

2025/09/06 10:09

▼第4試合 ONEライト級MMA 5分3R
×エイドリアン・リー(米国)
[2R 4分14秒 リアネイキドチョーク]

〇タイ・ルオトロ(米国)※MMAデビュー戦



 タイ・ルオトロは、史上最年少のIBFFJ黒帯世界王者。ONEでは2022年5月のゲイリー・トノン戦のダースチョークで一本勝ち以降、元二階級王者のライニアー・デ・リダー、アイザック・ミシェル、ジョゼフ・チェン、ダンテ・レオンら強豪を撃破し8連勝中。ウェルター級サブミッション・グラップリング王座は2度防衛に成功している。22歳。

“ザ・フェノム”エイドリアン・リーは、言わずと知れた“最強遺伝子”リー一家の末っ子。元ONE女子アトム級王者アンジェラ・リーと早逝したビクトリアを姉に、ONEライト級&ウェルター級の2階級制覇王者クリスチャン・リーを兄に持つ。3歳から格闘技を始め、アマチュアMMAでもハワイでベルトを巻くと、24年6月の『ONE 167』でアントニオ・マンマレッラに2R リアネイキドチョークに極め、ONEデビュー戦を白星発進。同年9月の『ONE 168: Denver』でニコ・コルネホも同じくリアネイキドチョークでタップを奪い、連続一本勝ち。25年3月の前戦は日本大会で小川健晴を1R アナコンダチョークで極めている

 MMAではアマチュアキャリアも豊富で、タイより1年早くプロデビューし、3連勝中のエイドリアンは、オーソから188cmの長いリーチ・コンパスを活かした打撃で詰めてのテイクダウンからバックやがぶりからのチョークを得意とするが、その際でのがぶりヒザ、パウンドで削ってポジションを奪う、MMAグラップラーだ。

 一方で、タイはグラップリングでもボトムを好まず、レスリングでもジェイソン・ノルフと真っ向勝負するなど、スクランブルも強いトップゲームのファイター。そのサブミッションの精度はエイドリアンより高いが、スタンドから始まる、初のMMAでの立ち合い、そして組み際の打撃が、いかにグラップリングに影響するか。

 弟のケイドはすでにMMAで3連勝中で、入り・離れ際の左右ハイキック、アフメド・ムジタバをテイクダウンと同じ動きから右オーバーハンドでダウンを奪うなど、打撃を自身の強いグラップリングに取り込んでいる。リーチでエイドリアンをも上回る191cmのタイも、ケイドとMMAトレーニングを積んでおり、同じ強味を活かしてくるだろう。

 しかし、エイドリアンもクリスチャンの弟。MMAグラップラーの戦い方を熟知しており、アタックし続ける動きのなかでフィニッシュを量産し、簡単には極められない防御力も持つ。互いにスクランブルも得意とするなか、MMAで上回るのはどちらか。

 3回連続5万ドルのパフォーマンスボーナスを獲得中のエイドリアンにとっても、タイはこれまでで最も過酷な相手といえる。しかし、19歳のリーは以前、「ルオトロにとって自分は良い相手ではない」と、MMAの初陣で戦うには自身はタフな相手、としていた。2人の若き天才による、新しいMMAが見られるかもしれない、ONEライト級戦だ。



 1R、
サウスポー構えのタイ。オーソのエイドリアン。タイは右前蹴りからシングルレッグへ、右で差すタイにエイドリアンは左小手もタイはボディロックテイクダウン。クローズドガードのエイドリアンは下からヒジ。タイはインサイドガードからヒジ。エイドリアンはラバーガード。腕十字を狙うエイドリアン。スラムで抜いて離れるタイに、エイドリアンは立ちにはいかず。





 足をさばきつつ中腰パウンドでパス狙いのタイに、エイドリアンは下からヒジ、蹴り上げ! かすめながらかつぎパスのタイ。足を戻しながらヒジのエイドリアンだが、タイは右足でパスし、すぐにマウント!


 ヒジを打ち下すタイにボディロックからシザーズで立ち上がるエイドリアン! 左右連打でまえに出ると、タイも左ハイ、右を突く。エイドリアンは鼻血。


 2R、
左ジャブのエイドリアンに、タイは左の蹴りを上下に。さらに右ジャブをヒット。打ち合いにも臨む。右の蹴りから前に出るエイドリアンは右! タイは左ストレート。アッパー。エイドリアンは構わず前に。そこにダブルレッグテイクダウンのタイはエイドリアンの立ちを寝かせてパウンドとともにマウント。


 エイドリアンのロープウォークに合わせて腕十字へ! 足を顔から外して抜けるエイドリアンにトップを取りに行くタイ。しかしエイドリアンは背中を見せて立ち上がり。コーナー際で背後からアッパー! さらにバックテイク! 両足がかかりボディトライアングルに。


 ロープ下にエイドリアンの頭が出てストップドントムーブも、タイは再開からリアネイキドチョーク。いったんは後ろ手をはがしたエイドリアンだが、タイはパームトゥパームで組んで絞めると、エイドリアンがタップした。


 試合後、一本勝ちのタイは5万ドルボーナスを獲得。セコンドのエリック・パーソンらに感謝の言葉を述べた。


 試合後、タイは「ちょっと吐きそうになったよ(苦笑)。僕の考えとしては、できるだけ早く仕留めるのがプランだったんだけど、本当にエイドリアンがタフだったから実現しなかった。2ラウンドまで持ち込まれた。経験を積めたのは良かったけど、手を自由に動かせて気持ち良かった。キャンプ中ずっと顎を下げろと言われてたから、確かに数回ヒットされた。でも、なんて試合だ。エイドリアン、本当にありがとう。君たち兄弟は伝説だ。輝かしい未来がある。今夜、負けた者はいない。彼自身も間違いなくチャンピオンへの道を歩んでいる。ちょっとしたつまずきだったけど、エイドリアンと家族に感謝する。みんな、愛してる。


(立ち合いもしたが?)最高だったよ。言った通り、1分程度で終わると思ってたから、経験が積めて嬉しいよ。思ったよりずっと長くて、本当に大変だった。彼は本当に手強いけど、すごく楽しい相手だった。ただ、無事に終われたことが本当に幸せだ。エイドリアンも大丈夫だといいな。あまり怪我をしていないといいけど。


(5万ドルボーナス獲得に)勝利だぜ、最高だった。チャトリ、愛してるよ。本当にありがとう。感動したよ。望み得る全て、願い得る全てが、これだ。世界最高のコーナーだ。ケイド・ルオトロ、エリック・パーソン、タイラー・ウォンブルズ。みんな本当にありがとう。みんな大好きだ。心から感謝する。故郷のみんなもね。僕の美しい恋人ジュリアン、美しい母と妹。君たちを心から愛している。祖父母、そして見守ってくれている皆さん。ロイド、君を心から愛している。ありがとう」と語った。

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