アジア人初のUFC男子世界王者になる
その後のU-NEXTのインタビューでは、「外足を取らなかったのはなぜか」という本誌の質問に、「俺の戦略は、内側に入って自分の距離で戦うことだった」と答え、右の三日月蹴りも当てながらも、「バックステップしたとき、骨が変に動いてる感じがして、“くそっ”って思ったよ」と、前戦で痛めていた親指が定まらないなか、右の蹴り、奥足で踏み込んでいたことを明かした。
コメイン後、カラ・フランスにリアネイキドチョークで一本勝ちしたパントージャとは、ケージインしてフェイスオフをかわした。「彼は素晴らしいチャンピオンだけど、ジョシュア・ヴァンとは戦っていない」と、これまでの挑戦者とは違う、とアピールしたが、バックステージでも来るべき王座戦に向け、「他の選手とは全く違う試合をしてみせる、みんな近いうちにそれが分かる。俺が何を見せるか、その目で見てくれ」と自信をのぞかせた。
🇲🇲ジョシュア・ヴァン🇲🇲
— U-NEXT 格闘技 公式 (@UNEXT_fight) June 29, 2025
23歳、MMAキャリア5年にして、ヴァン:204、ロイヴァル:215と、双方が200発以上の有効打を記録したUFC史上初の試合となった激戦を、判定(29-28×2、30-27)勝利💥
👑王座防衛を果たしたパントージャとオクタゴンでのフェイスオフを経て、日本のファンにメッセージ!
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また、試合後会見には、ミャンマーの国旗を背にまとい登場。「僕が数年前にMMAをやっているのを見て、ミャンマーやビルマ人がこのレベルに達するなんて誰も思ってもいなかっただろう。でも、いま僕の試合を見て、多くの新世代がジムに行くように連絡をくれている。子供だけでなく親たちにも多くの目を覚まさせた。だから、本当に本当に、幸せだ」と、語った。
現在、UFC世界王者でアジア人は女子ストロー級のジャン・ウェイリー(中国)のみ。まだ男子ではアジアから世界王者は生まれていない。朝倉海(31歳)がパントージャとのタイトルマッチで敗れ、ここまでもっとも王座に近いのはフライ級5位の平良達郎(25歳)と、バンタム級5位のソン・ヤドン(27歳)だったが、今回の試合で、1位を倒したヴァンが次の挑戦者に決定。ミャンマー初、アジア初のUFC男子世界王者誕生の期待がかかる。
試合前の本誌のインタビューにヴァンは「アジア人初の男子王者になる。それを今、一番目指してる」と明言。そして、U-NEXTのインタビューでは、「日本のみんな、本当に応援ありがとう。アジア人同士だから俺たちは“兄弟”だよね。俺もアジアの文化のためにやってる。応援と愛に心から感謝してる!」と結んでいる。なお、試合後ヴァンはフライ級1位にランキング。12位からごぼう抜きでトップコンテンダーとなっている。
また、ダナ・ホワイト代表はヴァンとロイヴァルの試合について「トラック(制作チーム、私、マッチメイカーの間でメッセージが飛び交っていた。3R目に突入する時点で、彼らはすでに歴代トップ10の重要な打撃を記録していた。最終的に歴代3位にランクインし、階級記録を破った。彼らは今夜(金銭的に)成功するだろうし、それは当然の報酬だ」と、激闘を称えた。
続けて、「ランキング12位の選手が、急なオファーで世界ランキング1位の選手と対戦したことは印象的だった。その選手は記者会見で『このスポーツで最も軽視されている選手だ』と語り、勝利に強く意欲を示していた。タイトル挑戦権を得られることを知っていたからこそ、今夜は勝利を目指してきた。その若者は正しいことを全てやった。今夜、彼は急なオファーでチャンスを得た。そして、完全に結果を出した」とヴァンを高く評価した。
また、ヴァンがUFC世界フライ級王者アレッシャンドレ・パントージャの次期挑戦者に決定したことについては、「彼はナンバーワンコンテンダーで、勝者がタイトル挑戦権を得ることを私は既に述べた。明らかに今やるべき試合だ。今夜のファンからの反応は素晴らしかった。今後どう展開するかは見ていく必要がある」と語っている。
そして、UFC副会長兼アジア部門責任者ケビン・チャンは「ジョシュア・ヴァンのUFCでの急成長は驚くべきものだ。彼はミャンマーのファンに真のスポーツのアイコンを提供し、刺激的なスタイルと卓越したスキルでアジアの観客を魅了している。ジョシュアは、新しい世代のMMAアスリートが成し遂げられることを体現している。彼はアジア出身選手としてUFCタイトルを争う3人目の選手として歴史に名を残すため、彼の未来に期待しています」とのコメントを発表した



