会見でのヴァン「ミャンマーという国を代表できることがすべて」
──ブランドン・ロイヴァルとの試合に勝利ました。
「これは人生を変える瞬間だ。神は偉大な計画者で、すべては理由があって起こったんだ」
──ミャンマーの旗を背にしていますね。この最後の1時間が一気に押し寄せてくるような感覚をどう感じていますか。
「俺たちチームは常に自分たちができることを理解している。だから(ロイヴァルに勝っても)何も驚かなかったんだ。分かるかな? 僕は常にこの1位のポジションに居続けることを知っていた。だから、“覚えておけ、僕の名前は今や#1ジョシュア”だ」
──トレーニングを始めたのは5年前、というのは本当ですか?
「イエス。5年前はトレーニングを始めたばかりだったけど、街中で戦っていた。分かるよね? 若い頃から、子供の頃から、戦いは俺の血の中にあったんだ」
──1年間で6回目の試合です。なぜそんなに活発に活動できるのですか?
「家にいると退屈するから、“やらなきゃ”と思ったんだ。多分、家に帰って数日休んだらジムに戻るだろう。活動的であることが、俺をより良い人間にするんだ。外に出てトラブルを引き起こすようなことをしないから。だからジムにいて人生を良くしたい」
──今回の試合がタイトル挑戦をかけた試合になることは、3週間前に試合を依頼された時、知っていましたか?
「知らなかったけど、予想していた。なぜなら、ナンバーワンを倒せば、戦う相手がいないだろう? だから、連絡が来て『すぐにコーチと話してくれ』と。ダニエル・ピネダがマネージャーに連絡して『試合を受ける』と言った。ダニエルが『やろう』と言った瞬間、俺は“よし、タイトルマッチだ”と、頭の中でそう思っていたんだ」
──UFCのボスが「この試合の勝者が次のタイトル戦に出場する」と実際に言ったことで、プレッシャーを感じた?
「自分にプレッシャーをかけるのは好きじゃない。だって、彼はそう言ったけど、もし試合に勝たなければタイトル戦はないんだ。だから、そんなことは考えない。ただ冷静さを保ち、チームメイトと寝たり遊んだりして楽しむだけだ」
──今回の試合でコーナーマンが言っていたことは?
「俺のコーナーは『急ぐな』と言っていた。最初のラウンドで何度か聞いたし、2R目でも聞いた。時々急いでしまうと、それが捕まる原因になるから『落ち着け』と。そういうことを言ってた。それが俺たちの戦略で、時間をかけて隙を探る、そういうことだった」
──多くの人がブランドン・ロイヴァルとの試合が「今まで見た中で最も狂ったフライ級の試合の一つだ」と言っています。
「本当に、彼はスニーキーだよ(笑)。彼がパワーがないと思って前へ進もうとした瞬間、狡猾なパワーを持っていた。俺を油断させたんだ。彼はナンバーワンである理由がある。そして、彼は本当にタフだ。あの選手が好きで、チャンスをくれたことに感謝してるよ」
──ロイ・ヴァルとの試合での打撃の数は予想していたか? 344の有効打が記録され、これは3R戦では最多記録だ。彼は467回、打撃を試みた。UFCの記録だ。
「彼はただ疲れるだけだったんだ、わかるだろ? だから、自分が何に巻き込まれるか分かっていたけど、彼を倒せると思っていたんだ。本当に。彼を倒せると思っていた。でも彼は強かった。そして、あの狡猾な力を持っていた。例えば、前に進んだら上からのパンチで殴られて。“ああ、やばい、引かないと”って。それが初めて出血した瞬間だったと思う。それは良い経験だったし、すごく珍しいことだ」
──解説チームは「ブランドンが終盤にパワーがあったように感じた」と言っていましたが、統計ではあなたがより多く放ってヒットさせていました。彼に7、8発のパンチを当てても、まだ前に進み続けてきたのはどんな感じでしたか。
「本当に、僕は彼と戦うことを承知で臨んで、フィニッシュを期待していたよ。でも彼は本当にタフ。だから、彼を(ほんとうは)数回倒したと思う。1R目のパンチで彼を倒した。そして追撃を試みた。でも、言ったように、彼はパワフルでスニーキーだ。彼を殴るたびに、彼はより強い反撃で返してくるから、わかるだろ? コーチたちは、急いで突っ込むのを止めさせようとしているし(笑)、彼には敬意を表するよ」
──オクタゴンに次の挑戦者が現れるのは珍しいことです。パントージャの勝利についてどう思っていますか? あなたとチームは弱点や隙を分析し始めているでしょうか。
「いや、まだだ。彼の試合をただ観戦しただけだ。彼を研究したことはない。なぜなら、僕は1試合ずつ取り組むタイプだから。この後、ジムに戻って彼を研究する。わかるだろ? これがニューエラ・ファィティング(新時代の格闘技)さ」
──メインの後でパントージャとフェイスオフをしました。チャンピオンの目を真っ直ぐに見つめる時のエネルギーはどんな感じだった?
「尊敬する必要があると思う。これは我々のショーで、彼が参加したから、俺も参加した。だから、ただ尊重するだけだった。彼が家族を養うためにこの格闘技をやっていること、わかるよね? 俺も同じだ。母を養うためにこのことをやっているんだ。俺たちは家族のために戦っている。だから、彼が準備ができたら、俺も準備ができている」
──彼の直近の2試合は、激しいグラップリングでした」。テイクダウンしてチョークアウトする。だから、あなたはレスリングシューズを履いてパントージャ戦に備えることになるでしょうか。
「知ってるだろう? 僕のテイクダウン防御も完璧だからね。彼はまだ“ジョシュア・ヴァン”と戦ったことがない。つまり、みんな、最後はそれを知るだろう」
──UFCはスペインに行くかもしれません。トプリアはスペインの顔のような存在になっていますから。あなたが必死に持ち込んだその旗が、チャンピオンとの対戦で注目されることになる。あなたは、この時が必ず来ると思っていたでしょうけど、あなたの国ミャンマーを最大の注目を浴びる最大の格闘技の舞台に立たせられることに、どれほど興奮していますか?
「それはすべてを意味する。それがすべてだ。国を代表できること自体が。新世代は──僕が数年前にこのこと(MMA)をやっているのを見て、ミャンマー国民やビルマ民族がこのレベルに達するなんて思ってもいなかっただろう。でも今、僕が見せているのを見て……分かるかな? 多くの新世代がジムに行くように連絡をくれているんだ。だから、子供だけでなく親たちにも多くの目を覚まさせた。だから、本当に本当に、幸せだ」
──タイトルを獲得することは、すべてのファイターが望むことですが、4連続防衛のパントージャのように明らかに素晴らしいチャンピオンを倒すことは、さらに特別なことでしょうか。それとも、ベルトそのものに興味がありますか。
「ああ、この階級でのレガシーだよ、分かるだろう? 彼を倒すことは、僕のレガシーにとっても、より大きな意味を持つんだ」
──あなたはジョン・ジョーンズがベルトを獲得した時と同じ年齢です(※JJはUFC史上最年少記録の23歳8カ月で王座獲得)。だからUFCに行って「24歳になる前に試合を組んでくれ」と頼むことも?
「彼の記録に並ぶために。だから10月までに試合を組んでもらわないと……でも医者が出場停止にしたから(苦笑)」
──サスペンドなんですね。あなたにとって、この試合に勝って王座挑戦は本当に早い展開だったと思います。こんなチャンスが巡ってきたら絶対に掴むべきだ、ということは分かっていますが、この試合前に怪我や打撲があったのですか。100%の状態でなかったと思いますが。
「僕の親指がひどく痛かったんだ、分かるだろ? 試合中、ファイトキャンプや何かでもキックを放つことが出来なかったんだ。でも、アドレナリンとかでスルーして戦ったんだ。親指がひどく痛かった、それがすべてだよ」
──パントージャとのタイトルマッチは5Rになります。Fury FCでもタイトル戦(5R戦で2Rに一本勝ち)の準備を経験したことがあるから、UFCでも5Rを戦うことに問題ありませんか。
「それはもし……通常通り(4R以降になっても)続くだろうね。さっきも言ったように、僕はジョシュア・ヴァンだ。普通の選手のようには戦わない。だから、全く異なる試合になるだろう」
──今回の試合がもし5Rだったら、3R目のように、残り2Rで彼を倒せたと思いますか?
「つまり、5Rあれば? フィニッシュできたかもしれないよね」
──パントージャとカイの試合が進行中だった時、ケージサイドで何を見て、どう感じた?
「カイのことは本当に尊敬しているけど、彼はジョシュアじゃない。わかるだろ? チャンピオンと戦った時、彼は怖がったり緊張したり、つまり尊敬しすぎたんだ。尊敬しすぎると勝てないんだよ。“殺るか・殺られるか”だ。ジョシュア・ヴァンは唯一無二だ。それは絶対だ」
──最後に。この勝利後のパーティーはどれくらい大きくなるでしょうか? 今回の試合は多くの人にとって今年のハイライトだと思うので。
「4オンスファイトクラブ(テキサス州ヒューストン)のチームメイトたちがラスベガスの観客席の中にいたんだ。それが僕を励ましてくれた。だから、ホテルに戻って何か計画を立てるつもりだよ」




