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2025年2月22日(日本時間23日)、米国ワシントン州シアトルのクライメット・プレッジ・アリーナにて『UFC Fight Night: Cejudo vs. Song』(U-NEXT配信/UFC Fight Pass配信)が開催された。
メインはバンタム級で、元UFC世界バンタム級&フライ級王者で元レスリング五輪金メダリストの“トリプルC”ことヘンリー・セフード(米国・7位)が復帰第3戦。同級8位のソン・ヤドン(中国)が対戦。
コメインはミドル級で、ブレンダン・アレン(米国)とアンソニー・ヘルナンデス(米国)が、7年ぶりの再戦に臨んだ。
▼バンタム級 5分5R ※インタビュー
〇ソン・ヤドン(中国)22勝8敗1分(UFC11勝3敗1分)
[3R終了時 判定3-0] ※29-28×2, 30-27
×ヘンリー・セフード(米国)16勝5敗(UFC10勝5敗)
※ヤドンの偶発的なアイポークでセフードが4R以降、続行不可能に
2020年5月の『UFC 249』でドミニク・クルーズを相手に2R TKO勝ちでバンタム級王座防衛を果たしたセフードは引退を表明。3年後の2023年5月に復帰し、いきなりバンタム級王者アルジャメイン・スターリングに挑戦も、5Rスプリット判定で敗れ、戴冠ならず。
2024年2月に当時2位のメラブ・ドバリシビリと対戦し、1Rはセフードがトップを奪ったが、後半も動きが落ちないドバリシビリに三者29-28の1P差で判定負け。2連敗で7位となっている。試合時に38歳になる。
対するソン・ヤドンは、同級8位。テイクダウンディフェンスと寝技、立ち上がりに磨きをかけると、散打ベースの打撃の威力も増し、2022年3月に元タイトル挑戦者のマルロン・モラエスを1R KO。9月に当時4位のコーリー・サンドヘイゲンと戦い、4R終了時にカットによるドクターストップでTKO負けも、続く10位のリッキー・シモン戦、15位のクリス・グティエレス戦で勝利し、2024年3月の『UFC 299』で元UFC王者ピョートル・ヤンと対戦。判定負けを喫した。27歳。
◆アジア男子で最もUFC世界王座に近いのは──
東アジア初のUFC世界王者は、2019年8月に女子ストロー級王座を獲得したジャン・ウェイリー(中国)。中央アジアではワレンチナ・ シェフチェンコ(キルギス/ペルー)が2018年12月に女子フライ級王座を獲得している。
ヤドンは、ウェイリーに続く、アジアの男子MMAファイターとして最もタイトル挑戦に近かったが、現在はその座は、ウェルター級2位のシャフカト・ラフモノフ(カザフスタン)が取って変わっている。
次いでフライ級5位の平良達郎(日本)、同級8位のアスー・アルマバイエフ(カザフスタン)。バンタム級8位のヤドンがアルマバイエフと同じく3番手につけている。
ほかにもライトヘビー級13位にボグダン・グスコフ(ウズベキスタン)、フライ級14位に朝倉海(日本)がつけているが、王座戦まで敗北が許されず、さらにいくつかの白星の積み上げが必要だろう。
セフードのMMAレスリング・打撃を、チーム・アルファメール所属のヤドンは切って、自身が打撃を当てられるか。試合毎にテイクダウンディフェンスの向上と自ら組みを仕掛ける姿は、同朋のジャン・ウェイリーと同じような進化を遂げている。そのウェイリーに一時期レスリングをコーチしていたのはセフードだった。
5Rのメインイベント。オッズでは、若いソドンがフェイバリットだが、セフードは「アンダードッグの方が燃える」と勝利に自信を見せている。勝者がバンタム級の王座戦線に向かうサバイバルマッチだ。
1R、グローブタッチ。ともにオーソドックス構え。先に右ローを当てるソン・ヤドン。さらにカーフに右を合わせに行くセフード。上体を立てて前手を触る。
スイッチして左ミドルを当てるセフード。ヒザを触るフェイントから左フック、ニータップの動きから右ヒザを見せる。
かわすヤドンは左ボディストレート、左ロー、左フック。一転、右カーフを打つ。セフードの入りに右をかぶせるヤドンは左インロー。中央に押し戻して左ボディストレート。右カーフ。左右に詰めるセフードをさばく。
右ハイのセフードは右カーフ。ヤドンも蹴り返しにチェックするセフードは前足にシングルレッグも切るヤドンに深追いせず。ヤドンは右アッパー狙い。セフードのレベルチェンジに反応し、踏み込みに右を当てて、詰めるセフードに左右にサークリングする。打撃でヤドンのラウンドに。
2R、ゆっくり中央に歩いて右手を差し出すヤドン。落ち着いて2Rに。その手にタッチしたセフードも右カーフを突く。ヤドンは右ボディストレートでテイクダウンをけん制。カーフは互いに蹴り合い。
サウスポー構えになるセフード。ヤドンは右ボディ、フック、さらにニータップの動き。切るセフードもシングルレッグの動きも切るヤドン。深追いしないセフードは、右前蹴り。さらにシングルレッグもすぐにスプロールして切るヤドンは右カーフがローブロー気味に。ヤドンのローに出足が鈍るセフード。ヤドンは右カーフをダブル。左は大振りに。セフードは左を返す。
右ストレートはセフード。しかしヤドンは右アッパー。セフードは打ち合いのなかで右から左を届かせ、ヤドンの鼻頭を赤くさせる。ヤドンのカーフと、後半にパンチを当てたセフード。被弾させた手数でヤドンのラウンドか。
3ラウンドを経て試合終了となったメインイベントはソン・ヤドンがテクニカルデシジョンで勝利📝#UFCSeattle pic.twitter.com/U6K2xh8tV0
— UFC Japan (@ufc_jp) February 23, 2025
3R、サウスポー構えから入るセフード。ワンツーの左ストレートが入るように。右をかぶせに行くヤドンは連打もさばくセフードは左ストレートを突き、跳びヒザも。
これはさばいたヤドンは、右ミドル。チェックするセフードはレベルチェンジのフェイント。ヤドンはワンツーから右前蹴りもローブローとみなされインターバルもすぐに再開。
サウスポー構えのワンツーで圧力をかけるセフードに、ヤドンも左右の回転を上げてヒザ蹴りへ。右の打ち合い。セフードはレベルチェンジの動きのなかでストレートを突く。その入りに左前手を指を広げて目を突く形になったヤドン。中断、セフードは水を要求し、目を洗う。座り込んで目と身体の回復を待つセフード。
#UFCSeattle Official Result: Song Yadong (29-28, 29-28, 30-27 | @SongYaDongLFG) defeats Henry Cejudo by Technical Decision.
— UFC News (@UFCNews) February 23, 2025
Complete Main Card Results ➡️ https://t.co/fEjfGZ1vht
再開。一気に詰めるヤドン。右ボディから左のヤドンだが、まだ前手は開いており口頭注意を受ける。なおも詰めて左ボディのヤドン。回って避けるセフードはダッキングして左を振ってかわしてホーン。微差でヤドンのラウンドか。
This fight has been stopped after 3 rounds.@SongYaDongLFG wins via technical decision. pic.twitter.com/S7VRyl6pcR
— UFC (@ufc) February 23, 2025
4R開始前に「見えない」とドクターを呼ぶセフード。ヤドンにもレフェリーが説明。両手を広げるヤドン。セフードは試合続行不可能で、3Rまでのテクニカル判定に。判定3-0(29-28×2, 30-27)でヤドンの手が挙げられるもヤドンに笑顔は無し。
試合後、ケージのなかで勝者は「すまない、結果は僕が望んでいたものではないが、ヘンリー、本当に申し訳ない。彼は伝説の選手だし、もう一度戦うべきだと思っている。また戦うことになるのは分かっている。ファンの皆さん、ごめんなさい。
(テイクダウンされず、ボクシングも良さそうだったが?)たくさんのことを経験した。この試合からたくさんのことを学んだけど、もっとうまくやれるよ。次回は再戦で」と、判定勝利も再戦を望んだ。
また敗れたセフードは「私たちは兄弟になるところだったよ、ビスピン(右目が義眼)。俺は左が見えなかった。右は大丈夫。でも、彼が俺を追いかけていた最後の瞬間でさえ、彼が俺に向かって拳を投げつけていることに気づかなかった。左から見えなかった。俺は続けたかった。でも、もし見えなかったら、これは俺を傷つけることになる。(ソン・ヤドンは再戦を希望したが?)もちろん100%やり直すことはできるが、いまはやめておく」と語った。









