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【UFC】ドバリシビリがオマリーをドミネートし判定勝ち、バンタム級新王者に! シェフチェンコがグラッソに完封勝利で女子フライ級王座奪還、ロペスがオルテガからダウン奪い5連勝、フライ級でロドリゲス、ヴァンが激闘勝利

2024/09/15 09:09

▼UFC世界女子フライ級選手権試合 5分5R
〇ヴァレンティーナ・シェフチェンコ(キルギス)24勝4敗1分(UFC13勝3敗1分)125lbs/56.70kg
[判定3-0] ※50-45×3
×アレクサ・グラッソ(メキシコ)16勝4敗1分(UFC8勝4敗1分)124lbs/56.25kg

 コメインは、女子フライ級タイトルマッチでTUFコーチ対決。2023年3月、9月に続く3度目の対戦となる。初戦はグラッソがチョークで逆転一本勝ち

 ダイレクトリマッチでは、シェフチェンコのテイクダウン&バックに、グラッソが右でダウンを奪う拮抗した試合で三者三様のドローに。3戦目は、ノーチェUFC=グラッソのホームでの試合となる。この試合で初めてグラッソのオッズがフェイバリットに。

 1R、サウスポー構えのシェフチェンコが中央へ。オーソのグラッソは細かくステップ、シェフチェンコの右に出入りでワンツー。そこに右を狙うシェフチェンコ。

 右ジャブのシェフチェンコ。グラッソの入りにダブルレッグテイクダウン! クローズドガードのグラッソは手首を掴もうとするが外したシェフチェンコの入りに再び腕十字狙い。ヒジを抜くシェフチェンコ。下のグラッソは左でオーバーフックを解いてギロチンチョークへ。首を抜くシェフチェンコだが、なかなかパウンドを打てない。ならばと右ヒジを突いたシェフチェンコ。マウントにグラッソは背中を見せて亀に。シェフチェンコがリアネイキドチョーク狙いでホーン。

 2R、サウスポー構えでじりじりと近づくシェフチェンコ。左ミドルハイをかわしたグラッソは遠間から頭を振って左右。左に回ってかわしたシェフチェンコは右をかぶせてダブルレッグテイクダウン。グラッソは左足でラバーガード狙いも。すぐに抜くシェフチェンコは右枕でハーフ、肩固め狙い。

 戻したグラッソは下から腕十字狙いもシェフチェンコはかつぎパス。サイドからバック狙い。そこで頭を押して切ったグラッソだが、間を置かずシェフチェンコはすぐにダブルレッグテイクダウン。グラッソも足を効かせてスペースを作る。

 1試合前に試合をしたロペスがグラッソのセコンドにつく。

 3R、ともにサウスポー構えから。右前足でミドルのグラッソは左ローも。グラッソのワンツーに右前手を突くシェフチェンコは右ハイもガード上に。さらにスーパーマンパンチも見せる。ダブルレッグから切るグラッソに右前足の蹴りはシェフチェンコ。さらにグラッソの足が揃ったところにダブルレッグテイクダウン!

 ハーフから右枕で右ヒジを上げようとする。グラッソのブリッジにマウント狙い。背中を見せたグラッソのバックを奪いホーン。

 4R、右のダブルで前に出るグラッソにダブルレッグテイクダウンのシェフチェンコ。そこにカウンターのアームインギロチンチョークはグラッソ。絞めてマウントになるが、徐々にずらしたシェフチェンコが上になり首を抜く。

 下で背中を着けるグラッソ。ブリッジするが、そこにシェフチェンコは肩固めを合わせに行く。サイドを奪うと押さえ込んでクルスフィックスで片腕を両足でからめてパウンド狙いもホーン。ここまで全ラウンドでシェフチェンコが優勢に。

 5R、ともにサウスポー構え。左ローのグラッソ、右ローを蹴り返すシェフチェンコだが、後ろ蹴りは出さない。ダブルレッグを見せるシェフチェンコ。ワンツーの打ち終わりに組んだグラッソはボディロックテイクダウン! そのままニアマウントも、シェフチェンコはケージを蹴って後転して離れるとボディロックへ。ここは突き放してグラッソだが、シェフチェンコはダブルレッグテイクダウン! 金網背に立つグラッソ。

 ケージに押し込むシェフチェンコは足払いで崩してテイクダウン。右小手巻き立つグラッソは離れる。

 ジャブの刺し合いから四つも崩すのはシェフチェンコ。サイドを奪い、亀になって立とうとしたグラッソからバックを奪い、背後からパウンド。危なげなくグラッソを完封し、判定は50-45×3のフルマークでシェフチェンコが勝利し、王座奪還。勝利のダンスを見せた。

  試合後、シェフチェンコは「スフィアで試合ができるなんて夢みたい。皆に感謝。今回の戦略はできることをすべてやることだった」と語り、ロシア語、スペイン語、タイ語で挨拶をした。

アレクサ・ グラッソ(女子フライ級王者)「私たちは一分一秒を全力で戦おうとしてる。私自身は入場は特別な演出は不要」

──今回のイベントはUFCにとっても、スポーツ全般にとっても、ある意味で未開の領域です。メキシコ独立記念日に合わせて行われる今イベントで、プロモーションのメキシコMMAの顔のひとりとして迎える心境は?

「大きなイベントになるわね。私たち全員にとって、全く新しい体験になるのよ。片側に観客がいて、私達の後ろには大きなスクリーンがある。普段のアリーナとは全然違うけど、すごくワクワクしているわ。このイベントに参戦させてくれたUFCには本当に感謝しているの」

──試合間に映画が流れたり、映像が動いたりするらしいが、戦っている最中にそのような演出があるのは想像できる?

「数カ月前にスフィアに行ってショーを見たんだけど、魔法みたいよ。巨大なスクリーンで、とてもリアルに見えるの。本当にクールな体験になると思う」

──ワレンチナとの三度目の対戦。手を怪我したらしいが、トレーニングに本格復帰するまでに時間はかかった?

「試合でケガをして、手術が必要になったの。本会く復帰までは数ヶ月かかった。ボクシングが大好きだし、私の最大の武器だから、本当に大変だったわ。でも今は完全に回復して準備万端よ」

──前回の試合前後に互いをリスペクトしているジ・アルティメット・ファイターでワレンチナと長い時間を過ごしている感じはあった、彼女がファイターとどう接しているかを見て、尊敬するようになった?

「あの番組で一緒に過ごす時間が本当に長くて、何度も何度も撮影があって、ちょっと面白かったわ。でも気づいたのは、二人とも本当にプロフェッショナルだってこと。私たちはお互い、できる限り最高の仕事をしようとしていたし、ファンやスタッフが仕事をしやすいようにも心がけていた。お互いプロ意識が高くて、競い合うのが好きだし、常に全力を尽くしているということは改めてわかったわ

──ドロー判定だった前戦に関して、ワレンチナは自分の勝利を主張しているけど、彼女から直接言われた?

「彼女はメディアに話しているだけよ。私たちが直接話すことはあまり無いわ」

──昨年のノーチェのイベントも特別だった。去年と比べて、今年はどう感じている?

「去年はテストみたいな感じだったと思う。最初のノーチェで、100%メキシカンなグラフィックで、選手も雰囲気も音楽も試合も最高だったわ。今回はペイパービューで、場所も違うし、すべてが新しい。何もかもが特別だと思う。ほかの国には独立記念日にこんな大きなイベントをやる機会はないよね。私たちメキシコ人のハート、戦い方がこれを実現させているんだと思う。私たちは一分一秒を全力で戦おうとしてる。それが本当にクールだと思っているわ」

──特別な入場も?

「いや、そういうことはやらない。私はそういうタイプじゃないの。オクタゴンに向かう時の目標はただ一つ、試合だけだから、入場に特別な演出は不要よ」

──憧れのあったメキシコ人ファイターは?

「ブランドン・ モレノね。メキシコ人初のUFCチャンピオンだし、すごく刺激を受けたわ。知らない国の誰かが何かを成し遂げるのを見るのとは違って、自分と同じ国の人で、しかも実際に会って一緒に練習した人が成功するのを見るのは、特別な感じがするの。多くのメキシコ人ファイターにとって、本当に大きなインスピレーションだったと思う」

ワレンチナ・ シェフチェンコ(女子フライ級1位)「新しいトレーニングパートナーや新しい技術が増える。こういう移動型のトレーニングキャンプが私をベストな状態にしてくれる」

──1年ぶりに戦うことになるが、ジ・アルティメット・ファイターの番組出演を経て、このイベントに参戦することになりましたね。

「本当に良い一年になったわ。旅をしたし、ジ・アルティメット・ファイターでコーチもできたし、たくさんの経験を経て、試合の準備ができている。自分に力強さを感じているし、本当に自信を持てているの」

──アレクサが、ジ・アルティメット・ファイターを経て、あなたへのリスペクトが増したと言っていた。あなた自身は、彼女に対する印象に変化はあった?

「私はいつも対戦相手をリスペクトしているの。間違えても、誰かを侮辱することなんて決して無い。だから、ただ一緒に過ごす時間が増えたからといって、特別にリスペクトが増すことはないわ。ただ、ファイターとして毎日トレーニングしてオクタゴンに立つことがどれだけ大変か、その事実だけでもすごく尊敬に値するの。確かに、アレクサや彼女のチームとはたくさんの時間を過ごした。今年は家族よりも彼女たちを見ていたかもしれない(笑)」

──アレクサとの3戦目を前に、これまでと違う準備はした?

「いや、特にしていない。2試合目は、みんなが見てた通り、私が勝った試合だったけど、結果はドローになった。だから、何を変えるべきかなんて正直わからないけど、ただ自分のパフォーマンスに集中して、できる限りの準備をしたわ。今回のトレーニングキャンプは本当に素晴らしかったし、自分を限界まで、そして限界を超えるまで追い込んだの」

──MMAが盛んとはいえないエルパソで練習した理由は?

「エルパソは本当に素晴らしい街で、そこに住んで育った人々は、心が温かくてスピリットが強い。だから私はこの街にすっかり惚れ込んだ。私のコーチの友人が、エルパソで格闘技のジムを経営しているから、そこで練習したの。エルパソの気候はラスベガスに似ていて、高地だからトレーニングや心肺機能向上にはすごく良いのよ。それに素晴らしいトレーニングパートナーたちとも一緒に練習できた。エルパソ出身の選手たちもいたし、毎日国境を越えて練習に来てくれたファイターたちもいた。トレーニングだけじゃなく、その街の文化も深く知ることができたし、素敵な川があって、ほとんどの時間をその川で過ごした。本当に最高の場所だったわ」

──エルパソが、今後のキャンプのメインになることはある?

「毎回、試合をする場所が違うから、それは難しいわ。例えば、今回のキャンプも最初はタイで2か月間、タイガームエタイで過ごしたの。その後、ラスベガスに移動して、ムエタイジムのアンドラーデムエタイでトレーニングをした。そしてエルパソに行って、今はまたラスベガスに戻ってきている。毎回移動しているの。毎回違ったトレーニングパートナーと練習できるのは素晴らしいことよ。長い間同じ場所にいると、トレーニングパートナーが何をするか予想がついてしまうけど、違う場所に行くと、全く違う相手に適応しなければいけない。それが好ましいの。ラスベガスからエルパソまで車で移動したんだけど、その帰りにアリゾナ州フェニックスにも寄って、別のジムでトレーニングをした。新しいトレーニングパートナーや新しい技術が増える。こういう移動型のトレーニングキャンプが私をベストな状態にしてくれるんだと思う」

──多くのファイターは、特定の場所にとどまってトレーニングをするけど、あなたは世界中で試合も練習もしている。その経験はあなたのスタイルに影響している?

「間違いない。トレーニングで世界をまわることで、私の故郷と無縁の場所に生まれながら、私と同じ情熱を持つ人たちと出会える。それが、今の私を形作っているわ」

──昨年は、メキシコの観客が判定に影響を与えた可能性を話していた。今回も観客がメキシコ贔屓になることを心配している?

「私が心配しているのは、試合をフィニッシュできるかどうかということ。それが最優先よ。チャンスをモノにして、100%フィニッシュを決めることが重要。私は5歳から格闘技をやっていて、もう31年のキャリアになる。今までたくさんの場所で、いろんなファイターと戦ってきたけど、地元の観客だけじゃなく、時にはレフェリーと戦わなきゃいけないこともあった。例えば、ムエタイの世界選手権の決勝でタイ人と戦った時、女性レフェリーが私に不利な判定を下そうとした。ルール内の技術まで禁止しようとして、ポイントを奪ってきたわ。でも、どんな状況でも私は勝った。試合が終わって、その女性レフェリーが勝者コールで私の腕を上げる時に『あなたはとてもラッキーね』って言ってきたくらいだけど、私はそれを跳ね除けたわ」

──前回の試合から1年の間隔は、あなたに有利に働くと考える人が多いが、どう考えている?

「どっちにとって有利かは分からないけど、私にとっては確実にプラスになったわ。前回の試合でケガをして手術を受けた後、今は完全に回復した。無理にトレーニングを急がなくてもよくなった。だから、この試合は前回とは違うわ。十分な時間が経ったおかげで、怪我も完全に治って、準備が整った」

──ローズ・ ナマユナス(女子フライ級5位)とは一緒にトレーニングしてきた友人でもあるけど、対戦することは問題ない?

「今週末の試合に集中していて、次の対戦相手のことは考えていないわ。ナマユナスは11月に試合も決まっているから、その後で考えれば良い。今の私にとっては今週末のアレクサとの試合が全て。他の人たちのことは気にしてない」

──スフィアでの試合中、ケージの後ろで映像やグラフィックが動くことに対して、集中を乱す懸念はある?

「それは全く心配していないわ。もちろん観客にとっては大きなイベントだけど、ファイターとして私は試合に集中しているから、それが気になるなんて絶対に無い。前にも言ったように、これまでのキャリアでいろんな場所、いろんなイベント、いろんな団体で戦ってきたけど、何があっても私の集中力を乱すものはないと断言できる」

──あなたが以前にキックボクシングルールで敗れたワン・ツォンが、数週間前にUFCデビュー(*日本時間8月25日のUFC Fight Night: Cannonier vs. Borralhoで、ビクトリア・レオナルドに62秒KO勝利)をしたけど、試合は見た?

「見ていない。でも、何を聞きたいかはわかるわ(笑)。面白いのは、時々『あの選手はワレンチナに勝ったんだ』って言う人がいること。私たちが戦ったのは中国で、あの年の中国では、外国人選手が中国人選手に勝つには、相手をノックアウトして30分以上立たせてはいけないって冗談みたいな話があったのよ。そうじゃないと、レフェリーが無理やり立ち上がらせて試合は続行し、最終的に負けにされるの。中国のあの時代のジャッジと比べると、前回のアレクサ戦のジャッジすら天使みたいなものよ(笑)」

──この歴史的なイベントに、6人の女性ファイターが参戦する。女性ファイターの先駆者として、こうした瞬間を経験できることの意味は?

「本当に素晴らしいことよ。前にも言ったように、格闘技は私の人生そのものだから。この歴史的なイベントに出場するチャンスがあるのは、本当に、何にも代えがたい意味があるわ。でも、今はまだそんなことを考えられる状態じゃないの。これから5年、10年後くらいに、その意味をもっと実感するかもしれないけど、今はただ前に進んでいる状態ね」

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