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【UFC】平良達郎が17戦目の初黒星、1位ロイバルにスプリット判定負け。ジョンヨンがタヴァレスに競り勝つ、元RIZINテミロフがTKO勝ちデビューで5戦連続1R勝利! 南アのテンバ・ゴリンボが4連勝

2024/10/13 05:10
【UFC】平良達郎が17戦目の初黒星、1位ロイバルにスプリット判定負け。ジョンヨンがタヴァレスに競り勝つ、元RIZINテミロフがTKO勝ちデビューで5戦連続1R勝利! 南アのテンバ・ゴリンボが4連勝

(C)Hazuki photography/GONG KAKUTOGI/Zuffa LLC/UFC

 2024年10月12日(日本時間13日朝5時開始)米国ネヴァダ州ラスベガスにて『UFC Fight Night: Royval vs. Taira』(U-NEXT配信UFC Fight Pass配信)が開催された。

朝倉海の12.7 UFCデビュー戦の相手が、現UFC世界フライ級王者のアレッシャンドリ・パントージャになることが大会前に発表されるなか、今回のメインの平良達郎vs.ブランドン・ロイバルのフライ級戦の勝者は、朝倉vs.パントージャの勝者と対戦することになるのか、注目の5分5R戦だ(※選手名からインタビユー)。

▼フライ級 5分5R
〇ブランドン・ロイバル(米国)1位 17勝7敗(UFC7勝3敗)125.5lbs/56.93kg
[判定3-0] ※48-47×2、47-48

×平良達郎(日本)5位 16勝1敗(UFC6勝1敗)125.5lbs/56.93kg

 平良は、MMA16戦無敗。2024年6月の前戦で当時5位のアレックス・ペレスに2R TKO勝ちし、UFC日本人最多連続勝利の6連勝をマーク。今回、UFC7戦目で元タイトルコンテンダーと対戦することになった。

 ロイバルは、MMA16勝7敗でUFC6勝3敗。2023年12月に現王者のアレッシャンドリ・パントージャに挑戦し、5R判定負けで戴冠ならずも、2024年2月の前戦では、元王者のブランドン・モレノに5Rスプリット判定で勝利。再び王座戦線に名乗りを挙げている。

ロイバルは16勝中13勝を決着させているフィニッシャー

 MMAジムでムエタイとブラジリアン柔術を始めたロイバルは、BJJ黒帯を巻き、9つの一本勝ち、さらに4KOと打撃での決定力も併せ持つ。フルラウンド動き続けるスタミナを武器に、16勝のうち13勝を決着させているフィニッシャーだ。

 オクタゴンでの黒星は3つで、王者パントージャに2回、約4年前にブランドン・モレノに負傷TKOで敗れたが、モレノには2024年2月の前戦でスプリット判定で競り勝ち、リベンジを果たしている。

 サウスポー構えから懐の深い打撃を持ち、特にスイッチしての右のヒザ蹴りはフィニュシュに繋がる得意技で、マテウス・ニコラウ戦でも歩いてスイッチし、打点の高いヒザ蹴りをアゴに当て、そのまま右ストレートを追打してダウンを奪いヒジでTKO勝ちしている。

 16勝のうち9つの一本勝ちでは、3つの三角絞め、3つの腕十字、1つの肩固めに加え、近年のオクタゴンではギロチンチョークを大きな武器としている。

 カイ・カラフランスには跳びついてのギロチンチョーク。また、無尽蔵のガスタンクを持ち、スクランブルに強く、マット・シュネルを極めたギロチンチョークは、シュネルの右にダウンを喫してからのスクランブルで極めたものだった。

 ロイバルはシュネル戦で、先にギロチンで引き込まれるも、足をセットされる前に横回転してパスガード。シュネルの立ち際に逆にアームインギロチンチョークを“ほぼワンハンド”で極めている。

平良より長身でサウスポーの長いリーチを持つロイバルは、スクランブルにも強く、5R経験も豊富

 一方で、スタンドにおいては、シュネル戦でロイバルはダウンを奪われており、その右ストレートは、サウスポー構えのロイバルの右前足の外側を取って中心を突いたもので、試合毎にスタンドの進化を見せている平良にとっては、踏み込みの位置取りが重要な打撃となりそうだ。

 身長170cmでリーチ178cmの平良に対し、ロイバルは身長175cm、リーチ173cm(※179cmの記載も)とフライ級では大きな平良を上回る体格。

 スタミナ豊富でスクランブルに強く、ノンストップで仕掛けて来るロイバルは、組み技においては手が合う相手とも言える。

 王者パントージャのように、ロイバルにスクランブルをさせない、あるいはスクランブルで競り勝つ、スクランブルを断ち切るポジショニングの強さを平良は見せるか。近年、バリエーションを増しているレスリングでは、ロイバルのギロチンに注意し、得意のパスガード、バックポジションは勝利へのキーとなるだろう。

 そして、今回、平良にとってはUFCで2回目の5Rマッチ。前回のペレス戦では、初回におたつロックでの負傷TKO勝ちで2Rで試合を終えた平良は、まだ5Rのフルラウンドを経験することなく、16度の勝ち名乗りを受けている。

 対するモレノは、5RフルラウンドをUFCで2回、LFAでも1度経験しており、そのペース配分も慣れているだろう。

スクランブルで競り勝つか、スクランブルを断ち切るか

 平良は、2023年に米国でロイバルと練習を行っており、その時点では、本誌に「止まらない選手」と印象を語っている。

 打撃については、「練習では、打撃をやったことがなくて肌感覚では分かりませんが、長身サウスポーというのが向かい合ったらやり辛さを感じるでしょうね。ロングリーチで手数も多いし、ニコラウ戦のヒザのような1発もめちゃくちゃ持っている。すごく圧をかけて、本当に止まらない選手」とやり辛いと予想。オーソの平良とサウスポー構えのロイバルのジャブの刺し合いから注目だ。さらに、サウスポー構えのロイバルの前進にオーソの平良はいかに蹴りも含む右の打撃で止めるか。

 また組み技・寝技についても、平良は「スタミナが多いがゆえにずっと止まらずに続けられる強い選手。ギロチンだったりの極めもあるし、練習でもずっとスクランブルを作るような感じで、練習からアタックがすごく多く、本当に寝技に関しては仕掛けてない時がないくらいいろんな技を仕掛けて、気づいたら相手がディフェンスー辺倒になっているような感じ」と評している。

 一方のロイバルは、平良がUFC5連勝でランキング入りした際の本誌の取材に、合同練習について、「彼は最高だよ。UFCでも登り詰めてほしいし、勝ち上がって行くのを見たい。一緒に過ごす事がとても光栄だと思える選手さ。本当に優しくて一緒に過ごせるのは嬉しいし、クロストレーニングできるのがいい。彼が最初にコロラドに来た時に、声をかけて『俺の柔術ジムに必ず来るようにね』って言ったんだ。だから彼がほんとうに来てくれたことは嬉しかったよ」と振り返り、今回の対戦決定に「タツローとケージを共有できて光栄だ」と記している。

 また、試合直前の会見では、平良について「彼はこの競技の次世代のスターだ。この試合に俺が勝った後、全てが上手く行ったら彼がベルトを獲る手助けをしたい」と高く評価しながらも、「現状は俺たちは同じレベルに立っているとは思わない。俺は“今”彼より強いと思っている。どこでも、どんな状況でも。最悪な状況になっても俺は彼をボコボコにできる」と、現時点では差があるとした。

 平良にとっては、フライ級1位のロイバルを下せば、王座挑戦は待った無し。誰もが認めるタイトルコンテンダーとなる。

死闘、平良にとって初の5Rに

 入場時に両手を挙げて笑顔を見せた平良。

 1R、オーソドックス構えの平良に、サウスポー構えのロイバル。グローブタッチは無し。ロイバルの左ハイ牽制は空振り。さらに2発目も空振り。5R戦でじっくり入る平良は、ロイバルの左の蹴りにシングルレッグも、ロイバルは足を抜いて離れる。ロイバルの左に右を当てる平良。

 ロイバルは左ミドルハイ。平良は右インロー。ロイバルの左ハイをかわした平良。ロイバルの左を被弾し、出血の平良。鼻、ワンツーの左が伸びて額から少し出血。右を突く平良。かわされると、ロイバルは左ミドルを腕の上に当てる。

 しかし平良は左を当てて前に出るとボディロックテイクダウン! 下から50/50のロイバルに足を抜いて組みに行く平良だが、離れるロイバル。ロイバルのラウンド。

 2R、左ミドルハイのロイバル。右ストレートを当てる平良。前に出て右ヒザを突くロイバルを捕まえてバックテイクする平良はボディトライアングルに組む。その向き直りにツイスターも狙う平良は、マウントに移行。4の字ロックは組んだまま。座ったロイバルの背中に乗り続ける平良に、ロイバルは金網を蹴って落とそうとするが、平良は後ろに乗り直して首を狙う。

 残り1分30秒。組み手を変えながらチョークを狙うとマウントに移行も、足が外れるとロイバルは正対を狙う。ここでトップを奪い、押さえつけた平良に、下から足関節狙いのトランジッションで離れるロイバル。平良のラウンドに。

 3R、平良の組みのプレッシャーはロイバルのスタンドにどんな影響を与えるか。喧嘩四つの前手争い、ワンツーのを先に打つ平良。左ジャブをヒットする! 前に圧力をかける平良。外足を取り右を振って金網に詰めてダブルレッグに入るが、足を広げて凌ぐロイバルはヒジを連打! 突き放す。

 スタンド。右ジャブを当てるロイバル。平良は後退。ロイバルはワンツーからアッパー! 平良は組んでボディロックも潰したロイバル。平良は亀になるとパウンドを被弾。バックを取ったロイバルの腕十字にトップを取り返した平良!

 ピンチから寝技になったことで脱した平良はバックを奪い4のロックからリアネイキドチョーク! 残り10秒をロイバルは凌ぐ。ニアフィニッシュだが、平良のダメージは大きい。左目を腫らした平良。ロイバルのラウンド。

 4R、チャンピオンシップラウンド。ロイバルの左ボディストレートに右を返す平良。詰めて左足をかけてバックに引き込んだ平良。ボディトライアングル、座るロイバルを再び引き込む。腰をずらすロイバルに横に落ちそうになるが、ここもバックにつき続ける平良。

 足を時折組み直しながら逃がさない平良。仰向けになるとトップ、身体を起せばバックの平良。脇を潜ろうとするロイバルに肩固めも狙いつつ、ロイバルの動きに合わせて足を巻き直す平良は首を狙う。

 ロイバルの左腕を左足で縛って首を狙う平良。スクランブルするロイバルを潰してホーン。平良のラウンドに。2-2に。

 最終5R「最後のラウンド、行って来い」と送り出される平良。中央を取るロイバルはジャブ、右アッパーをヒット。しかし、平良も組みのフェイントから右ハイ。互いに疲弊。左ストレートを当てるロイバル。平良の右は空を斬るが、右オーバーハンドを振ってダブルレッグからトップ。上四方に。

 金網蹴るロイバルはスクランブルからシングルレッグ。尻を着かせるロイバル。金網で上体を立てる平良は立ち上がるも、組んでリフトして離れるロイバル。

 右から左のロイバル。ワンツーを被弾する平良は鼻から出血。シングルレッグの平良だが突き放すロイバルは左ヒザ! 前に出る平良。ロイバルも足を滑らせるが、平良のシングルレッグに得意のギロチンチョーク! 仰向けになって逃れる平良のバックを奪うロイバルはパームトゥパームでリアネイキドチョークへ。さらにおたつロック。凌ぐ平良に最後はロイバルがうつ伏せになってトップを取られない形で腕十字を狙いホーン。ロイバルは平良を笑顔でハグした。

 ジャッジコール。判定は48-47平良、48-47ロイバル、48-47ロイバルでスプリットに割れるもロイバルが勝利。ケージに両手を着いた平良にロイバルは歩み寄り、平良をハグした。

 試合後、ロイバルは期待どおりだったか、と問われ「いやもっとすぐに極められると思った。正直、接戦になるとも思ってなくて、すごい試合だった。平良、トレーニングしたいならいつでもコロラドで俺を頼ってくれ、お前のためなら何でもやるよ。君はいつかチャンピオンになれる。すごいヤツだ。(今後は?)次はタイトルショットだ。俺はバックアップだ。朝倉海が勝つなら日本に行ってやる、パントージャが勝つならブラジルに行ってやる。次はタイトル戦。それが唯一の議論だ。俺はこの階級のトップ5の全員に勝った。他に誰がいる?」と語った。

 2018年のプロデビューから6年、17戦目の初黒星となった平良。世界最高峰に立つ王者に挑戦するためにUFCで6つの白星を積み上げ、1位のロイバルとの対戦機会を得て、初の5Rを戦い抜いた。

 届かない部分と、あと一歩の場面も作った平良は再度、頂を目指すことになる。

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