▼第8試合 ONE世界アトム級ムエタイ選手権試合 3分5R
〇アリシア・ヘレン・ロドリゲス(ブラジル/王者)
[判定3-0]
×クリスティーナ・モラレス(スペイン/挑戦者)
※ロドリゲスが2度目の防衛に成功。
まだあどけなさが残る面影で“ベビーフェイス”のニックネームを持つロドリゲスは25歳。ブラジルで初期のキャリアを積んだ後、タイへ渡り試合経験を重ねてきた。2019年7月にはプーケットのバングラスタジアムでタイトルを獲得している。
オープンフィンガーグローブ着用のムエタイ大会『ムエ・ハードコア』で2試合を行った後、2020年8月からONEに参戦。いきなりスタンプのONEアトム級ムエタイ世界王座に挑戦すると、判定勝ちで王座を奪取した。
その後はコロナの影響で試合から離れていたが、2023年3月に暫定王者となっていたジャネット・トッドを判定で破り王座を統一。同時2階級制覇を狙って9月にスミラ・サンデルに挑戦したが、TKO負けでONEでの初黒星を喫した。
モラレスはISKA世界K-1ルールアトム級王座、Enfusion -52kg世界選手権を獲得。2019年12月にはK-1に来日し、「初代女子フライ級王座決定トーナメント」に出場。1回戦でKANAに判定負けを喫した。
2011年6月に神村エリカとRISEで対戦した、シルビア・ラノッテにも2019年5月に黒星を付けられている。2021年9月に“世界最強女子”と目されるアニッサ・メクセンにKO負けを喫してしばらく試合から離れていたが、2023年11月に復帰してスーパーガールに初回TKO勝ち。戦績は50勝(10KO)8敗。
1R、モラレスは気合いの声を発しながらパンチを顔面とボディへ放ち、距離が近付くと組んでのヒザ蹴り。ロドリゲスはまず左ミドル、モラレスの連打には右ヒジを繰り出す。首相撲になるとしっかりヒザを突き刺す。ロドリゲスはムエタイスタイルでどっしりと構え、ゆったりとしたリズムで左ミドルを的確に決めていく。手数はモラレス。
2Rも気合いを発しながら左フック、ボディからの左右フック連打と攻め込むモラレスをロドリゲスは首相撲に捕まえると鋭いヒザ蹴りを突き刺す。モラレスの右ストレートには左ミドルを合わせる。ガードを固めて前に出始めるロドリゲスにモラレスは後退しながらパンチを出すように。追い詰めるとロドリゲスは首相撲から鋭いヒザを連続で突き刺し、「ティー!」(いいぞ)というムエタイ会場独特の掛け声があがった。
3R、完全に首相撲でイニシアチブを握ったロドリゲスはモラエスを何度も捕まえると鋭い角度のヒザを突き刺す。ヤッサイ(ヒザを押し付けて押し込むようにして蹴る技)も織り交ぜる。組まれたくないモラエスは後退を繰り返すが、ロドリゲスは簡単に捕まえて首相撲からのヒザを一方的に決めていく。明らかにヒザを嫌がるモラレス。
4R、ロドリゲスは左右ミドル、前蹴りを決め、モラレスがワンツー連打で前へ出てくると“待っていました”とばかりにロドリゲスが首相撲に捕まえてヒザを蹴る。モラレスの左腕をミドルで蹴り、左ボディも打つロドリゲス。
離れれば左右ミドル、接近すれば首相撲と左ボディでロドリゲスが圧倒。ボディを嫌がるモラエスが大きく後退。ロドリゲスは左ミドル、前蹴り、左ボディと猛攻を仕掛けていき、離れても近付いても完全にロドリゲスが主導権を握る。ラウンド終了間際には、前へ出てきたモラレスに下がっての右ミドルを直撃し、モラレスは効いた表情。
5Rもモラレスはワンツー、左右フックで前へ出る。それを左ミドルで迎え撃つロドリゲス。モラレスが組んでくるとロドリゲスは両足を広げてモラレスの両足外側から抑えつけてヒザを蹴らせない。ロドリゲスの鋭い前蹴りが3発連続で入る。
前へ出てくるモラレスには下がって距離を作っての右ミドル、自分からも前へ出て右ミドル。顔面から出血が見られるモラレスは最後まで諦めずにパンチで前へ出たが、ロドリゲスは自分の距離を保ってミドルを当ててパーフェクトな内容で試合を終えた。
判定は3-0でロドリゲスの勝利。2度目の防衛に成功した。「全ての女性を代表してこの日に、ここで戦えたことが嬉しいです。息子の前で戦えたこと、自分が成し遂げたことを誇りにも思います」と喜びを語ったロドリゲスは愛する我が子をリングの上で抱きあげた。そして、リングサイドにいたスタンプへ「ムエタイに戻ってきてください」と挑発した。