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【ONE】ペッディージャーがアトム級キック王座を統一して真女王に、敗れたトッドは涙の引退。ムエタイ王座戦はロドリゲスが盤石の防衛、ブンタンがミキエレットに判定勝ち、澤田千優がランカーのラズワンに日本人初勝利、山田海南江がバストスに判定負けもキャッチ許さず

2024/03/09 10:03

▼120ポンド キャッチウェイト 5分3R
×ジヒン・ラズワン(マレーシア)
[判定0-3]

〇澤田千優(日本)

 澤田は、MMA6勝1分の無敗。兄・澤田龍人と同じレスリングベースで、2018年東日本学生選手権フリースタイル50kg級優勝、全日本社会人選手権優勝、全日本選手権5位などの実績を持つ。2021年5月に修斗でプロMMAデビュー。リーグ戦で優勝するなど3勝1分で初代女子アトム級王者に輝いた。

 2023年2月にタイで行われた『ONE Friday Fights 5』では、イランのサナーズ・ファイアズマネシュを相手に2R アメリカーナで一本勝ちすると、チーム・オーヤマでの北米修行も経て、5月に米国フロリダ州マイアミ開催の『Combat Global』でアナ・パラシオス(メキシコ)にテイクダウン&パウンドで判定勝ち。

 12月2日の前戦『プロ修斗公式戦 COLORS Vol.2』で中村未来に1R 腕十字で一本勝ちし、修斗世界女子アトム級王座の初防衛に成功していた。

 対するラズワンは、6歳でシラットを習い、韓国のリアリティショーで女子格闘家の特集を見たことでファイターを目指すことを決意。3カ月のトレーニング後、ムエタイの試合に出場。ウーシューやブラジリアン柔術、キックボクシング、ボクシングの試合にも出場し、ウーシューでは世界王者にまで上り詰めた。

 MMAに転向してからは、アマチュア8勝2敗の戦績でマレーシアのアマチュアMMA「MIMMA」の王者に。2017年のプロMMA初戦で1R KO勝ちを挙げ、ONEと契約。ONEで8勝3敗の戦績をあげている。2023年9月の前戦『ONE Friday Fights 35』では、ジェネリン・オルシムを3R 腕十字に極めている。勝利の内訳は1KO・TKO、3SUB、5つの判定勝ちと、組み技よりで競り勝つ試合が多い。

 日本の山口芽生(V.V Mei)、平田樹と対戦し、ともに接戦ながら判定勝ち。これまで、ジナ・イニオン、デニス・ザンボアンガ、スタンプ・フェアテックスの強豪に黒星も判定で敗れたのみ。いまだフィニッシュ負けはない粘り強いファイターだ。

 オーソドックス構えのラズワンに対し、レスリングベースの澤田はサウスポー構え。ラズワンはスタンプ相手に近い距離でジャブ&ローでしっかり立ちあう打撃を持ち、組みの平田相手にテイクダウン&コントロールで上回っている。平田やMeiの投げに下になるも、三角絞めや腕十字の仕掛けを得意とするため、澤田にとっては打撃で遅れを取らず、テイクダウン後の押さえ込み、パウンドでのダメージから極めまで向かえるか。

 AACCからTEAM AKATSUKIに移籍し、ONE本戦初出場の澤田にとっては、抜擢のラズワン戦となる。

 なお、今大会前の計量では、ジヒン・ラズワン(マレーシア)が120ポンド(54.43kg)、ハイドレーション 1.0148で体重大幅超過。

 澤田は、一時ハイドレーションテストをパスできず計量し、115.25ポンド(52.27kg)を計測。最終的にハイドレーションで1.0222、116.25ポンド(52.73kg)の超過で計量を終えている。結果、試合はラズワンの体重に合わせて120ポンドのキャッチウェイト契約試合となった。

 松嶋こよみ、良太郎がセコンドの澤田。ラズワンはいつもの猫耳ヘッドフォンで登場。向き合うと一回り大きなラズワン。

 1R、ともにサウスポー構え。出張の澤田は左右の前蹴りからダブルレッグテイクダウン。ラズワンは後方に回すが体を戻して上になる澤田にラズワンは、スイープ。バック、両足をフックも腰をずらす澤田。そこにマウントを合わせるラズワンが澤田の起き上がりに三角絞め。

 座って胸を張って肩を回して外した澤田! スタンドに戻し、右で差して押し込み。左ヒザを突く。ステップを踏んでジャブの刺し合い。右前蹴り、右ジャブ。ラズワンの左をかわして、左ジャブ、左ヒジで入り。左ローは蹴り足を掴んでストレートを突いたラズワンがテイクダウン。そこにガードの澤田。ラズワンは自ら体を離す。

 2R、ワンツー、スリーフォーと詰めてロープを背にさせて組みも切るラズワン。澤田の右ジャブに左をかぶせていく。澤田のローシングルをがぶってギロチンチョーク狙いも、それをかけさせない澤田に、下のラズワンは腰を切って腕十字狙い。顔に足をかけたラズワンだが、ヒザを落とす澤田にラズワンは十字狙いを解き正対。

 そこにパウンドを入れながらパスする澤田はサイドを奪うと腕hがらみへ。しかし亀になってふせぐラズワンがヒジを戻すと澤田は引き出してバックテイク。

 サイドバックからヒザ! 左手首をコントロールして鉄槌! しかし、引きつけたところにラズワンは後転スイープ! 上を取り返す。

 3R、ワンツーの澤田。ラズワンも左ジャブの相打ち。右も。そこにダブルレッグの澤田。がぶりのラズワンにドライブし両者離れる。

 ラズワンのジャブに若干顔が上がる澤田。ジャブから右の蹴りに繋ぐラズワン。左ストレートはラズワン。澤田は左を振ってダブルレッグテイクダウン! ここも後方に回してスイープ狙いのラズワンに後ろ袈裟から正対しバックを奪う澤田!

 亀になるラズワンの右腕を腹固めでパウンド! ここも後転スイープを狙うラズワンだが、腕がロックされているため澤田が上。右腕を抜いたラズワンをバックコントロールする澤田はヒザ。

 立ち上がる澤田は、背後からヒザ。さらに右で差して押し込み、左ヒジもかちあげる。さらにダブルレッグでテイクダウン! 残り20秒をバックコントロールして、背後からヒザも細かく尽きてゴング。

 判定は3-0で澤田が勝利。初回のバック、三角絞めのピンチを冷静に防いで、打撃で向き合いテイクダウン。2、3Rをテイクダウンからパウンドしコントロールした澤田が、日本人として初めてラズワンに勝利した。これで澤田はアトム級のランキング入りか。

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